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禁后

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禁后(きんこう)、またはパンドラとは、『秘封霖倶楽部』のエピソード「禁后(パンドラ)」、『怪談金玉袋』のエピソード「福井県にある禁后」に登場する「呪いの家」、およびその下にいるヤサニタマモルという少女のこと。2ちゃんねるのオカルト板、もしくは怪談投稿サイト「怖い話投稿 ホラーテラー」に投稿された怪談「パンドラ[禁后]」を基にしたもの。「禁后」という漢字は便宜上「きんこう」と読むが、基となった怪談では正確な読み方は不明となっており、代わりに「パンドラ」と呼ばれている。


『秘封霖倶楽部』と『怪談金玉袋』に登場する「禁后」は、福井県丹生郡(にゅうぐん)越前町にあるという設定だが、基となった怪談にそのような話はない。なぜこのように具体的な場所を描写したかについては、ストーリーを考案したNDが福井県に在住したことがあり(ホームページ「 適当刊D 」に「所在地:福井県」と記している)、近所で実際に見た景色などからこの設定の着想を得た可能性が指摘できる。

また、「呪いの家」の下にヤサニタマモルという少女がいるというのも独自の設定である。ヤサニタマモルは存命であり、その力によって人々を死後の世界へ連れて行くことを願っている。この設定は複数の話にまたがる形で扱われているため、後々シリーズ全体の核心に繋がるものと考えられている。

- 目次

元ネタ

基となった怪談は、2009年2月11日に怖い話投稿サイト「 ホラーテラー 」に投稿された。2011年12月16日には2ちゃんねるオカルト板のスレッド「 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?286 」にも転載された。

語り手の体験

それは語り手の子供の頃の話から始まる。語り手の生まれ故郷は田舎町で、その外れにある田園地帯の中に一軒だけ古い空き家が建っていた。大人たちはその空き家についての触れることを過剰なまでに避けており、さらにその家には玄関口がなかった。子供たちはその家を「パンドラ」と呼び、強い関心を寄せた。やがて中学に上がると、語り手たちはついに友人同士で集まって「パンドラ」の窓ガラスを割り、中へ足を踏み入れた。

中へ入ると、廊下の途中に鏡台が置かれており、鏡の前にはかつらのような形で髪の掛けられた棒が立てられていた。その光景はあたかも鏡台の前に女性が座っているかのようで、一同は動揺した。すると、それまでついてきていた友人D子の妹がいなくなっていることに気付き、一同は2階へと探しに向かった。そこには1階の廊下で見たものと同じ鏡台と髪があり、そこにいたD子の妹は鏡台の引き出しを開け始めた。引き出しは3つあり、一番上の段を開けて中を取り出すと、それは毛筆で「禁后」と書かれた半紙。次に二段目の中身を取り出すとそれも同じ半紙だが、取り乱したD子は半紙を元に戻そうとして誤って一番下の引き出しを開けてしまい、その中を見て硬直するやいなや、大きな音を立てて引き出しを閉め、そばの髪を取ってしゃぶり始めた。

そのままやめる様子のないD子を連れ出した語り手たちは最寄りに住む語り手の母親を頼ると、母親は彼らを強く叱りつけ、彼らの両親に連絡を取り始めた。親たちがやってくると、D子の母親はD子を見て激しく取り乱し、「なぜD子を止めなかったのか」と語り手たちに詰め寄った。そして、語り手たちは同行した友人の一人であるBの家へ行き、Bの父親から「パンドラ」のことを説明された。それによると、「パンドラ」はBの親たちが子供の頃からあったもので、語り手たちの見た鏡台と髪のためだけに建てられたため、初めから誰も住んでいなかった。髪は本物の人間のもので、「禁后」は髪の持ち主の名前であり、知らないものにその名を正しく読み上げることはできない。そして、D子が二度と元に戻らないこと、語り手たちは二度とD子と会えないこと、D子の親からも一生恨まれ続けることもBの父親から伝えられた。やがて、D子の家族はどこかへ引っ越していき、「パンドラ」には誰も入れないように、より強固な守りが施された。その後、語り手が大学を卒業した頃になると、D子の母親から語り手の母親に手紙が送られた。語り手はその内容を知らされなかったが、母親の話では、D子の母がD子のために何らかの重大な選択をしたということだけが仄めかされた。

空き家の背景

以上の体験談が語られると、次に「パンドラ」が建てられた背景に存続してきたある家系と、その家系に伝わる儀式の存在が明かされる。かつて続いてきたその家系の女性には、儀式によって、誰も知り得ない高い次元の楽園に到達する目的があった。彼女たちは代々娘を複数人生み、その中から選んだ一人に隠し名を付けた。隠し名は儀式が終わるまで絶対に使われないので、母親にしかわからない読みが振られた。そして母親は、隠し名を付けた娘に生き物を使った呪術などを仕込むことで、その儀式のためだけに育て上げた。やがて決まった年齢に娘が育つと、鏡台を使って儀式が行われた。最初の2回では、儀式ごとに娘が自身から爪、歯を取って母親に渡し、母親はそれを隠し名を書いた半紙とともに鏡台の引き出しに収めた。そして、3度目の儀式で母親は娘の髪をすべて切って食べ、終わりには娘の隠し名を明かした。儀式が成功すると、母親は自分の髪をしゃぶり続けるだけの廃人に仕上がったが、その魂は高い次元の楽園へと到達したのだという。

しかし、その家系が年月を経ていくうちに、その儀式の習わしは廃れていった。ある代で八千代という女性が貴子という子をもうける頃になると、儀式は親から鏡台を受け継ぎ、子に隠し名を付けるだけのものになっていた。そのような中、その一家は突然怪死を遂げた。八千代が実家を訪れている間に貴子が自宅で死亡し、遺体は爪と歯がいくつか取られた状態となっていて、八千代の夫も行方不明となっていた。貴子の遺体を見た八千代は近所や両親にそのことを知らせたが、悲しみのあまり、しばらくしてその傍で自殺を遂げた。それを見た八千代の両親は死んだ二人を密かに供養したが、かつての儀式が断片的に伝わって試されたということを察知したので、同時に八千代の家に呪いをかけた。すると後日、八千代の夫はその家の前で長い髪を口にたくさん含んだ遺体となって発見された。八千代の両親は近辺の住民に対して、今後この家に入ったものも死んだ夫と同様になるので、この家を供養のためにそのままにして残し、中を見ないようにと指示した。

やがて老朽化を理由に家がやむを得ず取り壊されることになると、中からは鏡台と髪が発見され、それが呪いだと悟った人々は、それを運び出して玄関のない新しい空き家の中に移した。人々はその際に鏡台の引き出しの中を見てしまったが、供養の途中だったためか何も起こらず、そのまま鏡台の危険性を後世に伝えた。これが後の「パンドラ」であり、中の鏡台は1階にあるものが八千代のもので、2階にあるものが貴子のものだった。

ここまで説明が終わったところで、かつて語り手の両親の世代にも興味本位で「パンドラ」に侵入した人々がいたという話が明かされる。その人々は1階にある八千代の鏡台に触れ、上から一段目の引き出しには「紫逅」という隠し名の書かれた半紙と数枚の爪、二段目には同じ半紙と数本の歯が入っているのを見た。そして三段目には、貴子と八千代の片手が指を絡め合わせた状態で収められており、引き出しの内側には隠し名の読み方がびっしりと書かれていて、それを見た一人がD子と同様に髪を食べる廃人になった。D子も貴子の鏡台で同じものを見て、そのときに隠し名と合わせて三段目の中を見たことが廃人化の直接の原因となったという。最後に、「パンドラ」は現存するが今の子供にはほとんど知られていないこと、場所は東日本ではないという補足をもって、一連の話は終わる。

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関連項目

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