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裏S区

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裏S区(うらエスく)は「洒落怖秘封霖【非公式】3」(『秘封霖倶楽部』)および『怪談金玉袋』のエピソード「裏S区に迷い込んだ先輩」に登場する地区。「洒落怖秘封霖【非公式】3」では森近霖之助の友人である駒田の妹・響子、『怪談金玉袋』では野獣先輩の恋人の遠野が裏S区で監禁され、霖之助たち、あるいは野獣たちは裏S区へ捜索に向かうことになる。そこでは異質な宗教観が住民の間に定着しており、住人たちはその宗教観に従って悪霊を追い払うため、外界の人間に対して「治療」と称して暴力を振るったり、性交を行ったり、殺害したりする。そうして主人公だけでなく、その周囲の人間にも裏S区の人間による危害が及ぶようになる。


- 目次

元ネタ

両作に登場する「裏S区」は、2007年3月14日、2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)・オカルト板のスレ「 死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?160 」に投稿された体験談に登場する同名の地区を基にしていると考えられる。ただし、この裏S区は「洒落怖秘封霖【非公式】3」『怪談金玉袋』両作中に登場する裏S区と全く異なる。「洒落怖秘封霖【非公式】3」では、主人公たちの通う京都大学のある街の裏側に裏S区があると描かれている(具体的な位置関係は全くわからない)が、オカルト板の体験談では、裏S区とは九州のS区という地域から山を越えた地域のことを指してそう呼んでいる。

友人Aの異変

オカルト板に投稿された体験談は、語り手が数年前に高校で、友人のAから突然暴力を振るわれるようになったところから始まる。誰も助けてくれない中、薄ら笑いを浮かべながら殴ったり蹴ったりしてくるAに対し、語り手は初めに自分がいじめられているものと思ったが、そのうちAが不登校になり、担任教師からは逆にAのほうが語り手に怯えていたということを聞かされる。担任すら信じられなくなった語り手は登校拒否を始めるが、その後のある日、飛び降り自殺を目撃してから幻視や幻聴のようなものに苛まれるようになる。

友人AのおじBによる事情説明

しばらくして登校を再開した語り手は、早退した際にAのおじであるBと偶然出会う。Bは学校で部落差別についての講義をしている人物でもある。Bは語り手を見た途端、何かを察したような様子で態度を変え、突然お経のようなものを唱え始める。その様子に逆上した語り手はBに暴力を振るい始めるが、Bはそれでも笑いながら意味のわからないことを話し続ける。すると語り手は再び幻聴と幻視を体験して発狂し、Bに殴られて意識を失う。

目を覚ますと語り手は自宅に寝かされており、居間には自分の両親とBと、AのおばであるCとが顔を合わせて話していた。語り手は再び錯乱するが、その場の全員に抑えられてようやく落ち着きを取り戻き、そこからBとCが事情を話し始める。いわく、AやB、Cの出身地である新S区、つまり裏S区と呼ばれている場所はナメ〇〇○(「ナメラスジ(縄筋)」という地域特有の言葉とされる)という霊の通り道にあり、加えてAたちの家系は古くから霊感が強いため霊障によって発狂するものが多く、裏S区はその歴史を通じて被差別部落となったという。また、Aが語り手を笑いながら殴るようになったのは、同様に霊感の強いためで、語り手に取り付いた××××という霊(Bの家系では「バラ」から始まるような名前で伝わっているが、その名を呼んではいけないという)を恐れたためだった。AやBの家系では、この手の霊を撃退するには、笑うことで霊に対して余裕を見せつつ、取り付かれているものを読経やまじないを使って叩く必要があるという。しかし、Aはその方法を正確に知らず、誤った方法を試みたために殴ったり蹴ったりしたのだという。こうして説明が終わると、語り手は説明された方法の通りにお祓いを受け、その後は霊を見なくなる。

友人Aの自殺と事の顛末

しかしその後Aは行方不明になり、それから3日目でAは自殺したと判明する。残された手紙には語り手に対する謝罪の言葉があり、同時に、語り手のもとから祓われた××××がAを標的にし始めたことが書かれていた。そして、Aは××××を祓うために別居中の母親の実家へ向かうとも書き残していたが、その実家への移動中に行方不明になったのだという。語り手は両親とともにAの葬式に参列するが、平屋のような場所に置かれた棺桶にはびっしりとAの名前が書かれた札が貼られ、読経はなく、他に参列している親戚と思しき人々の何人かは笑っている。Bの説明によると、写真が見るに堪えない奇怪なものに変形するので遺影は置けない。また、「これは××××ではなくAだ」と示すために名前の書かれた札をびっしり貼るのだという。結局、語り手もその両親もそこに不気味な印象を否めず、早々に式場を後にする。

その後、語り手は自宅で再びBの説明を聞き、語り手やAに取り付いていた××××は元々Aの祖母だったこと、そのために祓うことが躊躇われていたが、Aの死後に祓われたことや、語り手の目撃した飛び降り自殺の死者も裏S区出身で××××に追われていたことを知らされる。また、語り手が幻視や幻聴に苛まれるようになったのは、自殺者と同様に××××に取り付かれた状態でその飛び降り自殺を目撃したとき、エレベーターを呼び出した音が自殺者の霊の怒りを買い、霊から呪いをかけられたためだったという。するとその説明の最中、Bの語り手に対する話し方が恫喝めいたものに変わる。語り手の両親から制止されると、Bは飛び降り自殺した霊が来ているので話しかけたと説明し、再びその霊に話しかけ始める。結局、自宅を去る間もBは笑ったり何かに話しかけたりすることをやめず、すっかり嫌気が差した語り手とその家族は、以降裏S区との関わりを一切断つようになる。裏S区に関する差別問題は未だに周辺の教育現場で語られているが、語り手とその家族が裏S区に対して覚えたものは差別というよりも恐怖だったといい、この体験談は締めくくられる。

上記エピソードの元ネタ

ちなみにこの話の基になった地域は 実在している らしく、いわく福岡県北九州市の新門司区のことらしい。新門司区は門司港の裏という意味で「裏門司」と呼ばれていたという話がある。また、新門司区には死や病を予知する能力を持つ家系があったという記録もあるという。


山地から見て北西の関門海峡に面した場所に門司区があり、反対の南東側に新門司区(裏門司)がある。(出典: NASAの航空写真(パブリック・ドメイン)

元ネタとの相違点

元ネタとも言えるオカ板に投稿された体験談の内容を踏まえると、『秘封霖倶楽部』や『怪談金玉袋』に描かれた裏S区は元ネタを全く踏襲していないことがわかる。『秘封霖倶楽部』や『怪談金玉袋』の裏S区民は「治療」と称して暴行に及ぶが、元ネタの内容に言わせればそれは除霊の方法として誤っていることになる。『秘封霖倶楽部』の描写に至っては、男が治療と称して子供(駒田響子)と性交している場面があるが、これはもはや元ネタを完全に逸脱しており、あくまでも善意によって「治療」しているというよりも、「治療」と称して私欲を満たしているようにしか見えない。そもそも霊的なものすら一切描いていない。そして、ここまでのことをしているのに警察が動かないのかは不明(黒幕的な組織(ネタバレのため名前は伏せる)が関与しているのだろうか)。

こんな内容なので、元ネタの部落差別に関する要素には全く言及していないし、明らかに致命的な誤解を招くので言及できるはずもない(元ネタの内容ですら、それ自体が地域特有の文化への攻撃に当たり、 「差別にしか思えない」という批判を受けている )。その割に、裏S区民が来訪者に対して何かを察したような台詞を言うところや、棺に札をたくさん貼る場面など、細かい描写に限って元ネタを踏襲しているようなところはあるが、結局のところ描いているものが根本的に異なっている。おそらくそれぞれの作者が描きたかったのは、「裏S区」という場所よりも、「バイオハザード」シリーズや「SIREN」、「Outlast 2」などのゲームに登場するような全く異質の場所だったのだろう。

外部リンク


関連項目

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