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信じていいの?

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匿名ユーザー

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「願いを叶える神様…」
「うん、俺たちバンカーは、そいつに会うために禁貨っていうのを、バンクにいっぱいにするために戦ってるんだ」

博物館へと向かう道中、古谷向日葵は出会った少年・コロッケから彼が住む世界についての話を聞いていた。
コロッケの住む世界はどうやら自分たちが住むところとは別世界らしい。

「だとしたら、あの鳩山という方は…」
「うん、きっと禁貨をたくさん持ってるんだと思う」
「そう、ですか…」

向日葵は考える。
こうなってくると、鳩山が言っていた『残り一人の要望を叶える』という言葉は、かなり広い意味を持ってくる。
もし仮にあの男が禁貨を大量保持しているというのなら、それこそどんな要望、願いだって叶えることが可能という事なのだろう。
もちろん、そうだとしても向日葵にはここにいる人たちを殺してまで叶えたい願いなどないし、第一そんな力もない。
だが…

(この子…コロッケさんはどうなんでしょう?)

話を聞く限り、このコロッケという少年は見た目に似合わず相当な戦いを潜り抜けてきたようだ。
そして彼の世界では、バンカーと呼ばれる人たちが禁貨を奪うべく日夜バトルをしていて、彼もその一人なのだという。
だとしたら…考えたくないが、この殺し合いの舞台も肯定しているのではないだろうか?

「こ、コロッケさんは、どんな願い事を叶えるつもりなんですか?」
「俺?俺の願いはただ一つ!」


「父さんを、生き返らせることさ!」


「お父さん、を…?」
「うん。父さん、俺が小さいころに殺されちゃったんだ」
「!ご、ごめんなさい……!」

聞いてはいけないことを聞いてしまったと思い、謝る向日葵。
コロッケは、気にすることなく続けた。

「俺は、父さんを絶対に生き返らせたいんだ」
「絶対、に…」
「うん、だから俺は、こんなところで絶対に死なない」


(分からない…分かりませんわ)


向日葵は戸惑い、悩んでいた。
彼が、父親を生き返らせるという願いに強い想いを持っているのはよく分かった。
だが…だからこそ、この殺し合いに乗って、優勝を目指そうと考えているのではないかという疑念が、頭に突き刺さった。

「行こうぜ、ヒマワリ!」

彼女には分からなかった。
差し伸べられるこの手を、笑顔を…信じてもよいのか。


「ん?」
「どうしたんですか、コロッケさん?」
「あっちの方から、音が聞こえる…きっと誰かいるよ!行ってみよう!」



「くそ…このっ……固く結びやがって!」

アンチョビは今、必死に結ばれた両腕、両足の皮をほどこうともがいていた。
しかし、皮はなかなかきつく結ばれていて、ほどくことができないまま時間が過ぎていく。
というより、腕まで結ばれていてほどく方法が割とない状況であった。

「あー!お前は!?」

と、そんな時一人の少年の声がどこからか聞こえた。
くそ、こんな時に…!

「…って、待てよ?この声…」

アンチョビは、声がした方向に体を向けた。


「お~い!アンチョビ~!」
「コロッケ!?」



「一応、礼を言っておくよ」
「気にすんなよ!俺たち仲間だろ!」
「俺は、そんなものになったつもりはない」

仏頂面で、アンチョビはコロッケに礼を言う。
あの後、コロッケと向日葵の尽力により、なんとか結ばれた両手両足をほどくことができた。
そして、先ほどの戦いでの傷を完全再生で回復させた。

(コロッケ…か)

目の前で自分に友好的に話しかけてくる少年に、アンチョビは複雑な表情を浮かべる。
彼は…コロッケは、カラスミ兄さん復活に協力しようとしてくれていた一人だった。
兄さんが死んだ直後、彼を生き返らせるための禁貨を分けてほしいと真っ先にその場にいた人たちに協力を求めたのも、彼だった。

(なんでこいつは…そこまでするんだろうな)

理由はなんとなく察しがついている。
おそらく…カラスミ兄さんを失ったアンチョビを見て、父親を失った時の自分を重ねたのだ。
だが…そもそもその父親を殺したのは自分―――アンチョビなのだ。
どうしてこいつは、仇のためにそこまで純粋になれるんだ。
アンチョビには理解できなかった。

(とにかく、兄さんを生き返らせるために、こいつと、そばにいる女も殺さないといけない)

コロッケは自分の事を信用して油断しきっているし、もう一人の女は見たところなんの力もない無力な少女だ。
すぐに殺せる。
そして、こいつらを殺したら、そばで気絶しているであろうあの危険な女も始末……


「それにしても、良かったあ!アンチョビ、生き返ったんだな!」
「………え?」



「俺が、生き返った?」

こいつは、何を言っているんだ。
俺が、生き返った?
それではまるで、俺が一度死んだみたいじゃないか。

「おいコロッケ…お前、いったい何を…」
「ん?カラスミが禁貨を集めて、お前とお前の父さんを生き返らせたんじゃないのか?」
「カラスミ兄さんが、俺を?父さんを?」

どういうことだと思い、話の続きを聞こうとしたところで…
俺の意識は途絶えた。









「ここは…?」

明石薫は、不思議な空間にいた。
何もない、誰もいない空間。
存在するのは、自分一人だけだった。

「誰か、誰かいないのか…!?」

孤独を感じ、思わず辺りを見回して人の存在を探す。
やがて、一人の人物が、彼女の前に現れた。


「皆本!」


彼女の前にいたのは、自分たちチルドレンの主任・皆本光一だった。
皆本は、とても穏やかな表情を浮かべながら、薫に近づくと…彼女の頭を優しくなでてやりながら、微笑んだ。
突然の皆本の行為に、薫は赤面しつつも、


「な、何するんだよ!子ども扱いすんなよな!」


照れ隠しに、そういった。
皆本はなでるのを止めて、少し困った表情になると…口を開いた。


『****、***』
「え……!?」


彼の口から発せられた言葉に驚くまもなく、皆本は彼女に背を向け歩き出した。


「おい、待てよ!皆本!」


薫は彼の背中を追いかけるが、一向に距離は縮まらない。
それどころか、どんどん離れていく。


「待てっていってんだろ!皆本――――!」




「う、う~ん…」

そうして、薫は目を覚ました。

「あれ?あたし何してたんだっけ?」

確か…鳩山とかいう奴に殺し合いをするよう言われて。
そしてあの宇宙人みたいなUMA野郎と出会って…
それで…


「!…そうだ!あのUMA野郎!」


状況を思い出した薫は、辺りを見回す。
そして、戦っていた相手――アンチョビはいた。


「今度こそ…殺す!」


薫は起き上がる。
その目に、アンチョビへの殺意を込めて。

「あんな奴のために…皆本やみんなを殺されてたまるか!」

脳裏に浮かんだのは、夢の中で会った皆本の顔。
そして…自分に向けて発せられたあの言葉。

「あんなの夢だ…!そんなことあってたまるか!」


そうだ。
自分たちチルドレンは彼と共にB.A.B.E.L.として歩んでいく。
これまでだって、これからだって!

だからさ…皆本。


『さよなら、薫』


別れの言葉なんて、早すぎるんだよ!




「吹っ飛べぇぇぇぇ!!」

その言葉と共に、アンチョビの身体が吹っ飛ばされる。


「ぐがあああ!?」


近くの木に激突したアンチョビは、起き上がることはない。

「アンチョビ!?大丈夫か!?」
「…息はありますわ。気絶してるだけ、見たいですわ」
「そっか、良かった~」

向日葵の言葉に、コロッケはほっとする。
が、状況はほっとしている場合ではなかった。

「どけよ、怪我するぜ」

薫のそばには、大きな木が浮遊していた。
おそらく、今度はあの木をアンチョビにぶつけるつもりなのだろう。
それを察したコロッケは、アンチョビと向日葵をかばうように彼らの前に立ちふさがる。

「ヒマワリ、アンチョビと一緒に、少し離れてて」
「は、はい…」

コロッケの言葉にしたがい、向日葵はアンチョビを抱えてその場を離れた。



薫は、イライラしていた。
先ほど見た夢は、薫の心に多大な焦燥を与えていた。
早くしないと、皆本が殺されてしまうかもしれない。
その焦りが…もともと低い彼女の沸点をさらに低くしていた。


「どけって…言ってんでしょうがぁぁぁぁぁぁ!!」


浮遊させていた大木が、コロッケめがけて放たれた!

「ハン、バー………」

一方のコロッケは、拳に炎をまとわせると…


「グゥゥゥゥゥゥ!」


炎をまとったその拳を、大木めがけて突き出した。
コロッケのパンチを受けて、木は真っ二つになる。
そして、怒りの表情で薫を睨む。


「アンチョビを…俺の仲間をいじめるなあ!」
「へぇ、あいつの仲間…なんだ、だったらあんたも敵ってことか」

対する薫も、コロッケに対し殺意を向けて対峙する。


「だったら容赦はしない!アンタも、あのアンチョビってやつも…あたしが殺す!」

【B-5/道場周辺/1日目-午前】

【コロッケ@コロッケ!】
[参戦時期]:グランドパーティ終了後~バーグと再会する前
[状態]:健康、薫への怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2)
[スタンス]:対主催
[思考]
基本:仲間と合流して殺し合いを止める
1:アンチョビを守るために薫を倒す、倒した後どうするかは保留
2:向日葵、アンチョビと合流
3:仲間を探す
【備考】
※アンチョビは、カラスミが禁貨を集めて生き返らせたのだと思っています


【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[参戦時期]:小学生編のどこか
[状態]:疲労(中)、皆本への不安と焦燥、強い殺意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×1~3
[スタンス]:対主催(マーダーキラー)
[思考]
基本:主催者やゲームに乗った危険人物はぶっ殺す
1:コロッケを殺す
2:アンチョビを殺す
3:仲間たちを探す、皆本は最優先
【備考】
※破壊に巻き込まれる前に自分の支給品はどこかに隠したようです



(コロッケさん…やっぱり強いですわ)

近くで隠れながらコロッケが大木を真っ二つにしたのを見て驚く向日葵。
あの小さな体のどこに、あれほどの力があふれているのだろうか。
そして同時に、もしあの力が自分に振るわれたら…と考え、不安になる。

もちろん、出会って間もない向日葵にも、コロッケが仲間想いの優しい少年だと…頭では分かっているのだ。
しかし同時に…彼がバンカーとして禁貨を奪い合う戦いを繰り広げているという事実が、彼女の不安を消し去ってはくれなかった。

(それに…この男の子も、きっとバンカー…)

アンチョビの姿は、薫の攻撃を受けて気絶したときに、変身が解けて元の人間の姿に戻っていた。
きっとこの少年も、コロッケと同じく願いをかなえるため、禁貨を集めるために戦いを繰り広げてきたのだろう。
そして…この少年が願いを叶えるためにこの殺し合いを肯定していないと…断言などできない。
コロッケは仲間だと言っていたが、それがイコール彼が危険でないと判断するには根拠が薄い。


(分からない……分かりませんわ、私には)


何を信じていいのか。
誰を信じていいのか。
力を持たない非力な女子中学生に過ぎない向日葵には、何もかもが分からなかった。
力を持たない彼女にとって、コロッケも、アンチョビも、薫も、恐怖の対象だった。
だから彼女は……


(コロッケさん…ごめんなさい)


その場から、逃げ出した。


【アンチョビ@コロッケ!】
[参戦時期]:裏バンカーサバイバルにてTボーンを倒した後
[状態]:ダメージ(小)、気絶、コロッケの言葉に対する疑問
[装備]:なし
[道具]:なし
[スタンス]:無差別マーダー
[思考]
基本:カラスミ兄さんを生き返らせるために皆殺す
1:カラスミ兄さんが…俺を?
【備考】
※支給品は破壊に巻き込まれたためどうなったかは不明です
※コロッケと薫の戦いから少し離れたところに倒れています


【古谷向日葵@ゆるゆり】
[参戦時期]:不明
[状態]:健康、僅かな疑心と恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[スタンス]:不明
[思考]
基本:知り合いを見つけたい
1:この場を離れる
2:知り合いを探す、特に櫻子が心配
【備考】
※コロッケから彼の住む世界観について話を聞きました
※バンカーは殺し合いに乗るのではという不安を抱いています
 ただし、同時にコロッケの人柄についても理解しているため半信半疑です


保護者ディオ 投下順 [[]]
[[友を想う、一人ぼっちはさみしいから… コロッケ
[[天使か、悪魔か 明石薫
アンチョビ
友を想う、一人ぼっちはさみしいから… 古谷向日葵

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