新々漫画バトルロワイアル @ ウィキ

保護者ディオ

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
ディオは豪華絢爛な椅子の肘掛に肘を付いたまま、思考を続けていた。
何を思考している? 自分の現状についてをだ。
多数の人間はこのような不足の事態に陥った時、現状を把握するために歩き回ることだろう。
それが、身を潜めて待ち構える殺人鬼の格好のカモとなる可能性も考えずに、だ。
だが優秀な頭脳と冷静さを持ち合わせる彼はそのような無駄な移動を行わなかった。
動かずともその場で周囲を深く観察することで、ある程度十分な情報が推測出来るとわかっていたからだ。

まず、自分が今いるこの部屋……
見ての通り非常に材質のいいソファーやテーブルなどの家具が置かれ、天井からはシャンデリアが下がっている。
壁は大理石で出来ており、大きな暖炉があり、窓からは朝の日差しに照らされた清々しい緑の木々、手入れされた芝生が見える。
それらの情報と、地図に書かれている施設を照らし合わせると『洋館』と『首相官邸』、このどちらかの施設にいる可能性が高い。

観察は視覚だけに留まらない。次は聴覚から得られる情報に注目する。
自分と同じくこの建物に飛ばされた参加者、はたまた住民や使用人の足音……
誰かがパニックを起こして騒ぐ物音もするかもしれない。それを事前に察知することで、次の行動を選択する。
人の気配が一切しないと判断できるようであれば、この建物の間取りを把握したり、使えそうな物品を調達すればいい。
もしも誰かがいるようであったならば、先にこちらが身を隠して様子を伺う。
殺し合いに乗る者、狂気に駆られた者だと判断した場合、可能であれば闇討ちを、不可能であれば静かに撤退をする。
無論、平和的な思考の持ち主であるならば接触を行ない、鳩山を討つ手立ての協力を得るのだ。

……誰かが話すような声が聞こえる。
声質からして、少女……それもかなり年少のものだろう。


―――何で、何でこんな状況でアンタはゆっくりベッドに寝転んでられんねーーーーん!!!!


大声ではっきりと聞こえた。
この一言に注目するだけでもある程度状況が掴めてくる。
『アンタ』と言った。つまり、叫んだ少女ともう一人別の誰かがいるのだろう。
その人物はベッドでゆっくりと眠っている。肝が座った人物か、状況を飲み込めていないかのどちらかであろう。

さて、椅子に座ったままでこれだけの情報を手にしたわけだ、次はどう行動するかを決めていこう。
まず、接触するべきか否か。おそらく、あの人物は殺し合いに賛成する危険人物ではないだろう。
だがディオは、その少女と積極的に接触したいとは思わなかった。

……少女、それはとても非力で、周囲に守る義務を与える存在。
共に行動することになったとして、こちらは一方的に保護をしてやらなくてはいけない。
恐怖に駆られ泣き喚いたり、体力の少なさゆえに余分な休憩を求めたりと、言わば足で纏いでしかないのだ。
そんな存在を引き連れることは、自身の生存率を下げる結果となる。
効率性を重視するならば、多少大胆だが少女を始末して支給品を得ることも考えられる。
……が、『もう一人』がいる限りその選択肢を選ぶことが出来なくなる。
必然的に少女一人を入れた3人で行動する事を余儀なくされる。
それが有利に転じるか、不利に転じるかはこの時点ではわかりかねない。

ならば、この状態で接触する博打に出るより、しばし様子を伺ったほうが面倒が少なくて済む。
さしあたりこの建物の外へ出て、木々の影にでも身を伏せるのが得策だ。
ディオは銃器と地図をデイパックに仕舞うと、スッと椅子から立ち上がった。

このVRPG-7V1という武器……説明書によれば、遠距離の相手に爆弾を撃ち込むようだ。
万が一の時にはためらいなく使用するつもりだが、この重火器は室内で使うのはおらく危険この上ない。
性能的に最大限活用できるのは、屋外から屋内へ放つ場合だろう。
……ただし、問題はその爆風によっては、大事な支給品まで粉砕してしまう所か。どちらにせよ、使いどころを考えねばな……。

物音を最低限まで抑えて歩き、扉を静かに開け、人がいないのを確認して廊下へと移動する。
少し進んだ先には、いわゆるエントランスホールが広がっていた。
エントランスホールは2階まで吹き抜けになっており、天井には万華鏡のごとく色彩豊かなステンドグラスが貼られている。
オレンジ色の柔らかみのある明かりが灯され、落ち着きのある空間となっている。
つま先を立てて、最大限音を抑えつつ、それでいてスピーディに入口へと向かう。
扉を開くときギイィィっと軋むような音が響いたが、ここまで来ればさほどの問題ではない。

そして、外へと出る。
周囲を取り囲むのはたくさんの木々、そこを通り抜ける涼やかな風が緊張感を解きほぐしていく。
東の方角……入口に立って左側には山がそびえ立ち、そこから眩しい朝日が顔を出していた。
(ふむ、ここは洋館で間違いないようだな……。さて、そこの森林に身を潜めて様子を伺うとするか)
前髪にさっとかきあげて、ディオは一歩踏み出した。

その時だった! パァッとディオの頭上に緑色の光が現れたかと思うと……



「よっと」ドサッ
「うげェーーーーッ!!」

突如、真上に現れた何者かにのしかかられた。
不意に肩にかかった重量により、体勢を崩したディオはベタな悲鳴を上げながら倒れ込む。

「きゃあああああぁぁぁぁぁっ!? な、なんや、人がおったんかいな!」
「な……何だ……!? この僕の身に何が……ハッ!?」

地面に打ち付けた顎を押さえながら、首を後ろに向けるとそこにはメガネをかけた少女。
そして横で座り込んでいるのは、色素の薄い髪色で、眠そうな目をしている年頃の女性。
声から察するに、つい先ほど建物内で騒いでいた人物で間違いないだろう。
……だが、こいつらが騒いでいた部屋と、この玄関口とでは相当な距離が離れているはずだ……
この一瞬のうちに、ましてや自分の真上から降ってくるなどとは……!

どうする? あまりにも不測の事態だ。突発的に面倒に巻き込まれて思わず取り乱してしまった。
落ち着け……接触してしまったからには、紳士的な若者としての姿を見せておくべき。
逆に考えるんだ、ここであえてこの少女たちを保護することで、他者の信頼をぐっと得やすくなるのだと。
多少目的から遠回りだったとしても、早々に軽はずみな行為をするよりも良い結果になりうるものだ。
……まぁなんにせよ、第一声は決まっている。

「君……いい加減僕の上からどいてくれないだろうか?」
「あっ、すまん! ちょっと能力に違和感を感じたもんでな……」

少女はディオから降りるとスーツの裾をパンパンとはたいた。
水色のブレザーに胸元に大きなリボンをつけたメガネの少女、その名は野上葵。
それに加えてベレー帽をかぶったその姿は、ディオの目から見るとなんとも不思議なものに感じた。
そしてもう一人、セーラー服を着た女性、名前は小瀬川白望。
先程からぼーっと座っている。……何故か酔っているようで、座ったまま頭をフラフラとさせていた。
そのなんとも気だるそうな雰囲気は、こちらまで力が抜けそうな印象を受けた。

「それで、君たちは今、どこから現れたんだ?」

なるべく柔らかな物腰で尋ねる。

「いやそんなことよりも、この首輪……ECM装置が取り付けられてるんちゃうかなぁ? この程度の距離を瞬間移動したにしては、やけに疲れるんやけど……」
「ECM? 瞬間移動? いったい何を言っているんだい?」
「何をって、あの鳩山っちゅうやつがウチらの超能力を制限する装置を付けてるんじゃないの? あぁ、お兄さんは普通人か」
「超能力……? 普通人……? 確か、鳩山もそんなことを言っていたか……」
「まぁ、ウチみたいな超度7にもなると流石に押さえ込まへんと危険っちゅーことやわなぁ……
 所謂、出る杭は打たれる、って感じやねぇ。……な、なんでそんなに不思議そうな顔してはるん!? ウチの推測間違ってへんやろ!?」
「そうではなくて……さっきからECMとか超能力とか、話が突飛過ぎて、僕には何が何やら……」
「……お兄さん、まさか超能力を知らへんの……?」

ディオは頷いた。
葵も不可解そうな顔を浮かべた。

「え、記憶喪失じゃなくて……? 白望はんは勿論知っとるよな? ECMとかB.A.B.E.L.とか……」
「知らないけど」
「えっ、いやウチがさっき『瞬間移動で洋館を見回ろうか』って言うた時、何も言わなかったやないか」
「突っ込むのが面倒だったし……」
「いや知らんかったら言うやろ! ていうか言えや!」

逆に葵が突っ込んだ。
ハリセンを取り出してスパーンと白望をはたく。

「まぁええ、せやったら中入って自分らの情報を交換し合うことにせんか?」

葵はそう切り出した。
自分の中で常識だと思っていた事柄が、この二人の常識とは違っている。
そういえば鳩山と名乗る男も元総理大臣を名乗っていたが、自分はそんな人物を知らなかった。
もしかするとこの殺し合いは、これまで自分が相手にしてきた超能力犯罪とは全く異なった次元のものじゃないかと、そんな予感を抱いていた。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★


エントランスホールにて、3人は情報交換を行なった。
彼らが過ごしてきた場所はそれぞれ、自分の過ごす世界とは全く異なるものであった。
19世紀のイギリス、21世紀の日本、超能力者たちが多数存在する21世紀の日本。
時間も、文化も、大きく違う。そんな3人がこの『殺し合い』と言う枠の中で巡り合う。
それはあまりにも奇妙な話……お互いに大小の差はあれど、驚きを隠すことが出来なかった。

「つまり、僕は100年以上先の、未来へと連れてこられたというわけか……にわかには信じがたいものだ……」
「世界が違うとかだるいなぁ……カルチャーショックになりそう……」
「まさか超能力者が存在する、ウチの世界の方が少数派とはなぁ……世の中は広いもんやね」
「いや、でもその瞬間移動能力と言ったかな。この状況においては他者と比べて圧倒的優位に立てるだろう。
 あの憎き鳩山とかいう男を討つためにも、きっと心強い力となるはずだ!」

そう、こんな能力を持つ者を味方につけることが出来たことは幸運と言えよう。
非力な少女を一方的に保護すると言う面倒を背負うかと思えば、こいつはなかなか利用出来そうじゃあないか……!
ディオは内心でニヤリとほくそ笑んだ。

「おぉ、任せときや。 ザ・チルドレンであるウチが諸君を保護したるから、大船に乗ったつもりでいてええで!」
「なっ……!? ……あ、あぁ、期待させてもらおう……」

(保護だと? この僕が10歳の少女に、逆に保護されるだと……?)
確かに葵は警察的な国家組織に所属するエリートだ。その立場からそう発言するのは何らおかしくない。
自分は特別な能力を持たない一般的な人間。能力のある存在に保護されるのはごく自然な事だ。
それでも、人並み外れてプライドの高いディオにとっては、誰かに保護される事態になるのは屈辱を感じざるを得なかった。
最終的な目的を遂行するためならば、このくらいの不満は抑えるべきなのは当然だ……そんなことで苛立ってどうする。

そんなディオのデリケートな心境も露知らず、葵は自信満々に胸を張っていた。


【D-3/洋館/一日目・午前】

【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
[参戦時期]:ラグビーの試合で勝った直後
[状態]:健康、若干の不満
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給品(0~2)、RPG-7V1@現実
[思考]
 基本:殺し合いには乗らず、なるべく紳士的な青年像を保つ。鳩山に報いを与える
 1:葵の能力は利用出来そうだ……が、保護されるとか屈辱なんだが。
 2:ジョナサンとは(嫌々だが)協力する
 3:鳩山に踊らされるのは癪なので、プライドに懸けて反逆する。野望に向き合うのは全てが終わってからにする


【野上葵@絶対可憐チルドレン】
[参戦時期]:不明、少なくとも小学生時代からの参戦
[状態]:健康
[装備]:ハリセン@現実
[道具]:基本支給品x1、不明支給品(1~2)
[スタンス]:殺し合いに乗らない。バベルとして問題の解決に当たる。
[思考]
 基本:殺し合い反対。一般人を保護する。
 1:薫と紫穂を探す、あと皆川も
 2:ザ・チルドレンとして白望とディオを保護する。
※瞬間移動能力に制限がかけられています。移動距離や疲労の裁量などは次の書き手にお任せします。


【小瀬川白望@咲-saki-】
[参戦時期]:不明
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品x1、不明支給品(1~3
 基本:だるい
 1:とりあえず二人についていく

※お互いにそれぞれの世界、素性について情報交換しました。




D-6地区 デパート地下パーラー桜が丘のクリームソーダとフルーツパフェ 投下順 信じていいの?
最後に笑うのは――、 ディオ・ブランドー
……だるい 野上葵
……だるい 小瀬川白望

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー