失敗コレクション -shippai collection-

Outline

マジシャンになるつもりでずっとそれだけやっていた。
でも今、マジシャンになれなくて
それだけやっていたことが馬鹿らしくなって
マジックが好きになれなくなった。
マジシャンになりたい、という憧れだけが未だ残っている。
昔マジックを見て感動したあの日のことは忘れない。
自分もああなりたいと思ったあの日のことは忘れられない。
今、凄く悔しい。
凄く、凄く

俺のマジックは面白くないと言われた。
技術もなければ人を楽しませる遊びもない。
「そんなもの誰だってできる」
忘年会ですら楽しませられない、素人の中でも低レベル。



『うちにはね、そんな奴等がたくさんいるよ』


――俺達は出来るとは思っていない。
慰めてほしいわけじゃない。
"悪い"と理解したうえで愛してほしいだけ。



Story

福岡県のとある町で浩孝は生まれ、幼き頃から大好きなマジシャンになるのが夢だった。
しかし、浩孝のマジックはお世辞にも上手いとは言えない出来で、マジックの事しか考えず生活していた浩孝には職がなかった。
アルバイトもせず、遊んでばかりの生活。そんなある日、駅の近くで背の高い女性に声を掛けられる。
「ユー、よくそのゲーセンいるよね?暇なの?」
『フェイラープロダクション』というお笑い事務所の社長をしているという彼女。
浩孝は彼女の勢いに押されてその事務所と契約をしてしまう。
そしてそこで出会う、自分と似た境遇の売れない芸人達……。
やる気も技術もない彼等を使って世界を笑わす!という社長、蘭子には一体何が見えているのか。
最終更新:2013年01月20日 03:53