偽名探偵こまねプロローグ
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dangerousss3
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プロローグ
――名探偵こまね事務所 にて
* ** ***
「ねずみを捕まえてほしい」
私は単刀直入に依頼を切り出す。
私は単刀直入に依頼を切り出す。
「いま世界を脅かしている謎のウィルス。
これは魔人の仕業だと私たち魔人警察は睨んでいる。
つまりこれは大量殺人事件で、犯人がいるってわけだ。
‥‥『名探偵こまね』の力を借りたい」
これは魔人の仕業だと私たち魔人警察は睨んでいる。
つまりこれは大量殺人事件で、犯人がいるってわけだ。
‥‥『名探偵こまね』の力を借りたい」
目の前の少女は眠たげな表情を浮かべながら推理小説の原稿に目を落としていた。
ペンネーム「水野こまね」の最新作である。
もっとも売れないことは彼女が一番よく解っているのだろう、おもむろに原稿を破り始める。
ビリビリという音の代わりにいくつものシャボン玉が姿を現したが、彼女はそのまま窓の外にシャボン玉を退場させた。
ペンネーム「水野こまね」の最新作である。
もっとも売れないことは彼女が一番よく解っているのだろう、おもむろに原稿を破り始める。
ビリビリという音の代わりにいくつものシャボン玉が姿を現したが、彼女はそのまま窓の外にシャボン玉を退場させた。
「依頼が達成されれば魔人警察は『名探偵こまね』の犯罪をなかったものとして扱おう。
どうだ、悪い条件じゃないだろう?」
彼女の視線が今日初めて私を捕える。
しばらく会わないうちに思いのほか大人びていたその表情にドキリとしていると
ついに彼女が口を開いた。
どうだ、悪い条件じゃないだろう?」
彼女の視線が今日初めて私を捕える。
しばらく会わないうちに思いのほか大人びていたその表情にドキリとしていると
ついに彼女が口を開いた。
「ま、鋸間さんには恩返ししないとだからねぇ~。いいよ、その依頼引き受けたぁ~」
「ふふっ」
思わず笑いが漏れてしまう。
ああ、久々に聞く『名探偵こまね』の間が伸びた声だ。
「ふふっ」
思わず笑いが漏れてしまう。
ああ、久々に聞く『名探偵こまね』の間が伸びた声だ。
「でも今日の依頼はこれで2件目なんだよねぇ~。だから1件目と同時に進めさせてもらよぉ~」
「ああ、いいだろう。この依頼を達成してくれるならどう進めてもらっても構わない。
もちろん早いに越したはないがな。
‥‥ちなみに1件目の依頼とやらの内容を聞いても?」
「いいよ、別に隠すことでもないからねぇ~
『魔人たちの祭典 ザ・キングオブトワイライトへの参加』、それが1件目の依頼だよぉ~」
「ああ、いいだろう。この依頼を達成してくれるならどう進めてもらっても構わない。
もちろん早いに越したはないがな。
‥‥ちなみに1件目の依頼とやらの内容を聞いても?」
「いいよ、別に隠すことでもないからねぇ~
『魔人たちの祭典 ザ・キングオブトワイライトへの参加』、それが1件目の依頼だよぉ~」
「――は?」
予想外な内容に思わず間抜けな声を出してしまう。
そんな私のことをフッと笑ったのは私がここに来た時からすでにいた1件目の依頼人、「銘刈 耀」である。
今回のウィルス事件の裏で見え隠れする目高機関、
そこに所属しながら「表の顔」を使って精力的に社会で動いている人物として魔人警察に最近マークされ始めたばかりの人物であった。
予想外な内容に思わず間抜けな声を出してしまう。
そんな私のことをフッと笑ったのは私がここに来た時からすでにいた1件目の依頼人、「銘刈 耀」である。
今回のウィルス事件の裏で見え隠れする目高機関、
そこに所属しながら「表の顔」を使って精力的に社会で動いている人物として魔人警察に最近マークされ始めたばかりの人物であった。
「勝手に探りを入れておいて『は?』は酷いのではないですか?私は気を使って口をつぐんでいたというのに
別に事件の依頼でなくても良いでしょう。彼女は探偵ではないのですから
もっとも、私の依頼はこのままですと断られそうだったので、貴方には感謝しておりますが」
「――そんな感謝は不要だ」
私は思わず銘刈を睨み付けてしまう。
別に事件の依頼でなくても良いでしょう。彼女は探偵ではないのですから
もっとも、私の依頼はこのままですと断られそうだったので、貴方には感謝しておりますが」
「――そんな感謝は不要だ」
私は思わず銘刈を睨み付けてしまう。
「お~い、人の事務所で喧嘩は勘弁しとくれよぉ~」
「これは失礼いたしました。では大会参加者として登録させていただきます」
銘刈の私への視線がすっ、と外される。
思わず舌打ちしそうになるが何とか胸の内に留める。
「これは失礼いたしました。では大会参加者として登録させていただきます」
銘刈の私への視線がすっ、と外される。
思わず舌打ちしそうになるが何とか胸の内に留める。
「登録名とかあたしが決めていいのかな~?」
「ええ、勿論です」
「じゃ、『偽名探偵こまね』でよろしく~」
「――了解いたしました、では私はこれで」
そういうと銘刈 耀はスッと立ち去る。
なるほど、さすがの身のこなしである。
今日は図らずも彼女との距離が縮んでしまった。
今後も彼女を注視する必要があるだろう。
「ええ、勿論です」
「じゃ、『偽名探偵こまね』でよろしく~」
「――了解いたしました、では私はこれで」
そういうと銘刈 耀はスッと立ち去る。
なるほど、さすがの身のこなしである。
今日は図らずも彼女との距離が縮んでしまった。
今後も彼女を注視する必要があるだろう。
「では私も帰るとするよ。私からの依頼もよろしく頼む。
‥‥『偽名探偵こまね』ね。悪くない当てつけだと思うよ」
そういいながら私も席を立つと、彼女は眠たげなまま微笑んだ。
‥‥『偽名探偵こまね』ね。悪くない当てつけだと思うよ」
そういいながら私も席を立つと、彼女は眠たげなまま微笑んだ。