エルフの元女騎士ゾルテリアプロローグ

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dangerousss3

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プロローグ

「ゾルテリア、子供の学費の為にもう一度騎士になってくれないか」
妊娠による激太りで女騎士の免許更新試験に失敗し主婦になってから数年。
夫がニート学者なのでゾルテリア達の貯蓄は尽きようとしていた。
幸い自宅は森の中なので自給自足の生活は出来るが、子供の学費は山菜では払えない。

「だが断る、めんどい。またアンタが女装して試験受けてきてよ」
「そうやって失敗したから現状があるんだろ。魔術でお腹引っ込めれば鎧も着れるし頑張って」
「どの口が言うかこのニートが!」
「今は君もニートだろうが!」

働きたくないでござる状態の夫婦の口喧嘩は程なくしてガチ喧嘩に発展。
当然優勢なのは肉体派のゾルテリア。軽量級の夫に馬乗りになりパンチを連打する。

「ギブアップ?ギブアップ?」
「ノー!」
「あっそ、それじゃあ君が女装して女騎士試験を受けに行くまで殴るのをやめない!」
「ギエピー!ああ~お墓で眠っているお義父さんがこっち来いって手招きしているのが見える~」

ゾルテリアの父、すなわちゾルテリアの夫にとっては義理の父に当たる人物が
家の窓から手を振っているのが見えた。

夫婦にとっては魔術とレイピア術の師であり、去年ゾルテリアの母の死後間もなくして後を追う様にこの家から墓場へと移った人である。

「ああ~お義父さんゾルテリアに似て太ってるな~、
いや、ゾルテリアがお義父さんに似ているのか~、
お義父さんが近づいてきてる~…」

(五分後)

「ふうっ、久しぶりに運動したからちょっとやりすぎちゃったわね」

肉玉体型の主婦はこの世から消え去り、ゾルテリア家には魔術でシェイプアップした
ボインボインの女騎士が君臨し、過呼吸で動けないゾルテリアの夫を見下ろしていた。

「あーあー、私はエルフの元女騎士ゾルテリアだ!これより騎士の資格を取り戻す!
…こんな感じでいいかしら」
「お、おっけーです。頑張って行ってきて下さい」

夫は弱々しく答える。

「あんたじゃ頼りないし仕方ないから行ってきてあげるわ。家の事はよろしくね」

こうして一人の女騎士希望者が試験会場へと向かったのだった。
その後の事は皆が知っての通りである。








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