灰堂四空SS(第一回戦)

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dangerousss

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第一回戦第二試合 灰堂四空

名前 魔人能力
灰堂四空 ステルスアイ
羽山莉子 メルティーボム
沢木惣右衛門直保 (菌を見る能力)

採用する幕間SS
なし

試合内容

「…おいおい、この会場を作った奴はとんでもねー奴だな…
 何でこんなビル街をダンジョンの中に作れるんだよ…」

会場に到着し、受付を済まして待機していると、突然周囲の空間が歪んでビル街が現れた。
これもこのトーナメントを開催した奴の能力なのか…

「…オッケー」

灰堂は一人つぶやき、周囲への警戒を強める。

「しかし、俺も運がいいのか…見慣れた風景だな、こりゃ。オッケーだぜ」

~第一回戦・摩天楼~

(『リング』はビルの上、1km四方か…さて、敵さんは、と)

周囲を警戒しながら、対戦相手の姿を探す。
すると、ビル群の中心部に一人の少女が現れた。
そして何を思ったか、大声で叫び始めた!

「えーっと、対戦者のお二人!私は羽山莉子です!
 正々堂々!勝負いたしましょう!よろしくお願いします!」

どこからどんな敵が狙っているかもわからない中、あくまでも正々堂々と戦おうと言うのか。
狙撃能力者がいることは考えていないのか?もしくは狙われても問題ないほどの防御能力を持っているのか?
…どちらにせよ、リスクが高すぎる行動である。
だが、羽山莉子にはリスクなど計算には入っていない。なぜなら彼女はヒーロだからなのである。
この試合の中継を見ているただ一人のために、彼女はヒーローで在り続けるのである。

そんな彼女を見て、灰堂も中心部に向かう。

「オッケー、あんた…気に入ったぜ!
 俺は灰堂四空。もう一人はどこにいるか知らねーが…正々堂々、勝負と行こうか!」


「対戦相手は両方共肉体派っぽいなァ…
 オレも一応『農大』カリキュラムは受けてるけど、まともにぶつかったら勝てないぞ」

二人の闘いを離れたところから様子を伺うもう一人の対戦者、沢木惣右衛門直保。

「とりあえず…オレはオレの戦い方をするか。頼むよ、『菌王』」

〈よかろう。我ら菌王軍団がきやつらをかもし殺してくれるわ〉


「イヤーッ!」「オラァッ!」

二人の蹴りが空中で交錯する!
ビル街の屋上を飛び回りながらぶつかり合う二人。
状況は、体格的に優れる灰堂に有利!

「ハハッ、嬢ちゃんなかなかやるじゃねーか!オッケーだぜ!」
「あなたもやるわね…!こうなったら、『必殺技』を使わせてもらうわ!」

羽山はそう言うと、懐からチョコレートを取り出す。

「どうした?エネルギー補給でもするのかい」
「ぶっぶー。これはね、こう使うの…よっ!」

羽山はチョコレートを灰堂に向かって投げた!
次の瞬間、

ドゴォン!

チョコレートが灰堂の眼前で爆発する!

「…んなッ!?」
「隙あり!」

爆炎の中から、羽山が飛び込んでくる!
強烈な飛び蹴りが灰堂のこめかみに炸裂した!

「ぐっ…!今のはオッケーじゃねえな…!」
「ハァ、ハァ…『メルティーボム』。今のが私の必殺技よ…っ」

予備のサングラスをかけながら、羽山の様子を見た灰堂が声をかける。

「ハハ、嬢ちゃん…あんたもフラフラじゃねーか」
「ちょっと…無理しただけよ…、あ、あれ…?」

(こいつは…どういうことだ?)

『攻撃を仕掛けた』側の羽山が、何故かふらついている…
よく見れば、熱が出ているような表情だ。こんな時に病気か…?
いや、試合開始時はそんなことはなかった。
つまり、考えられる可能性は…

「チッ、やられたぜ。『三人目』か」
「…!」


「ゲッ…!気づかれた!
 …まあでも、もう遅いかもね。あっちの女の子の方はもう『発病』してるみたいだし」

〈直保よ、油断するでない〉

「わかってるよ…!このまま、ここであいつらをかもし殺す…!」


「…呪いの類じゃなさそうだな。こりゃ病気か」
「ぐっ…はぁ、はぁ…やるならやりなさい…」
「いや、俺ァ弱ってる女の子に手を挙げる趣味はないぜ。
 …むしろ、ここは協力して『三人目』を倒すべきだ」
「協力…!?そ、そうね…私もこのままじゃ負けるのは嫌」
「オッケー。じゃあちょっと耳貸しな」


―ビル街中心部。
羽山は周囲に向けてチョコボールをばらまく!

「メルティー…ボム!!!!」

チョコレート爆弾による全方位攻撃!
周囲のビルを破壊しながらも、さらにチョコレートをばらまく!
その傍らで灰堂はサングラスを外し、周囲を注視する。

ドドドドドドド……

崩れるビルの屋上から、一人の小さな影が這い出したのを二人は見逃さなかった。

「そこ…っ…!」

チョコレート爆弾を投擲しようとする羽山。
だが…

「残念ッスね。もう『手遅れ』かな。インフルエンザなのにそんなに動くから」
「くっ…ゲホ、ゲホッ…」
「それだけ弱ってればオレでも倒せるね。もう一人もすぐに―」

そこまで言って、沢木はあることに気づいた。

「―もう一人?」

『もう一人』とは何のことだ?
そこにいたのは、あの女『一人』のハズ――!

考えを巡らせたその瞬間!
沢木の体は宙を舞っていた!

「がっ…!?」
(殴られた!?誰に!?何が起こった?)

理解する間もなく、地面にたたきつけられる!
そこにいたのは、『もう一人』の対戦者、灰堂四空!

「い、いつの間に…!それより、この至近距離からインフルエンザを食らって平気なはずが…」
「なるほど、やっぱり病気使いか…。ワリーな兄ちゃん、『能力』使わせてもらったぜ」

サングラスを外した灰堂の銀色の瞳が輝く。

「俺の瞳を見た奴は、俺のことを認識できなくなるのさ。それがたとえ『病原菌』でもな」



「嬢ちゃん、大丈夫か?」
「ゲホ、ゲホ…なんとかね…!」

インフルエンザに犯されていた羽山だが、沢木が気絶した今も熱が引かない。
―能力による病気ではないので、術者を倒しても治らないのである。

「そうか。じゃあ…戦うか」
「…ええ。私は…ヒーローだもの。病気なんかで…寝てられないの」
「…オッケー」

そう言って灰堂はサングラスを外し、羽山の目を見つめる。

「…え?き、消えた…? …うっ」
「ワリーな。アンタがヒーローなら、俺は悪役だからな。
 …俺も負けられないんでね。この目を治すまでは」

羽山を当身で気絶させると、周囲にアナウンスが鳴り響いた。


―第一回戦:摩天楼  勝者…灰堂四空―


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