地球温暖化とその対策

 地球温暖化は確かに起きている。この前提が壊れると対策を講じる必要もないが、そのうち南極の氷も溶けだし、数メートル以上の海面上昇が起き、多くの人々は高所に避難しなければならなくなる。また、気温の変化は農作物の適性も変わることになり、農業に大打撃を与え、急激な世界的食糧難を引き起こし、延いては、世界大戦の勃発へとつながり、ローマクラブの「成長の限界」が予測するように、急激な世界人口増加の後の急激な世界人口減少を引き起こす。果たして生き残るのは誰か? 迫りくる地球温暖化と気候変動が、ローマクラブの予想を前倒しにし、予想よりも早いカタストロフィーを招くのであろうか? それとも、人類はこの危機をなんとか乗り切り、カタストロフィーの到来を数十年遅らせることに成功するであろうか? 数十年遅れのカタストロフィーの方がもっと劇的かもしれないが、まずは、目先の危機を解決することが先決であろう。

 地球温暖化問題は今や国際政治の舞台で議論され、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の勧告を受け、対策を講じている最中である。世界各国の国ごとにこの問題に対する温度が異なり、対策の在り方も異なっている。この問題に関する科学研究も様々なところで広範かつ詳細に行われているが、今や政治的駆け引きの道具に使われ、純粋な真理を探究する調査・研究が大きく歪曲されてきている印象がある。
 現在、IPCCはCO2に温暖化の主犯の嫌疑をかけ、全責任をCO2に押し付けようとしているが、果たしてそうなのか、そのことに焦点を当てながら、他の犯人の可能性を考えてみたい。
 以下のページは作成順に並べたものである。文章を書きながら次第にこの問題に対する理解と考えが変わっている。かなり誤解もあり、間違った考えのもとに理論が展開されている部分もあるが、後のページでかなり修正したものを記述したつもりである。最初から一貫したものを書いていれば読みやすかったと思うが、最初のころの考えからどのように変わっていったかを見るのも、それなりに意味があると思う。
 まだCO2の冤罪を晴らすことはできていないが、主犯は別にいるのではないかという疑問をじっくりと考えてみることが、このテーマの主眼である。
 温暖化に寄与する原因がわかれば、その対策を講じることで温暖化をかなり防ぐことができる。複数犯であれば、その対策もまた複数になる。寄与の大きいものから優先順位をつけ対策を講じることが重要であり、マーケティング理論で有名な80対20の法則(パレートの法則)に乗っ取って重要項目から潰していくことが合理的解決策であろう。
 現在、CO2の温室効果に大きな焦点が当てられているが、工場や発電所あるいは都市部の人間活動から排出される膨大な量の熱エネルギーが地球温暖化を起こしているという普通の考えやヒートアイランドの影響、アスファルト道路の影響、などなど、他の容疑者の可能性を追ってみたい。

1.地球温暖化vs寒冷化 2015-11-21

2.地球温暖化vs寒冷化2 太陽活動(黒点活動)との関係 2015-11-25

3.地球温暖化対策 CO2固定 2015-11-27

4.地球温暖化vs寒冷化3 北極圏には南半球にはない70年周期の変動がある?  2015-12-09

5.金星の高温はCO2が原因であろうか? 2015-12-12

6.エネルギー収支バランスに見る地球温暖化問題  2015-12-15

7.地球温暖化vs寒冷化4 NASA公開資料の分析と将来予測 2015-12-19 2015-12-24追加修正 2016-1-26更新

8.CO2主犯説に対する疑問点 2015-12-24

9.参考資料 衛星データの赤外スペクトル① 2015-12-26
  (かなり重要な2006年の論文の1つを読み、日本語訳をつけた。)
  衛星データの赤外スペクトル②、 衛星データの赤外スペクトル③ 2015-12-31

10.温室効果ガスの影響についての基礎理論① 2016-01-01
   温室効果ガスの影響についての基礎理論② 2016-01-07
   温室効果ガスの影響についての基礎理論③ 2016-01-10
   温室効果ガスの影響についての基礎理論④ 2016-01-15
   温室効果ガスの影響についての基礎理論⑤ 2016-
11.地球温暖化対策2
 もし、地球温暖化の主犯がCO2であった場合、そして大気中のCO2を固定することで解決できるのであれば、人類にとって、現代の科学技術を動員すればおそらく解決できるであろう(地球温暖化対策 CO2固定)。発電所や工場で発生する高濃度CO2を回収したり、直接大気中の低濃度CO2を回収する技術はかなり進んできている。あとは、どう予算をつけて実行するかである。それゆえ、地球温暖化CO2主犯説は、人類にとって解決策が十分可能な問題となる。しかし、本当にそうであろうか? 現代のCO2主犯説は状況証拠が多く、決定的証拠に欠けているように見える。CO2以外の他の要因の可能性も否定できない。CO2を削減することは容易ではなく、科学技術の粋を集め、莫大な費用をかける必要があるが、その結果、無駄骨に終わる可能性もあるのではないか。
 もちろん、CO2主犯説が正しい可能性は今のところ非常に高いと思われているので、リスク回避の立場からCO2削減に向けた様々な取り組みをおこなうことは正しい判断である。しかし、CO2主犯説が正しくない可能性が残されていることも考慮しなければならない。CO2を主犯としない他の調査・研究も引き続き行っていく必要がある。

*2016-01-07 CO2が飽和しているのでこれ以上温暖化は起きないという話があったが、いろいろと検討してみた結果、飽和していたとしても温暖化の効果は消えないことと飽和していない部分もかなりあるということがわかった。なので、CO2飽和説は不十分な説と言える。調査をすればするほど、検討すればするほど、CO2主犯説を支持する方向へ向かってしまうので、少々閉口気味である。CO2は温室効果を持ち、濃度が増えるとその効果も増えることは物理的、化学的にも証明することができる。現在、私の興味はCO2の効果を定量的に吟味することに移行しつつあり、濃度が倍増した場合の温度の上昇がどうなるのかを徹底的に調査し、私が推奨するヒートアイランドなどにより引き起こされる熱だまり効果と比較可能なのかどうか、どちらが主役なのか、の解明に向かっている。既に、様々な文献で詳細にCO2の温室効果が計算されているが、それらの文献のあら探しをする前に、自分自身の理論をしっかり組み立てておこうと思っている。基礎理論①から⑤はそのための準備段階である。

*2016-01-29 私自身の中でかなり明らかになってきたことは、CO2の吸光度が非常に大きい波長領域15μm付近では、地表からの熱ふく射(熱放射)はほとんど地表付近の大気に吸収され、大気から地表への熱ふく射は同じ地表付近の大気からのふく射のみが地表へ届き、上空から直接地表へ届くことはない。それゆえ、地表と大気との熱ふく射のやり取りは地表付近の大気のみに限定されることである。CO2濃度が2倍になるとやり取りする大気の厚さはおよそ半分になるのものの、15μm付近では地面と熱放射相互作用する大気の高さはおよそ25mから13mとなり、どちらも地上付近であり、小さな気温変化の影響しかないように思われる。しかし、数メートルの地上付近の気温もいくらか変化をしているようである。特に、昼と夜とで気温変化の逆転現象が地上に接する領域で起きているらしい。実際には対流や分子衝突による熱伝達のことも含めて考える必要があるが、CO2の影響は昼と夜とで全く異なる効果をもたらす。また、大気圏上部からの同じ吸収帯での熱ふく射による宇宙への放射は、濃度が2倍になると放射範囲がより高い位置へと移動し、かなり変化する。つまり放射高度が高くなると、地表からの熱伝達が届きにくくなり、温度低下を引き起こし、宇宙へ放出されるエネルギーが低下するかもしれない。
 上記のことは、実際に詳しく計算してみないとよくわからないので、その計算をかなり精度の高い近似計算でしてみようと考えている。
 (ところで、ヒートアイランド効果と温室効果ガスは互いに相乗効果で地球温暖化を引き起こすという思いをますます強めている。)
 ところで、極小低温層の観測(Lake, 1956: QJRMS, 82, 187-197)がある。また、関連する参考文献もかなりありそうなので、調べてみることにする。(参考:http://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/kisho/kisho20.html)
7.地球温暖化vs寒冷化4で述べたように、IPCCのCO2の温室効果は大きく見積もられすぎているのではないであろうか?ヒートアイランドや熱だまり効果が思われている以上に大きな影響を持っているのでないか?その疑問は未だに消えていない。

*参考資料
 1.基礎理論のための参考資料:Limb Darkening - Wiki の翻訳ノート
 

最終更新:2016年02月09日 17:42