大きく変更された映画の邦題

登録日:2018/09/12 Wed 04:20:55
更新日:2024/03/27 Wed 20:29:50
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ここでは、「Titanic」→『タイタニック』のように原題をそのままカタカナにしたり、
「Gone with the Wind」→『風と共に去りぬ』のように直訳したりせず、凝った邦題を付けられた映画を紹介していく。

+ 目次

概要

特に映画界ではキャッチーなインパクトを狙うために原題から大きく変更された邦題が付けられた映画がしばしば存在する。
意外と有名な作品が「え? これがアレンジ邦題?」と知って驚くことも多い。

しかし、成功例もしばしばあるが、タイトル一発で大失敗した映画も少なからずある。
有名作品に便乗、有名作品の続編っぽいタイトルをつける、逆に続編なのに別作品っぽいタイトルにすることも邦題では少なくない。
例を挙げれば、特にサメ映画は、「ジョーズ」と関係なくてもタイトルに「〇〇ジョーズ」等と付けられることが非常に多い(そちらに関しては別項目を参照に)。

最近はそんなチャレンジャーなことをせず無難にやるためか、原題をそのままカタカナにしているケースの方が多いように思われる。
かつてのチャレンジャーな方向性を寂しく思う映画ファンもいることだろうが、
映像だけでなく題名にも意味を持たせているものも少なくないので、原題の元の言葉がそのまま残されるのは制作者を尊重する意味では決して悪くない方向である。
もっとも、注目度を上げようと凝った邦題をつける作品も依然としてあり、それらから新たなチャレンジ精神を見るのも面白いだろう。


タイトルが大きく変更された代表的な映画たち

名訳・秀逸な改題編

遊星からの物体X

原題:「The Thing」

直訳したら「物体」。意訳すると「(正体不明の)何か」「それ」といったところだろうか。
そのまま「物体」では意味不明であるし、「ザ・シング」というのも日本語では「歌う(sing)」と同音語なので誤解される可能性が高かっただろう。
そう考えると、原題の雰囲気を残しつつ、SF映画であることをハッキリさせているこの邦題は中々の名訳ではないだろうか。
なお本作は1951年のアメリカ映画『遊星よりの物体X(原題:The Thing from Another World)』のリメイクであり、題名もそれを意識した物となっている。

『アラバマ物語』

原題:「To Kill a Mockingbird」

少女目線からの白人弁護士の奮闘やアメリカ南部の情景を写した不朽の作品。
Mockingbirdとはマネシツグミこと物真似鳥であり、「持たざるもの・容易く消せるが、害にもならない存在」の意味でもある。その名を意味することは…?
原題の持つ意味は当時のアメリカの時代背景 (正確には、人種差別や偏見と言った負に関した) を知らないと分かりづらい為、シンプルなタイトルにしたのは妥当と言える。

天使にラブ・ソングを…

原題:「SISTER ACT」

名訳邦題の代表例。
原題を直訳すると「シスター出演」「シスターの行動」とかなり情緒に欠けたタイトルになってしまうため、この変更は正解と言える。
ちなみに内容に合わせて意訳するのであれば「シスターの演技(メインキャラである歌手のデロリスが警察によって、修道院にシスターとして匿われるため)」、
作中のシスターたちの行動から「シスターたちによるパフォーマンス」などに準すれば近いと思われる。
「天使」というところでシスターというキャラクターをイメージさせつつ、天使とは一見無関係に見える「ラブソング」で映画の内容を見事に表現している。
敢えて重箱の隅をほじくるなら、劇中で歌われているのはどちらかと言えば天使というより「神(主)へのラブソング」である事か。

『俺たちに明日はない』

原題:「Bonnie & Clyde」

実在した強盗団カップル・ボニー&クライドをモデルにした映画。
主人公の名前そのままから、いかにも刹那的な生き方を象徴するようなタイトルに変えられており、雰囲気がよく出ている。
このように主人公の名前等のシンプルな物から変更された邦題は名訳が多め。

『明日に向って撃て!』

原題:「Butch Cassidy and the Sundance Kid」

こちらは実在の強盗団ワイルドバンチのブッチ・キャシディとサンダンス・キッドを描いた映画。
原題が主人公2人組の名前のアメリカン・ニューシネマだけあって上記『俺たちに明日はない』と似たような改題だが、
こちらは伝説となったラストシーンを暗示するように、どこまでも強く明るく逞しく生き残ろうとするブッチとサンダンスの生き様を的確に表現している。
刹那的な生き様のコンビという共通項でありながら「明日」に対してちょうど反対のようなスタンスになっているのが興味深い。

『山猫は眠らない』

原題:「Sniper」

アメリカ海兵隊のベテラン狙撃兵、トーマス・ベケット上級特務曹長を主人公としたシリーズの第一作。
原題は「狙撃手」というこれまたシンプルなタイトルだが、邦題では標的を狙い身を潜める狙撃手を獲物を狙う山猫に喩えたセンスが高く評価された。
欠点は本編は 山猫関係ない ことと劇中の狙撃手は眠らないどころか しっかり寝ている ということか。

『あるいは裏切りという名の犬』

原題:「36 Quai des Orfèvres」

『やがて復讐という名の雨』

原題:「MR 73」

『いずれ絶望という名の闇』

原題:「Diamant 13」

オリヴィエ・マルシャルが監督・脚本を担当したフランス警察映画三部作。
原題はそれぞれ「パリ警視庁の住所」、「主人公の持つ銃」、「13面体ダイアモンド」と劇中に出てきたり関連する簡素なワードなのだが、
邦題は 何か担当者の筆が乗りまくっている

『悪魔の毒毒モンスター』

原題:「The Toxic Avenger」

原題は「毒の復讐者」。まぁ内容を端的に表しているのだが、邦題のインパクトには敵わないだろう。
ただ、一応主人公は正義寄りのキャラクターではあるので、「悪魔」「モンスター」と着けてしまったことで悪役のように見えてしまう、という難点はある。
もっとも説明がないとそうとしか思えない見た目であるのだが。

死霊のはらわた

原題:「The Evil Dead」

「邪悪なる死者」ぐらいの意味合いの原題を見事にインパクト抜群のB級映画に仕立て上げた邦題。
この「はらわた」という響きが実にナイスである。
あまりに印象的な邦題だったためか大量のフォロワーを生み、二番煎じに走る必要がないであろう有名シリーズまで後追いで真似をするという珍現象が発生した(詳しくは後述)。

『魔の巣』

原題:「Manos」

道に迷った一家が邪神を信仰する教団のロッジに辿り着き…という大型映画データベースサイトで☆1.5を記録した カルト映画界隈伝説のZ級映画
「Manos」はスペイン語で手を意味しており作中の教団の信仰する邪神の名前だが、邦題では響きはそのままに全く別の意味になっており エスプリが効いている
逆に題名以外に評価するべき部分はない。
ちなみに海外では何故かゲーム化もしていて、後にAVGNのゲームも開発したFreakZone Gamesが制作している。

『アパートの鍵貸します』

原題:「The Apartment」

原題だとアパートが舞台なのは分かるが、一体アパートで何が起きるのかが分からない。「鍵貸します」という題を付ける事で視聴者の興味を引く事に成功させた名訳。
中身もアメリカのコメディ映画を代表する超名作なのでこの邦題で気になったら是非見る事をオススメする。
なお本作を元に、円谷プロが大人向けのテレビドラマである『独身のスキャット』を制作している。

『きみに読む物語』

原題:「The Notebook」

原題はそのままの意味で「ノートブック」。
作品内容は主人公がノートブックに書かれた物語を老女に読み聞かせる内容であり、
「君に読む」と訳す事で誰から誰へのメッセージなのかが受け取り手が分かりやすくなっている。

『オデッセイ』

原題:「The Martian」

近年のSF映画としては中々の名訳。元々の原題の意味は「火星人」。
これは諸事情で火星に取り残されてしまい火星で農業をやって生きる羽目になった主人公が皮肉交じりに「俺は火星人だ!」と言うのが由来。
一方「オデッセイ」は比喩的に「長く苦しい旅」を指し、火星から地球に戻ってくるまでの長い旅路を表している。
直接「火星人」と訳してしまうと、古臭いSFみたいに見えてしまうので、この邦題はナイスである。
また宇宙SF映画の偉大なる先駆者である『2001年宇宙の旅』の原題が「2001: A Space Odyssey」であるためそれも意識しているのかもしれない。
ちなみに劇中に登場する宇宙船ヘルメスの内装がディスカバリー号を意識したものなっているので邦題以外にもオマージュ要素がある。
内容的に「火星DASH」が一番正解とネタにされたが。

ちなみに映画以前から翻訳されていた原作小説の邦題は『火星の人』。
「の」の接続詞をつけるだけでタコ型宇宙人っぽさが薄れる翻訳の妙である。

『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』

原題:「A Hard Day's Night」

伝説のロックバンド「ザ・ビートルズ」の初主演映画で、原題は同名の主題歌から。邦題の名付け親は水野晴郎だというのが一般的な説。
元の題の意味は「(映画撮影で)つらい一日の夜」(語感重視のせいで文法的に間違っているらしい)なので、ビートルズの映画という事をアピールする方向にアレンジしたと思われる。
ちなみにこの題が有名になったせいで、映画どころか主題歌すら邦題『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』になってしまい、2000年のリバルバル上映から曲共々『ハード・デイズ・ナイト』に改題された。
…ちなみにこの映画にはとある疑惑が存在する。それはこの映画の公開前年に制作されたニュース映画『The Beatles come to town』との取り違えではないか?というもの。
じゃあ「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」はどこから来たんだ?となるが、これに関しては同作がドイツなどで「A HARD DAY'S NIGHT YEAH! YEAH! YEAH!」というタイトルで公開さていたことに由来すると考えられている。
音楽の邦題に関してはこちらも参照。

『大脱走』

原題:「The Great Escape」

第二次世界大戦の最中、ドイツ軍の捕虜として投獄された主人公。脱獄不可能と言われた収容所にて、他の脱獄希望者と共に織りなす不撓不屈のドラマ。Greatを単に「素晴らしい」とか「偉大」に当てはめず、語呂の良さと規模の大きさを両立した良訳。

『僕らのミライへ逆回転』

原題:「Be Kind Rewind」

勤めていたレンタルビデオ店のビデオが全滅してしまったため、自分達でハリウッド映画のリメイクを撮って誤魔化そう!という映画愛溢れるコメディ作品。
CG全盛期の現代で、過去の名作をわざわざB級感満々のハンドメイドで再現していく主人公達の姿を「未来へ逆回転」と表現するのは言い得て妙である。
原題はレンタルビデオに書いてある「巻き戻してご返却下さい」の文言なため、それとも掛けた邦題になっている。

『カールじいさんの空飛ぶ家』

原題:「Up」

ピクサー製作のディズニーのアニメ映画。
ディズニー作品の題や台詞の翻訳には定評があるが、本作は特に文字数が増えている。
何せ家が上へ向かっていく話とはいえ、邦題が「アップ」だけでは様になるわけがない。
「Up」もまた作品を端的に表した単語なのだが、違和感のある語を付け足すことなく、加えて作品概要と主人公の名前をも紹介している名訳。
『Frozen』→『アナと雪の女王*1や『Coco』→『リメンバー・ミー』*2、『Luca』→『あの夏のルカ』、『BIG HERO 6』→『ベイマックス』等も似た理由で概ね好評。*3

ゾンビ

原題:「Dawn of the Dead」

死霊のえじき

原題:「Day of the Dead」

ゾンビ映画の始祖たるジョージ・A・ロメロによる、初期リビングデッド三部作の2作目と3作目。
原題は第1作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』からの法則(夜→夜明け→日中)を引き継いでいるのだが、邦訳では上記の様に全く別の名称となってしまった。
また、一応は補足しておくと『ゾンビ*4』は出資者で共同制作者のイタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェントが自国イタリアを含む国外用タイトル『ZOMBIE Dawn of the Dead』として広めたもので、同作の世界的な大ヒット&ゾンビの名を広めた功績はアルジェントの改題&欧州版と呼ばれる編集術があったからこそ、とも言える。

一方で、世界中で大ヒットを飛ばし、その後の数々の僅かな名作を含む粗製乱造品を生み出すと共に、生ける死者の名前として定着した『ゾンビ』はともかく、最終作の『死霊のえじき』はテーマ性こそ高いものの配給会社がろくに金を出してくれなかったり、
爽快感に欠ける内容等から叩かれ、信者以外から正当な評価を受けるのに時間がかかってしまった面もある。
タイトルもゾンビ系映画の元祖となるシリーズなのに明らかに『死霊のはらわた』からパクってるし。
後のリメイク版では原題から素直にカタカナになっているが、ゾンビ好きでもないとリメイクだと気づかない罠。

バタリアン

原題:「Return of the Living Dead」

上記のロメロによる三部作の正式な続編として制作されたホラーコメディ。
元々は本当にロメロゾンビの続編だったが、脚本を練り上げていく中で本家に対するパロディとしての位置付けに落ち着いた。
タールマンやオバンバ等、単なるモンスターではなく自我のあるキャラクターとして描かれたゾンビも多く、
どうあがいても絶望な世界観をアップビートで描く手法が人気を呼んで『バタリアン』自体もシリーズ化されていった。
原題はその通りで上記ロメロのゾンビ(Living Dead)が帰って来たということ。
邦訳のバタリアンは本作の無数のゾンビが全力失踪で追い掛けてくる恐怖感から大隊(Battalion)から名付けられた。
映画の大ヒットから傍若無人なご婦人を皮肉ったオバタリアンなる造語も生まれた。

『ジョニーは戦場へ行った』

原題:「JOHNNY GOT HIS GUN」

…確かに一命はとりとめた。触覚と思考と陰茎と性欲と一握りの人間性だけを残して。「生きた肉塊」となった負傷兵の話。
原題は第一次世界大戦時の徴兵スローガン、「Johnny,get your gun.(=ジョニーよ、銃を取れ)」を風刺し、過去形の「Got(取った)」としたもの。
日本にはそんなスローガンはなかったことに加え、原作の小説発行から映画化になったのが 約30年後 あたりになったため「戦場に行った(過去形)」と率直な訳になっている。
…その無味乾燥な邦訳が、作品の無情なる乾いた雰囲気を表して秀逸。

一人の負傷兵へ至る顛末は 徹頭徹尾救いようがない
単なる反戦作品としてだけでなく、一人の人間を「どこまでも追い詰める」という表現の極致を捉えた側面もあり。二度以降視聴する人間はさほどいない。それを責めるのは畜生だ。
戦場とは、銃器や爆撃が飛び交う場所だけなのか?この邦訳と共に、淡々と周囲の応対が繰り広げられる。

『この森で、天使はバスを降りた』

原題:「The Spitfire Grill」

原題は作中に登場する店の名前であり、そのまま訳すと「短気者の焼き網」というちょっと何言ってるか分かんない案件になる。
主人公を天使に見立て、小さな村のバス停でバスを降りるという序盤の流れをタイトルにした邦題大改変モノの中では比較的名訳といえよう。

リベリオン

原題:「Equilibrium」

ガン=カタがあまりにも有名なSF映画。
「Equilibrium(平衡、均衡)」と「Rebellion(反乱、反逆)」で全く意味は違うが、
前者は感情を抑制させて均衡を保つ作中のディストピアな世界観を、後者はその体制に反乱を起こす主人公達の行動を表しており、
それぞれクローズアップしている部分が異なっているのである。
また、題名の変遷が「平衡」な社会を維持するための掃除屋である主人公が、失った感情を取り戻し社会に「反逆」していく物語の流れそのものなのも面白い。

『隣人は静かに笑う』

原題:「Arlington Road」

越してきた隣人(劇中では向かいの家)がテロリストではないかという疑いから罠に陥っていくサイコホラー。
原題「アーリントン通り」は作中の舞台。
後味が悪過ぎる顛末を、余計に助長するラストの不気味さを引き立てる邦題がいい味を出している。
現在はDVDが再販されておらず、視聴が困難となっている作品である。

『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』

原題:「Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb」

タイトルがクソ長い映画 としてよく知られる作品。
原題を読むとわかるが、Dr. Strangelove(ストレンジラブ博士)という人名を「博士の異常な愛情」と直訳している。
上述したように本項目ではタイトルを直訳したものは省いているが、この作品の場合、 直訳したために逆に原題から大きく変化した という珍しい例。
一説には、キューブリック監督が諸外国に向けて「原題とかけ離れた翻訳をしないように」と指示を出した事に対し、タイトルの原型を留めつつ変形させようと努力した結果ともされる。何故そこまでして……
しかし敢えて人名も直訳したことで、長いタイトルでありながら、一目見ただけで主題がわかりやすくなる効果をもたらしており秀逸である。

『死ぬまでにしたい10のこと』

原題:「My Life Without Me」

ガンを宣告された女性が余生と向き合い、禁断の恋にも手を出すラブロマンス。
原題は直訳すると、「私のいない私の人生」。何とも考える余地を与えさせてくれる原題に対し、邦題は見た者に想像の余地を与え、期待を煽るものになっている。
詩的な印象の原題も捨てがたいが、思わず手にとってみたくなる題名を付けた点で上手な邦題と言えるかも。

原子怪獣現わる

原題:「The Beast from 20,000 Fathoms」

日本では「Beast」を「獣」でなく「怪獣」と訳したことが一大ジャンルの始祖に繋がるとは誰が予想できただろうか。

『マッハ!!!!!!!!』

原題:「องค์บาก」

原題は「Ong Bak」という仏像の名前で、盗まれたその仏像の首を取り返しにムエタイで盗人を成敗していくというシンプルなタイ映画。
見どころは何と言っても主演のトニー・ジャーのCG・ワイヤー・スタント・早回しを使わない 人知を超えたムエタイアクション
その勢いあるムエタイを邦題はこれまたシンプルかつ的確に表している。
8つ並んだ「!」がより勢いを強めているが、こちらは何故かソフト化の際に 1つにまで大幅減量を食らった

日本にムエタイ映画の凄まじさを植え付けた作品だけあってその後のタイアクション映画へ『七人のマッハ!!!!!!!!(原題:เกิดมาลุย、英題:Born to Fight)』や
『マッハ!無限大(原題:ต้มยำกุ้ง 2/ Tom-Yum-Goong 2)』といった 便乗邦題がつけられもした *5
また、『ドラゴン×マッハ!(原題:殺破狼2)』のように「マッハ」という言葉自体がトニー・ジャーの代名詞のように扱われている作品も。

バトルランナー

原題:The Running Man

シュワちゃん主演の正義の筋肉が一癖も二癖もある悪の筋肉を殺人ショーの中で薙ぎ倒していくSFアクション
組合員にも大人気の素材の一つで、筋肉ばかりが目につくが、娯楽が全てを支配する歪んだ未来世界等、舞台設定も凝っている。
……それもその筈で、実はスティーブン・キングが別名義で描いたデストピア物の傑作SF『ザ・ランニングマン』が原作。
シュワちゃんに主演させたために筋肉アクションになったが、本来のテイストは全く違う
映画公開に合わせて原作小説も同タイトルで翻訳されたが、原作の格調高い悲劇的ロマンには筋肉の入り込む余地など無いのは言うまでもない。
その格調高い悲劇を正義の筋肉で木っ端微塵に破壊する痛快活劇である本作の邦題が、「走る人」から「戦う走者」に変更されたのもむべなるかな。

ゴリラ

原題:「Raw Deal」

原題は「不当な扱い」というような意味で、元FBIのシュワルツェネッガーが上司の頼みで暗黒街に潜入するという いつものシュワちゃん映画
同年にライバルのシルヴェスター・スタローンの『コブラ』が公開されており、それに対抗してなのか、こちらは『ゴリラ』になった。直球すぎる。ちなみに当然だが本作にゴリラは一頭も出てこない。
向こうの「上を向いて歩こう→日本の曲→日本と言えばすき焼き→SUKIYAKI」のような筋肉連想ゲーム式邦題である。
因みに、タイトル絡みではないもののエディ・マーフィー初主演でヒット作となった『ビバリーヒルズコップ』は本作の元企画で、シュワの主演が一時流れたので『ビバリーヒルズコップ』が制作。
その後で代わりの企画となったのが本作という別の豆知識も。

『愛は霧のかなたに』

原題:「Gorillas in the Mist」

タイトルからラブロマンスを想像するかもしれないが、原題「霧のなかのゴリラ」の通り、
実在の女性ゴリラ研究者ダイアン・フォッシーの生涯を描いた作品。邦題とのギャップが激しい例の1つ*6
では内容はゴリラと彼女の触れ合いを描いたハートフルなものかと思えば、ゴリラを密猟者に殺された彼女が
怒りのあまり密猟者のテントに焼き討ちを仕掛ける過激派になっていく…というものなので何重にも予想を裏切ってくる

映画内で描かれる彼女は焼き討ちも含めて概ね史実
ゴリラ保護の理念そのものは間違いではなく基金の設立など素晴らしい業績もあるのだが、現地住民の事情を無視した過激な行動には賛否が分かれる人物でもある。
そういった偏った愛護活動も含めて見ると正に『愛は霧のかなたに』なのかもしれない……。これが本当のゴリ霧中

『猿人ジョー・ヤング』

原題:「Mighty Joe Young」

これまたゴリラつながりの珍訳。
「ジョー・ヤング(Joe Young)」というのは主人公のゴリラの名前。
「ジョー・ヤング」だけでは何者かわからないので説明をつけたのだろうが、いま述べたようにこいつは「猿人」ではなくただの大きなゴリラ(怪獣ですらない)である。
原題もジョーの巨体や力強さを示しているだけ。
もっとも同じスタッフ+ゴリラものの『キングコング』と変に結び付け、『キングコング3』などにしなかっただけ良心的かもしれない。

なお、1998年のリメイク版(原題は上記の1949年版と同一)は、ほぼそのままの邦題「マイティ・ジョー」となっている。

『大人は判ってくれない』

原題:「Les Quatre Cents Coups」

原題の直訳は「400回の打撃」。フランス語の慣用句「faire les quatre cents coups」(放埓な生活を送る、乱痴気騒ぎをする、無分別な行動をする)より。
慣用句のままでは伝わらないため、周囲の大人に不満を募らせる主人公の少年視点に基づいたタイトルへと変更した。
なお、英語版では直訳のまま『The 400 blows』だったため、上記のフランス語表現を知らなかった人には伝わらなかったのではないかと思われる。

『善き人のためのソナタ』

原題:「Das Leben der Anderen」

東西ドイツ時代に西側への亡命予備軍を監視する任務に就いていた秘密警察の主人公が監視対象に感化されていく社会派ヒューマンドラマ。
「善き人のためのソナタ」は作中で主人公のターニングポイントとなった曲。
レーニンがベートーヴェンの『熱情』を革命の妨げになると批判した逸話になぞらえ「この曲を例え一度でも本気で聴いた者は悪人にはなれない」と評された。
原題は直訳で「他人の生活」。他人の生活に触れた主人公の行動は実際に本作を見て確認してもらいたい。

『ピエロがお前を嘲笑う』

原題:「Who Am I - Kein System ist sicher」

ハッカー集団「CLAY」のハッキングを描いたクライムサスペンス。
原題の「Who Am I」は主人公の天才ハッカーのHN。副題部分は作中でも度々提示されるスローガン「安全なシステムは存在しない」でどちらも作品の象徴である。
一方、邦題はCLAYの正式名称「Clowns Laugh At You」の訳となっている。
二転三転する作中の展開に翻弄された時、あなたも正にピエロに嘲笑われているように感じるだろう。

『ワナオトコ』

原題:「The Collector」

『パーフェクト・トラップ』

原題:「THE COLLECTION」

謎の男が仕掛けた容赦ないトラップで登場人物が次々と殺害されるホラー映画。
一応原題も両者の内容と合っている。

ヒトラー ~最期の12日間~

原題:「Der Untergang」

1945年のベルリンを舞台に、アドルフ・ヒトラーの最期の日々を描いた戦争映画。
映画自体の評価も高いのだが、日本のネット上では「 MAD素材 」、「 ヒトラーが『おっぱいぶるんぶるん!』とか『ちくしょーめ!』とか叫ぶヤツ 」として有名になっている。
というか、海外でもミーム扱いされており、ナチスネタを絡めた作品では大体パロられている
こうしたネタ扱いに対して監督は好意的で、自身も動画を観て爆笑しているとか。

原題は「デア ウンターガング」と読み、ドイツ語で「失脚」「没落」といった意味。
邦題はヒトラーの失墜という元のニュアンスを端的かつ明示的に表現しつつ、「何が描かれた作品か」が一目で分かるものとなっている。

『ヒトラーのための虐殺会議』

原題:「Die Wannseekonferenz」

第二次大戦中のドイツで行われたヴァンゼー会議(ナチスの高官たちがユダヤ人の移送・虐殺について検討した会議)を実際の議事録を参考に描いた、戦闘シーンのない戦争映画。
原題は「ヴァンゼー会議」とシンプルなものだが、邦題では「虐殺会議」と直球の表現に言い換え、更に「ヒトラーのための」と付け加えることで、いつ何のために開かれた会議なのかをわかりやすくしている。 
日本では知名度が低い出来事なので、適切な改変と言えるだろう。

なお本作に限らず、ナチスドイツが大きく関わる作品の邦題には、本人が登場しなくても「ヒトラーの~」「ヒトラーに~」と付くケースが多い*7

『あの頃ぺ二ー・レインと』

原題:「Almost Famous」

15歳でローリング・ストーン誌のライターになった監督キャメロン・クロウの実体験を元にした青春音楽映画。
ブレイク寸前(Almost Famous)なバンドへの密着取材。それに同行するグルーピーのペニー・レインへの淡い恋。
往年のロック・ミュージックに乗せて描かれる青春の日々への想像を掻き立てる秀逸な邦題と言えるだろう。

なお本作の原題は劇中でも度々使用されるレッド・ツェッペリンの4枚目のアルバムが無題だったことに因んで*8『Untitled』とする予定だったが、
スタジオの意向を踏まえて結局『Almost Famous』へ変更となった経緯がある。

『遠い空の向こうに』

原題:「October Sky」

高校生4人がロケット作りに挑戦する姿を描いた名作。NASAの技術者も務めた主人公の実話を記した著書『Rocket Boys』が原作。
ロケットと寂れた炭鉱の町から夢へと向かって飛び立つ少年達も併せて詩的に表現した邦題は美しく素晴らしい。
だが本作は原題のネーミングも相当神懸かっており、なんと『October Sky』は原作『Rocket Boys』のアナグラムなのだ。
冒頭でソ連のロケットが打ち上がった「October Sky(10月の空)」を眺めた少年達がエンドクレジットで「遠い空の向こうに」行く「Rocket Boys」となっている演出もまた感慨深い。

『ストーカー』

原題:「One Hour Photo」

スーパーの写真屋で働く孤独な中年男性。彼の常連客一家への憧れと妄想、異常な執着をしっとりと描くアメリカ発のスリラー。主人公の次第に家族に近づいていく様は、終始気味が悪く理解しがたい。
原題は直訳すると「1時間の写真」で、恐らく発端となった一家の写真のことを表している。しかし壁一面に写真を貼って妄想したり、父親の浮気現場を巧みに突き止め襲撃するシーンは邦題通り。

ちなみにソビエト連邦の映画『ストーカー』は原題通りであるが、こちらは「Stalker」の本来の意味「案内人」*9を指す。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

原題:「Mad Max: Fury Road」

30年ぶりとなるマッドマックスシリーズ第4作目。他のポストアポカリプス作品に多大な影響を与えた今までのシリーズをも超える狂気は各地を熱狂させた。
副題部分は直訳で「怒りの道」でメインキャラクターであるフュリオサ(怒れる女性)の進むべき道と捉えることもできる。
だが邦題はそこに敢えて「デス」を加えることで作品全体に漂う非常に頭の悪い 狂気の世界観 を完全再現させて更なるインパクトを与えることに成功した。
また宣伝担当者によると「・」部分は「簡単には通れない道」や「障害物」で、つまるところイモータン・ジョーと同義らしい。

キングコング 髑髏島の巨神

原題:「KONG:The Skull Island」

古典モンスター映画『キングコング』をリメイクした大迫力のモンスターバース第二弾。
原題は直訳すると『コング、髑髏島』なので一見すると直訳に思えるが「巨神」とつけることで島の神であるコングの偉大さを讃える構成になっている。
映画を見れば巨神と呼ぶにふさわしい威容が貴方を迎えてくれるだろう。

『天国の口、終りの楽園。』

原題:「Y tu mamá también」

メキシコに住む二人の少年が、偶然知り合った人妻と一緒に幻のビーチを探して旅に出るロードムービー。
濃厚なセックスシーン(男同士のキスシーンもあり)や旅の道中の会話のほとんどが彼女とのセックスだの寝取り寝取られ話だのといった下ネタで、エロ方面にぶっちぎった作品。
原題の直訳は「お前のママとも」。省略されているのは言うまでもなく「ヤッた」である。
劇中のセリフの引用だが、どう考えても邦題にするにはアウトだ。
邦題の「天国の口」は主人公たちが目指すビーチの名前で、「終りの楽園」は最後まで見ると意味が分かる。

『サプライズ』

原題:「You're Next」

アニマルマスクの殺人鬼たちが平和な家族の集まりに襲撃してくるスリラー映画。
「You're Next(次はお前だ)」は犯人グループが残していく犯行メッセージで恐怖を煽るものなのだが、よくよく考えると彼らがこの言葉を残す必要性が皆無である。
劇中でのとある展開ありきの演出であり、邦題もかけ離れているようでいて見事にその展開を暗示したものとなっている。
あと次男の彼女が異常に強く、犯人たちを返り討ちにしていくので、犯人たちにとってとんだサプライズという意味もあるかもしれない。

『愛と青春の旅だち』

原題:「An Officer and a Gentleman」

リチャード・ギアの代表作であり、彼が演じるパイロット候補生ザック・メイヨが鬼軍曹のしごき、仲間や恋人との出会いや別れを経て成長する姿を描いた作品。
邦題は恋人と自身の生い立ちや夢の狭間で揺れ惑った末でのラストシーンを象徴的に描いている。
原題の「士官と紳士」は「士官である前に紳士たれ」という標語を指し、こちらもメイヨの成長を表したようにも受け取れる。
しかし、映画を見ていくともう一人の「士官であり紳士である」人物の存在に気が付くことだろう……原題もまた深い意味合いが込められた名題である。

『チョコレートドーナツ』

原題:「Any Day Now」

歌手を目指すルディと検事のポールのゲイカップルが育児放棄を受けたダウン症の少年マルコを育てる、日本でミュージカル化もされた社会派ヒューマンドラマ。
愛に溢れた生活を送るも、世間からの理解を得られず3人の前には次々と試練が立ちはだかる。
原題は、試練の末にルディが歌う「Any day now,any day now,I shall be released(いつの日にか、いつの日にか、解き放たれるだろう)」という歌詞を現し高いメッセージ性が伝わってくる。
邦題はマルコの大好物。そこに込められた意味は日本版キャッチコピー「僕たちは忘れない。ぽっかりと空いた心の穴が愛で満たされた日々―。」の語る通りである。

『スノー・ロワイヤル』

原題:「Cold Pursuit」

真面目な除雪作業員のリーアム・ニーソンが息子を殺したギャングへ「冷たい追跡」をして次々葬っていく復讐劇。
…のハズなのだが構成員の失踪を別の組織の手によるものだと勘違いしたギャングのボスが勝手に抗争を始めるという明後日の方向へ突き進むブラックユーモアが魅力の作品。
復讐鬼と化した父、無意味に争う二つのギャング、出遅れて捜査を始める警察…と四者入り乱れて雪景色を血に染めるサマは正に『スノー・ロワイヤル』と呼ぶに相応しい混沌ぶりだろう。
本来英語読みで統一するならば「ロイヤル」にするべきなのだが、そこをあえて仏語読みの「ロワイヤル」にしたのは、おそらく作中のある演出がよく似ている邦画『バトル・ロワイアル*10に掛けたからと思われる*11

ちなみに本作、同監督による『Kraftidioten(英題:In Order of Disappearance)』というノルウェー映画のハリウッド版セルフリメイクなのだが、
リメイク元の邦題は『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』と確実にトンデモ寄り。

『さらば愛しきアウトロー』

原題:「The Old Man and the Gun」

『スティング』や、上記の『明日に向って撃て!』などで数多くのアウトローを演じたロバート・レッドフォードの引退作。
本作でのレッドフォードは生涯で誰一人として傷つけずに60回以上の強盗を起こした実在の老アウトロー役。
役柄もさることながら、劇中でレッドフォードの過去作を引用する演出があったりと「粋」な計らいが目立つ引退作となっている。
邦題もまた引退するレッドフォードと、彼が演じるアウトロー双方への盛大な贈る言葉にもなっており「粋」である。
ちなみに原題はヘミングウェイの『老人と海(The Old Man and the Sea)』のもじり。

カンフーハッスル

原題:「功夫」

元々のタイトルが短すぎるパターン。
この映画自体が様々なカンフー映画や武侠小説のパロディになっているため、
それらを総合する意味でシンプルに『カンフー』その物をタイトルにするのも間違いではないものの、流石にそれだけでは情報量が少な過ぎるか。
邦題は『ハッスル』という内容との関連はわからないがとにかくポジティブそうな語句を付け足す事で、
この映画が肩の力を抜いて観る類の映画である事を端的に伝えるタイトルになっている。
また日本では公開された時期に格闘家・小川直也の「ハッスルハッスル!」が流行語となっていた。
試写会では小川直也が乱入して「勝手にハッスルを使うな」とチャウ・シンチーに抗議し、視聴した後は「ハッスルの名に恥じない映画でした」と頭を下げて謝るというパフォーマンスを行っていた。

『スペースバンパイア』

原題:「life force」

ご存じ、日曜洋画劇場において淀川長治がマチルダ・メイの裸を誉めまくったことで有名な映画。
人間に化けた異星人が人間の生命エネルギーを吸収し、ミイラ化した犠牲者がエネルギーを求めて別の人間を襲っていく形でロンドンの街が大混乱に陥る。
映画のタイトルは直訳すれば単なる「生命力」なので、吸血鬼に似た生態を持つ宇宙からの化け物が出る本作をこの邦題にしたのは英断だったかもしれない。

『ニンジャリアン』

原題:「WITHOUT WARNING」

原題は「なんの警告もなく」という感じの意味。
そのままだと日本語では尻切れトンボ感が強かったせいか、タイトルだけでB級映画であることがわかる素晴らしい邦題が与えられた。
ちなみにこの映画は、テレビ放送された時には「吸血エイリアン 宇宙からの警告」というなんのインパクトもないタイトルとなった*12
タイトルが変わったところで映画の評価が変わるわけでもないので、同じ内容なら記憶に残りやすい『ニンジャリアン』の方がまだ良い、と言えなくもないかも知れない。

『炎のランナー』

原題:「Chariots of Fire」

かつてイギリスに実在した2人の競走選手の半生、そして二人が走った1924年のパリオリンピック陸上競技を描いた映画。
実際に映画を見た事が無くても一度は本作のテーマ曲を聞いた事があるだろう。「マラソンのシーンで流れる曲」の元ネタである。
原題は日本語に直訳すると「炎の戦車」となる。
戦車と言っても履帯の上に装甲化された砲塔が乗った戦車(タンク)ではなく、古代に使われていた戦闘馬車(チャリオット)の方である。
由来はイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩の一節。その詩にメロディを付けた「エルサレム」という聖歌が存在し、劇中でも歌われている。
タンクとチャリオットを両方「戦車」と呼び、歴史的にチャリオットに馴染みが無い日本人からすれば、
「炎の戦車」と聞いて連想するのは間違いなく戦争映画か、肩の力を抜いて観る類の痛快アクション映画であろう。
競走選手の映画である事を前面に押し出した邦題に変更されたのは妥当と言える。

『ヘルウィン』

原題:「TRICK」

タイトルやジャケットから見ればわかる通り、某ハロウィンの殺人鬼を意識したような邦題となっている。
「TRICK」は劇中に登場する殺人鬼の名称で物語の核心に触れるキーワードにもなっており、最後まで見ると原題の意味が分かる。
原題のままだと某ドラマの映画版と勘違いされるのは間違いないだろうし

『ハドソン川の奇跡』

原題:「Sully」

2009年1月にアメリカで起きた、USエアウェイズ1549便不時着水事故(本Wikiでもこちらの項目に事故内容の紹介がある)を扱った作品。
原題の「サリー」は、事故機の機長だったチェズレイ・サレンバーガー氏のニックネームである。
映画は事故そのものだけでなく、悪役にされたNTSBによって*13追い詰められていく機長の内面も深く描いているため、その側面を重視した題と言える。

事故の際、機長は低空での両エンジン停止という状況でハドソン川への不時着水を見事成功させ、乗員乗客全員が生還を果たした。
邦題は、この出来事を当時のニューヨーク州知事が映画『34丁目の奇跡 (Miracle on 34th Street)』を捩る形で「ハドソン川の奇跡 (Miracle on the Hudson)」と呼んだことから。
本来なら死者が出てもおかしくないシチュエーションであり、まさに奇跡と言える。
「Sully」で機長の名前と気付く人はほぼいないだろうし何よりサリーだと女性名ぽいし、「サレンバーガー」でもピンと来ない人は多いため、事故をクローズアップしたタイトルに変えたのは正解であろう。

ちなみに、製作陣は都合上NTSBを悪役にしたくせに調査官の名前を実名で使用しようとするという風評被害待ったなしのクソムーブを決めようとしたが、事を知ったサレンバーガー氏が断固反対した事で無事調査官達の名誉は守られた

『床ジョーズ』

原題:「This Ain't Jaws XXX」

冒頭にも書かれた『ジョーズ』のパロディ作品で、いわゆるエロパロディ。
原題は「これはジョーズではない」というあまり面白味のないものだが*14、邦題はダジャレを上手く利かせた、一発でエロパロと分かる秀逸なタイトルと言えよう。

これに限らず、洋画のエロパロ作品における日本語タイトルは(原題が地味な反面)秀逸なものが多いので、一度調べてみることをお勧めする。中一男子レベルのものも多いけどな!

『サンタキラーズ』

原題:「The Nights Before Christmas」

サンタ服を着た殺人鬼カップルが殺戮を繰り広げるホラー映画。
おそらくは原題がほぼ同じストップモーションアニメ映画と被らないようわかりやすい邦題(?)に変更したと思われる。
ちなみに本作はシリーズの2作目にあたるが、前作(原題:Once Upon a Time at Christmas)のDVDが日本では未発売である。

『さらば青春の光』

原題:「Quadrophenia」

今やお笑いコンビの名前の印象が強まっているが元々はイギリス映画であり、これが元ネタである*15
原作はイギリスのロックバンド「ザ・フー」のアルバム『Quadrophenia』であり、これ自体には直訳に近い「四重人格」という邦題が付けられている。
1960年代のイギリスを舞台に、一人の若者が理想と現実の合間で揉まれながら大人になって行くという物語であり、
邦題は主人公が入れ込む若者文化を「青春の光」と讃えつつ、それに別れを告げる苦悩が描かれている。

『処刑ライダー』

原題:「The Wraith」

アリゾナの小さな田舎町で暴れる自動車ギャングの前に突如、最新鋭のスーパーカーに乗った覆面ライダーが登場。ギャングはチキンレースを挑むが…という物語で、何気にチャーリー・シーンの初主演映画だったりする。
原題のWraithは生霊という意味で、実際ギャングはライダーとのレースで自動車ごと大破したにもかかわらず傷一つない遺体が発見され、
その遺体は冷たく両目がくり抜かれているという猟奇的な描写があるものの、それに関して一切触れられないことも考えるとB級映画らしい単純明快な邦題といえよう。

『きっと、うまくいく』

原題:「3 idiots」

インドの名門理系大学を舞台にした男子学生3人組の青春映画。公開当時インドでは大ヒットし、当時のインド映画の歴代興行収入1位を更新した。
全体的にはコミカルで明るい雰囲気の作品だが、インドの貧困格差・厳しい教育事情・若者の自殺問題などをテーマに盛り込んでおり、暗い展開もある。
そんな暗い現実に対し、主人公は「うまーくいく」(原語では"Aal Izz Well", 英語の“All is well.”のインド訛り)というポリシーで明るく立ち向かい、この言葉は作品全体を通したキーワードとして度々用いられている。
原題は「三バカ」というどストレートな意味だが、邦題は「うまーくいく」というキーワードを使い、閉塞感を明るく拭き飛ばそうとする若者たちの決意を巧みに表現している。

なお名邦題の宿命か、『きっと、またあえる(原題:Chhichhore)』や『ダンガル きっと、つよくなる(原題:Dangal)』など同じインド映画で便乗邦題が見られる。
……もっとも前者の方はそもそも映画自体が割とあからさまな『きっと、うまくいく』のフォロワー作品なのである意味当然っちゃ当然なのだが

『スパイダー・パニック!』

原題:「Eight Legged Freaks」

蜘蛛ブリーダーの男が飼っていた何百匹という蜘蛛が産業廃棄物の影響で巨大化、寂れかけの片田舎の町を襲うパニック映画。
ジャンプしながらオートバイを追いかけるハエトリグモ、地面に穴を掘って人間を引きずり込むトタテグモ、パワーと巨体に物を言わせてシャッターをぶち破るタランチュラなど、
様々な種類の蜘蛛がそれぞれの生態を活かして人々に襲い掛かる絵面から、モンスター映画好き+蜘蛛好きから現在も高い評価を得ている作品。
原題は直訳すると「八本脚の怪物」といったところだが、微妙に緊張感の欠けたどこかコミカルな作風には少々間抜けっぽい響きの邦題が似合っているという声も。
もちろん蜘蛛嫌いの人は閲覧注意。冗談抜きで画面を埋め尽くすほど蜘蛛が出て来るので。

『吐きだめの悪魔』

原題:「Street Trash」

酒屋が60年前のお酒を安売りし始めるのだが、その酒は古くなりすぎて劇薬と化しており、それを飲んだ人間がドロドロに溶けていくというスプラッター映画。
普通「掃き溜め」と書くところを「吐きだめ」としているのは成功していると思う。
なにしろこの映画はとにかく汚いのである。
酒を飲んだ人が色とりどりの汚物を撒き散らしながら溶けていくシーンもさることながら、ペ◯スを切り取ってボール代わりにして遊ぶシーンなんていうのもある。
とにかくグロに全振りしていて内容はないに等しいのだが、少なくともお食事前に観るのはオススメしない。

『スパルタンX』

原題:「快餐車」 英題: 「Wheels on Meals」

主人公はカンフーの達人だが広場にキッチンカーを出して軽食を売っている「真っ当で平和な暮らし」をする一般人。
それがふとしたことで陰謀と関わりギャングと激闘するというコメディ寄りのカンフーアクション映画。
原題をそのまま訳すと「美味しいキッチンカー」という グルメものにしか見えない 映画になってしまい、
それを「強者」というバトルものっぽい名前におそらく『プロジェクトA』*16を踏まえたのか「X」の字を足して固有名詞らしくした。このため原作映画にはXという敵や要素はない
作中のキッチンカーの名前が「スパルタン号」なので原作や原題を無視したわけでもないのが憎い。
同じジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーのカンフー映画がサイクロン要素もZもないのに
『サイクロンZ』という邦題になったがそれ以降は「英単語+アルファベット1文字」シリーズのタイトルはできなかった。プロジェクト◯シリーズは出てるが

最終絶叫計画

原題:「Scary Movie

ホラー映画を始め、様々なパロディが詰め込まれたコメディ映画シリーズの1作目。
原題は単なる「怖い映画」(と見せかけて怖くないというギャグ)だが、邦題は

「最終」→『ラストサマー』
「絶叫」→『スクリーム
「計画」→『ブレア・ウィッチ・プロジェクト

と、本作の元ネタになった映画の直訳をくっつけたものになっている。
正にパロディ映画らしい表現と言えよう。

2作目以降は元ネタが変わったため内容と無関係になるが、邦題では引き続き

『Scary Movie2』→『最“新”絶叫計画
『Scary Movie3』→『最“狂 ”絶叫計画
『Scary Movie4』→『最終絶叫計画4何故か急にパターン無視

と、「絶叫計画」を使い続けている。

『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』

原題:「육사오(6/45)」

北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢が、現地の軍人と恋に落ちてしまう人気ドラマ『愛の不時着』を盛大に捩った便乗邦題。
……ではあるのだが、軍事境界線を守っていた韓国兵が手に入れたロトの1等当選くじが風に飛ばされて北朝鮮に不時着してしまい、それを拾った北の軍人と交渉を始めるコメディ映画なので別に内容は間違っていない。
それどころか韓国側と北朝鮮側がくじをちゃんと換金して引き渡すための人質として、お互いの兵士を入れ替えて潜入させるというタイトル元に近いこともやっている。
原題は45の数字のうち6つの数字を選んで当てるというロトくじの性質を表しているのだが、これだけでは何が何やらなため、パロディ邦題で大正解だったと言える。


なんでその邦題に?誤訳珍訳・おかしなタイトル編

『サンゲリア』

原題:「ZOMBIE2」*17

1979年に公開されたルチオ・フルチ監督によるグチャ味噌󠄀ゾンビ映画で、所謂“マカロニ(イタリアン)ゾンビ”の原点にして頂点とも呼ぶべき作品、
原題から容易く想像がつくと思うが、前年に公開されてヒット作となったロメロ&アルジェントの『ゾンビ(原題:Dawn of The Dead)』の名声に乗った、権利者無視の勝手な続編orタイトルで勘違いさせることによる二番煎じを狙った急増作品である。
これには、ロメロと並ぶ共同制作者であり、前述のように本家『ゾンビ』という海外向けタイトルを発案してヒットさせたダリオ・アルジェントも激怒。
イタリアンホラー界の大物二人による長年に渡る大喧嘩となったのだが、その一方でテーマと世界観を見せることが主目的で、哲学的ですらある“ロメロのゾンビ”に対して、
確かにストーリー面やら整合性やらでは足元にも及ばないが、本家をも超えた素晴らしい特殊メイクやサメvsゾンビ等の荒唐無稽であっても印象的なシーンの数々を盛り込み、視聴者によっては退屈にすら思える本家ロメロに対して、とにかく派手好きなホラー、スプラッター好きには大ウケして忘れ得ぬ名作の一つとなった。
タイトルの『サンゲリア』…は、全く原題にかすりもしていないものの、一説にはイタリアンホラーということで日本でもヒットしていた、よりにもよって件の喧嘩相手のアルジェントの『サスペリア』に“血”を意味するイタリア語の“sangue”と、序でに日本語の“惨劇”の意味を混ぜ込んで付けられたとかなんとか。(大阪の清涼飲料水メーカーは関係ないんですかね?)
この、全く言葉の意味は通じないが妙にインパクトのあるタイトルも記憶に残りやすく、そういう意味ではマーケティングは大成功だったと言ってもいいだろう。

因みに、あまりに邦題に意味を見いだせなかったためか、実は本作に登場しているのは“ゾンビ”ではなく“サンゲ”である……とする説が実しやかに言われてたりもしたが、原題を見れば解る通り大嘘である。
尚、本作の続編という名目で『ZOMBIE3』も存在するのだが、こっちはこっちで原題だと『サンゲリア2』のことで、日本含む海外向けだと更に三番煎じを狙った別監督の急増作品という、更にカオスでマニアでも無いと処理しきれない経緯を持ったタイトルとなっている。(一応、日本国内では前者は『サンゲリア2』で後者は『ゾンビ3』のタイトルでソフト化されているので混乱はし難い。)

『ゾンゲリア』

原題:「Dead & Buried」

1981年に公開された米国のミステリー仕立てのホラー映画。
一応はゾンビ映画としてカテゴリーされているものの、どちらかと言えばオカルト(死者の復活)を題材としたサスペンス作品と呼んだ方がいい。
この当時は、マーケティングの都合で(主に東宝東和の仕業で)適当な邦題を付けられることが少なくなかったものの、その中でもトップクラスに邦題で損をしている映画という意見も。
先ず、原題を直訳すると“死と埋葬”となり、これは見事に映画のテーマを端的に現しつつも興味を引かせる物となっている。 
……しかし、邦題は上記のヒット作となった『サンゲリア』に肖ってしまった上に適当にゾンビっぽさを出した原題とは全く無関係の『ゾンゲリア』とされてしまった。
このタイトルから『サンゲリア』的なグチャ味噌󠄀ホラーを期待した層には当然のように本作の方向性が支持されることはなく、紛らわしい名前の駄作呼ばわりすらされてきた。
……一応、ちゃんと視聴した層からは当時から骨太な内容を評価する声や、謎めいた美貌の看護婦リサ*18の魅力や集団リンチからの焼殺シーンや、数あるホラー作品の中でも屈指のインパクトを誇る眼球の硫酸破裂シーン……といった印象的な場面が取り沙汰されていたこともあったのだが、全ては適当な邦題のせいで……。
因みに、脚本は初代『エイリアン』を手掛けたロナルド・シャセット&ダン・オバノンのコンビによるもので、他にも数々の名作映画の脚本を手掛けてきた彼等らしい手堅い作品の一つであるのだが、そういった事実すらも安い邦題のせいで……。

デッドコースター

原題:「Final Destination 2」

タイトルを見ればわかる通り、前作『ファイナル・デスティネーション』の続編。
……なのだが、日本公開時何を思ったか、「前作とは無関係な作品として売ろうぜ」と判断したらしい*19
そのため、邦題は「ジェットコースター」を捻った続編であることがわからないものに変更されている。
最初の事故が高速道路で起きるだけでジェットコースターは1秒たりとも登場しないのに

しかし、今度はハリウッドの本家の方が このタイトルに大うけ し、「じゃあ3はジェットコースターを舞台にしようぜ」と決定。
それに困ったのが日本版配給会社のギャガ。苦肉の策として3は『ファイナル・デッドコースター』として公開、
以降の続編も『ファイナル・デッドサーキット』『ファイナル・デッドブリッジ』と、「ファイナル・デスティネーションシリーズ」ではなく、
「ファイナル・デッドシリーズ」として売っている。

なお、本作も例によってソフト化の際に「ファイナルデスティネーション2」の副題が付けられている。

『ファイナル・デッドコール』

原題:「BLACK CHRISTMAS」

あまりにも意図が見え見えすぎる邦題。 原題を見ればわかると思うが、↑の「ファイナル・デスティネーションシリーズ」とは全く関係ない
強いて言うなら監督が同じというだけであり、内容も「クリスマスに殺人鬼が女子寮に侵入して……」というもので、
スプラッター系ホラーであること以外に内容に共通点は皆無。

そもそもこれ、1974年の映画のリメイクでありその際は『暗闇にベルが鳴る』という邦題で公開されているのである。
リメイクであることがわかりにくい邦題着けてどうすんだ

DVDのパッケージも、『ファイナル・デスティネーション』っぽく死神が背後にいる構図になっているなど、
「意図的に勘違いさせよう」という根性が丸見えである。

『ファイナル・デッドシャッター』

原題:「Dead Still」

『ファイナル・デッドクルーズ』

原題:「Donkey Punch」

『ファイナル・デス・ゲーム』

原題:「Open Graves」

『ファイナル・デッドゲーム』

原題:「Knucklebones」

『ファイナル・デッドオペレーション』

原題:「AUTOPSY」

『ファイナル・デッドパーティー』

原題:「NIGHT OF THE DEMONS」

数が多すぎる上、もはや「監督が同じ」程度の共通点もないのでまとめて紹介。
とりあえず一言言わせてもらうなら、 ファイナルデッドって付けりゃいいってもんじゃない

内容? タイトルから大体想像できる通りだよ

『サスペリアPART2』

原題:「Profondo Rosso」

サスペリア』とは 監督が同じ以外には全く関係のない映画 な上に、 そもそもサスペリアが公開される以前の作品なのにPART2がついている
当時はヒットした作品と全く繋がりのない作品を続編として売り出すことはよくあったが輸入時期の関係で 時空が歪んでしまっている
というかサスペリアがオカルトホラーなのに対して、こちらはサイコサスペンスとジャンルすら違うし…
『サスペリア』の本当の続編は『インフェルノ』と『サスペリア・テルザ 最後の魔女』で3作品合わせて「魔女三部作シリーズ」と呼ばれている。
ちなみにDVD化した時に原題に近い『紅い深淵』の副題がついた。サスペリアの邦題を取れよ!!

『続・激突!/カージャック』

原題:「The Sugarland Express」

スピルバーグ監督の出世作『激突!』の正当な続編。前作の事件からからくも生還した主人公の前に、死んだはずのトラックドライバーが帰ってきた!より凶悪さを増した煽り運転の魔手から逃れるべく、男は盗んだ車で走り出す…… というのはウソです
今作も上記『サスペリアPART2』同様、 監督が同じ以外には全く関係のない映画 。『激突!』がスリラーなのに対して、今作は里子に出された我が子を取り戻そうとするお尋ね者夫婦の末路を描いたアメリカン・ニューシネマであり、ジャンルも全然違う。かろうじて共通点を見出すなら、カーチェイスの要素がある程度。
原題は直訳すると「シュガーランド急行」。確かにこれでは何の話かわかりづらいが、だからといってこんな安直な邦題はいかがなものか……。
ちなみに夫役を演じているのは、後に『ゴーストバスターズ』のイヤミな環境保護局職員や『ダイ・ハード』の厄介者レポーターを熱演するウィリアム・アザートンである。

『バス男』

原題:「Napoleon Dynamaite」

ヒット作便乗系邦題。 主人公がバス通学していると言うこと以外にバス要素は皆無
どう見ても『電車男』に便乗しようという意図が丸見えである。主人公はオタクっぽいという共通点はあるが。
流石にこれは配給側も酷すぎると判断したかあるいは電車男ブームも去ったと判断したか、後のDVDでは原題通りの『ナポレオン・ダイナマイト』に変更されている*20

『THAT/ザット』

原題:「BEDEVILED」

同じくヒット作便乗系邦題。
スティーブン・キング原作のホラー映画「IT」のリメイク作「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の公開後に日本公開。原題から分かる通り「IT」とは何の関係もない上に、内容もスマホアプリを題材にした全く異なるものであるが、予告映像では「ITに続く」という文言が使われたり劇中に登場する風船が強調されたりしている他、ポスターも露骨に寄せに行くなど、まるで続編か同シリーズかのようなプロモーションが行われた。
なお便乗元の完結編である『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が公開されると今度は『THAT/ザット ジ・エンド』なる邦題の映画が公開。便乗元同様に続編であるかのようなタイトルだが、これまた「CLOWN」という原題の、『IT』とは勿論『THAT/ザット』とも何の関係もない映画である。後者とは制作会社すら異なる。こちらは原題通り殺人鬼ピエロを主軸に置いた、比較的『IT』と近い題材のものとなっている。

『わんわん!ホーム・アローン』

原題:「Little Heroes」

『わんわん!ホーム・アローン2』

原題:「Little Heroes2」

賢い犬のコンビが悪人を撃退するコメディ映画。
元々のコンセプトが便乗先と似ているためあまり違和感なく触れていた人もいるかもしれないが、原題を見ればわかる通り本来はまったく別のシリーズである。
しかし一作目は「一人で留守番していた子供を助ける話」なのでまだしも、二作目が「ホーム」じゃないし「アローン」でもない*21というのはさすがに苦しかったのか、
三作目は『迷犬サムソン&ヘラクレスの大冒険』という独自の邦題に変更された。

ゼロ・グラビティ

原題:「GRAVITY」

一語足しただけで意味が真逆になっちゃった例。
意図としては十分理解できる、というか確かに物語はほぼ全編無重力下で進むのでこっちの方が適切ではある。
だが、「GRAVITY」には「主人公が直面する生への渇望」「地球に引っ張られるような心残り」という文学的な意図が含まれているので、
原題の微妙な味わいが台無しになっているという批判も少なくない。
なによりラストで真の意味が解るのでなおさら変える必要は無かったと言われている。

『ブラジルから来た少年』

原題:「The Boys from Brazil」

世界各地で大量殺人を企むナチス残党とそれを阻止すべく奮闘するナチハンターの戦いを描いたサスペンス映画。
調査の中、各地で出会う同じ背丈も容姿も瓜二つの少年たち。それが一人の人間のクローンであることを突き止めたとき、驚くべき真相にたどり着く。
それは狂気の医師による独裁者を復活させるための恐るべき計画であった……

一文字入れないだけで印象が随分と違ってしまう例。
基本的にはタイトルを邦訳したのだが、なぜか「達」を入れてないためクローンを暗示する意味がなくなりまるで青春映画のようになっている。ちびまる子ちゃんの映画のタイトルかな?
(これは小説でも同じなので語感の良さを優先したのかもしれない)

『ウォール・ストリート』

原題:「Wall Street: Money Never Sleeps」

金融業界の内幕を描いたサスペンス映画。
原題の副題は「金は決して眠らない(金の流れは常に変わる)」という意味で、主人公の台詞から来ている。
邦題はこの副題を何故か無視しており、かえってややこしくなってしまった。

どうしてかと言うと、本作が『ウォール街』という映画の続編だからである。
『ウォール街』と『ウォール・ストリート』で実質同タイトルなのもわかり辛いが、『ウォール街』の原題は『Wall Street』…つまり、続編の邦題が1作目の原題と同じなのだ。
本作は23年ぶりの続編なので、『ウォール街2』にできない何らかの事情があったのかもしれないが、せめて分かりやすくするために副題も訳せば良かったのではないだろうか。

『ミニミニ大作戦』

原題:「The Italian Job」

なんか子供向けアクション映画っぽいタイトルだが、 中身はガチのサスペンスアクションもの である。内容とタイトルのギャップが酷すぎる例。
タイトルの「ミニ」は日本でも有名なイギリスの小型車であり、決して『ミクロの決死圏』や『ミクロアドベンチャー!』よろしく小さくなって冒険するわけではない。その意味でも誤解を招きそうでなんとも微妙なタイトルである。
原題は「イタリアでの仕事」、ストーリーの軸となるトリノでの金塊強奪作戦のことを指しているが、この映画の公開は1969年。「子供受けがいいしこのタイトルにしようぜ」的なノリで決められたのかもしれない…
2003年にはリメイク版*22が公開されたが、その際にもなぜか変更されなかった。
上の『ファイナル・デッドコール』とは逆にこっちは変更した方が良かったのではないだろうか……

死霊の盆踊り

原題:「Orgy of the Dead」

ある意味では名訳
原題は直訳すると「死者たちの乱痴気騒ぎ」ぐらいの意味合いであり、 盆踊りのような穏やかなものでは断じてない
しかし、Z級映画らしいクソな内容にインパクト抜群の邦題がこの映画の知名度をむやみやたらに引き上げているのは間違いないだろう。
トップレスの女性がひたすら踊るだけの映画なので、「盆踊り」の方がまだ近いかもしれないが。

『新 感染 ファイナル・エクスプレス』

原題:「부산행」

釜山行きの高速鉄道が舞台のゾンビパニック映画。
原題は「釜山行き」であまりにも素っ気なさ過ぎたためか、感染と新幹線のダブルミーニングをかけた邦題に。
しかし、そもそも新幹線は日本における高速鉄道の総称であり、海外の高速鉄道を新幹線と呼ぶのは明確な誤り。あと単にオヤジギャグが寒い
その上、作中では映画『釜山行き』のチケットを劇中の「釜山行き」の高速鉄道のチケットに見立てるというギミックがあり、邦題ではそれが成立しなくなってしまっている。
そんな微妙なタイトルだが、中身は高速鉄道の車内で感染者が続出し、極限状況下で生存を懸けて足掻く人々の物語を描いた、極めて熱くそして泣けるゾンビ映画の傑作。
特にマ・ドンソクが演じるサンファの漢気っぷりは必見。

なお、続編は舞台が高速鉄道から結局、釜山を防衛出来ずゾンビパニックによって荒廃したかつてのソウルに移され、そのためタイトルも『반도(半島)』となる事態が発生。
それに対して邦題は『新 感染半島 ファイナル・ステージ』 盛りに盛る対応 に打って出た。最早新幹線要素ゼロだが
こちらはアクションに極振りしたせいか前作程の評価を得られず。

『ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティー』

原題:「Baskin」

トルコのスプラッター映画。しかしケバブも悪魔も登場しない。
トルコ映画だからケバブにこじつけ、なおかつ「悪魔の毒々モンスター」の二匹目のどじょうを狙ったのか、嘘だらけの邦題となっている。

『アタック・オブ・ザ・ジャイアント・ケーキ』

原題:「The Attack of The Giant Moussaka」

ギリシャ産の割とよくある料理が人を襲う系映画だが、 原題と邦題で料理が変わってしまっている
原題の「ムサカ」は日本では馴染みがないがギリシャでは伝統的な家庭料理。
形こそホールケーキではあるがナスやマッシュポテトで作るグラタン風のものでケーキではない。
公開時期がクリスマスなのでそれに合わせた改題かと思わず邪推してしまう。聖夜にケーキが人を襲う映画をわざわざ観る層がどれくらいいるかは知らない。
ちなみによく見るとDVDパッケージにはムサカと記載されているちっこくだけどな。

『アルマゲドン2007』

原題:「Earthstorm」

本家『アルマゲドン』とは全く関係ないディザスタームービーであり、配給会社「アルバトロス・フィルム」のよくある有名タイトル便乗邦題なのだが、
アルマゲドンに関してはこの「2007」を皮切りに『アルマゲドン2008(原題:COMET IMPACT/FUTURESHOCK: COMET)』、
『アルマゲドン2009(原題:POLAR STORM)』…と 勝手にシリーズ化されている
もちろん全て別の監督の作品であり繋がりなんてあるはずもない。地球毎年危機に陥りすぎである。
どこまでも続くと思われたこの西暦ナンバリングも『アルマゲドン2014(原題:ASTEROID VS EARTH)』をもって終結。
かくして地球の平和は守られた…

と思いきや2015年には『アイス・アルマゲドン(原題:CHRISTMAS ICETASTROPHE/ICETASTROPHE)』が襲来。 地球に安息なんてなかった

現在も「アルマゲドン」の名を (勝手に) 冠する脅威は増え続けている。
一応、ハルマゲドンの英語読みではあるので、本家と関係なかったり、各作品同士で繋がっていなくても問題ないと言えば問題ないのだが……

『変態村』

原題:「Calvaire」

フランス・ベルギー・ルクセンブルクの3カ国合作映画。狂気の潜んだ村がある男の訪問により更に狂っていく様を描いたホラー映画。
原題はラテン語で「ゴルゴタの丘」を意味し、村人の様子は変態というよりは狂人で全く関連性がない。
いや、まあ村人()が主人公()を拘束して女装させてレイプしたり、主人公が村人達(男含む)に輪姦されるシーンもあるけどさ……。

ちなみに本作と『変態男(原題:Ordinary Man)』、『変村(原題:Sheitan)』、『変態ピエロ(原題:HEROS)』が併せて入った 「変態箱」 というDVD-BOXがキングレコードから発売されている。
原題はそれぞれ「凡人」、「悪魔」、「英雄」と言ったような意味であり作品に繋がりもない。
上述の「アルマゲドンシリーズ」のような異色ユーロ・スリラーとしての勝手にシリーズ化である。

『ローマ法王の休日』

原題:「Habemus Papam」

パロディ系邦題であり、中身とのギャップが酷いパターン。
一見すると彼の名作『ローマの休日』のパロディっぽいので、「ローマ法王がお忍びで街に出てトラブルを起こす話かな?」と誰もが思うことだろう。
だが、話のメインは ローマ法王が逃げ出したことでてんやわんやする枢機卿たちの方 であり、法王の方は実は主軸ではない。
また、分類はコメディであり実際枢機卿たちのバレーボールシーンなどコミカルなシーンも多いのだが、実際の話の内容は 結構重い 。気楽に見ると逆に驚くことだろう。
原題は、新しいローマ法王が決まったことを知らせるメッセージ(意味は「我らは法王を得た」)であり、『ローマの休日』のパロディっぽく宣伝したのは、 日本側の勝手な判断 である。

『プリンセス・オブ・ペルシャ エステル勇戦記』

原題:「One Night with the King」

これまたパロディ系のタイトル。
原題を直訳すると「王との一夜」で、クライマックスシーンを指していると思われるのだが、
ぶっちゃけこれをタイトルにしても日本ではなんのこっちゃか分からないので、こんなタイトルになったのだろう。
ちなみにアメリカなら「エステル記(旧約聖書にある書簡)が元ネタです」の一言で済む。
なお、主人公エステルはペルシャ王の妻なので「王妃(クイーン)」になってはいるものの、 そもそも孤児の産まれなので「王女(プリンセス)」ではない
というか彼女はユダヤ人なので「ペルシャの王女」は二重の意味で間違いである。
語感重視で内容に合ってない大嘘タイトルと化してしまっている。

『ランボー者』

原題:「STEELE JUSTICE」

ただのダジャレ
主人公がベトナム帰還兵で、演じる俳優が『ランボー/怒りの脱出』に出演していることに掛かってはいる。

『コマンドー者』

原題:「GET THE TERRORIST」

もう何にも掛かってないじゃねーか!!

一応内容を簡単に書くと「退役軍人を集めてテロ組織と戦う」という映画。

『暴力脱獄』

原題:「Cool Hand Luke」

作中で主人公が脱獄をするシーンは存在するものの、方法は暴力的ではない。どうしてこんなタイトルにしたし。

『エンジェル ウォーズ』

原題:「Sucker Punch」

300』『ウォッチメン』のザック・スナイダー監督初のオリジナルアクション映画。
原題を訳すと「不意打ち」。仮にもアクション映画なのだから、こんな地味な題名で客が呼び込めるわけもないので、方向性としてはアリ。
しかし、ただでさえ「美少女5人組がロボや日本刀を振り回す、いかにも監督の趣味丸出しオタク向けなB級作品*23」な本作のB級っぽさが邦題で更に強められる結果となった。

なお本編の大まかな流れは、女子精神病棟に入れられた少女が妄想の世界で大冒険を繰り広げるというもの。
そのため作中では唐突な場面転換が頻繁に発生し、文字通り観客への「不意打ち」を繰り返すものとなっている。

『裏切りのサーカス』

原題:「Tinker,Tailor,Soldier,Spy」

東西冷戦時のイギリスを舞台に、諜報組織「サーカス」に潜んでいる二重スパイを探り当てるサスペンス映画。
原作は原題をそのままカタカナ化した『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』。
作中で使われる暗号文の引用となっており、犯人当ての伏線に使われる。
分かりやすさ重視のためこの邦題が採用されたものと思われるが、「サーカス」が「サーカス団」ではなく組織名だと気付かない客層もいたのではないだろうか。

えびボクサー

原題:「Crust」

イロモノB級映画に見せかけて異種間交流を真正面から描いた名作としても評価される作品。
日本で公開された時には 名前に「えび」がつく人は割引になるキャンペーン をやっていたりと、そのインパクト抜群なタイトルを活かした広報が話題になった。
1つ問題があるとすれば 映画に出てくるえびがシャコにしか見えない ことだろうか。
というか原題も「Crust(甲殻)」でえびとは言っていないし、なんだったら劇中で「mantis shrimp(カマキリエビ=シャコ)」って言われてるし 完全にシャコだわこれ

『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』

原題:「Starlet」

老女と若い女性の交流ヒューマンドラマなのだが、邦題をみてエロバカ路線と勘違いする人多数。

『ノーカントリー』

原題:「No Country for Old Men」

本作が出世作となったハビエル・バルデム扮する圧縮空気ぷしゅぷしゅオジサンが追いかけてくる映画。
原題は「老いた者たちに国は無い(≒居場所は無い)」。時代についていけない、必要とされていないOld Menの悲哀という雰囲気を帯びていたが、
ばっさりと省かれてしまい、「国が無い」というよくわからないフレーズに。

『マイドク~いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか~』

原題:「DEATH WARMED UP」

『博士の異常な愛情』ばりにタイトルがクソ長い邦題。微妙にリスペクトしているかもしれない。
長すぎる邦題が映画の内容を全て語っておりそれ以上も以下もない。「マイドク」という略称も最初に提示してくれる親切設計。
原題は「2日酔いで頭がクラクラする」というような意味合いのスラング。確かに脳改造手術を受けて錯乱した改造人間は出るが原題も原題でいまいち釈然としない。
まあ確かに見ていて頭がクラクラする類の支離滅裂な内容の映画ではあるのだが…

『カワイイ私の作り方 全米バター細工選手権!』

原題:「Butter」

アイオワ州で実際にある大会を基にした内容。
…なのだが邦題の意訳が凄まじく、騙されたのかなんだかよくわからん気持ちになる。
  • まず主人公は10代の女子でもなく、オバちゃん。しかも結構きつい性格。
  • 浮気相手が出たり才能の壁を感じたりでドロドロ。そんなにハートウォーミングな内容でもない。
  • 当たり前だが バター人間を作る話ではないし、バターの材料が人間とかでもない。 あってたまるか。
邦題と原題の共通点がバターしかないというある意味凄い訳である。バター大会と一緒にアメリカで根深い人種差別が頻発し、表題詐欺の側面もあったりする。

『少年は残酷な弓を射る』

原題:「We Need to Talk About Kevin」

少年犯罪の加害者側の母親が息子(ケヴィン)との向き合い方を見つめ直す作品。
よって原題は「ケヴィンについて話さなければならない」といったところか。
原作小説では母親が夫へ宛てた手紙でケヴィンが何を犯したのか徐々に明らかにしていく構成で、
映画版の本作もそれに倣った作りをしているが邦題が盛大にネタバレをしてしまっている
実に興味を引く邦題ではあるのだが、それで折角のギミックを潰してしまっているので台無しである。

『宇宙からのツタンカーメン』

原題:「Time Walker」

発掘されたミイラが蘇り人々を襲うホラー映画なのだが、その衝撃的なラストから 伝説のカルト映画 として名高い。
日本では劇場公開がなくビデオスルーのみの作品だが、日曜洋画劇場と木曜洋画劇場(テレビ東京)で放映された際にもそれぞれ別の邦題がつけられた。
ビデオ版が表題、テレ朝版がビデオ版をちょっと変えた上で二時間サスペンスみたいな副題をつけた『宇宙から来たツタンカーメン/消えたミイラ!全裸美女に迫る古代エジプトの魔神』
テレ東版は原題に副題をつけた『タイム・ウォーカー/時空の聖櫃』

この邦題の問題点としては
  • ツタンカーメンも古代エジプトの魔神も全裸美女も 出ない
  • この映画がこの映画たる衝撃のラストを ネタバレ してしまっている。
  • でも別に宇宙からツタンカーメンは来ていない
という点が挙げられるだろうか。
原題の「時の旅人」もラストに関係してるといえばしてるのだが…

余談だがこの作品、基本どんな映画でもとりあえず褒めることに定評のある日曜洋画劇場の 淀川長治が感想を放棄したことであまりにも有名
また更に余談だが淀川は上記の邦題の問題点にも触れており「洋画がたくさん輸入されるようになったことで、昔より翻訳者がしっかりと映画と向き合って邦題をつけることが無くなり、直訳や原題そのまま邦題が増えてきている」ことへの嘆きを語っていたりする。

アルティメット

原題:「Banlieue 13」

『アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ』

原題:「Banlieue 13 - Ultimatum」

スラム街「バンリュー13」を舞台にした、パルクールを絡めたスタイリッシュなアクションが特徴のフランス製アクション映画。
原題は舞台となる「バンリュー13」をそのままつけており、英題も『District 13(13地区)』と特にひねったものではないのだが、
日本公開時、なぜか「アルティメット(究極)」という特に本編の内容と関係ない邦題をつけられてしまった。
おそらく「究極のアクション」的な意味合いを込めたのだろうが、いまいち伝わりにくいというのが正直なところ。

続編となる『アルティメット2』は「マッスル・ネバー・ダイ」という本編と関係ない、かつ頭の悪さがにじみ出るサブタイトルが付いている。
まるで筋肉で無双するシュワちゃん映画みたいなサブタイだが、本編のアクションはどちらかと言うとスタイリッシュな風味で、内容ともそぐわない。

14年公開の、第1作目のハリウッドリメイク版『Brick Mansions』も、日本では『フルスロットル』と独自の邦題がつけられている。
ただ、こちらには新たなウリとして派手なカーチェイスシーンがあるため、『アルティメット』と比べれば的はずれなわけではない。

『スペース・サタン』

原題:「Saturn 3」

土星の第3衛星(サターン3)に造られた宇宙基地を舞台としたSFサスペンス。
基地に持ち込まれたバイオノイド(ロボット)・ヘクターの反乱を描いた作品…であり、別に悪魔サタンは関係ない
サターンとサタンをかけた洒落なのか…?

『少女生贄』

原題:「Nothing Left to Fear」

元ガンズアンドローゼスのスラッシュがプロデュースした、アメリカのホラー映画。
原題の直訳は「恐れるものは何もない」もしくは「もう何も怖くない」。
確かに作中では少女が生贄になるが、成人女性や男性も犠牲になっており、邦題は映画の内容とあまり噛み合っていない。
まあ、この映画の場合それよりも日本版ポスターの「ンボボボボオォ」というキャッチコピーの方が有名かもしれないが。

『チャーリー・シーン/アルプスを越えて』

原題:「Courage Mountain」

原題は直訳で「勇気の山」。
俳優チャーリー・シーンがアルプス登山に挑戦した様を描いたドキュメンタリー映画のような印象だが、
実際はあの『アルプスの少女ハイジ』の続編に当たる小説を原作とした実写版映画であり、
15歳となりイタリアの寄宿舎に行く事となったハイジと、軍に入隊したペーターが描かれている。
トリビアの泉で取り上げられて知った人も多いだろう。

邦題は何故か登場人物名ですらないペーター役のチャーリー・シーンの名前を全面に推したタイトルになっている。
しかも別にペーターを主役に据えたスピンオフという訳でもなく、チャーリー・シーン(ペーター)の出番は十数分程度
おまけに「アルプスを越えて」いるのは送り込まれた孤児院から仲間と共に脱走しスイスに戻ろうとしているハイジの方というミスマッチ振り。

なお、原作小説の邦題は『ハイジの青春 アルプスを越えて』であり、こちらは妥当な邦題と言える。
副題が一致している辺り、原作の邦題を知らなかったという事は無さそうだが、何故わざわざ変な方向に捻ったのか……。教えてお爺さん

『帰ってきたE.T.』

原題:「Brother from Space」

この映画のビデオをレンタルビデオショップで見かけて「E.T.に続編があるのか!」と思わせるパターンの映画。
もちろん『E.T.』とはなんの関係もない。大ヒットした『E.T.』の続編と勘違いさせて売上を稼ごうとした便乗邦題である。
一応「E.T.」の文言自体は「Extra-Terrestrial(地球外生命体)」の略なので、著作権等の問題はないだろうがそれでもかなり露骨ではある。

『夜霧のジョギジョギモンスター』

原題:「PENGABDI SETAN」

内容を簡単に言うと、母を亡くした一家の元に家政婦がやってくるのだが、その家政婦は実は悪魔で死体を蘇らせて一家を襲う、というもの。
おそらく女悪魔が蘇らせた死体がジョギジョギモンスターなのだろうが、一体何が“ジョギジョギ”なのかは最後まで不明のまま。
「悪魔の毒々モンスター」に寄せまくったタイトルからバカ映画を連想するかも知れないが、実際は「信仰を大切にしろ」という説教臭いメッセージが全面に押し出されている、あまり面白味のない内容である。

『呪術大戦 陰陽五派 火龍vs白虎』

原題:「大幻术师」

畏れを知らんのか。
ご丁寧にフォントも元ネタに近づけており、本気の再現度である。劇場公開がなくDVDスルーのみの作品は、経てしてこういったヒット作の便乗邦題(&ジャケット)となることが多いが、(DVDスルー時に)映画化されていない作品の便乗というのは結構珍しい。
一応、開幕から体術も混ぜた呪術バトルが繰り広げられたり、領域展開のようなことも起こるので、実はそこまで元ネタとかけ離れているワケではない。陰陽五派も出るし、クライマックスでは呪術師が調伏した火龍と白虎も激突する。
ただ、本筋は呪術師による連続殺人を奇術師(『大幻术师』)にして呪術師の主人公と警察が追っていくという内容であり、「大戦」は言いすぎ感が強い。

また、その後『呪術大決戦(原題:茅山大师)』という「呪術~」派と、『妖魔廻戦~白蛇伝~(原題:白蛇:情劫)』『スレイヤー・オブ・ディザスター 妖術廻戦(原題:奇门偃甲师)』という「~廻戦」派に分かれて中国のファンタジーアクション映画の便乗邦題が続々リリースされた(ご丁寧に全てフォントを寄せている)。
「~廻戦」派に至ってはもはや呪術すら関係なく、それぞれ元ネタは「白蛇伝」と「奇門遁甲」という別ジャンルである。そもそも「廻戦」ってなんだよ。

『メガ・シャークVSグレート・タイタン』

原題:「Mega Shark vs. Kolossus」

畏れを知らんのか Part2。
アサイラム社制作の人気(?)シリーズ『メガ・シャークシリーズ』の4作目。
毎度おなじみ巨大サメ「メガ・シャーク」と人型巨大破壊兵器「コロッサス」が死闘を繰り広げる作品で、原題はその名の通りのタイトルとなっている。
こちらの項目でも触れられている通りそもそもこのシリーズ自体が日本の配給会社であるアルバトロス・フィルムの提案によるものであることもあってかコロッサスの見た目の時点で既にオチがついている感もあるが、邦題を改変したことによりパロディが余計に露骨になっている。

『ロスト・バケーション』

原題:「The Shallows」

凶悪なサメが生息する「浅瀬(Shallows)」に取り残された女子医学生が生還の為に知恵を振り絞るソリッド・シチュエーション・スリラー。
奇抜な能力も持たないサメ1匹だけで恐怖を表し、極限まで追い詰められた人間の奮闘を丁寧に描いた作風は評価が高く、『ジョーズ』以来のA級サメ映画とも呼ばれる。
原題の『The Shallows』には「浅瀬」の意味の他に「浅はか」といった意味があり、危険な場所に迂闊に身を投じてしまったり、ある理由から自身の進路について視野狭窄になっている主人公の状態をも表している。
それと比べてしまうと「失われた休暇」という邦題では一側面しか抜き出せていない問題がある。また、多く存在する「ロスト~」系のタイトルの中に埋没してしまった印象も否めない。

『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』

原題:「Horizon Line」

なんで令和にもなって掲示板のスレタイ風なのか。
公開発表当初は邦題が異なっており、そちらは『元カレとセスナに乗ったらパイロットが死んじゃった話』でTwitterでバズってそうな漫画のタイトルっぽくなっている。
一応、海外権利元のSTXの承認を受けていたものの、「一部表現についてSTX側で誤認識*24があり、誤って承認をしてしまったことが判明したため」改題された。もうちょっと他に変更すべき部分があったんじゃないのか
映画の内容は上記『ロスト・バケーション』の製作陣によるものだけあって、真っ当に恐い飛行機パニックスリラーとなっているが、気の抜けた邦題のせいでB級映画と勘違いしてしまいそうである。
一応、原題通り『ホライゾン・ライン(地平線・水平線)』では『ロスト・バケーション』同様にインパクト不足で話題にはならなかったという見方もあるが……

『エアベンダー』

原題:The last airbender

ニコロデオンの人気ファンタジーバトルアニメの実写版。
作中には「ベンダー」と呼ばれる超能力者が登場し、火、水、地、気の4種族に分かれている。
主人公アンはその1角である気(air)のベンダー最後の生き残りにして、4つの技全てを使える「アバター」と呼ばれるベンダーの座を継承できる唯一の存在、という設定となっている。
原作アニメのタイトルは『Avatar: The last aribender』であり、前年に公開された『アバター』とのタイトル被りを避けるために1語減らされたものの、最低限の原型はとどめている。
…が、邦題だと単なる『気のベンダー』。これでは何のことやらサッパリである。
もっとも、この実写版は原作ファンからすこぶる不評なので、原作の名前が「クソ映画のタイトル」として知られるようにならなかったのは不幸中の幸いかもしれない
ちなみに原作アニメも第1部のみ日本でも放送されているが、こちらでは『アバター 伝説の少年アン』と、アレンジこそされているがこれはこれで悪くない邦題となっている。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

原題:「Guardians of the Galaxy Vol.2」

MCUの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編なのだが、ナンバリングを凝ってしまった結果、変になってしまった事例。
『GotG』シリーズは主人公の趣味が音楽鑑賞であり、作中でも70~80年代ソングが印象的に使われるため、一般的な音楽アルバムのナンバリングに合わせて原題では『Vol.2』となっている。
邦題ナンバリングの『リミックス』も音楽用語なのだが、その意味は「複数の既存曲を編集して新たな楽曲を生み出す」であり、続編や2作目の意味合いは全くない。
むしろ、音楽に詳しい人には「1作目のリメイク作品」や「シリーズの再編集総集編」と誤った捉え方をされかねないタイトルであり物議を醸した。
また、シリーズ最終作は原題通り『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のため、シリーズ名の統一感もなくなってしまっている。

マイティ・ソー/バトルロイヤル

原題:「Thor: Ragnarok」

同じくMCUの『マイティ・ソー』シリーズの第3作。
こちらは北欧神話における終末戦争を表す『ラグナロク(Ragnarok)』の副題が、話の内容としては一場面に過ぎない作中の闘技大会名の『バトルロイヤル』に変更されたことで物議を醸した。
確かに本作は監督がコメディ畑のタイカ・ワイティティ監督に変更となっており、作風も笑いが絶えないコミカルなものへと刷新されているため、そういう意味では物々しい原題よりも邦題の方が特徴を捉えているという意見もある。
しかし、コミカルな作風の中で前作までの仲間があっさり殺されたり、故郷が存亡の危機に陥るなどのシリアスな面もしっかり描写されており、作品全体を通して描かれているのは紛れもなく『ラグナロク』のため、やはり「変える必要はなかったのでは?」という意見が根強い。
「ラグナロクという単語はヲタクではない一般層には馴染みが薄い」という指摘もあるが、そもそも「北欧神話を下敷きにしたアメコミ映画の3作目」の時点でマーケティング方向としてもズレている。
MCUフェーズ3のこの時期の作品は邦題で大分迷走していた部分があり、これ以降はどんなに原題が日本人にとって馴染みが薄いタイトルであっても原題そのままで公開されることが多くなっていった。

なお、本作までは原題の『Thor』と異なり、原作コミックに併せた『マイティ・ソー』表記だったが、4作目は原題通り「マイティ」が取れた『ソー:ラブ&サンダー(原題:Thor:Love and Thunder)』となっている。
これは「作中でオーディンの息子であるソーとは別の『マイティ・ソー』というヒーローが現れたのでその区別のため」や「作中でのソーが成長して『マイティ(力強い)』であることを捨てたから」といった解釈や考察もされている。
中には「シリーズ初期ではソーというヒーローの知名度が低く同名スリラー映画シリーズと勘違いする人もいたが、MCUが浸透したことでその心配もなくなったから」という解釈も。

『グルメホラー 血まみれ海岸・人喰いクラブ』

『地獄のシオマネキ・カニ味噌のしたたり』

『地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり』

原題:「GIANT CLAWS」

「巨大なハサミ」というシンプルな原題からこのクソ長いタイトル。
ソフトの販売元や時期によって微妙に表記ゆれしているが、全て同じ映画である。
内容は放射能汚染水で凶暴化したカニの群れと安っぽい巨大ガニがリゾート地を襲撃するというB級感溢れる動物パニックホラーで、血まみれ海岸はともかくグルメもカニ味噌も全く関係ない。大体放射能汚染されたカニのどこがグルメなのかと。
一応ストーリー自体は海洋汚染や食糧問題を取り扱った真面目なものだったりする。

『ホラー喰っちまったダ!』

原題:「MICROWAVE MASSACRE」

原題は「電子レンジ殺人鬼」といった感じ。
ここまでアホラーし…アホらしい邦題もそうはないのではないだろうか。
一応補足しておくとザ・フォーク・クルセダーズというグループが歌っていた「帰って来たヨッパライ」の歌詞「オラは死んじまっただ」のパロディ。
酔った勢いで妻を殺してしまった男がその死体をレンチンするのだがそれが思いの外美味く、女の肉の味の虜になった男は娼婦を次々に殺していきその死体を食っていく、というストーリー。
初見で邦題から内容を予想するのはおそらく不可能ではないかと思われる。
なおDVDには「やめられない、とまらない人肉バーベキュー」という棒エビせんからクレームが来そうな副題が追加されており、カニバリズム映画だとすぐにわかる。

『サランドラ』

原題:「The Hills Have Eyes」

1977年公開。原題を直訳すると「監視する丘」。
荒野で立ち往生した旅行者が人食い奇形一家に襲われるという、70年代によくあるスラッシャー映画の古典。
日本上陸は1984年、東宝東和配給。「サラマンドラ」をもじったとされる「サランドラ」という邦題が付けられ、巨大なノコギリのイラストと「全米38州で上映禁止…」「戦慄のジョギリ・ショックがやってくる!!」のアオリ文が掲載されたポスターで宣伝が行われた。
……がこの映画、サラマンドラなんて勿論出てこないし関係も無いし、なんならジョギリなる巨大なノコギリも出てこないし、当時米国で上映禁止処分を受けた事実もない。
つまりは輸入した映画に全く関係ないタイトルを付けて、全く関係ない凶器を捏造し、全く嘘だらけの宣伝を大々的に打っていたのである。東宝東和の宣伝戦略はこの記事内でも複数言及されているが、ここまでのデタラメぶりは中々類を見ない。
なお2006年にはアレクサンドル・アジャ監督でリメイクされたが、こちらの邦題は無事「ヒルズ・ハブ・アイズ」に相成った。当然だがジョギリは出ない。


こんなのあり!?副題付け加えました編

主題はそのまま訳したが、副題を追加した事例。文字通り映画に風味を添えたり、蛇足だったり…。な多種多様な作品たち。

『トライアングル 殺人ループ地獄』

原題:「TRIANGLE」

やらかしたサブタイトル
内容はまっとうなミステリーだが、副題のせいでネタバレ回避は不可能である。
一部の良識ある映画サイトではサブタイトルが伏せられてることもある。でもDVDにばっちり書いてるから手遅れなんだなあ。

『スーパーバッド 童貞ウォーズ』

原題:「SUPERBAD」

おい、サブタイトル。
まるでこのページに載るために付けられたようなサブタイトルだが、「冴えない高校生たちの一念発起+成長物語」という話の趣旨を捉えているという意味ではあってる。
が、あまりにド直球なサブタイトルは 当然 賛否両論となった。
一方このサブタイトルに釣られ、コメディ映画と思って視聴したら…な人もいたり。副題の巧みさを問われる発想である。

『アクション・ポイント ゲスの極みオトナの遊園地』

原題:「Action Point」

サブタイトルの成功例。
1970年代にオープンしてから1996年に廃業するまで来場者の負傷が頻発し続け、しまいには 3年に一度の割合で死亡事故まで起きていた 実在の超危険遊園地「アクション・パーク」を題材にしたブラックコメディ。
副題は上映当時一世を風靡した音楽バンド「ゲスの極み乙女」のパロディだが、もちろん本作には 一切関係無い
……が、経営難対策とはいえ「客を楽しませるためなら客をケガさせたってかまわない」という安全性ガン無視の結論に到達してしまった経営者や、
最終的には一緒になってノリノリで一線を飛び越えた従業員一同は間違いなく「ゲスの極み大人」であり、
そんな彼らが経営していた遊ぶ危険地帯「アクション・ポイント」は随所に挟まれるオバカで下品なジョークも相まって「オトナの遊園地」そのもの。
「ヤンチャな老紳士がヒマな孫娘に青年時代のロクでもない昔話を聞かせる」という作品の全体構成にも非常にマッチしている。

『コーダ あいのうた』

原題「CODA」

サブタイトルの成功例その2。
家族が全員聴覚障害者の一家で生まれ育った健常者の女子高生が、歌手への夢と家族との関係の中で成長してゆく姿を描いたコメディ映画。
フランスで2014年に制作された映画『エール!』をリメイクした作品である。
タイトルは聴覚障害者の親を持つ聴者を意味する「Chiidren Of Deaf Adults」の略称だが、日本では馴染みのない言い回しのため、主人公の夢にちなんでこのサブタイトルが付いた。
また、倖田來未の同名のヒット曲*25とも掛けたダジャレ要素も含まれており、大喜利座王こと千原ジュニアはこの邦題の絶妙さを絶賛したほど。
作品は2022年のアカデミー賞作品賞・脚色賞・助演男優賞を受賞し、日本でも公開後口コミで評判が広がり、最終的には全国300館で上映される大ヒット作となった。

『ホワイトドッグ 魔犬』

原題「WHITE DOG」

ソフト化の際にサブタイトルが付けられた特殊な事例。
フランス人小説家、ロマン・ガリーが妻(『勝手にしやがれ』の主演で有名なジーン・セバーグ)と一緒に遭遇した事件を基に執筆した小説『白い犬』を原作とする、
アメリカの人種差別問題に焦点を当てた超が付く社会派サスペンス映画。
タイトルは主人公が拾った白いシェパードを指しているが、意図したのか偶然の産物か黒人差別の道具という意味合いも含まれている。
人種差別主義者の飼い主(人の皮を被った悪魔)に黒人だけを襲う攻撃犬へと調教された白いシェパードの姿は、人種差別主義の被害者でありながらも魔犬と言わざるを得ない。

『ズーマ/恐怖のバチあたり』

原題「ZUMA」

古代の神殿に封印されていた魔人ズーマが復活し、食料である美しい処女の心臓を求めて殺戮を繰り広げていくという話。
副題のバチあたりというのは、警察署でズーマ対策の会議を行っていた所にズーマが乱入し、進退窮まった署長がズーマに対して言ったもの。
単なる苦し紛れの捨て台詞、かと思いきや、ラストへの意外な伏線となっている。
それなりにヒットしたらしく続編も制作されたが、続編は日本ではDVD未発売なので視聴は困難。


ちょっと変な邦題だけど原題そのままでも分かりにくい…翻訳って難しいね編

原題が地味だったり日本人には意味が伝わり辛かったりで、邦題作成者にも多少は同情の余地がありそうな作品たち。

『未来を花束にして』

原題:「Suffragette」

直訳すると「婦人参政権獲得運動家」。20世紀初頭の英国で巻き起こった女性参政権運動を主導した活動家のこと。
内容もそのまんまの歴史映画であるが、邦題は何か意味があるようで結局よくわからない。
内容はフェミニズムなのにタイトルだけフェミニンにしたら客層がズレそうだが、
「サフラジェット」のままでは分かり辛い・かといって訳しただけでは堅すぎる……と中々難しいところ。

『26世紀青年 バカたち』

原題:「IDIOCRACY」

ヒット作便乗系。もっとも、ここまで露骨だと逆に一種のパロディとして笑えるかもしれない。が、あの漫画との関連性は全く無い。
原題は「idiot(バカ)」と「democracy(民主主義)」の合成語。直訳したら「衆愚政治」ぐらいの意味合いだが、これだとコメディ映画なのに固すぎるだろう。内容はコールドスリープの実験台にされた主人公たちがおバカだらけの未来で目覚め、不本意ながらインテリとなった青年がカルチャーギャップに戸惑いながらもおかしくなった26世紀初頭のアメリカの改革を目指して奮闘する物語。
どれだけおバカなのかというと、プロレスラー兼ポルノ俳優が大統領を務め、尻だけ映した(たまにオナラする)映像がアカデミー賞受賞、農作物はゲータレード(要はスポーツドリンク)をあげて育てているもんだから上手く育たない*26。そんなアメリカなのである。
そう考えると、なかなかうまい訳語は見当たらないところである。強いて言えば「おバカイズム」?

『オーロラの彼方へ』

原題:「Frequency」

タイムパラドックス・タイムトラベルをテーマにしたSFサスペンス映画。
原題をそのまま訳すと「周波数」や「頻度」とかいう程度の意味でしか無く、理系の人以外には耳馴染みもない。
別の邦題を付けたくなる気持ちは理解できなくもないが、もうちょっとこう…あったはずである。

ただし、オーロラが発生した同じ日に過去と現在をつなぐあるものが登場するため、
そういう意味ではオーロラを隔ててやり取りをしている、と見ることもできる。

『クレイマー、クレイマー』

原題:「Kramer vs. Kramer」

原題は「クレイマーvsクレイマー」。
アメリカでは民事裁判を「原告の氏名 vs. 被告の氏名」で表記する制度があり、同じ名字の二人が争う=離婚裁判であることを表している。フレンチトーストを日本に広めた映画とも。
邦題はvsを取ってしまったせいで同じ単語を二回繰り返すだけとなり、離婚裁判の映画であることが一層困難になっている。
かといって原題のままにしても、アメリカの裁判制度を知らない日本人からすると、「クレーマー同士の口喧嘩の話?」とも思えてしまう。
余談だがフジテレビのバラエティ番組『明石家マンション物語』では、明石家さんまが関根勤とともにテレビ番組の些細な事柄にクレームを入れる「クレーマークレーマー」なるパロディコーナーが存在した。

セッション

原題:「Whiplash」

軍隊のような狂気じみた指導を行う鬼教師フレッチャーと次第にその狂気に飲まれて没頭していくドラマー・ニーマンが織り成す音楽映画の傑作。
『Whiplash』は劇中でも頻繁に演奏される往年のジャズミュージックで、「鞭打ち」を意味するその題はフレッチャーのスパルタ指導や、ドラマーの素早い手の動きなど多くの比喩表現を含んでいる。
あまり一般には聞き馴染みのない楽曲・単語のため、一発で音楽映画とわかる邦題になったのであろう。

ただ劇中でも圧巻の最後の演奏はフレッチャーとニーマンによる「セッション」としか言いようのないシーンであり、安直にこの題をつけたわけでもなさそうだ。

『アオラレ』

原題:「Unhinged」

ラッセル・クロウ演じる謎の男が、狂気の煽り運転で母子を追い詰めていく姿を描いたスリラー映画。
近年、社会問題として顕在化してきた煽り運転をストレートにタイトルにしており、劇中の事件も運転上のトラブルに端を発した男の煽り運転から始まっているが、次第に直接的な殺人や家族を人質に取っての脅迫など、煽り運転どころじゃない事態に発展している
車のシーンはそれなりに長いが、パトカーが大破するなど大惨事になるので、やっぱり煽り運転どころじゃない

確かに作品冒頭でも煽り運転のニュース映像を流しているが、それ以外のヘイトクライム映像も同時に流しており、民衆が「Unhinged(精神的に不安定)」になっているからこそ起きた事件ということを強調しているため、煽り運転に限定した邦題はやや不適格である。

しかし、予告CMでラッセル・クロウに「アオってんじゃねぇ!」と日本語で言わせた時点である意味勝ちであり、CMのノリも木曜洋画劇場を思い出させる吹っ切れぷり*27なため、マーケティング的には正しいような気がしなくもない。


原題から変えたシリーズモノの悲喜こもごも編

シリーズ全てのタイトルが原題と違うも好評なゴキゲンなものから、
途中でタイトルが全く変わってしまうわかりづらいもの、
シリーズ第一作の内容に最適化した邦題を付けたために、続編と邦題とずれが生じたものまで掲載。

『ワイルド・スピード』

原題:「The Fast and The Furious」

『ワイルド・スピード X2』

原題:「2 Fast 2 Furious」

『ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT』

原題:「The Fast and the Furious: Tokyo Drift」

『ワイルド・スピード MAX』

原題:「Fast & Furious」

『ワイルド・スピード MEGA MAX』

原題:「Fast Five」

『ワイルド・スピード EURO MISSION』

原題:「Fast & Furious 6」

『ワイルド・スピード SKY MISSION』

原題:「Furious 7」

『ワイルド・スピード ICE BREAK』

原題:「The Fate of the Furious」

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』

原題:「Fast & Furious Presents:Hobbs & Shaw」

『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』

原題:「F9: The Fast Saga」

『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』

原題:「Fast X」

ご存じ作品を重ねるごとにスケールがアップしまくる人気カーアクションシリーズだが、
直訳で「速さと怒り」となる原題より、さらに大味感溢れる独自の邦題となっている。
本作は有名なシリーズということもあり命名秘話も語られているが、
それによると没案であった『ワイルド・〇〇〇』と『〇〇〇・スピード』というタイトルから
『ワイルド』と『スピード』部分だけを抜き出して組み合わせたPPAP方式だったという。

副題部分は『X3』までは無難な感じだったが、4作目から『MAX』と単純なナンバリングからはみだしていき
どんどん独自路線を貫くようになってきた
特に『スーパーコンボ』は作品の内容を分かりやすく、そしてドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムのダブル主演というパワーに恥じない力強さで表現し切っており、秀逸な副題となっている。
一応、外国人からもこの路線は「原題よりわかりやすい」と好評らしく特に5作目『MEGA MAX』が人気とかなんとか。

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』

原題:「警察故事」

『九龍の眼/クーロンズ・アイ』

原題:「警察故事續集」

『ポリスストーリー3』

原題:「警察故事Ⅲ/超級警察」

『新ポリス・ストーリー』

原題:「重案組」

『ファイナル・プロジェクト』

原題:「警察故事4之簡單任務」

『香港国際警察/New Police Story』

原題:「新警察故事」

『ポリス・ストーリー/レジェンド』

原題:「警察故事2013」

『ポリス・ストーリー/REBORN』

原題:「機器之血」

ジャッキー・チェンの危険な肉弾アクションが見どころの人気シリーズ『ポリス・ストーリー』。シリーズを通して妙な邦題が多いので紹介する。

1985年に公開された第一作の『ポリス・ストーリー/香港国際警察』はタイトルを聞くだけだとジャッキーが世界を飛び回る超大作のような印象を受けるが、実際は香港のこじんまりとした所轄警察の物語である。世界を飛び回るのは「3」から。
このような邦題が付けられた背景には当時、配給会社の東宝東和による映画の誇大宣伝がエスカレートしていたという裏事情があったりする。

続いて1988年に公開された第二作の『九龍の眼/クーロンズ・アイ』は第一作から地続きで繋がるストーリーなのに、何故か『ポリス・ストーリー』の第二作とはアピールされなかった。
更にこの邦題の「九龍の眼」という言葉は映画本編では一切登場しない。
映画の宣伝用ポスターでは、”またひとつ…謎の爆風に香港は魔都と化した! 見えざる敵「九龍の眼」に向かって、いま刑事チェンの極秘任務が始まる…”と書いてある。
しかしもう一度言うが「九龍の眼」なる組織は本編では一切登場しない。
香港映画では撮影現場でストーリーが書き換えられるのはよくあることであり、実際に本作でも撮影終盤で大幅な脚本の書き直しと再撮影がされたので、この「九龍の眼」というタイトルも、もしかしたらその時の名残があったのかもしれないが、それでも『ポリス・ストーリー2』として公開しなかったのはいかがなものか。
流石にこれはマズいと思ったのか、後に廉価版ビデオの再発売時に『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』と改題された。最初からそうしろや。

1992年公開の第三作『ポリス・ストーリー3』については特に原題からの変更点は無いので割愛する。因みに原題の『超級警察』は「スーパー・コップ」の意。

さて問題なのが1993年公開の『新ポリス・ストーリー』だが、実はこの作品、本家ポリス・ストーリーとは何の関係も無い、『重案組』という独立した映画なのだ。
一応、ジャッキー扮する重案組(日本語で特捜隊)の刑事が主役という、ポリスのストーリーではあるのだが……
恐らく、原題や英題*28の『Crime Story』では客を呼べないと判断されてこの邦題が付けられたのだろうが、
このせいで後に本家で世界観を一新した『新警察故事』という映画が公開される際に『香港国際警察/New Police Story』という担当者の苦心が窺える、ややこしいことこの上ない邦題が付けられてしまった。

1997年のお正月映画として公開された『ファイナル・プロジェクト』は本家『ポリス・ストーリー』シリーズの第四作なのだが、ポリス・ストーリーシリーズの新作とは宣伝されず、香港返還直前という事情もあってこのような邦題が付けられた。相変わらず本編の内容とは全く関係の無い邦題だが。
まあ映画の内容からしてこれまでのシリーズと繋がっている要素は殆ど無いんだけどさ……
因みに原題の『簡單任務』とは「簡単な(はずだった)任務」という意味。

そして香港返還後、2004年に新スタッフによる前述の『香港国際警察/New Police Story』が制作され、2013年にはこれまでと違って中国大陸で制作された新たなる世界観の映画『ポリス・ストーリー/レジェンド』が公開された。

そして2018年11月、シリーズ最新作として『ポリス・ストーリー/REBORN』が公開されるのだが、この映画、ポリス・ストーリーシリーズとは殆ど関係がない映画である。またかよ。
一応、この作品ではジャッキーは公安警察の刑事として主演を務め、主題歌はシリーズお馴染みの『英雄故事』だったりするのだが、実際はゴリゴリのSF映画である。そのストーリーは観てのお楽しみ。

とまあブランド価値があるのか無いのかよく分からないシリーズではあるのだが、
どの作品もジャッキーの命を懸けた本気アクションがお腹一杯になるまで楽しめる名作揃いなので、是非一度は観てみることをお勧めする。

キャプテン・スーパーマーケット

原題:「Army of Darkness」

上記『死霊のはらわた』の三作目。 前作からほぼ設定がリセットされているためか、ナンバリングがされていない (一応副題的に「死霊のはらわたIII」も付いているが)。
原題もナンバリングがなくなっているので原題に合わせたともいえる。
インパクト抜群の邦題から人気を博した……のだが、この映画、 スーパーマーケットのシーンは最初と最後にチラッとあるだけで物語はほぼ全編アーサー王時代のヨーロッパなのである
確かにラストシーンの主人公の姿は「キャプテン・スーパーマーケット」と呼ぶにふさわしいが……。

『ミラクル・ワールド ブッシュマン』

原題:「The Gods Must Be Crazy」

『コイサンマン』

原題:「The Gods Must Be Crazy II」

直訳「神々はイカレているに違いない」。
「天から降ってきた魔法のような道具を巡る争いを嫌った男が、それを地の果てに捨てるため旅立つ*29」という話。
大筋だけだと案外ヒロイックになってしまったが、コメディ映画。いずれにせよ原題からは想像しにくい感じ。
「ブッシュマン」という単語が侮蔑的と問題視されたか、続編は『コイサンマン』へと変更されたが、続編であることを強調して宣伝されたため特に問題はなかったはず。
しかし、現在では『ブッシュマン』の方が『コイサンマン』に、『コイサンマン』は『コイサンマン2』に改題されている。ややこしい。

ヘルブレイン/血塗られた頭脳

原題:「Silent Night,Deadly Night III:Better Watch Out!」

悪魔のサンタクロース』シリーズの三作目。
クリスマス要素が微塵も無い邦題であるが、本作の殺人鬼が諸事情でハカイダーのごとく脳が剥き出しになって透明なカバーで覆われているのが理由であろう。

ハムナプトラ/失われた砂漠の都

原題:「The Mummy」

原題が「ミイラ」とあまりにもストレートで味気無さ過ぎたため、邦題では舞台の地名「ハムナプトラ」に変更される。
ここまでは良かったがその後シリーズ2作目『The Mummy Returns』では序盤にちょろっとしかハムナプトラは出ないのに『ハムナプトラ2』。
3作目の『The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor』に至っては中国が舞台なため、 ハムナプトラ要素ゼロの『ハムナプトラ3』 という珍現象が起きてしまった。*30
とはいえ邦題を付ける段階では続編の舞台がどこになるか、そもそも続編が作られるかなど分からないし、
変えてしまったら前作との関係が分かりづらくなってしまうため仕方ないだろう。
因みに副題の「Tomb of the Dragon Emperor」は「呪われた皇帝の秘宝」と訳されている。
古代中国の皇帝を連想させる点はしっかり守っているのでこちらはそこそこの名訳と言えるかもしれない。

ちなみに第1作目は原題にもある通りホラー映画の名作『ミイラ再生』のリメイクに当たる作品なのだが、原作とは異なりホラー要素が薄く冒険映画の味が非常に強くなったことから、結果的に邦題を変更して正解だったと言えよう。

なお、2017年にはトム・クルーズ主演で3度目となるリメイク作『The Mummy』が公開されているが、こちらはハムナプトラの反省を活かしたのか原題をカタカナ表記にして副題をつけた『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』という邦題になっている。

『センター・オブ・ジ・アース』

原題:「Journey to the Center of the Earth」

ジュール・ヴェルヌの冒険小説『Voyage au centre de la terre(フランス語)』(日本では邦題の『地底旅行』の方が有名)を原作とした映画作品。
直訳すると「地球の中心への旅」だが、邦題では「旅」を意味する「Journey」を省いた上でそのままカタカナ表記にしたものが使用された。
東京ディズニーシーには同じ小説をモチーフとする同名のアトラクションが存在しており、本作の邦題はそれと引っかけている可能性がある。が、邦題が邦題なだけあってか、本作は「TDSのアトラクションの映画化」*31と勘違いした人も多かった様子。元ネタが同じなので全く関連性がない訳ではないが。

その後、同じくジュール・ヴェルヌの冒険小説『L'Île mystérieuse(邦題:神秘の島)』を原作とした続編の『Journey 2 The Mysterious Island』が発表されて状況は一変。
「to」と「2(two)」をかけた言葉遊びを取り入れたタイトルなのだが、 よりにもよってその「to」が1作目の邦題から省いた「Journey」にかかっていたのだ
続編なのに今更邦題を変更するわけにもいかず、仕方なく『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』という邦題になったが、
  • 地底世界へ行くわけでもないのに「センター・オブ・ジ・アース」というタイトル。
  • そもそもタイトルだけだと舞台が地底なのか神秘の島なのか(あるいは両方なのか)わからない
と上記の 『ハムナプトラ』と同じジレンマに陥ってしまった


その他、原題と邦題が異なる海外映画たち

媒体毎に違う邦題が付けられたり、中には邦題を一般から募集したりなど。海外の映画が日本で展開されるにあたっての諸々のエピソードを紹介。

ランボー

原題:「First Blood」

直訳は「先制攻撃」。原作小説の原題も『First Blood』(邦題は『一人だけの軍隊』)。
『ランボー』の邦題は日本でのみ独自に付けられたもので、以降のシリーズは邦題に倣って『Rambo』になった……という逸話が有名だが、実はこれは完全なガセ
実際には『Rambo』のタイトルは日本だけでなく、英語圏を除く一部の国々でも普通に使用されていた
その後、2作目『Rambo: First Blood Part II』を経て3作目『Rambo III』と、原題もランボーに統一されていった。
まあ4作目の原題が、原点回帰なのか『Rambo』だったりするのが地味にややこしいが……
東宝東和がやらかしたのは、1作目を痛快アクション映画のように宣伝したことである。実態はご存知の通り、もしくは項目参照。

また、邦題のやらかしとしては4作目のタイトルを『ランボー/最後の戦場』にしたにも関わらず、11年後に新作が出てきてしまって全然「最後の戦場」じゃなくなったこともある。
その5作目が『Rambo: Last Blood』と1作目と原作小説の対になる最終作っぽいタイトルだったのが不幸中の幸いか。
なおスタローンの代表作として双璧を成すロッキーシリーズも邦題で「最後のドラマ」と銘打ったのにその後続編が出たり、その続編の原題が「Rocky Balboa」と原点回帰を狙ったナンバリングの無い紛らわしいタイトルだったりと、同じ轍を先に踏んでいる。

『荒野の用心棒』

原題:「Per un pugno di dollari」

原題はイタリア語で直訳すると「一握りのドルのために」。
クリント・イーストウッドの出世作でもあり、 マカロニ・ウェスタン というジャンルを確立した名作。
だが本作は黒澤明監督の映画『用心棒』を 無許可でリメイク したものである。
監督らが用心棒に感銘を受け、日本の時代劇を西部劇に置き換えて製作した事が発端だったが、
当然無許可だったために製作会社である東宝に訴えられる事になる(結果は東宝の勝訴)。
そんな騒動があったためか、用心棒と関係がある様な邦題が付けられたと思われる。

ちなみに『続・荒野の用心棒(原題:Django)』という作品もあるが、これは配給会社が勝手に付けたタイトルで 本作とは一切関係ない。
本作の実際の続編は『夕陽のガンマン(原題:Per qualche dollaro in più)』と『続・夕陽のガンマン(原題:Il buono, il brutto, il cattivo)』である。2作目までタイトルに「ドル」が入っていることから「ドル箱三部作」とも呼ばれる。

他に『新・荒野の用心棒(原題:Tierra Brava Pagó cara su muerte)』、『新・夕陽のガンマン(原題:Da uomo a uomo)』、『夕陽の用心棒(原題:Una pistola per Ringo/A Pistol for Ringo)』といった作品もあるが、やはりこれらは全て別の作品である。いい加減にしろよ、当時の配給

『グリーンガリー ~最後の熱帯雨林~』

『グリーンガリー ~永遠の熱帯雨林~』

『森の妖精クリスタ』

『リトル・フェアリー ~不思議の森の妖精たち~』

『不思議の森の妖精たち』

原題:「FERNGULLY:THE LAST RAINFOREST」

『美女と野獣』スタッフが手掛けてる自然保護プロパガンダ異種交流系ファンタジーアニメ。
何これシリーズもの?と思われるが、実は 邦題が5つもある 。上から順に取り上げると
絵本→日本での映画上映→テレビ放送時→VHS→DVD・Blu-ray
こうなった理由としては、 各媒体ごとに版権会社が変わり、タイトルを変えざるを得ない為 。前のタイトルは著作権の関係で使えないからである。クリスタはヒロイン役の妖精であり、主人公の名は5つの題名全てで出ていない。ちなみに、国内外両方とも声優陣がかなり豪華。環境アニメ関連=声優陣豪華、は向こうでは有名。

『史上最悪のボートレース ウハウハザブーン』

原題:「Up the Creek」

2ちゃんの 「全米川下り選手権のガイドライン」 でおなじみの愛すべきB級映画。
1985年発売時のビデオ*32では原題にサブタイトルをつけた『アップ・ザ・クリーク 激流スーパーアドベンチャー』だったのだが、テレビ放映時のこのタイトルの方が有名。
というか 「ウハウハザブーン」の方が有名すぎて2013年発売の日本語吹替付きDVDではこっちが採用された
ちなみに劇中での 「ウハウハで行くか?」「ザブーンだな!」 のやり取りが由来なのだが、このセリフは主人公チームでなく敵チームのもの。

『ドリーム 私たちのアポロ計画』

原題:「Hidden Figures」

ぶっとびタイトル編の部類だが日本公開前に修正・変更されたのでこちらに。
原題は「隠された人々」、「隠された数字」で、人種差別の激しかった時代に宇宙開発の裏で貢献した三名の女性、彼女らが導き出した数式のダブルミーニング。
宇宙開発の裏にあった女性差別・人種差別という元の意味合いが、邦題では「夢」というポジティブな意味合いと取れる単語にすり替えられてしまった。

さらに派手かつ最大の問題は 本作がアポロ計画ではなくマーキュリー計画を描いた映画 だという点。
日本人の宇宙開発のイメージといえばアポロ計画との判断で、このタイトルが付けられたそうだが、
当然批判が殺到し、映画と無関係(終盤でチラッと言及される程度)なアポロ計画の部分は削られて 『ドリーム』 に変更された。
またこの影響で公式WebサイトのURLに「dream-apollo」が含まれているため、「アポロ」が含まれない新たなURLでオープンする調整をすることになってしまった。

『沈黙の戦艦』

原題:「Under Siege」

ご存じ史上最強のコックことスティーヴン・セガールの代表作。
原題は直訳で「包囲下」だが、この邦題は当時ヒットしていた『沈黙の艦隊』の影響だろうか。
まさかこれ以降 セガール主演映画のほとんどに「沈黙の~」がつくことになる とはこの時は誰もが想像もしていなかっただろう。

なおこれ以降の「沈黙の~」とつくセガール作品は 本作と全く関係ない
むしろ正式な続編である『Under Siege2: Dark Territory』の邦題は 沈黙がつかない『暴走特急』 というややこしさ。『沈黙の特急』とかじゃダメだったのだろうか。
そのくせ『沈黙のシリーズ第3弾 暴走特急』という扱いなのだからもう何が何やら……*33
世界一有名で長い勝手にシリーズ化現象であろう。

公式側も確信犯でやっていることを隠さなくなってきているため、2009年の『Driven To Kill』に至っては 「沈黙の」から繋げる邦題を一般公募
  • 「沈黙の」を枕詞にする。
  • その枕詞の部分を除き、漢字・カタカナ・ひらがなを含む5文字以内。
という条件を付けて募集した結果、7500通を超える応募があり、選ばれたのは『 沈黙の鎮魂歌 』。 選出したセガール自身もご満悦である

道化死(どうかし)てるぜ!

原題:「STITCHES」

ニコニコ生放送の視聴者募集で邦題が決まった本当にどうかしてる経緯を持つ ピエロのスラッシャーホラー映画。
上記の「沈黙の~」公募には指定ワードや字数制限があったが、こちらはオリジナル予告編を見て考える以外に特に制限がないため、 完全に視聴者に全てを委ねた邦題としては史上初
投稿された中からさらに視聴者アンケートで選ばれたのがこの邦題である。まさにぼくの考えた最強邦題。どうかしてるぜ!

ロード・オブ・ザ・リング

原題:「The Lord of the Rings」

トールキンの巨大ファンタジー三部作。
邦題は原題をそのままカタカナ表記したように見えるが、複数形のRingsであったのが単数形のリングになっている。
主人公フロドが叔父ビルボから託された指輪は、不思議な力を持つ複数の指輪のうちでも最強の指輪だった。
つまり「指輪達の中で最も重要な、王たる指輪」もしくは「指輪達を統べる王」という意味だったのが、邦題では単に「指輪の王」になってしまった。
誤訳や珍訳とまでは言わないが、複数形のままでもよかったのではないだろうかと思えるが、恐らくは日本語で口に出した際に語感を優先したと思われる。*34
また「リング」が「指輪」のことであることがわかりにくく、初見で邦画の『リング』シリーズと誤解した人も結構いるとか…。

ちなみに翻訳者の責任とするのは酷だが、「ロード」の方もカタカナ語になってしまったため「指輪の道」という意味に誤解してしまった観客も多数。
タイトルを見て「何で頭文字がLなんだろう?」と首をかしげる人が大量に出る事態になった。
アニヲタゲーヲタ以外には案外「Lord(君主、王)」という単語は知られていないものである。
当項目でもこの節が追加された当初、「Road(道)」とか「Load(負担、負荷)」などと誤記されていたくらいだし
ちなみに中国で公開された際のタイトルは「指輪王」なのでこの勘違いは起こりえなくなっている。

なお、原作小説および過去に制作されたアニメ映画は『指輪物語』という邦題となっており、そちらとの差別化の意味もあるものと思われている。
……のだが、後に実写映画の公開に便乗して発売されたアニメ映画のソフトで、
実写映画のタイトルが付け加えられた『ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語』に改題されてしまった。差別化の意味が……

シックス・センス

原題:「The Sixth Sense」

上記のロードオブザリングと同じパターン。
原題の意味は「6つ目の感覚」……すなわち「第六感」のことで、作中に登場する少年コールが持つ常人にはもちえない6つ目の感覚(=霊感)のことを指しているのだが、序数(物の順番を表す数)を表す「th」が取り除かれた訳になっているため、「6つの感覚」という意味合いに変化してしまっている。
恐らくこれも日本語として読む際の語呂・語感重視だと思われる。
一応、「Sixth Sense」を発音する場合、「six」のスを発音しない場合もあるため、完璧に間違っているという訳ではない。

『アイ・アム・レジェンド』

原題:「I Am Legend」

レディ・プレイヤー1

原題:「READY PLAYER ONE」

2つとも題表記自体は昨今よくある原題そのままバージョンだが、原作小説にオリジナル邦題がついているのに採用されなかったという珍しい例
『アイ・アム・レジェンド』原作は過去『吸血鬼』・『地球最後の男』という邦題が使われ映画版邦題も同様だったが、2007年版公開に伴い原題に近い題に原作邦題も統一された。
これに関しては、原作題の『地球最後の男』がとんでもなくえぐいラストシーンを示しており、映画版では公開版・試写会版と2つあるエンディングで意味が変わるものなためと思われる。詳しくは別エンディング(映画)の項目を参照。
『レディ・プレイヤー1』の原作小説邦題は原作内容を基にした『ゲームウォーズ』だったが、なぜか映画版公開時にも邦題が統一されることは無かった。
カタカナ英語だと「レディ」が「LADY(女性)」と紛らわしいし、小説版の邦題で良かったのではないだろうか……。*35

『007危機一発』

原題:「007 From Russia with Love」

スパイアクション映画の人気シリーズ、007シリーズの第2作。
四字熟語として正しいのは「危機一」なのだが、「危機一」とする事で「ギリギリの差で危機から逃れた」という大まかな意味を残しつつ、
危機一髪の「髪」が持っていた『髪の毛1本分の差』という意味を『銃弾1発の差』にすり替えている。
身も蓋も無い言い方をすればダジャレなのだが、銃弾飛び交うスパイアクション映画である事を演出した名邦訳と言えるだろう。
しかし初公開から約8年後のリバイバル上映に際して、原題の直訳となる『007 ロシアより愛をこめて』に変更された*36
理由は判然としないが、一説には「新聞屋からクレームが来たから」ともされる。

このタイトルは前述の『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』同様に水野晴郎考案とされるが、それ以前にも「危機一発」の名を冠した映画は存在するため結局のところよくわからない。
ただこの映画のヒット以降、意図的な誤字の「危機一発」も浸透したようで、『ドラゴン危機一発(原題:唐山大兄、英題:The Big Boss)』や玩具の「黒ひげ危機一発」、ルパン三世のTVスペシャル『バイバイ・リバティー・危機一発!』等の使用例がある。

『殺人の告白』

原題:「내가 살인범이다」

時効を迎えた連続殺人犯が告白本を書いて名乗り出るサスペンス…に見せかけたアクション映画
原題は劇中の告白本と同様の「私が殺人犯です」で口語体。特徴的な原題に対して邦題は大分シンプルである。
ただポスター等でのキャッチコピーとしてではあるが「私が殺人犯です」の原題も使用されてはいる。

2017年には藤原竜也主演の日本版リメイクが公開されたが、そちらのタイトルは『22年目の告白 -私が殺人犯です-』
リメイク元の原題と邦題を変化させて組み合わせたような題になっている。ただしこちらはアクション要素をバッサリ削った完全なサスペンス・スリラー仕立て。
また、ノベライズ版は劇中の告白本「私が殺人犯です」と全く同じ装丁という凝り様だったが、「22年目の告白」の部位が余分になってしまっている。

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

原題:「Edge of Tomorrow」

桜坂洋のライトノベル『All You Need Is Kill』を原作としたハリウッド映画。
ビートルズの『All You Need Is Love(愛こそはすべて)』をもじった原作の題名が文法として間違っているからかは定かではないが、
英題では「明日の境目」といったような意味の題へと変更となった。
そのため「大きく変更された映画の邦題」であるというよりは「大きく変更された日本作品の英題」である。

また海外ではソフト化の際に更に改題され、公開時のキャッチコピーでもあった『Live Die Repeat(生きる、死ぬ、繰り返す)』となった。

『聖闘士星矢 The Beginning』

原題:「Knights of the Zodiac」

車田正美の伝説的少年漫画『聖闘士星矢』のハリウッド実写版。
原題は「十二宮の騎士」を意味しており、元々海外翻訳版の漫画ではそちらの名称で親しまれていた。
Netflixで配信されている3DCGアニメシリーズのタイトルが『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』であるのが顕著な例だろう。
日本でも邦題が発表される前までは『ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック』表記が用いられていたが、流石に聞き馴染みがないからか日本題の『聖闘士星矢』表記となった。
なお、内容はカシオスを倒して聖衣に認められるまでの第1話の内容を中心に再構築したもので『The Beginning』の名に恥じないものとなっている。

『世界一キライなあなたに』

原題:「Me Before You」

障害者の自殺幇助・安楽死を扱ったラブコメディの作品。原題を直訳すると「あなたの前の私」。
原作はJojo Moyesの小説「Me before You」。この小説の日本語タイトルは『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』であったが、映画化された本作の邦題はなぜか変更された。

『ロード・オブ・モンスターズ』

原題:「MONSTER ISLAND」

メガシャークシリーズなどのB級サメ映画メーカーとして(サメ映画やB級映画マニアの間でだけ)有名な映画会社アサイラムが製作した便乗系モンスタームービー。いわゆるモックバスター。*37
便乗先はゴジラシリーズ好きが見れば一目瞭然。ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(以下KOM)である。
日本向けパッケージの構図に至ってはKOMのパッケージをあからさまにパクっている。
しかし原題は「MONSTER ISLAND」であり、KOMとは一見無関係に見える。
そのため日本の流通会社の手によって邦題だけKOMの便乗タイトルに変えられたのかと思いきや、ちゃんと作品そのものも狙ってKOMに便乗して作られた映画である。
なのであからさまにKOMをパロった邦題のほうがむしろこの映画のメタ的な意味での本質を表す題名と言える。
ただ内容は怪獣が二体出てきて対決するという以外はKOMとの共通点はほとんどなく、怪獣の王(ロード)を決める戦いというわけでもないため作品内容を表した邦題かというと微妙なところである。
ちなみに原題のモンスターアイランドとは怪獣が住む島という意味ではなく作中に登場する島のように巨大な怪獣テングのこと。
映画としてはクオリティはかなり酷いものの怪獣をkaijuと呼ぶなど日本の怪獣映画へのリスペクトが要所要所に見られたりする。

『ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦』

原題:「APE VS. MONSTER」

上述のロード・オブ・モンスターズの続編……というわけでは全くなく、ストーリーも世界観も何のつながりもない別作品。
ただしこちらはKOMの続編であるゴジラVSコングの便乗映画なのでメタ的な意味では続編っぽい存在と言えなくもない。製作会社も制作スタッフも同じだし。
こちらはむしろ原題のほうがゴジラVSコングの便乗映画であることが分かりやすくなっている。
内容も巨大化した猿とトカゲが戦うというもので前作に比べれば便乗先に近い。
しかし日本で出す時は原題そのままだとエイプもモンスターも一般名詞でゴジラVSコングの便乗作品だと分かり辛くなってしまうのでやむを得ず前作を元にした邦題を付けたのだろう。
ちなみに日本版パッケージには「勝った方が怪獣の王(ロード)となる」と書かれているものの、別に猿とトカゲは王の座をかけて戦うわけではないのでやっぱりロード・オブ・モンスターズという邦題は内容とは一致していない。
副題の地上最大の決戦についても明らかに盛りすぎと言わざるを得ない。映像がショボいのと怪獣たちの出番が少なすぎてとても地上最大の決戦とは言い難い。
しかしB級怪獣映画だと即座に伝わるという点では適切な副題と言えるかもしれない。

『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』

原題:「Angst」

オーストリアで起きた殺人事件を題材に描いた猟奇映画。あまりにも衝撃的な内容から公開からまもなく、この映画はヨーロッパ全土で上映禁止になり日本でもビデオ販売のみとなった曰く付きの作品。
長らく封印状態であったが2020年に公開され、邦題も『アングスト/不安』となった。
内容を現したタイトルであったが、おそらくネタバレになり過ぎるためタイトルが戻されたものと思われる。

『真夜中のカーボーイ』

原題:「Midnight Cowboy」

ニューヨークの喧騒と海千山千に翻弄される2人の男の奇妙な「友情」を描いた、アメリカンニューシネマを代表する一作。
序盤の主人公と娼婦の濡れ場シーンで、テレビに『ウルトラマン』が映っていること、そして爆笑問題の太田光が敬愛する映画の1つで、20年以上続く彼らのラジオ番組『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)の名前の由来としても有名。

原題を見れば分かるように本来なら『真夜中のカウボーイ』となるはずなのだが、製作会社の日本法人で当時宣伝部長を務めていたこれまた水野晴郎が「都会的な雰囲気を演出したい」ということで、都会の象徴としての「(car)」を使ってこのような邦題になった。
しかしこの「カウボーイ」というのは主人公・ジョーが単にそのような格好をしているだけに留まらず、彼が渇望する「男らしさ」、ひいては彼が抱えるトラウマ兼潜在的な欲望のメタファーでもあり、映画のテーマをズバリ表したキーワードであることを考えると少々本質から逸脱してしまった邦題であることは否めない。

ちなみに『爆笑問題カーボーイ』だが、最初は『爆笑問題カウボーイ』と、元ネタからすれば間違った表記で放送されていた。
このミスは太田の指摘により、1ヶ月で修正されている。






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最終更新:2024年03月27日 20:29

*1 原題は英語で「凍った・氷で覆われた」といった意味。邦題は主人公2人を指している。なお原作に当たるアンデルセン童話の原題「Sneedronningen」は「雪の女王」という意味である。

*2 原題は物語の核心に関する重要な鍵を握る主人公の曾祖母の名前。邦題は主題歌の曲名にして、本作のテーマの一つである「故人を想い忘れないこと」を指している。

*3 ベイマックスに関しては「原題に比べヒーロー物である事が分かりにくい」との批判もあるが、これはあたかも医療ロボットによるハートフルな物語のように喧伝した国内向けのプロモーション全体に問題があるため、邦題に限った話では無い。

*4 ZOMBIE

*5 しかも『マッハ!無限大』に関しては原題を見れば分かる通り『トム・ヤム・クン!』という別の映画の続編。主演も同じくトニー・ジャーなので余計にややこしい。

*6 映画の基になったフォッシーの自伝も同じ原題であり、こちらは直訳した『霧の中のゴリラ』のタイトルで邦訳が出ている

*7 例を挙げると『Under Sandet(砂の下)』→『ヒトラーの忘れもの』、『Kongens nei(国王の拒絶)』→『ヒトラーに屈しなかった国王』等

*8 本作がキャメロン・クロウ監督の4作目であることに掛けている。

*9 「stalk」は「(獲物を)密かに追う・付け狙う」という意味があり、「stalker」は元々「狩人」を指す。そこから転じて「狩猟場の案内人・管理人」になり、更に転じて単に「案内人」を指す言葉になった。漫画『アウターゾーン』やアニメ『機動武闘伝Gガンダム』でも案内人という意味で使われている。犯罪行為の「ストーカー(ストーキング)」はごく近年使われるようになった言葉である

*10 ちなみにバトロワの余談として、原作者は当初英語読みの「バトル・ロイヤル」にするつもりだったらしいが、仏語好きの友人が『バトル・ロワイアル』と呼び、その語感を気に入ったことで敢えて間違った読みへ改題したと言われている。同作の大ヒットにより間違った読みの「バトル・ロワイア(ヤ)ル」も浸透し、映画『シリーズ7/ザ・バトル・ロワイアル(原題:Series 7: The Contenders)』や、ゲーム「ガンダムバトルロワイヤル」等にも使用されている。

*11 カタカナでロイヤルと書かれると王室関連(ロイヤルファミリーなど)を想像する人もいるため、それを避ける目的もあったかもしれない

*12 ……というか原題からして「何の警告もなく」襲ってくる宇宙人を指しているのに、このタイトルでは意味が真逆になってしまう。

*13 実際にはサレンバーガー機長に形式通りの対応をした上でその技量を称賛し、その行動が正しかった事を証明した

*14 XXXはかつてアメリカの成人映画に使用されていたレーティングを意味する

*15 「さらば」の二人の先輩芸人みなみかわが前日に見た映画『さらば青春の光』と『復讐するは我にあり』のどちらかからコンビ名を選べと言われたため、消去法でこちらにしたとの事。因みにみなみかわは後にスーパー3助(現・「にゃんこスター」)と共に「復讐するは我にあり」のコンビ名で2022年のM-1に出場している。

*16 こちらのプロジェクトAは原題でもその名なのだが、こちらは「パクられないようにギリギリまで仮タイトルで制作していたところ、せっかくだしこれを正式タイトルにしようぜ」というノリで決まったもの。

*17 単に「ZOMBIE」とされている場合もあり。

*18 ゲーム『サイレントヒル』に登場する看護婦リサ・ガーランドのモデルとしてホラーマニアには有名。

*19 一説には、前作が思いの外振るわなかったのが理由とも。

*20 原題は主人公の名前。変更後のDVD帯には「時代に便乗して、こんな邦題をつけてしまい、大変申し訳ありませんでした」の謝罪文が添えられている。

*21 「飼い主と一緒に家族旅行で訪れたアミューズメントパークで、たまたま遭遇した悪人を撃退する」という内容

*22 使用されるミニもBMCからBMW製の現行車に変更されており、車両サイズも日本の5ナンバーギリギリまで大型化している(現行では3ナンバークラスにまで拡大済み)。

*23 実際日本でも声優ユニット「スフィア」を吹き替えに起用するなど、オタク向けの売り出し方をしている。

*24 主人公たちの乗っている飛行機がセスナ機ではないことと思われる。

*25 こちらの正確な表記は「愛のうた」である。

*26 「俺たち人間にいいものなら野菜にもいいだろ!」と思ってる。そして普通の水はトイレで流すためにあるものだと思ってる。うーん、おバカ

*27 ショートCMはさらに吹っ切れており『ターミネーター』のテーマに合わせて「アオッテンジャネェ…♪」と歌わせたり、緊迫のカーチェイスシーンで『天国と地獄』を流して競馬風の実況を入れたりしている。

*28 当時の香港は英国領だったので、公開時には広東語の他に英題も付けられた。

*29 真偽は不明だが、元々この作品は指輪物語のパロディだった、という説もある

*30 しいて関連する要素を挙げるなら劇中の人物が「イムホテップ」という過去作品での経験を元にしたクラブを経営しており、序盤の舞台となるくらい

*31 『パイレーツ・オブ・カリビアン』などが有名。

*32 なお、日本では劇場未公開。ソフト以外ではテレ東で何回か放送されたくらい。

*33 第2弾はやはりこの2作とは全く関係のない『沈黙の要塞(原題:On Deadly Ground)』。

*34 実際、日本語は複数形を厳密に扱わないので、原題をカタカナに直しただけでも複数形の「s」を省略して発音させないケースは結構ある。(例:特撮人形劇『サンダーバード』は、原題はOPのテロップ『Thunderbirds』や原語ナレーションの「サンダーバーズ ア ゴー」からもわかるように複数形。)

*35 原題はゲーム起動時に表示されるメッセージが元ネタで、劇中でも同様の演出がある。

*36 原作小説の日本語版タイトルは当初からこちらに近く、タイトルは『007 ロシアから愛をこめて』と微妙に異なる。

*37 モックバスターとはメジャーな映画作品に便乗して同じようなテーマや紛らわしいタイトル、パッケージで制作・流通し、消費者にメジャー映画と勘違いさせて購入数を稼ぐ商法および映画作品のこと。