デハ1200形

デハ1200形



製造初年 1998(平成10)年
製造メーカー アルナ工機
車輌定員 75名
全長 10,790mm
全幅 2,240m
全高 3,800mm
車両重量 13.8t
駆動方式 TD平行カルダン式
制御方式 GTO-VVVFインバーター制御
出力 60kw×2
台車 住友金属FS-559
在籍両数 5両

 姫澄市内線最盛期には14両が所属した狭小道幅路線用の専用車、姫澄市内線デハ620形
電車であったが、活躍路線の一つであった上小路線の廃止後は車両数は半分にまで数を
減らし、小型ゆえに他線区での運用もままならないことから専ら狭小線の武家町線専用車
として運用されていた。
 武家町線は現在でも沿線に江戸時代の町並みを残した線区で、戦後の道路拡幅工事が
遅れ、その間に都市景観条例と文化遺産保護条例が成立したため、道路の拡幅もまま
ならない、姫澄旧市街に実にありがちな狭い小路を走る路線のために、現在でも他線区の
車両が入線できない状況が続いているのだ。
 だが、特定線区用の専用車両というものは基本的に頻繁には新製されないものであり、
この武家町線に限っても同じことが言えたのである。武家町線は平成の世になってもデハ
620形の天下が長く続いていた。
 しかしデハ620形も製造から40年以上を経過し設備類が陳腐化、また軽量車体工法を
用いたため車体の劣化が激しく、更にこの頃には当たり前となっていた冷房搭載が困難な
欠点を有していたのである。
 このためデハ620形の置き換えはサービス面からも、車体面からも必須となりつつある
状況となり、その置き換えのために製造されたのがデハ1200形電車であった。

 置き換え車とは言うものの実際はデハ1500形の増備や、能登北線の補修工事、駅前線の
センターポール化などで姫電全体でも出費がかさんでいたために、少しでも費用を抑える
ためにデハ620形の更新車という事になっており、流用できる部品はほぼ同車のものを
流用するにいたって居る。
 車体は前年登場のデハ1500形をベースにした軽快風のボックス車体であり、特徴的な
側窓のアール処理もそのまま受け継がれている。
 とは言えデハ1500形からの変更点も多く、車体が縮小されたのは勿論のこと、スペース
を有効活用すべく中扉が折戸に変更される、前照灯が角型から丸型に変更されるなどの
外見上の違いが一目見ただけでも散見される。
 裾を大きく絞ったデザインの恩恵でデハ620形より少しだけ車体が延長されており、乗車
定員が増えたという恩恵もあった。

 最も特筆すべき点では、車体下部の省スペース化と省メンテナンス化のために本車では
種車の抵抗制御ではなくVVVFインバーター制御を用いていることである。
 冷房用電源のSIV搭載と抵抗器の両立は通常の車両ならばできなくはないが、なにしろ
狭小路線用に設計された本車ではスペース的に不利が生じ、無理に両立させれば抵抗器
からの発熱による悪影響を他の機器に与えかねないという懸念があり、そのために電源用
のSIVと走行用のVVVFインバーターをワンセットにして搭載する方式を採用したのである。
 そのため従来の直流モーターが使用できなくなり、走り装置もわざわざ新造。翌年登場
となるデハ1100形と共通の台車とモーターを使用することとなったのである。
 車内はデハ1500形に準じているがカーテン設置や三段ステップの装備などが行われ、より
洗練された内装に切り替わったのである。
 塗装にはティラミス塗装と呼ばれる市内線新塗装を用いているのだが、1204号と1205号が
2002(平成14)年の全検終了時にデハ620形の桜色塗装に切り替わるなどしている。

 1998年の登場以来2年かけて5両のデハ620形を置き換えているが、運行形態の整理によって
運用に余裕が出て、残り2両のデハ620形の置き換えは撤回されており、そこで増備が
打ち止めとなった。
 現在5系統は本車の独壇場となっており、軽快車ながら姫澄の武家屋敷街によく似合う
調和のとれた車体はほぼ全ての日に姫澄駅などで見ることができる。

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最終更新:2013年01月25日 16:40
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