真・仮面ライダー 序章

登録日:2011/04/06 Wed 23:21:15
更新日:2024/03/21 Thu 18:30:57
所要時間:約 5 分で読めます





仮面ライダー生誕20周年記念作品


画像出典:真・仮面ライダー 序章
©東映・東映ビデオ・石森プロ



「変身」への挑戦


真・仮面ライダー 序章(プロローグ)』は仮面ライダー20周年を記念して作られたオリジナルビデオ作品*1である。

概要

1989年9月『仮面ライダーBLACK RX』終了から3年ぶりの仮面ライダーは、エロとグロが満載(特に後者)で、ストーリーが全体的に暗い。
そしてOV媒体なためか徹底した「大人向け特撮」となっているが、児童向け雑誌では紹介されていたこともあるらしく、当時の読者が本作を気になり購入してトラウマになったとの報告もある。

原作者の石ノ森章太郎曰く「真の仮面ライダー」「仮面ライダー0号」であり、石ノ森本人もキャストとして出演しているなど、原作者肝煎りの企画だったことがうかがえる。

企画当初は『仮面ライダーZX』同様の雑誌展開も視野に入れたものとなっており、石ノ森氏の息子である小野寺丈氏による準備稿も執筆されていた。
一方で石ノ森氏も「ガイア理論」をテーマとした『仮面ライダーガイア』シノプシスを用意しており、その時の構想を基に小野寺氏と宮下隼一氏も参加して脚本執筆が行われた。
また、Vシネマ『女バトルコップ』で培ったノウハウを利用した仮面ライダー作品を作ろうという話も持ち上がるなどの紆余曲折の末、現在の形になったという。
続編は3話もしくは5話を想定したシリーズ化の予定だったが、悲しいことに未だに序章で終わったままである。
公式曰く、今のところ今後も続編を製作する気は一切ない模様。

別に外見や内容が理由でビデオの売上がマズかったわけではなく、むしろ好評だったがゆえに劇場作品として制作することになり
続編案もあったものの、せっかくの劇場作品なのだから新しいライダーでやろう、ということで、もっと一般受けする『仮面ライダーZO』に企画が変更された。
さらに翌年には『ZO』の続編企画を発展させた『仮面ライダーJ』の制作にも結果的に繋がり、ZOとJも纏めてネオライダーと呼ばれることが多い。
……人気が出ずに打ち切られる作品は数あれど、人気が出たために打ち切られてしまった作品は本作くらいのものであろう。

劇伴を担当したのは宇崎竜童、和田薫、羽毛田丈史、松浦善博の4人。オリジナルサウンドトラックでは主題歌である『Forever』・バンド・シンセサイザー・オーケストラの4つのカテゴリに分けられており、それぞれ宇崎氏・松浦氏・羽毛田氏・和田氏が担当。
特に和田氏は、本作と同年の『宇宙の騎士 テッカマンブレード』以降アニメの劇伴を担当することが多くなった。また、本作の和田氏の劇伴を聞けば、テッカマンブレードの劇伴が本作のものに寄せていることがお分かりであろう。

ちなみに続編では真が仮面、スーツ、バイクを手に入れて仮面ライダーとなっていく姿を描いていく予定であり、原作者のラフデザインも描かれていた。
その課程で正式なライダーとなり、「仮面ライダーガイア」と名前が変わる予定だった。
この名前は小説作品『仮面ライダーEVE-MASKED RIDER GAIA-』に流用され、『ZO』の企画段階の名前や『仮面ライダークウガ』以前に別企画のタイトルとして制作されるはずだった名前にも使用されている。

余談であるが、後に様々な平成ライダー作品を担当する白倉伸一郎は本作がライダーシリーズの初参加である。

そして2022年、遂に生誕30周年を迎えた。


◆あらすじ

オートバイレーサーの風祭真は父の研究を手伝っていた。
しかし彼は底知れぬ違和感を抱いていた。
実は彼の体には「財団」による改造が加えられており…


◆登場人物

本作の主人公。25歳。城南大学体育学部出身のオートバイレーサー。
過去に事故を起こして研究を断念していた父大門を励ますために自ら被験者を志願したが…。
詳細は該当項目参照。

  • 明日香愛(演:野村裕美(現・のむらゆみ))
真の看護人。23歳(媒体によっては24歳)のISS職員。
財団の指示で真の監視を命じられていたが、そのうちに彼に惹かれていく。
裸を出してシャワーを浴びたり、プールで真と一緒に全裸で泳いだ事で話題になった。
予告編ではさらに裸で抱き合うシーンがあったものの本編ではカットされた。裸のシーンがあると聞いた時は石川氏も驚いた。
主人公の恋人が実は敵のスパイというシチュエーションは『仮面ライダーX』と同じ。

  • 風祭大門(演:石濱朗)
真の父親。臨床免疫工学の権威。氷室に騙され、「財団」のサイボーグソルジャー開発計画に加担してしまうことになる。
計画において重要な人物であったため、真の子を身ごもった愛と共にニューヨークの本部に送り込まれることになっていたが、真によって救出される。
しかしその直後、真とともに財団のヘリコプターによって再度捕らわれてしまう。
主役ライダーの父親が改造手術に関わるのは『仮面ライダーX』の神敬太郎博士と共通。

  • 氷室巌(演:原田大二郎)
一見温和な紳士に見えるがその実冷酷無比な悪党。
該当項目参照。

  • 豪島(演/安藤麗二(現:アンドレ))
氷室の部下で、財団に敵対する者を密かに暗殺していた。
該当項目参照。

  • 鬼塚義一(おにづかぎいち)(演:片岡弘貴)
改造兵士の研究に携わる科学者。
該当項目参照。

  • セーラ・深町(セーラ・ふかまち)(演:塚田きよみ)
CIAのコマンドチームの女性指揮官。28歳。
財団への調査を進める中で真と出会う。
任務には忠実で、鬼塚を輸送するトラックへの攻撃他の非合法活動においては現場で部隊を指揮するところからその有能さが窺い知れる。
しかし自分の目前で異形の姿に変身するなど財団の秘密と関わりが深い真への対処では、危機から救われることもあってか非情になりきれない面も見せる。


◆余談

制作当初のプロットとしては「仮面ライダー」シリーズを見て育ったライダーオタクが、夜な夜なコスプレをしてヒーローごっこをしている内に、本当の事件に巻き込まれるというものだった。

しかし、その当時では「大きなお友達」という概念すら無かった時代であり、当然当時のプロデューサーである白倉伸一郎に却下されてしまった。
そうして白倉氏によって提案された「より原点回帰的な作品」を目指す事となり本作が生まれたのである。

……そして26年後、月刊ヒーローズにてその遺伝子を受け継ぐかのような作品が登場するとは誰が予想出来ただろうか?
ある意味、石ノ森章太郎の目は遥か時代の先まで見通していたのかもしれない*2





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最終更新:2024年03月21日 18:30

*1 作られたのは21周年だが。

*2 余談だが、御大の萬画版『Black』で、バトルホッパーは「仮面ライダー」シリーズのファンが作ったバイクとなっている。