南アフリカ共和国

登録日:2011/08/03(水) 14:55:03
更新日:2023/12/13 Wed 14:45:58
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南アフリカ共和国はその名の通りアフリカの最南端に位置する共和国。
面積は約120万平方キロメートル、人口は約5100万人。

元々黒人のさまざまな民族・集団が暮らしていたところに、17世紀ごろからオランダ人が入植してケープ植民地が成立する。
ナポレオン戦争でフランスがオランダ本国を占領したため、海上航路保全のためにイギリスが占領、後にオランダから正式に譲渡されてイギリスの植民地となる。
これに反発した現地のオランダ系住民(アフリカーナー)は未開の内陸部を切り開いてイギリスから独立した国家を作るも、二度のボーア戦争の末にこれらの国家はイギリスの植民地となり、1910年にほぼ今と同様の領土の南アフリカ連邦が成立。
1930年代に入って段階的に主権国家としての体裁を整えるも、第二次大戦後に後述するアパルトヘイトを巡ってイギリス連邦から離脱し、南アフリカ共和国と改称した。


このように国の成り立ちからして白人や黒人等様々な人種が混在している為に、国の内情は少し複雑である。

例えば、公用語。
日本であれば在日朝鮮人やアイヌ民族であっても日本語で意志の疎通は可能だが、南アフリカは多民族国家の為に、公用語が11もある

だから自国の正式名称も、
Republic of South Africa(英語)
Republiek van Suid-Afrika(アフリカーンス語)
IRiphabliki yaseNingizimu Afrika(ズールー語)
IRiphabliki yeSewula Afrika(南ンデベレ語)
Rephaboliki ya Afrika-Borwa(北ソト語)
Rephaboliki ya Afrika Borwa(ソト語)
IRiphabhulikhi yeNingizimu Afrika(スワジ語)
Riphabliki ra Afrika Dzonga(ツォンガ語)
Rephaboliki ya Aforika Borwa(ツワナ語)
Riphabuiki ya Afurika Tshipembe(ヴェンダ語)
IRiphabliki yaseMzantsi Afrika(コサ語)

とバラバラ。

国歌もコサ語→ソト語→アフリカーンス語→英語と4つの言語で歌われているが、
「自分の部族じゃない歌詞なんか覚えらんない。特に白人の部分の歌詞はイヤ」という声も多い。

また首都も、日本のように殆どの国が一つ、稀にオランダのように首都が二つ(アムステルダムとハーグ)ある国もあるが、
この国は司法(ブルームフォンテーン)、立法(ケープタウン)、行政(プレトリア)の3つに分散している。
日本を含む諸外国は大使館をプレトリアに置いている。

さて、皆さんは南アフリカと言えば何を思い浮かべるだろうか?
2010年のサッカーW杯でブブゼラが鳴り響いた光景も記憶に新しいが、
やはりアパルトヘイト治安の悪さという二大マイナスイメージが付きまとうのではないだろうか。ちなみに、アフリカで数少ない同性愛者を保護しており、またアフリカで唯一同性結婚を認めている国である。
また、ラグビーではニュージーランドと並び世界屈指の強豪・スプリングボクスとして名を馳せている。
特に1995年に地元開催となったワールドカップでの優勝劇はクリント・イーストウッド監督の映画「インビクタス 負けざる者達」の題材となり、当時のチームを率いていた主将であり、現在もラグビー史において伝説的な英雄として多くの選手の尊敬を集めるフランソワ・ピナールの名と共に世界的に知れ渡る事となった。

そもそもアパルトヘイトというのは仲が悪かった……というか、先に植民していたオランダ系白人と後になってやってきたイギリス系白人の格差を是正するため黒人を犠牲にする法律だったらしい。
この政策と無数の法律により黒人は居住地や職業、教育を筆頭に生活において著しい制約を受けた。
その結果、白人地帯は美しく文明的な都市だが、黒人地帯は荒れ果てたスラムという生き地獄が続いた。
ちなみに同様の人種差別的な政策・法律はローデシア(今のジンバブエ)などでも行われていた。

国内での反対運動の高まりや海外からの経済制裁その他の圧力、冷戦崩壊といった世界情勢の変化もあり、
黒人に対する隔離政策であるアパルトヘイトは1994年に撤廃され、無事に南アフリカを国際社会に復帰させたが、
その間に教育を受けていない黒人がまともな職に就ける筈は無く、貧困から犯罪に走る者が増加。
前述のプレトリアやヨハネスブルグは瞬く間に犯罪都市へと変貌した。

…が、地元の若者達や行政の改革により僅かながら治安は改善傾向にある。

もっとも、これらの地域を興味本意でブラブラ出歩くなんてもってのほか。外務省のホームページや現地の情報はきちんと入手しましょう。
何より安全の確保が第一という事をお忘れなく。

ケープタウンの近くには欧米のセレブが多数訪れるビーチリゾートが存在する。
多くの高級ホテルが立ち並び、特に歴史的経緯からイギリスからの客が多い。

科学水準もレベルの高い研究機関はいくつか存在し、新型コロナウイルス(COVID-19)では「オミクロン株」を発見した。
しかしこのために南アフリカとのビジネストラックを切断する国が続出したり、「感染拡大地域から平気で遊びに来る欧米の金持ち」がウイルスを行き来させて各国でパンデミックを再拡大するなど南アフリカの方が結局大迷惑を被る羽目になっている。


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最終更新:2023年12月13日 14:45