ハーピィの羽根帚

登録日:2012/07/29(日) 10:37:17
更新日:2024/04/14 Sun 18:54:57
所要時間:約 20 分で読めます




《ハーピィの羽根帚》とは、遊戯王OCGに存在する魔法カードの1つである。

通常魔法
(1):相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。


概要

【OCGの概要】

相手フィールドの魔法・罠をすべて破壊する強力な魔法。
サンダー・ボルト》と共に双璧を成す除去カードである。
裏表を問わず相手フィールド上の魔法・罠だけを破壊できるという恐るべき威力を持っている。
第1期から存在する古参カードであり、プレイヤー間での知名度は高い。

大嵐》の上位互換に相当し、かつては多くのデッキで両方とも採用された。
魔法・罠という抵抗手段を奪う関係上、こちらを先に使用した後に《サンダー・ボルト》で相手の場をがら空きにするという戦法が良く使われた。

羽根帚と《大嵐》の存在から罠のガン伏せにはかなりのリスクがあるのは言うまでもない。
全体除去とは環境に存在するだけでプレイングを拘束してくるのである。
逆に、相手が強気に何枚も伏せてきたら《神の宣告》《スターライト・ロード》《大革命返し》などがあると見て間違いないだろう。
他には《メタモルポット》や「アーティファクト」の可能性も考えられる。

初出はゲームソフトの特典であり、昔はかなり高価なカードだった。
スターターボックスを買えば確実に手に入った《サンダー・ボルト》とは違い、こちらはGB版DMIIの特典カード。
しかもランダム封入なので、苦労して購入したところで手に入らない事ことも多々あった。
この辺りの流れは《ホーリー・ナイト・ドラゴン》参照。

その後、PREMIUM PACK5にてイラストを変えて再録された。
こちらも9種類の中から6枚とランダム性はあったが、単価が300円で総カード数が少なかった事もあり、入手はかなり楽になった。
また、同じくDMII付属カードでPREMIUM PACK5に再録されたカードには《死のデッキ破壊ウイルス》《鎖付きブーメラン》《硫酸のたまった落とし穴》がある。

こうして入手難易度は下がっていったが、このような強力カードが無制限である筈はなく、
00年4月1日より準制限カード、直後に制限カードとなる。
そして04年3月1日で初めて禁止カードが制定されると、即禁止入りとなった。

当時の環境はカード1枚分のアドバンテージが非常に重視されており、
相手の魔法・罠のみを一方的に破壊し尽くすこのカードの存在は非常に理不尽なものだった。
王宮の勅命》が使えたとはいえ、序盤で羽根帚を喰らうと相手のモンスターへの対抗手段の大半を奪われるため、そのまま敗北することも多かった。

ちなみに《サンダー・ボルト》は準制限を経る事なく即制限化した。

下位互換と言われる《大嵐》も制限と禁止をよくうろついているので、羽根帚の禁止が解かれる事は無いだろう。

監獄の中から遊戯王OCGの環境を見守り続ける長老である。





【まさかの制限復帰】

……と、思われたが2015年1月に《大嵐》と入れ替わる形で制限カードに緩和された。
《大嵐》との2枚体制は危険と判断されたのだろう。

同時に復帰した《混沌帝龍-終焉の使者》《王家の神殿》《死のデッキ破壊ウイルス》はいずれもテキストの改正で弱体化されていたが、
このカードはまさかのエラッタ無し。

度重なる環境のインフレで、1枚だけなら戻って来ても問題ないと判断されたのだろうか。
それにしても、自分のカードまで破壊する《大嵐》が禁止をして、こちらを制限に復帰させるのは異例の事態であった。
実質的な下位互換を禁止にしてまで上位の性能のカードを制限復帰させるというのは遊戯王のみならず、他のTCGを見渡しても稀である。

しかし。当時は《大嵐》で自分の(魔法カード扱いの)ペンデュラムモンスターを破壊して張り替えたり、デメリット効果を打ち消したりする動きができたりと、一概に《大嵐》が下位互換とは言い切れない時代になりつつあった。

もっとも、直後の15周年記念パックのDMのカードを収録したパック「決闘王の記憶 栄光の断片」で闇遊戯、武藤遊戯にの両方に唯一同時収録、
かつ公式サイトでも露骨に収録されてることをアピールしてたので商業上の都合の可能性もあるだろうが。

DMII版・side:闇遊戯のイラストは紫色の背景で《粘着テープの家》の様なカードを掃こうとしている。何故かモンスターカード枠になってるが。
PREMIUM PACK5版・side:武藤遊戯は掃いた直後で、カードがどこかへシュゥゥゥッー!!されている。背景は赤色。

ともあれ、突如として必須カードの入れ替わりが発生したため、多くのプレイヤーは「決闘王の記憶」を買いに走り、すぐに完売となってしまった。
限定生産のパックだったために再販もあまり行われず羽根帚の値段は高騰していった。

初出がゲームゆえに「BEGINNER'S EDITION」での再録がなく、《サンダー・ボルト》や《ブラック・ホール》と異なり元々の流通量が少ないのも問題であった。

デッキを複数持つプレイヤーを泣かせ、新規参入のハードルを上げてしまった点については批判されてしかるべきだろう。

その後、2015年12月19日に発売された「MILLENNIUM PACK」で再び収録され、相場は落ち着きを取り戻した。
16年12月発売の「20th ANNIVERSARY PACK 1st WAVE」でも再録されている。

《大嵐》よりも気軽に使え、自分のP召喚を阻害しない点は大変ありがたいので、未だ魔法・罠の除去カードとしては最高クラスの性能を誇る。
永続魔法や罠を多用するデッキでは以前にも増して全体除去への警戒が必要となっている。

ただ、ゲームの高速化はますます激しくなっており、通常魔法ゆえの遅さがネックになる場面すら出てきている
近年の環境では、後攻で使用することを想定して、メインデッキよりもサイドデッキに投入されてことが多くなった。
先行で引いてしまうと実質的に手札が一枚減った状態になり、相手ターン中での妨害に使えないこのカードよりも、
《ツインツイスター》《コズミック・サイクロン》《砂塵の大嵐》などが優先されることも増えてきている*1
また「自分のフィールドに表側表示のカードが存在しない」というやや重い発動条件こそあるものの、手札を捨てない《ライトニング・ボルテックス》もしくは《ハーピィの羽根帚》のどちらかを選んで発動できる《ライトニング・ストーム》もその対応力の高さからデッキによっては羽根帚より優先されやすい。
魔法・罠を伏せないデッキも一定数存在するため、そのようなデッキとの相性によってはいずれのカードもあえて搭載しないことも考えられる。
何にせよ大会のような真剣勝負の場では採用理由を明確にしたうえでデッキに投入したい。


なお「ハーピィ」の名前を持つが、ハーピィをサポートするカードはモンスターを指定していたために特に意味はなかった。
しかし、初登場から13年以上経ち発売された「LORD OF THE TACHYON GALAXY」にて
《ハーピィ・チャネラー》と《ヒステリック・サイン》が登場するで意味を持つようになった。
前者は手札コストにできるだけだが、後者のカードを使えばサーチできてしまう。

ハーピィ使いならぜひコンボを堪能してみよう。


【原作での活躍】

原作では勿論ハーピィ使いである孔雀舞が使用した。舞は少なくとも2枚を所持・投入している。
原作ではハーピィ・レディが居なければ使えず、使用ターンは戦闘できないという制約があるという必殺技カードに近いカードだった。
その代わりモンスター含む相手のセット状態のカードを全て破壊できたため、状況によってはOCGよりも強力かもしれない。
OCGでもハーピィ・レディがいないと使えない制約等があったならば、原作効果でも禁止化はしなかっただろう。
アニメ版バトルシティ編では、舞曰く「罠カードとしては最高のレアカード」だという《銀幕の鏡壁》*2を差し置き、
アンティ対象となる舞のデッキの最高のレアカードとして扱われていた。


ちなみに原作では《ハーピィの羽根》であった。

OCGだとたけかんむりの無い「帚」なので、検索の際は気をつけよう。

アニメでは原作になかった舞vs杏子戦とドーマ編での城之内vs舞でも使用されてる。
この他、意外にも城之内が使用したこともある。
ただ実物を所有しているわけではなく、電脳世界でデッキを構築する際に舞の力を借りるという意味で投入した物だが。

以後、長らく禁止だったからかアニメにも出なかったが、制限復帰後の遊戯王ARC-Vで看守へのリアル魔宮の賄賂として久々に登場した。
看守もレアカードと言って驚いてる辺りシンクロ次元でも価値は高いようだ。

またエクシーズ次元でも侵略前のカイトがデュエル・スクールでのデュエルで使用している回想シーンが流された。
前作ZEXALでも「月の書」などを使っていたので使用自体は違和感がないが、代わりにユートに温かさを持っていたとか言われながら、
ZEXALでもエンディングくらいでしか見せていなかった爽やカイトの状態で使用していることに笑いを禁じ得ない……かもしれない。


現役時代のゲームだとOCG非OCG関わらず、後半の敵は皆《サンダー・ボルト》と共に標準装備している。
また、TF4の元キングが使う禁止デッキに至っては3積みされている。


【関連カード】

  • グリフォンの翼
《大嵐》と同じBOOSTER7で登場した罠カード。
効果は相手が《ハーピィの羽根帚》を使った場合、こちらの破壊を防いで相手の場の魔法・罠カードを全て除去する。

初期にはよく見られたピンポイントすぎるメタカードの1つ。
登場した時点ですら既に魔法無効のカウンター罠カードの《マジック・ジャマー》があったので、存在意義は微妙だった。
そして《ハーピィの羽根帚》の禁止化に伴い、《サンダー・ボルト》メタの《避雷針》や《強欲な壺》のメタの《壺盗み》等と同様に、存在意義が0と化した。
禁止が解除された今でもほぼ存在意義がないとか言うな

第1期と第2期で1回ずつ登場しただけなので、ある意味レアカードではある。

何故グリフォンがメタカードに描かれているかは10年以上謎だったが、
CROSにて本カードのグリフォンがモンスター化した《幻のグリフォン》というバニラが登場し、そちらのテキストでこの謎は解決された。

  • グリフォンの羽根帚
第3期の「暗黒の侵略者」で大量に登場したリメイク・パロディカードの1枚。
こちらは逆に自分の魔法・罠を全て破壊して、破壊したカード×500のライフポイントを回復する。

性能については…ぶっちゃけ《非常食》の存在が痛い。
そちらは任意の枚数を墓地に送る事が出来て尚且つ1枚辺りのライフ回復量が1000ポイント、しかも速攻魔法である
墓地にカードを送れないという限定的な状況で無い限りはそちらが優先される。

一応、ペンデュラムカードに対して使えるというのは非常食にはないメリットだが、
回復の効率が悪く、サクリファイス・エスケープに使えないのでは採用は厳しい。

アニメDMではライフゲインカードや永続魔法を大量に使用する没落貴族……もといジークが使用、
三女神を自ら破壊し1500ライフを回復した。
ライフ4000ルールでは馬鹿にならない回復量であるが、使用したデュエルでは対戦相手の海馬が件の《非常食》を使用してしまっている。
劇中の様に三女神を自分で破壊する使い方を前提に、一度の回復量を優先したのだろうか。

  • ハーピィの羽根吹雪
第9期の「20th ANNIVERSARY PACK 1st WAVE」で登場したサポートカード。
「ハーピィ」モンスターがフィールドにいれば手札から発動可能な罠カードで、風属性鳥獣族がフィールドにいる場合、ターン終了時まで相手のモンスターの効果を封じる強力な制圧効果を持つ。
さらに相手の効果で魔法・罠ゾーンのこのカードが破壊されると羽根帚をデッキまたは墓地から手札に加えられるが、制圧効果が非常強力なため、サーチ効果の方は正直オマケと言っても過言ではない。

第10期の「IGNITION ASSAULT」にて突如現れた風雲児。
こちらの場に表側表示のカードがあると使用できないデメリットがある。
…が、その効果はなんと《サンダー・ボルト》(攻撃表示限定)or《ハーピィの羽根帚》の効果を選択して使えるというもの。
使用条件が特殊なため気軽に積めるカードではないが、2枚目以降の羽根帚として積めるという時点で破格だろう。


アニヲタの羽根帚
通常魔法
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最終更新:2024年04月14日 18:54

*1 一部のデッキを除いて大量の魔法・罠カードをセットするデッキが減った影響もあり、1~2枚破壊できれば十分という場面が増えたこともある。

*2 OCGでは毎ターン維持コストとして2000LPを要求するが、原作効果ではそれが無いため、「発動条件なし・ノーコストで相手モンスターの攻撃力を半減させる永続罠」という恐るべきカードとなっている。