身延線

登録日:2013/03/21(木) 22:08:23
更新日:2023/04/04 Tue 13:00:41
所要時間:約 4 分で読めます




身延線(みのぶせん)は富士駅と甲府駅とを結ぶJR東海の鉄道路線である。
路線記号はCC

概要

富士山と富士川の間に位置し、中央西線飯田線に並ぶ貴重な中部日本の縦を結ぶ路線である。

元は富士身延鉄道という私鉄だったが、当時実施されていた国有化運動の流れ*1もあって1941年に国鉄に買収された。
この経緯から、平均駅間距離は2.3kmと都市部のJR線並に短い。とはいえ、差が0.9~5.7㎞とバラツキが見られる。
全線電化されているものの、複線区間は富士~富士宮間のみである。
地形に恵まれた両端以外は線形は25‰の勾配と半径200mの急曲線があり、特急ですら速度が50km/h程度になる事もあって極端に扱いの落差が激しい。

運行形態

優等列車として特急「ワイドビューふじかわ」が一日7往復程度運行されている。
普通列車の運転本数は

富士~西富士宮…毎時2~5本(東海道線への直通も一部あり)
西富士宮~鰍沢口…1~2時間に1本、1日15本前後
鰍沢口~甲府…毎時1~2本

となっている。

使用車両

前身の富士身延鉄道に作られたトンネル断面積が非常に小さいことから、国鉄時代にはパンタグラフ部分を低屋根化した新車及び改造車が専用で導入されていた。
JR東海発足後に導入された電車は、全形式がこの路線を走行可能なように設計されている。

現在の車両

▼373系
特急「ふじかわ」で使用。
昔は普通でも使ってました。

▼313系2300番台・2350番台・2600番台・3000番台・3100番台
普通列車で使用。
2両編成と3両編成があり、2両編成の3100番台はワンマン運転対応車。またロングシートかクロスシートかの違いもある。

▼211系6000番台
東海道線直通電車のみ。
富士~西富士宮間で使用。

▼383系
お召し列車用車両で、定期列車としては使用されない。

過去の車両

▼123系40番台・600番台・5040番台・5140番台
余剰となっていた郵便・荷物車や牽引車から改造された単行電車。
富士山を模したカラーリングから「富士ポニー」の愛称がつけられた。
冷房改造によって改番されるまでクモハ123-45という車両も存在した。

▼115系2000番台
1981年に旧型国電置き換えのために導入された。
ワインレッド*2にアイボリーホワイトの帯という身延色を纏い、地域カラーの先駆けとして話題を呼んだが、JR発足後に湘南色へ塗り替えられた。
1998年に開通70周年を記念して1編成が身延色に塗り替えられたのだが、出場した車両を見たファンも職員も何かがおかしいことに気付いた。
これ、身延色じゃない……。
なんと塗装を担当した工場の職員がプレスリリースに書かれていた「ぶどう色の電車」という一文を勘違いして茶色に塗ってしまったのだ。
古い鉄道職員の間でぶどう色といえば茶色のぶどう色2号の事であり、果物のブドウの色とは思わなかったのだ。なお塗装ミスのまま2日間運行して工場に再入場し、ワインレッドに塗り直された。
そしてこの塗装ミスの姿をTOMIXが限定品形態でNゲージ化している。

▼165系
急行富士川に使用。特急格上げ直前にはヘッドマークを掲げて運転していた。

▼62系(2代目)
旧型国電で、1974年に身延線のみに導入された。
元々は通勤形電車の72系だったが、大規模な更新工事を行い車体が当時増備されていた113系1000番台と同じものとなった。
そのため見た目は新車だが台車は旧型、走り出したら吊りかけ音という魔改造ぶりが光るものだった。
1984年に全車が運用を離脱し、1986年に廃車*3
同じ72系の更新車を更新した103系3000番台と異なり、新性能化は実施されなかった。更新した車体の板厚が薄く、老朽化が予想以上に進行していたのが理由。
運用離脱後は富士駅構内に留置されており、実際の解体はJRに入ってからのことだった。
なお、先頭車1両が佐久間レールパークでカットモデルとして展示されていた。

主な駅一覧

CC 00富士
東海道線乗り換え。富士市の代表駅。

CC 01柚木
駅のすぐ北で東海道を跨ぐ。そのため高架駅で、雄大な富士山を北側に望める。

CC 02竪堀
県立富士高校最寄駅。そのためか利用も1000人を超える有人駅。

CC 03入山瀬
駅前の公園にD51がある。

CC 04富士根
保線車両の車庫があるため、駅規模と比べて敷地が少し広め。

CC 05源道寺
普通の地上駅…と見せかけて一部分が川の上にある。

CC 06富士宮
富士宮市の中心駅で身延線の単独の駅では最も乗降客の多い駅。全列車停車の直営駅。
日蓮宗総本山である大石寺の最寄駅の為、年に数回臨時団体列車が運行されている。
昔は山のように運行していたが、とある事件をきっかけに1991年以降大幅に減少した。
その理由は…お察しください。
ここから先は単線。

CC 07西富士宮
ここで運転系統が分断されている。ここから先は登山客しか見かけなくなる。駅番号とTOICA利用可能エリアはここまで。

▼沼久保
1日平均乗降客13人と身延線の静岡県内にある駅では最も少ない。
高浜虚子がこの駅に降りた際、俳句を2首歌ったらしく俳碑がある。

▼芝川
富士方面から一部列車が折り返す。

▼稲子
ここまでが富士宮市内の駅。

▼十島
山梨県最南端の駅。

▼井出
牛山氏の全国秘境駅ランキング178位。
身延線唯一の秘境駅ランキングに入っている駅。
それでいて沼久保駅より4倍近く乗降客多いのは、富士川を挟んで対岸の南部町役場のある集落からの利用があるため。

▼内船
南部町の中心駅で全列車停車。漫画・アニメ「ゆるキャン△」のヒロインの一人・各務原なでしこの家がある。

▼身延
身延町の中心駅でこの区間の数少ない有人駅。全列車停車駅で、一部列車は当駅で折り返す。
日蓮宗総本山である身延山久遠寺や南アルプスがある為、賑わっている。

▼塩之沢
沿線随一の桜の名所。

▼波高島
nakedではない。ここもゆるキャンの聖地の一つ。

▼下部温泉
全列車停車。2012年まで有人駅だったが、今は半分無人駅(土、日、月曜日のみ有人駅)

▼甲斐常葉
漫画・アニメ「ゆるキャン△」の主要メンバーが通う高校のモデルとなった旧下部中学校の最寄り駅となった事で、聖地化。本栖高校への案内看板もある。

▼久那土
県立峡南高校最寄り駅。

▼甲斐岩間
市川三郷町六郷地区の中心駅で、全列車停車。

▼鰍沢口
市川三郷町内の駅だが、駅名にもなっている富士川町鰍沢地区へのアクセス駅で全列車停車。
2012年まで有人駅だったが、今は無人駅。
四尾連湖の最寄り駅。
ここから甲府盆地に入るとともに運転本数が再び増加する。

▼市川大門
特急が停まるのに永らく無人駅だったが現在は簡易委託化。ここも市川三郷町内の駅だが富士川町増穂地区へのアクセス駅となっている。
ただし毎年8月7日に開かれる神明の花火大会の時のみ券売機が出来る。
昔は特急は隣の市川本町駅に停車していたが、町が新駅舎を新築する見返りに停車するという恩恵を勝ち取った。

▼市川本町
役場などがある市川三郷町中心部に近い駅で、かつては急行が止まっていたが、現在は特急にスルーされている。市川大門と1kmも離れてないからか。

▼甲斐上野
母音が全国の駅名で唯一「アイウエオ」の並び(KAIUENO)になっている。

▼東花輪
特急停車駅。中央市の駅で一番利用が多い。

▼小井川
この辺りでリニア中央新幹線と交差する予定だが、残念ながらそちらの駅は近くに併設されない見込み。

▼常永
つねねが、と見せかけて「じょうえい」と読む。イオンモール甲府昭和や山梨大学病院などの最寄り駅。

▼国母
昭和町の駅だが甲府市境と近く、両方からの利用がある。

▼甲斐住吉
ここから甲府市内の駅。周辺にはいくつかの高校があり、その生徒で賑わう。

▼南甲府
全列車停車駅。車両基地があり、イベント時には甲府方面から当駅で折り返すことも。
駅舎は国鉄に買収される前からあるもので、歴史が長い。

▼善光寺
甲斐善光寺の最寄駅なのに無人駅で何にもない。有名な方の善光寺と間違えて来る人もいる…かもしれない。
中央本線との分かれ目近くに駅がある為、ホームから中央本線の列車を見る事ができる(ただし中央本線にはホームがないので乗り換え不可)。
中央本線酒折駅も徒歩圏内。

▼金手
駅周辺に歴史のある寺院が多い。
目の前に中央本線の線路が並行しているが、あちらにはホームがない為乗り換えはできない。
ちなみに「かねんて」と読む。

▼甲府
中央本線乗り換え。
当駅のみJR東日本の管轄で、身延線ホームの駅名標のデザインはJR東日本スタイルだが、ラインカラーはJR東海のオレンジ色なのが特徴的。
山梨県の県庁所在地である甲府市の代表駅。駅は舞鶴城こと甲府城の敷地を横断している。

追記・修正宜しくお願いします。

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最終更新:2023年04月04日 13:00

*1 運賃が非常に高くなっており、国有化すれば全国一律運賃になり値下げとなるため。

*2 正確には国鉄指定色の赤2号を指し、特急車両の窓回りや50系客車の車体等に使用されていた。

*3 廃車まで間が空いたのは、他社から譲渡の打診があったからとされる。