H&K G36

登録日: 2011/08/02 Tue 12:24:29
更新日:2024/03/07 Thu 05:28:52
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諸元
全長 999mm
重量 3.63kg
口径 5.56mm×45
装弾数 30
発射速度 750発/分
発射形式 S/F/3
開発 H&K(ドイツ)

●開発の経緯 
1970年代、冷戦の最前線だった西ドイツはG3の後継銃としてG11に期待するも、G11は期待外れに終わり、NATO弾は5.56mm×45へと更新されてしまう。
冷戦後も仕方なくG3を使うものの、共同作戦時にはFA-MASを使う事を余儀なくされ、H&K社を急かす。
名誉挽回したいH&K社は冒険を控え、既存技術で信頼性の高い「HK50」を開発し、1996年に「G36」として制式採用された。


●特徴-1 
G11での「冒険でしょでしょ」を反省し、信頼性の向上に力を入れて開発された。
  • 土に埋めても軽く土を払った程度で射撃が出来る。
  • 10分程度なら水没しても射撃に支障なし。耐用試験では30分でも大丈夫だったとか。
過酷な条件下でもバリバリ動くとのこと。

内部構造もローラーロッキングによるディレイドブローバック(反動利用式)から一般的なターンボルトロッキングによるガスオペレーション(ガス利用式)に変わっており動作不良も格段に少なくなり、「ジャムを死語にした」と言われている。


●特徴-2 
銃全体にグラスファイバーとポリマーの複合材を多用している。ストックはスケルトンかつフォールディングストック。
マガジンは残弾数を確認しやすくする為にプラスチックを使い半透明に仕上げた。かつ、クリップなしでマガジン同士を連結*1出来るようになっており、弾倉の交換が素早くできるという利点がある。

光学照準器は二つあり、下段が3倍スコープでキャリングハンドル後部に内蔵されている。上部はリフレックスサイトだったが、不評の為現行型ではピカティニーレールに置き換えられている。
現行型も旧型も暗視装置が付けられる。


●疑惑? 
2012年、アフガニスタン派遣のドイツ軍兵士から「銃身が加熱したときに弾が逸れる」との苦情が寄せられていたことがメディアによって報道され、2014年にはG36の発注が停止されている。

当初ドイツ国防総省は「特定のメーカーの弾薬においてメタルジャケットの厚みにばらつきがあり、その影響で異常加熱が起きたもの」としていたが、この件に関する諸報道*2を受け改めて調査を実施。
2015年に「銃本体に欠陥がある」という発表がなされ、軍と国防総省がH&Kに17万挺を改修するよう求める訴訟を起こすに至った。

2016年、これに対してH&Kは反対訴訟を起こし、裁判の結果勝訴。「G36は軍の要求する仕様・性能を満たしている。補償の必要はない」とする判決が下されており、一応の決着がついた。

実際弾がバラけるのかについては、H&Kは最初から「連射すれば弾はバラけるもの。そもそも銃身加熱時の命中精度は軍の要求にない」といった旨の主張もしており、
同時に「弾薬メーカーが悪い*3」「H&Kの信頼を失墜させるための謀略だ」とも発言しており不明瞭なままとなっている。

色々な憶測が飛び交っているが、アフガニスタンの高温環境下で連射した結果のオーバーヒートや、G36自体がすでに採用から20年前後になるため樹脂の変質・劣化を疑う声もあった。が、構造的に軽量化した事が仇となってしまったのが有力である。

いずれにせよH&K HK416が登場すると要請を受けたアメリカからは色々裏切られたが欧州の特殊部隊を席巻、GSG-9KSKもG36シリーズを順次置き換えていった。


●主なバリエーション 
  • G36K
短銃身版。Kはドイツ語で短いという意味のKurz(クルツ)から。

  • G36C
Kよりもっと短い。CompactのC。

  • MG36
二脚を付け、ドラムマガジンにも対応した軽機関銃版。所謂分隊支援火器。

  • SL-8
競技用のサムホールストックモデル。
SFチックでカッコいい。


●登場作品 
ガン=カタに目を奪われがちだが、最初から最後まで登場。

  • Phantom(アニメ)
最終話でツァーレンシュヴェスタンが使用。

マオが使用。



  • 西部警察(2004スペシャル)


G36Cが登場し、プレイヤーを含むSAS隊員が使用。特にギャズが愛用している。
何故かロシアのテロリストの中にも所持している者がチラホラ。

アサルトライフルカテゴリにG36C、ライトマシンガンカテゴリにMG36が登場。
どちらもリロードが早いという特徴がある。
PMCや義勇軍の兵士が使用している。


●採用実績 
ドイツ連邦軍
対テロ専門部隊GSG-9を含む国境警備隊
スペイン軍
フランス国家警察(REID、GIPN)
フランス国家憲兵隊特殊介入部隊(GIGN)
イギリス警察
オーストリア、ノルウェー、フィンランド、ブラジル、ヨルダン、etc…

イラク派兵やPKO、対テロ作戦や凶悪犯逮捕作戦に実戦投入されている。ロサンゼルスSWAT等の一部部隊ではあるがMP5から突入装備として配備が開始されている。

寒冷地から砂漠の国まで採用しており汎用性と信頼性の高さがうかがえる。


●余談・豆知識・補足 
ローラーロッキング??
ボルトアクションを見ると分かりやすいが、あれはボルトを引いて弾薬を薬室に入れたら再びボルトを押しこんでロックする。中に物をしまったら鍵をするのと同じこと。
この動作を自動でやっているのが自動拳銃や小銃である。
このロックする(薬室に鍵をかける)方式に色々ある。ローラー〜とかターン〜がそれ。


エアガンでは、東京マルイが(CとK)を販売しています。使い勝手はなかなか良く箱出しでも十分な強度はあり、インドアでもアウトドアでもオールOKな一品。また、社外パーツもそこそこ豊富に出回っており、フルサイズのG36やMG36等の再現も簡単に出来ます。




追記修正よろしくお願いします。







画像出典:「能美クドリャフカ3」
作者:たはるコウスケ氏
url:http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=24335348

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  • 3点バースト
  • 5.56mm

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最終更新:2024年03月07日 05:28
添付ファイル

*1 ジャングルスタイルというもの。二つの弾倉をテープでぐるぐる巻いているのは無改造で出来ない為の処置。二つがくっ付いているので交換が早い。しかし、予備の方は内部が露出するのでジャムの原因にもなる。

*2 ドイツ連邦軍技術研究所が「長時間連射した場合の銃身の加熱が原因」と報告していたことが発覚するなど

*3 もちろんこの発言に弾薬メーカーもブチギレた。