冒険の書

登録日:2011/10/24(月) 17:00:00
更新日:2024/02/07 Wed 18:30:12
所要時間:約 5 分で読めます




冒険の書』とは、ドラゴンクエストシリーズセーブデータのこと。
復活の呪文システムに代わりDQ3から登場。
SFC版および携帯ゲーム機版はカセット一つにつき3つ、PS~PS2版はメモリーカードの数×15個くらい。


ただし、外伝作品(特にDQM)は一つのみという作品も多く、ナンバリングではDQ9が一つのみとなった。

また、DQ7では、冒険の書同士で移民の街の移民が交換出来た。

バトルロードではデータ記録用のカードが冒険の書として販売されていた。


そして冒険の書を語る上で欠かせないのが……。


♪デロデロデロデロ……
おきのどくですが
ぼうけんのしょ 1ばんは
きえてしまいました。

♪デロデロデロデロ……
おきのどくですが
ぼうけんのしょ 2ばんは
きえてしまいました。

♪デロデロデロデロ……
おきのどくですが
ぼうけんのしょ 3ばんは
きえてしまいました。


▶ ぼうけんのしょをつくる


……( ^ω^)


FC~SFC時代では、カセットを起動するといきなり呪いのBGM&全く同情しているように見えないメッセージが流れ、冒険の書が消えるということが多々ある。
それもちょっとやそっとじゃなく、頻度はかなり高い


ひとたびこれを喰らおうものなら数時間~数十時間のプレイデータが水の泡。
思い入れのある仲間モンスターに貴重なドロップアイテムといった思い出は二度と帰ってこない。
多くのプレイヤーは怒りが沸くよりも絶望に打ちひしがれ、トラウマを植え付けられたという。
おまけにDQ5やDQ6のSFC版に至っては、ちょろっといつものメニューの音楽が流れてから、データが飛ぶ為(テロッテ…デロデロ(ry)、恐怖感が倍増。

データ消失が頻発する理由

メッセージ上では「ぼうけんのしょは きえてしまいました」と表示されるが、これは厳密には正確ではない。

ROMカートリッジ時代のドラクエには「ソフト内部の破損データの存在を感知してソフト側で自動削除する」というプログラムが組まれている。
何らかの事情で発生した破損データを放置しておくと、他のデータやプログラムそのものにも悪影響を及ぼしかねないためで、これはその対策として組み込まれたもの。
したがって、「おきのどくですが」のメッセージ演出とともにデータが消えてなくなった場合、実際には「データ自体が消えてしまった」のではなく、「ソフト側がプログラムに基づいてデータを消去した」ということなのである。
(このメッセージと演出が一切起こらずにデータが消えた場合は、「プログラムによって消された」のではなく、本当の意味で「データが消えてしまった=初期化されてしまった」ということなので、どうしようもない。
保存していた全てのデータがなくなった場合、起動直後に「ぼうけんのしょをつくる」の一文がぽつんと表示されるだけである。)

ここまでなら純粋な配慮で済むのだが、
プログラムの誤作動で読み込み失敗した際にも「データに異常あり」と判断されデータ消去のプログラムが実行されてしまう」という大きな問題があり、ちょっとした要因でデータが故意に消されまくる自体が頻発する羽目になった。これこそがみんなのトラウマの原因だったというわけである。
プレイ中に本体やROMカセットに触れてしまったり、電源がつくまでロムカセットの抜き差しを繰り返したりなどで物理的な負荷を与えてしまった場合や、リセットボタンを押しっぱなしにせずに電源を切った場合*1には高確率で発動してしまう。
それどころか、一切負荷を与えないよう注意していてさえ普通に消失が起こったりと、非常なまでにデリケート。

このように、ゲームデータ保持のためにわざわざデータ消去のための処理を組み込んでいるため、消えやすいのはある意味、必然的なことなのである。
万が一の配慮があだとなったいい例といえよう。
せめて即削除ではなく、メッセージを挟んでデータ消去の実行の可否を問いかけるようにしてくれたらよかったのだが……

プログラマーの中村光一は「音楽が鳴り終わってからデータを消すようプログラムした」と回顧しているため、音楽が鳴っても怯まずに電源を落としてカセットを抜き、端子の汚れを拭き取ればデータが復旧する可能性は充分にある。
SFC時代になると「テテッテ(ryデロデロ…」の流れになる際に真っ黒なウィンドウが先に出る分かりやすい兆候が発生するため、猶予が若干伸びている。
(ちなみにFC版4「削 除 が 終 わ っ て か ら デ ロ デ ロ が 鳴 る 」という真逆の形に仕様変更されているため、この手段をとっても無駄である)
ただし、本当の意味で最初からデータが壊れていた場合はいくらこれを試して無駄であるし、無理なリセットによって無事だったはずのデータまでは損してしまいかねないので、あくまで賭けと考えて、やたらに試さないようにしよう。


まとめ

この現象は良くも悪くもプレイヤーの心に強烈な印象を残し、今なおDQの風物詩として語り継がれている。
しかしハードがPSに変わった7以降は殆ど見かけなくなり、今の子供達がこのトラウマを体験しなくなったのは嬉しくもあり悲しくもあるという複雑な気分である。

余談

  • PS系統はソフト内記憶ではなくメモリーカード式であり、DS版は接触不良の概念が無いので一応発生はするが確率はかなり下がっている。
    • ただし、PSシリーズの場合、メモリーカードに破損データの自動削除機能は存在しないため1度データが破損するとそのデータはそのまま消すことができなくなる。放置しておくと他の正常なデータに悪影響を及ぼしかねないので、早急に別のメモリーカードに避難させて、そのカードは処分しよう。こう考えると、自動削除機能の存在も決して意味のない仕様だったと言い切れないだろう。

  • DQ10ではアイテムとしても登場している。もちろんカテゴリはだいじなもの。
    • 最序盤の他プレイヤーのいる所へ旅立つことになるタイミングで手に入れることになる。当作がネトゲである故に、自動的に記録されることも同時に説明される。
    • なお、とあるメインストーリー部分で頼まれてこの所持している冒険の書を手渡すことになるのだが、その時主人公は上記の呪いのメロディーとメッセージと共に記憶を失ってしまう。
    • その後すぐに冒険の書は返してもらえ記憶も戻ったものの、長時間なくすとどうなるかは不明。それ以外にもこれを破った人が自分の名前すらも忘れたりなど、特別な物として存在している節がある。
    • ちなみにwiiのドラゴンクエスト1・2・3の、3で冒険の書を作ろうとしている段階でゲームを終了すると……。

  • ドラクエシリーズとのコラボが通例化しているいただきストリートではパロディ演出が存在。13番のチャンスカードを引いてしまうと、呪いのジングルとともに破壊神シドーやら、全滅画面のスクショやら、燃え上がるお城やらとにかく不吉な画像とともに、お店の価格をすべて13%ダウンしてくる。さすがにいただきストリートの特性上すぐに復帰できるため、実態としての被害は思ったより少ないが、それでも呪いのジングルは心臓に悪すぎる。


  • 開発者曰く、メッセージ表記があのような極めて淡々として無機質なものになったのは、「こうも誤削除が頻発するとは想定外で、人の目にはそうそうつかないだろう」という考えだったかららしい。



まことに 残念ながら
壊れた冒険の書が 見つかりましたので
冒険の書9337は 追記修正されました。

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最終更新:2024年02月07日 18:30

*1 もともとファミコンのROMカセットはバックアップの搭載を考慮した設定になっていないため、リセットボタンを押して通電を遮って回路への負担を遮ることがデータ消失を防ぐ手段だった。