蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT

登録日:2009/08/02 Sun 16:37:08
更新日:2024/03/06 Wed 23:25:18
所要時間:約 5 分で読めます






そのときあなたがいてくれたから



2005年12月29日にテレビ東京他で放映された約1時間のアニメ。


■概要

TVアニメ『蒼穹のファフナー』の前日譚となる内容。
タイトルの『RIGHT OF LEFT』には「去りゆく者の権利」という意味が込められている。
が、このアニメを最後まで見てみると、単語に別の意味を見出せたりもする。

監督はテレビと同じく羽原信義、脚本はアニメ後半を手掛けた冲方丁が続投。

平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭審査員会推薦作品を受賞。
けど、そんなの関係なしに良い作品だと思うよ!


■楽曲

イメージソング「DEAD SET」
挿入歌「果て無きモノローグ」
主題歌「Peace of mind」
これら全てをangelaが担当している。どれも良曲である。
EDの「Peace of mind」は主人公・ヒロイン両者のテーマであると言われ、視聴者の涙腺を崩壊させる。
おそらくは本作にて「ファフナーと言えばangela」が完全に確立したものと思われる。そして後にギネス世界記録へ…… 

■内容

時系列的にはTVシリーズ本編から1年前の物語。
人類軍フェストゥムから追われていた竜宮島は、フェストゥムに発見される危機に瀕していた。
戦闘準備もままならない竜宮島は危機回避プランとして「L計画」を発動させる。
「L計画」の参加者38名の中には、8人の中学生が含まれている。


それは、過酷な2か月の始まりであった―――――



■登場人物--

  • 将陵僚(まさおか りょう)
CV:宮野真守
本作の主人公。生駒祐未とは幼なじみ。
両親は既に他界しており、家族は飼い犬のプクのみ。
持病として母親由来の肝臓の病気をもっており、長時間行動することができない。遠見医院に通院しており、翔子とは顔見知りだった。
とくにこれと言った欠点のない好青年だが、病気の影響もあってやる気がないように見える。病気による死への恐怖は抱えてはいるものの、希望を常に持ち続けるという意思の強さもあって厭世的な訳ではない。
中学では生徒会長を務め、自分の居場所をくれた竜宮島に恩返しする為に「L計画」に参加する。
パイロットとしての適性は、竜宮島のパイロットの中では尋常ではない同化耐性の高さを誇る代わりにシナジェネティック・コード形成値が低い。
中の人は本作での演技力を高評価され、後に某ロボットアニメ主役に抜擢された。

  • 生駒祐未(いこま ゆみ)
CV:甲斐田裕子
本作のヒロイン。中学生だが、発育は歳不相応にイイ。まぁファフナーの女子はみんなそうだが
母親は既に他界し、家族は父親のみ。
その父親も寝たきりで、父親の世話や家事を全てを1人でこなす。
中学では生徒会副会長を務め、持病のせいでさぼりがちな僚をサポートする。
父親が突然死した後、彼女もまた「L計画」に参加する。パイロットとしてはシナジェティック・コード形成値が高い代わりに同化耐性が低い。

CV:喜安浩平
蒼穹のファフナー本編の主要登場人物。
中学では義姉である蔵前果林とともに、生徒会書記をつとめ、僚や祐未と面識がある。
Alvis総司令皆城公蔵の息子であり、島の秘密と世界の現状を知る人間。
新型ファフナー・ノートゥングモデル「マークアイン」のテストパイロットであり、「L計画」には参加しない。
しかし、ファフナー搭乗時に過去に失明したはずの左目が見えてしまうことを受け入れられず、パイロットになることを断念。
本編でジークフリードシステムでサポートする役に徹する理由はこれである。
当初は「前線で戦わず、後方の安全地帯から、今回の父のように絶望的な戦いに仲間を送り出して犠牲にしろというのか」と反発するも、後述の言葉を受け止めた事でジークフリードシステムへの搭乗を決意する。
パイロットとしては一騎に次ぐポテンシャルの高さを誇るらしく、ティターンモデルへの搭乗に18時間耐えられるらしい。
そしてそのポテンシャルや変性意識は『EXODUS』で証明されることになった。

  • 蔵前果林
CV:木村亜希子
TVシリーズに登場するも、1話で日野恵と共に死亡した可哀想な子。
(名前の由来が、蔵(格納庫)の前で果てる、ことであり名前が死亡フラグ。実は中の人が何気に変更されていたり)
しかし、今作では彼女の人となりが補完されている。
皆城公蔵の養子で、総士の義姉。
生徒会書記であり、僚や祐未と面識がある。特に、僚に好意を抱いている描写がある。
総士と同じく、新型ファフナー・ノートゥングモデル「マークツヴァイ」のテストパイロットであり、「L計画」には参加しない。
L計画完了後に僚たちを、総士と共にノートゥングモデルで迎えに行く約束をする。
本作では数回マークツヴァイに搭乗し、同化現象の初期症状である目の赤色化を発症*1。これ以降、人前では特殊偏光レンズのメガネを着用するようになる。
本編でもよく見ると眼鏡を取った後に目の色が変わっている。

RoL作中ではいかにも「シリーズの重要キャラ」的な感じで演出されており、
本編を知らないままRoLを見てその後第1話を見ると某種でラスティでなくがいきなり死ぬような衝撃を味わえる」らしい。
月刊シリウス版のコミックスではRoLを前提として彼女の人となりが描写されており、多大な犠牲を裏で払っていることさえ知らず平和を謳歌する他の子供達に苦々しい想いを抱いていたことが分かる。

  • 生駒正幸
CV:永井誠
祐未の父親。病身であり、発声障害も患っているのか基本的に機械音声で会話をしており、祐未に介護されている。
「L計画」の発案者であり、本人も「L計画」に参加するつもりだった。作中にて病死。
死の直前に「Alvisに行かなければ……!」と自ら立ち上がろうとしており、「L計画」に影響する何らかの重大な事項を察知していたことが示唆される。

  • 村上剛史
  • 立木惇
  • 船橋幸弘
  • 柳瀬徹
  • 柴田小百合
  • 鏑木早苗
僚と祐未の同級生で、ティターンモデルのパイロットとしてL計画へ参加した者たち。
皆、島の希望のためと信じて戦い続けたが、戦い続けるごとに進行する同化現象によって一人、また一人といなくなっていき、最後は絶望に支配されていった。
このうち、鏑木早苗は『EXODUS』以降に登場する鏑木彗の実の姉。

  • 皆城公蔵
CV:中田譲治
Alvis総司令で、総士や果林の父親。劇中では正幸の元に見舞いに訪れており、発動が目前に迫った「L計画」の摺り合わせをしていた。
本編では(設定上)『フェストゥムとの決戦派』で、尚且つ新国連のスパイであるゆきっぺ先生とアヤシい関係(無論公蔵はゆきっぺの正体を知っていた模様)になっていたりと腹黒っぽい人物と見られていた。
だが本作では「犠牲を出さずに島を守る術」を模索する司令官と一貫して描写されており、L計画も「全員の生還を前提とする計画」だったからこそ承認し、彼ら全員の生還を心から信じていると総士に吐露している*2
つまり『決戦』指向なのもあくまで犠牲を出さずに島を守る現実的な考え方であると思っているからで、史彦達の『共存』指向についても別に否定はしていない。
子供達を犠牲にすることも葛藤や苦悩を抱えており、総司令故に私情を捨てているだけであるという事であったようだ。

今作において、島のコアをフェストゥムに乗っ取られたことを考え、島にある武器をすべて封印する。
これが本編中の自身の死に繋がることに…。
本編での総士はクソ不器用なので表には出さないがほぼ公蔵と同じ考え方をしていたことが本作にて明確に描写される形となった。



他にも本編に登場するキャラクターが少しずつ登場している。

L計画

「L計画」とは、Alvis左翼部L区画を島から切り離して囮にして、フェストゥムによる竜宮島の発見を遅らせるというものである。
作戦期間は2か月。作戦中に逃げ出すことはできない。

計画参加者は、オペレーターや医師等を合わせて38人。
参加者の中には将陵僚、生駒祐未をはじめとした8人の少年少女がいる。
少年たちは対フェストゥム兵器である、ファフナー「ティターンモデル」を駆り、囮となったL区画を防衛する。

フェストゥムの読心能力に対抗するため、作戦の全容は参加者に知らされておらずAlvisでもごく一部の人間しか知らなかった模様。
当時世界中で猛威を振るう、何でもできるフェストゥムが唯一「出来ない」(と言うか殆どの個体が難しい)とされていたある性質が作戦の鍵となっており、
これによって「全員の生還が現実的に可能である」とシミュレートされた計画であった。

■評価

作中には数多の鬱シーンや涙腺崩壊シーンが散りばめられ、中にはあまりの悲しさに涙が出ずにただひたすらに胸が痛いという人もいる。
ファフナーで戦うことの現実は本編よりもキツく描かれている。というか以後の作品に継承された「描写」も多かったり……
しかし、単体での評価は決して低くない。本編はそこまで好きでもないが、RoLは好きだ、という人もいる。


最後の録音を聞き、島で涙しなかったものは誰一人としていなかった。

命のバトンと、小さな恋は繋がった――――――。


追記・修正お願いします。






静かな深海の中


マリンスノーに抱かれて




愛しあった者達は消えて行く




















「以上が、俺たちの戦いだ。」
「これを聞いてくれる奴がいる事を、祈ってる。」

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最終更新:2024年03月06日 23:25

*1 ただし本作や『DA』、及び『HaE』以降の描写からすると初期どころかかなり症状が進んでしまっていると考えられる。「初期症状」という発言が出てくる時点の竜宮島ではこの辺りのデータが不足していたためだろうか。

*2 事実、Lボートに搭載されていた脱出艇の搭乗可能人数は38人となっており、本当に全員の生還を信じていた事がうかがえる。しかし正幸が生前に提示していた作戦参加者達の生存率は極めて低かったと総士に告げており、このシーンの様子から生存率についてはこの時まで1人で抱え込んでいた可能性が高い