SIMPLEシリーズ

登録日:2011/06/20(月) 01:39:24
更新日:2022/11/20 Sun 18:28:21
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「SIMPLEシリーズ」とは、D3パブリッシャーが発売するゲームシリーズのことである。

【概要】


シリーズというよりはある種のブランドのようなもので、低価格を売りとしたソフトの総称。

ゲーム内容を極力シンプルにする、小規模な開発会社に委託する、同人ソフトを買収するなど徹底して製作コストが抑えられており、安く売ることで他の人気ゲームと一緒に買ってもらうことを目的とした。
D3パブリッシャーはゲーム販売専門の企業であり開発部門を持たないため、全ての作品は何らかの別開発会社が担当している。

タイトルは「SIMPLE○○シリーズ Vol.○ THE △△」であらかた統一されいて、△△にはゲームのテーマ(麻雀、ビリヤード、鑑識官など)が入る。

数の多さも特徴であり、全ハード合わせればそのタイトル数は優に400を超える
特にPS用『SIMPLE1500シリーズ』で104タイトル、PS2用『SIMPLE2000シリーズ』で123タイトルと、初登場から全盛期にかけてはそれだけでゲームハードを支えられそうなくらいの物量。


コスパ重視のためかゲームの質はやや不安定で、クソゲー扱いされるゲームもしばしば。

しかし中には多少の粗があってもプレイヤーの心を掴んだり、低価格作品にしては高クオリティなものも割とある。
むしろ低予算だからこそ独自の味が出た作品も多く、そこが受けて続編が作られたり、独立したシリーズに昇格したりする作品も。
『THE タクシー』や『THE 原始人』のような地味にハマるゲーム、『THE 大美人』のような強烈なバカゲーなど、語り甲斐のある作品もしばしばだが出て来る。

そんなSIMPLEならではの体験や大量のソフトから名作を見つけるお宝探し感に魅入られ、SIMPLEシリーズを専門に遊ぶようになったゲーマーはシンプラーと呼ばれている。

ちなみにタイトルが「THE △△」という形式なのは、安かろう悪かろうというイメージを払拭する為につけたものだとか。
逆に安っぽく見えるというのは禁句

【歴史】


2001年からプレイステーションで始まった本シリーズは、ついで買いや衝動買い需要を狙っていた。
そのため、当初は人気の中心ではないジャンルの『THE 麻雀』や『THE 将棋』といった本当にSIMPLEなゲームが中心だった。
現在でも、最も売上本数が大きいのは初代の『THE 麻雀』であり、100万本のミリオンヒットを達成している。

シリーズが進むにつれてゲームのジャンルが増え始め、テーブルゲームやスポーツゲーム中心だったところに変化が表れ始める。
テレビ番組の企画で誕生したものや他社のゲームの廉価版、キャラクター物に手を出したとおもったら実用ソフトやエロゲー、さらにはマイナーゲーの移植も出す。

どこかの人気ゲームの劣化版やバカゲーも出すと、このシリーズだけで大抵のジャンルのゲームが揃ってきた

しまいには『THE 地球防衛軍』というB級映画的アクションシューティングが人気を博したため、ノリと勢い重視のバカゲー方面に突き進み、隠れた良作が徐々に生まれるようになった。

「SIMPLE DSシリーズ」やPSPの「SIMPLE 2500シリーズ」でも良作が多数輩出された。


しかし、PS3ニンテンドー3DSの時代になると、ダウンロード販売の安価なゲームが他社からも普通に出てくるようになり、安いだけなら他にも選択肢がある時代が到来。

3DSの「SIMPLE DLシリーズ」などの展開はあるが、以前のような勢いは鳴りを潜めた。

さらにインディーゲームの台頭で、個性的・独特なゲームという点でもSIMPLEを凌ぐソフトが増え、当初の強みはことごとく弱体化。

Switchでは「THE △△」というタイトルのソフトこそDLで発売されているものの、長らくSIMPLEシリーズの看板を掲げることはないという状況であった。

一方、PS4~PS5で『地球防衛軍5』『~6』『お姉チャンバラORIGIN』が出るなど、SIMPLE出身の人気シリーズには今も展開を続けているものも多い。
Switchでも、Switch登場から約5年となった2022年になって、定番の『THE テーブルゲーム』を皮切りにSIMPLEシリーズの制作を再開。
定番作だけでなく、Vol.3では『THE バスフィッシング』を発売するなど、再興の兆しも見えつつある。

【主なシリーズ作品】


※あくまで一部です

○PS時代~

  • THE 麻雀
PSの「SIMPLE1500」シリーズVol.1。
SIMPLEシリーズの一番手にして最も売れた作品。 唯一のミリオンセラータイトルである。
他のハードシリーズでもVol.1として出ていたりする他、将棋・囲碁等と共に『THE テーブルゲーム』に纏められたりして大抵のハードで登場している。

  • THE キックボクシング
発売時、2chの低価格ゲームスレで「隠れたスルメゲー」とプチ祭りを起こしたSIMPLE1500の主力。
この頃のSIMPLE作品にしては珍しくやりこみ要素も備えており、アクションゲーム好きならハマるかもしれない一品。
難易度はかなり高いので、アクションが得意と言えない人は前身である『THE ボクシング』のほうを推奨。

CV:池田秀一の狙撃手・ハリーを操作し、異様に遅い弾丸でターゲットを打ち抜くFPS。
間違いなくクソゲーなのだが、OP・EDが付いていたりブッ飛んだ3周目要素があったりと妙なところに凝っているため愛されてはいる。
何故か続編も出ている。

  • THE 推理
疑似人格インターフェイスが流行している近未来を舞台とした推理ゲーム。
1話10分ぐらいで遊べる手軽さと、にぎやかな探偵事務所の面子が起こすドタバタ加減がウリ。
『THE 裁判』『THE 鑑識官』『THE 爆弾処理班』と世界観が繋がっていて、一部のキャラが出てきたりする。ピラニア仮面とか。

SIMPLEシリーズの恋愛モノでは人気が高い作品。
原画に稲垣みいこ、企画・シナリオに『ファーストKiss☆物語』の小澤武彦が制作した作品。
「恋愛シミュレーションなのにジャンルは恋愛アドベンチャー」なのはこれいかに。
元々は同人ゲームとして制作していた。

○PS2時代~

SIMPLEシリーズの中でも有名、というかもう別次元の人気とクオリティを誇る作品。
これの存在でSIMPLEへの注目度が上がり、そのあり方自体を大きく変えてしまったといえる。
紛れもない良作だが、現在では『2』のせいでこちらの影は薄い。
詳しくは該当項目へ。

  • THE 地球防衛軍2
未だにSIMPLEシリーズ最高傑作と評される作品。
2100円どころか7100円でも安いと言われる圧倒的ボリュームと爽快感がミソ。

  • THE お姉チャンバラ
ビキニ姿のお姉ちゃんがゾンビを斬りまくるゲーム。
いわゆる無双系に近いが、COOLコンボ・血糊のリロードなどの独自システムが魅力。
地球防衛軍シリーズに続いてフルプライスシリーズ化を果たしており、地球防衛軍に勝るとも劣らない8本のシリーズ作品を輩出している。
実写映画も2作出ている(実質的にVシネ作品だが)。

  • ラブ★シリーズ
「SIMPLE2000シリーズ アルティメット」ブランドで製作されたゲーム群。
D3の定番キャラでもあるグラビアアイドル・双葉理保を主要キャラに迎え、お色気要素を加えたゲーム群が複数製作された。
『ラブ★スマッシュ!』『ラブ★マージャン!』『ラブ★アッパー!』『ラブ★ソングス♪』『ラブ★ピンポン!』『ラブ★エアロビ♪』と、続編も合わせると実に8作も出ている。

  • THE 昆虫採集
不親切、かつ操作性の癖があまりに強すぎたためにファミ通レビュー14点を叩き出した問題児。デス様よりは1点も高い。
しかし癖が強いだけであり、昆虫専門店「六本脚」の監修が入っていることもあって、昆虫のクオリティは非常に高く種類も豊富。
そして登場人物の電波すぎるネタ性を再評価され、スルメバカゲーに落ち着いている。

  • THE 大美人
バカゲー。48mになった我らがアイドル・双葉理保の進攻を止めよう!
仕事選ばないのね、彼女。

  • THE 大量地獄
異種姦好き御用達の一品。
特に蟲にヤられちゃうシチュが大好物な人にはこれ以上ない至高のソフト。
この作品で自家発電出来たあなたは立派な変態です。

  • THE 歩兵
いち歩兵となって戦場に突っ込むTPS。
映画『フルメタル・ジャケット』っぽい…というかまんまパロディの世界観が特徴で、露骨にハートマン軍曹を意識した鬼教官が出て来る。
プレイヤーが主人公に名前を付けると、そこから教官が勝手に「俺がもっと素敵な名前を付けてやる!」と適当なあだ名を付けられてそれがゲーム中の名前になるというあだ名システムを完備。

高校のロボット研究部を舞台にロボットコンテストを勝ち抜くアクションアドベンチャー。
朝アニメをパロったアニメ画のOP、割と豪華な声優陣、意外と本格的なロボット要素、ご褒美的なお色気シーンなど随所に力が入っており、
ギャグの押しの強さが肌に合えば余裕で元が取れるSIMPLE2000時代後期の良作である。
売る気あんのかと思わせるほど地味なパッケージ が無ければもっと評価されていただろうに。

ドリキャスで出した『ジェットコースタードリーム」なるゲームをリメイクしたもの。
開発はびんぼうソフト。ナイスなネーミングである。
インパクトのあるジェットコースターを建設することで遊園地を繁盛させることを目指す変わり種シム。
…だがこのゲームの真価は物理法則を無視したファイナル・デッドコースターをいくらでも簡単に作れるところにあり、過激なコースターを作るたびに
「ゲロ吐いた人」「記憶をなくした人」「行方不明になった人」などの値が増えていくのである。

ざわ… ざわ…

ストーリーを忠実に再現しつつもお遊び要素が加わっており、麻雀部分に粗はあるものの地味に出来が良い。
ファンならやって損はないだろう。

○DS・PSP時代~

  • THE 密室からの脱出
SIMPLEシリーズを代表する脱出ゲーム作品シリーズ。
元は『THE 推理』シリーズのスピンオフとして製作されたが、後に独立したシリーズとなった。
3DSのダウンロード(DL)ゲーム最盛の頃は、SIMPLEシリーズの500円DLゲーム「@SIMPLE DLシリーズ」で15本近くが発売され、中心的な役割を果たした。
製作会社のインテンスもすっかり脱出ゲームメーカーになり、『密室のサクリファイス』のようなフルプライスで気合の入った脱出ゲーム作品も出している。

SIMPLE DSシリーズの中で最も人気が高い作品。
原画に『Black Cyc』の上田メタヲ、シナリオに遠藤正二朗が制作したアドべンチャー。

【以下クソゲー】

  • THE ゼロヨン
SIMPLE1500最凶クソゲーの一角。
真っ直ぐ走るだけのゼロヨン勝負を繰り返し、勝てなくなったら1種類しかない洗車のミニゲームでひたすら金を稼ぐだけのゲーム。
『ゼロヨンチャンプ』から、ゼロヨンの単調さを解消するために入れた数々のバラエティー要素を あらかた抜き去ると本作になる。

  • THE 男たちの機銃砲座
通称「キジュー」
SIMPLE2000の100作記念作がSIMPLEシリーズ最悪のクソゲーに・・・
KOTY2006ノミネート作。

  • THE ゾンビクライシス
↑のキジューと並びSIMPLE最低の出来と言われる作品。
『THE HOUSE OF THE DEAD』のようなレースシューティングゲームなのだが、余りに単調なゲーム性、初見殺しの多さ、演出のショボさと問題だらけ。
全く同じ動きのゾンビがダンスでも踊っているかのように向かってくるシュールさは苦笑を呼んだ。
携帯版KOTY2008ノミネート作。
「ドリフ*1は太陽系から出ていけばいいと思うよ」という迷言を生み出した。


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最終更新:2022年11月20日 18:28

*1 開発会社・ドリームファクトリーの略称。