小野田公顕

登録日:2012/02/04 Sat 22:14:27
更新日:2023/10/05 Thu 17:56:51
所要時間:約 8 分で読めます




小野田 公顕(おのだ こうけん(きみあき))

相棒の登場人物。
演:岸部一徳

誕生日:6月4日
年齢:詳細不明
役職:警察庁長官官房室長 警視監
備考:東京大学法学部卒



season1から登場しているレギュラーメンバーの一人であり、その独特のキャラクターと岸部一徳の演技から高い人気を誇る。
上記の通り警察庁の人間であり、その中でも長官に次ぐNo.2の地位にある(役職自体はフィクションであり架空のもの)。
作中での正式な役職名は「長官『官房室長』」だが、略して「官房長」と呼ばれることがほとんどで、ファンからもこの愛称で呼ばれる。
杉下右京と唯一渡り合える人物。


○人物
普段からかなり飄々としており掴み所の無い性格。右京とはまた違ったタイプの変人。
しかし、その手腕は高く、時には右京を出し抜くことさえある程有能な人物。仕事柄交渉等は得意で大物政治家にもパイプを持つ。
特に年単位の根回しをすることすらある。
本人曰わく、「昔からクジ運は無いが、悪運は強い」らしい。

口癖は「あら?」「~だよね?」「~かしら?」等。

「警察組織や国家にとって利益となるならば犯罪に目を瞑ることもする」という大局的な目で犯罪を見逃すことも許容しているので、
「人命や道徳」を優先する右京とはある意味対極の正義を貫いている。
といっても悪人というワケではなく、組織的な正義の在り方を重視しているだけ。国益や警察組織を守る立場からの違法行為や腹黒さであり、人命をむやみやたらに軽視しているわけでもない。右京とは違う形の正義の人。
なので、右京と対立することもあるが同時に互いの持つ信条を理解してもいる。

犯罪を黙認する場合でも悪人に対しては単に黙認するのではなく、なんらかの制裁を与え実質的な刑務をさせる等、時に冷酷な判断を下すこともある。

警察庁長官の座を狙える位置にもいるが「No.1の人は、ただ乗っかっているだけの人が合ってるんです」(S.5-最終話)と考えており、No.2である長官官房室長のポストから降りる気はないらしい。
しかし、国防に関わる陰謀事件の責任を巡って警察庁長官に辞任を迫るなど、腹の底の読めない人物でもある。

一方で、私生活では極めて和やかであり、コミカルでずぼらな面を見せることもしばしば。
普段いい店で食事している為か一般庶民の扱う自動システムに毎回苦労している。
例えば、右京と二人で話す時に度々回転寿司に行っているが、一度取ったが気に入らなかった皿や、
載っていた寿司を食べた空き皿をレーンに戻してしまう悪癖があり、その度に右京に注意されている。でも言われたそばからまたやる。

右京と違って家庭があり孫も居る。孫からの呼び名は「じいじ」。孫煩悩らしく、孫の幼稚園には小野田自身が車を運転して送迎し、正月等の休日には一緒に過ごす。
奥さんからは高血圧にならないよう食べるものを厳しく制限されている。
そのため、奥さんがいないのをいいことに、自由な食事の機会が来ると妙に庶民的な食べ物を注文しようとする。

若い頃学生運動に参加した経験があるとか。


○作中での役回り
やはり役職だけあって相棒の特色の一つである「政治絡みの話」に登場することが多く、捜査が行き詰まった時等に自分の顔を利かせて特命係に協力する。
内村部長を電話で諌めることもしばしば。また、シリーズ中特命係が廃止された時にはその復活に関与した。
しかし、特命係の単なる支援者というワケではなく、右京達が警察や国家にとって不利益な情報に行き着きそうになると邪魔をしたりもする。
特命係にとっては最大の敵にして最大の味方。
もともと推理が得意なだけあって断片的な情報だけで真相に気付いていることもある。
捜査によって不祥事を暴かれた警察官等を左遷する事も多く、そういう場面での判断は非常に早い。

自分が事件の当事者であることは稀だが、立場上、敵が少なからずできてしまうため狙撃されたり(この時は偶然右京が撃たれた)(S.1-11)、
親しくなった女性が実は父親の面影を求めて中年男性を手にかける連続殺人犯だったり(守備範囲外であったため大丈夫だったが)(S.2-2)と実は結構危うい目にも遭っている。
孫を幼稚園に送迎する途中に偶然死体を見つけたこともある(対応が面倒だったので特命に知らせてトンズラかました)(S.1-5)。


特命係との因縁
実は本編開始以前の警視庁出向中に発生した「外務省公邸人質監禁・篭城事件」(閣下ことクソジジイの関わった事件)において、
特命係の前身である「緊急対策特命係」を組織し、その参謀に右京を任命した人物。
しかし、アメリカ国務長官の来日が近々迫っており、政治的配慮の為に事件解決を急ぐあまり、交渉による人質解放を主張していた右京と対立し、最終的に彼を解任。そして強行突入を指示した結果、人質を含む7名もの死者を出す惨憺たる事態を招いてしまった。
上層部の判断により小野田自身は警察庁に戻ったが、事件の責任を押し付けられる形になった右京は窓際部署に追いやられ“人材の墓場”と呼ばれる現在の特命係が出来上がったのである。

つまりは小野田こそが特命係設立の元凶

この一件から、小野田は特命係そして右京に対して少なからず罪悪感・責任のようなものを感じているらしく、
「自分を殺して良い人間は3人いる。そのうち2人は生き残った隊員、残った1人は右京」と述べている。
(詳細はseason1『右京撃たれる…特命係15年目の真実』を参照)


○人物関係
特命係の主にしてかつての部下。
右京は事件当時のことについて、自分の信条と努力を無下にした上に結果的に被害者を増やした小野田と彼の判断を絶対に許さないとしているが、
それでいて小野田と話をするついでによく一緒に食事に行ったり、利害が一致しているなら互いに協力したりもしており、
敵のようで味方、あるいは友人でもあるような、一言では言い表せない不思議な縁で結ばれている。3代目の相棒となった甲斐享から小野田との関係性を聞かれた時には「友達と呼べるほど親しいかどうかは微妙ですが、長い付き合いであるのは確かです」と答えている。
互いの在り様を理解しているため、敵に回ると相手が天敵となるが、一方で互いの暴走を止めることもある。
右京の“相棒”にも親し気に接する小野田だが、「杉下の正義は、時に暴走するよ」と忠告したことも。(S6.最終回)

特命係であり右京の相棒。言ってみれば「右京に影響を与えた男」。
会う度に冗談を言ってからかったりしているが、自分とは違った立場で右京を動かせる薫を高く評価していた。
最終的に事件の裏事情を彼に伝えた上で、上記の「右京の暴走」に関する忠告を与えるに至った(もっとも薫は考えた末、とことん右京を信じることを選んだが)。

特命係。薫の次の右京の相棒。こちらは「右京の影響を受けた男」。
彼が警察庁から特命に配属された経緯に関与していたが、特命で変化を遂げた彼を「青くなった」と評した。

万年監察官。
警察組織の改革の必要性という面で協力関係にあり、特命係の扱いについて助言することもある。

  • 金子文郎
警察庁長官。上司であり小野田以上のタヌキ。
田丸警視総監と犬猿の仲。

  • 瀬戸内米蔵
法務大臣。長い付き合いらしく退任後にも交流を持ち続けている。
彼が逮捕・収監された後も面会に訪れており、瀬戸内に秘密裏に行っていた自らの計画を打ち明けていたことや、法務大臣と言う立場の視点から計画について相談をしたこともある。

  • 片山雛子
衆議院議員。
彼女とも長い付き合いだが、この2人が事件に絡むとぶっちゃけ恐い…

  • 本多篤人
左翼過激派テロ組織「赤いカナリア」の元大幹部。
学生運動時代に交流があり彼の関わる案件に関与していたが…



○余談
演者の岸部一徳は俳優業に専念する前ベーシストをしており、『太陽にほえろ!』や水谷豊が出演した『傷だらけの天使』の音楽に関わっていた。
水谷は最初そのことを知らず『傷だらけの天使』の挿入歌を話に出したら、実はその曲は岸部が作ったものだったという話がある。

彼の役職「長官官房室長」は架空のポストで、現実の警察庁No.2は「次長」という。
一方で「長官『官房長』」という役職は実在し、これは警察庁No.3にあたる。
(そもそも「長官官房室」という部署自体が警察庁に実在せず、実際にあるのは「長官官房」。)
小野田の正式な役職名はあくまでも「長官官房室長」であり、「官房長」という呼び名はあくまでその略称という設定である。
「作中の役職名の略称」と「現実の正式な役職名」が被っているのでとてもややこしいが、混同に要注意。




○以下、劇場版Ⅱネタバレ要注意






劇場版Ⅱでは盗聴によって得た事件の真相に関わる情報を使い、警察庁が作成した人事刷新案で警視庁幹部の人事に干渉する強行的な改革に出る。
この行為はとある事情から大河内が特命係に情報を渡した為失敗するが、盗聴の事実を明るみに出すことで捜査を妨害。
このことを巡り右京、尊の二人と衝突するが小野田は互いに分かり合えないと判断。
「もういいよね?」と言い車に向かった。





以下、最大のネタバレ



「俺の人生返せぇ!何の為に……何十年も警察に尽くしてきたと思ってるんだ……!」











車に乗る直前、上記の人事刷新案の影響で懲戒解雇処分を受け小野田を恨んだ三宅(当時)生活安全課部長に右京達の目の前で腹部を刺されてしまう。
そのまま倒れ、意識が混濁する自分に懸命に呼び続ける右京に、
「おかしいね…殺されるなら…お前にだと思ってたのに……」
と言い残して絶命。
三宅の凶行に騒然となる現場に、右京の叫びが虚しく響いた…


「かんぼーちょーーーーーーーーーーー!!」


そして小野田の死後、右京は彼の死に報いるため、最後まで自身の正義を貫くことを決意し再び捜査を続けるのであった。



公開当時放送中であったseason9で小野田が登場しないことから一部では退場が予期されてはいたが、
劇場版ラストで死亡するというまさかの展開に衝撃を受けたファンは非常に多く、
亀山の退場の時と同じくこの展開は『相棒』という作品が大きな革命を迎えた瞬間となった。
小野田の退場を受けた話もseason9中に幾つか(『監察対象杉下右京』、最終話『亡霊』など)作られ、
その存在がファンは勿論スタッフにとって如何に大きかったかが解る。

また、season10に入ってからもこれまでの登場人物が度々再登場するなど今後も何かしら『相棒』に革命が起こるのではないかとファンをやきもきさせている。
……そしたら案の定神戸が卒業することになりました。

season12の最終話でも名前だけ登場。
というより、ある意味事件の元凶。ただし、彼なりの正義の元で行ったことであり、とある事件に関する重要な人物を死の危険から守るために、日本では不可能な行為をするために行動しており、もし小野田が行動していなかったら冗談抜きで死体が増えていた。
話の序盤に発覚した1億もの裏金問題に関して右京は「もし官房長が使ったのなら、間違い無く必要な事に使った」と小野田が自身の私欲目的で裏金を使ってないと確信しており、その後に起こった事件によって、刑務所から瀬戸内の依頼を受けた特命係の手によって、その裏金は日本国内で実行不可能な証人保護プログラムを秘密裏に行うために使われたことが明らかとなっている。
官房長の理解者・信頼していた人物にも恵まれたことで、右京すら小野田が作り上げた計画の真相にたどり着けなかった。その際に信頼していた人物から名の読みが「こうけん」でなくて「きみあき」だと明かされた。


season14の正月スペシャルでも言及される。
4代目の相棒である冠城亘も小野田がとある事件で作った特別チームに招集された事が明かされ、小野田と関わりがあったことが判明。
一方、『亡霊』で言い遺した願いは儚く散ってしまった…

season20の第3話にも登場した。
自らの死後、内閣官房長官に任命された鶴田は小野田を慕っていたが、その思想には明確な違いが存在。
実際の実力も、邪魔者を消しすぎたせいで側近が裏切ってしまう事態を招くなど、力に振り回されている印象が強い。その側近が色々破格の人物なのはともかく。
そんなこんなで特命係に追い詰められ、それでもしぶとく小野田の事を語ろうとしたため右京に「手本にしているつもりかもしれないが、あなたは彼の足元にも及ばない」「貴方が小野田公顕を語るなど、虫唾が走る!」と叱責された。
…と、名前だけの登場のはずが、右京のその言葉に気を良くしたのか彼の目の前に亡霊として登場し接触。
流石に見間違えと判断した右京の後ろ姿を、笑顔で見つめながら話は終わった。

…だが生前着用していなかった眼鏡をつけていたり、今までの亡霊と違い霊と断定できる情報がほぼない事から「もしかしたら自らの死を偽装し、裏で動いているのでは?」と一部ファンに噂されている。
単なるファンサービスとしてもそうじゃないとしても、登場するだけで話題になるのは彼らしいと言えるだろう。

season21の最終回sp前後編では、納骨されていた遺骨が盗難されてしまった。14年ぶりに帰国した亀山夫妻からも冥福を祈られている。
また、葬られたお寺や小野田家が登場している。




なお、劇場版Ⅱの小説では死亡しない結末になっている。
小説は劇場版公開より先に発売される関係上、ネタバレ…特に初期から相棒を支えてきた彼が死ぬという衝撃的な結末は意図して避けられたのだと推測される。
そしてラストの右京との会話もまた、これからの戦いを暗示させるものとなっていたが…。

ちなみに降板に関する噂の中で、
「演者の岸部は映画公開年の秋からかつてのバンド仲間に誘われライブツアーに参加しており、そのスケジュールを空けるため降板したのでは」
というのがあった。

岸部氏に関する余談だが、同局の『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』では相棒降板後もメインキャラとしての出演が続いている。また、BS朝日で2017年から年一回ペースで制作されている時代劇『無用庵隠居修行』にもメインキャラで出演しており*1、水谷との共演も復活することに。
喋り方こそ大きく違うが、いずれの作品でも主人公と深いかかわりがある、飄々としていて掴みどころのない人物という点が共通していたりする。
上記のseason20で再登場した際には、ドクターXも同時期(相棒の翌日9時)に放送されていたこともあって「メロンを届けに来た帰り」なんて声も一部ではあがった。





あら? これは追記・修正していいってことかしら?

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最終更新:2023年10月05日 17:56

*1 ドラマは松竹制作だが、芹沢役の山中崇史や衣笠役の杉本哲太など、なぜか『相棒』のメインキャストが起用されることが多い。