ROCKIN'ON JAPAN

登録日:2011/03/05 Sat 10:41:07
更新日:2023/09/27 Wed 15:51:57
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ロッキング・オンから出版されている音楽雑誌の1つ。
基本はロックバンドを中心にインタビューを掲載。
約20組がフォトと記事合わせて最低4ページのロングインタビュー、
約15組が2ページのショートインタビュー形式が基本。
歌手の生い立ちや影響を受けた音楽を話す独特のインタビュー内容やCDレビューが特徴。そして、シーンでは有名なアーティストをピックアップしていること。
例えば、音楽専門チャンネル以外のテレビにしか出演しなかったりLIVEパフォーマンスを重視するアーティストなど。

そのため、オリコンランキング上位の曲が好きな人は蚊帳の外になることもしばしば。
一方、アニソンが好きな人は読みやすい場合がある。理由は本誌が取り上げるアーティストがアニメのタイアップで使用されるため。


◆雑誌の歴史

○80年代後半
1986年創刊。
初代編集長は現代表取締役の渋谷陽一本人。
創刊当時ロックシーンが盛り上がっていなかった頃からバンドブーム初期までの時代。
当時からJ-POPなんかも取り上げていた。

当時の主な掲載アーティストは忌野清志郎、岡村靖幸、尾崎豊、サザンオールスターズ、THE BLUE HEARTS、ユニコーン、
吉川晃司と布袋寅泰のユニットCOMPLEX、RED WARRIORS、米米クラブなど。
創刊号の表紙は佐野元春である。
他には久保田利伸や泉谷しげるなどが表紙を飾ったこともあった。


○90年代前半
バンドブーム絶頂期から始まった90年代。
編集長山崎洋一郎、副編集長市川哲史の体制になったのがこの時期。
山崎はフリッパーズ・ギター、電気グルーヴなど当時アンダーグラウンドだったアーティストをプッシュし、
市川はX JAPAN、BUCK-TICK、LUNA SEAなど第1次ヴィジュアル系バンドをプッシュする形となっていた。

その結果、雑誌は当時の音楽雑誌ではかなりのマイナー路線であり金銭的にも苦しい状況となっていた。
93年には市川が退社したことで紙面は山崎の独裁体制となる。

途中バンドブームの終焉や尾崎豊の急死などが起きる中小沢健二、スチャダラパー、オリジナル・ラヴなどの渋谷系ブームが起きたことで、
雑誌の人気は上昇していった。

上記以外の当時の主なアーティストはZIGGY、BLANKEY JET CITY、CHARA、THE YELLOW MONKEY、レピッシュなど。


○90年代後半
渋谷系ブームで雑誌が上昇傾向に向かう中スピッツ、Mr.Children、JUDY AND MARY、THE YELLOW MONKEY、小沢健二、
ウルフルズなどの大ブレイク及び表紙を飾るなどのプッシュにより誌面はさらに盛り上がりを見せる。
その一方で、ロックシーンで絶大な人気を誇っていたthee michelle gun elephantとHi-STANDARDが表紙を飾るなど他の雑誌とは違うカラーも出していた。

世間が小室ブームや第2次ヴィジュアル系バンドブームに沸く中それらのブームを無視し、
その代わりに多くの有望なアーティストをプッシュしたことで雑誌は注目を浴びるようになった。
特にその象徴がおきたのは1997年だろう。
活動初期から支えたエレファントカシマシ、電気グルーヴ、CHARAがシングルランキングでロングヒットを記録。
そして、1997年組の存在。
この年にメジャーデビューしたアーティストはDragon Ashを筆頭にシーンにおいて重要なアーティストが多い。
中村一義(現100s)、スーパーカー、Cocco、NUMBER GIRL、BRAHMAN、TRICERATOPS、GRAPEVINEなど、
1997年はシーンにおいて大きな年であったことがわかる。
また、hideの急死の時には追悼企画を掲載するなどもあった。

上記以外の主な掲載アーティスト
山崎まさよし、HUSKING BEE、eastern youth、くるり、ピチカート・ファイヴ、UA、椎名林檎、the brilliant green、
東京スカパラダイスオーケストラ、Spiral Life及びAIR、真心ブラザースなど。

ちなみに、1995年には俳優武田真治が表紙を飾ったこともあった。
さらに、1999年にはGLAYが表紙を飾ったが読者の間では物議を醸した。


○00年代前半
2000年に鹿野淳、2004年には古河晋が編集長となり新たな動きを見せた時代。
1つ目は誌面に関しては今までのJAPANらしさは残しつつも違うジャンルのアーティストのプッシュ。
aiko、ゆず、RIP SLYME、KICK THE CAN CREW、鬼束ちひろ、m-flo、宇多田ヒカル、平井堅といった、
ロックではないアーティストにインタビューを積極的に行い表紙に起用することもあった。
さらにはヴィジュアル系ブームを殆ど無視した中SOPHIAを取り上げたりL'Arc~en~Ciel及びhydeを表紙に起用する動きも見られた。

2つ目はロックフェスの開催。
2000年にROCK IN JAPAN FES、
2003年にCOUNT DOWN JAPAN FESをスタート。
失敗を重ねた結果現在は日本を代表するフェスとなった。

3つ目は月2回発行(黒歴史)。

新しいアーティストの発掘に関しては、
メジャーデビュー間もないBUMP OF CHICKENやレミオロメンを表紙に起用、
テレビ朝日の深夜番組で注目を浴びていたブレイク前のHYにすぐさまインタビュー、
他にもACIDMAN、THE BACK HORN、GOING UNDER GROUND、ASIAN KUNG-FU GENERATIONなどのプッシュなどがある。

2000年~2004年はシーンの重要アーティストが立て続けに解散、活動休止をしたために誌面も一つの交代期を迎える形となった。

上記以外の主な掲載アーティスト
10-FEET、POLYSICS、RIZE、GOING STEADY、175R、B-DASH、ART SCHOOL、スガシカオ、GO!GO!7188。

この時代JAPANにおきた最大の事件は浅井健一による編集長暴行事件がある。この件は本家Wiki参照。

そして、もう一つは恐らく最も物議を醸した浜崎あゆみ表紙特集である。


○00年代後半
2006年に山崎洋一郎が編集長に復帰(現在は山崎と古河の2人体制)。

山崎自らが主体となり新しいアーティストの発掘を行い、定期的な取材などの特集を行う傾向が増えた。
このパターンでは9mm Parabellum Bullet、チャットモンチー、RADWIMPSなどがブレイクした一方、
monobrightのようにシーンでは評価された半面セールスが伸びなかった者やジン、上松秀美のようにある時を境に突然姿を消した者もいた。
(monobrightはシングルがオリコンTOP10を記録したこともあったがこれは銀魂のタイアップが原因である)
下北系とも呼ばれたギターロックのブームが落ち着き、新顔勢では00年代前半ほどのメガヒットを飛ばすアーティストは減ったが、
シーンで評価された結果安定したセールスを誇るバンドが多数登場した。
前者のケースではYUIを筆頭にSuperfly、ELLEGARDEN、木村カエラ、凛として時雨、マキシマム・ザ・ホルモン、flumpool、
ORANGE RANGE、Perfume等が該当。
後者のケースではグループ魂、DOES、藍坊主、Base Ball Bear、ストレイテナー、安藤裕子、フジファブリック、椿屋四重奏、サンボマスター等が該当。
余談だがORANGE RANGEは現在では常連の歌手となったが初登場時、全盛期ということもありアンチも多く誌面がかなり荒れた…
また、この頃からロキノン系と呼ばれるアーティストが立て続けにアニメソングとのタイアップが行われるようになり、
アニメファンと読者及びロックファンの間で対立がおこることもしばしばあった。代表例ではコードギアスのOPを担当したジンが挙げられる。

00年代も終わりを迎えた頃にはUNICORNが復活という一大事が起きた一方で、
2009年にメタルとはいえヴィジュアル系だったDir en greyをプッシュするようになるなど新たな分岐点を迎えた。
他にはRO69 JACKなるコンテストを開催し言わば自社ブランドになるバンドを発掘。
関わりの深いSONYが主催する閃光ライオットにも注目し始めた。


○2010年代前半~(2014年まで)
アイドル・K-POP・純粋なアニソンがランキング上位を占めるという時代の中徐々にではあるがそれらに割って入るアーティストが台頭。
全体的にはMAN WITH A MISSION、FACT、ONE OK ROCK、Fear,and Loathing in Las Vegasといったメガヒットを記録するバンドを筆頭に、
BIG MAMA、TOTAL FAT、Coldrain、Pay money To my Pain、the telephonesといった、
パンク・ミクスチャーといったラウドロック勢のアーティストを取り上げる機会が増えた。
勿論、ロキノン系と称されるような音楽を作るバンドも新たに増え始め、
SEKAI NO OWARI、サカナクション、backnumber、クリープハイプ、NICO Touches the Walls、UNISON SQUARE GARDEN、[Champagne]、andymori、
The BAWDIES、毛皮のマリーズ(2011年解散)といったバンドが大ヒットを記録している。
ソロ歌手では星野源、miwa、家入レオ、lecca、阿部真央がブレイクした。

RO69 JACK・閃光ライオットと00年代後半に取り上げた若手の発掘に関しては前述のアーティストほどではないが芽が出ている。
しかし、両コンテストとも問題点もあり、RO69 JACKに関してはWHITE ASH、plentyのような安定したセールスを記録するバンドは少なく、
東京カランコロンのようなシーンで評価される者も中に入るが日本マドンナ、溝渕文、宇宙まおといった本社の一方的なゴリ押しと見られがちなケースもある。
特に宇宙まおに関しては本誌においてかつてのチャットモンチー級の扱いをされていたが…
閃光ライオットに関してはこちらもGalileo Galiley、ねごと、WEAVERなどヒットしたバンドから、
OKAMOTO'SやThe SALOVERSのようなシーンで評価されたバンドもいたが、
主催がSONYということもあり一部を除きアニソンタイアップを強いられる模様である。

そして、誌面において新たな問題となったのは広告費などの問題である。
ROCKIN'ONは十年程前から広告・取材などを本誌へ要求した場合に優先して取り上げる運営を行っている。
最初は大した問題はなかったのだが動画サイトやSNSなど様々なネットワークが発達した現在ではこちらの方が効率がいいと考える関係者がいるため、
ある頃を境に突如本誌から消えるアーティストが登場。
その結果その枠に00年代までの本誌が取り上げないようなアーティストの出演が増え始める事態となってしまった。
主なパターンとしては
  • ヴィジュアル系バンドの扱いが増えた
    2009年のDir en greyを境にLUNA SEAやBUCK-TICKを十数年振りに掲載したり、
    雅-miyavi-、Plastic tree、the Gazetteにインタビューを行なったり、
    フェスにMERRY、MUCCの出演などかつてスルーしたヴィジュアル系バンドが急に取り上げれた。
    2013年には全く演奏しないゴールデンボンバーが本誌に出た。
  • VOCALOIDプロデューサーの登場
    2012年春にてマトリョシカを作ったハチのVOCALOIDを用いない音楽活動米津玄師に3号連続ロングインタビューを実行。
    その後年末のCOUNTDOWN JAPAN FESのDJブースにて同じくニコ動発のボカロPである八王子P。
    TeddyLoidとのコラボではあるが遂に初音ミクが出演した。
    翌年のROCK IN JAPAN FES2013ではDJブースの方針転換に伴い、ゆよゆっぺ、livetune、sasakure.UKとさらにボカロPの出演が増加。
    同年のCOUNTDOWN JAPAN FESでは年越し直後のDJ BOOTHにてボカロ曲3時間ぶっ続けという枠が設けられた。
    本誌の方は2013年7月にカゲロウプロジェクトが話題となっているじん(自然の敵P)にロングインタビューを慣行、
    翌月からは同じくボカロPの石風呂Pが並行して活動しているコンテンポラリーな生活に2号連続ロングインタビューを慣行、
    2014年からはハチと同時期にニコニコ動画で人気を得たwowakaがボーカルを務める、
    バンドのヒトリエを時期エース候補としてプッシュとボカロPの快進撃が続いている。
    こちらに関してもニコ動発アーティストが台頭し、アニメファンが好むジャンルを取り上げている一方で賛否両論ではある。

2013年以降は他にも日本語で歌ったとはいえアメリカを代表するロックバンドWEEZERのボーカル、リヴァースが本誌とフェスに出演。
新人歌手新山詩織を大プッシュしているがこれまで本誌においてBeing所属アーティストは全く取り上げられていなかった。
ロックバンドではあるがPATI PATI・WHAT'S IN・ARENA37といった音楽雑誌をメインとしていたため本誌とは無縁と思われていたUVERworldの表紙大特集。
バンドではあるがデビュー時からアイドルバンドとも言われたSCANDALが3季連続フェス出演。
DJ BOOTHの方針転換により、BiS・でんぱ組.inc・9nine・BABYMETAL・アップアップガールズ(仮)といったアイドルが夏フェスに一大集合。
音楽性は高く評価されている一方で人気声優としてアニメファンにはお馴染みの坂本真綾のROCK IN JAPAN FES出演。
石鹸屋のフェス出演、『僕は友達が少ない』のコミカライズ作者がボーカルを務める感傷ベクトルに注目など同人音楽出身アーティストも取り上げるようになる。
COUNTDOWN JAPAN FES13/14に出演したじん(自然の敵P)のゲストボーカルに、
『Fate/Zero』『ソードアート・オンライン』などのOPを歌った人気No.1アニソンシンガーLiSAの出演。

などかつての読者からは考えられない光景が起こりだす。

○2010年代後半(2015年~)
アニメ・アイドルに詳しい小栁が編集長になったこともあり所謂アキバ系文化のアーティストがフェス出演後に本誌に出る傾向が増加。
元から高い評価だった坂本真綾が本誌出演を果たした。
ロック色が強く一般向け音楽番組出演も増えたアニソン歌手LiSAとニコニコ動画歌い手でトップクラスの人気を集めた伊東歌詞太郎がイトヲカシとして主力メンバーに加入。
同じくミクスチャー色の強い7つの大罪やだがしかしで有名な声優鈴木達央がボーカルのOLDCODEXも本誌出演を果たす。
アニメタイアップが多いものの高い評価を得ているガンダムUCでお馴染みAimerもライブ出演などを果たす。
2016年の冬フェスには社会現象となったラブライブの主要キャストでもある南條愛乃がボーカルのfripsideも出演を果たすなどアニメ勢がじわじわと活躍
また、ショートインタビューではあるが音楽性からかアイマス声優の上坂すみれも出てきた。

アイドル勢ではBABYMETALが海外進出で全米50位以内にはいる活躍から主力アーティストに。
しかし、2017年初頭にフェス出演を果たしていた欅坂46を本誌で大プッシュしたことからついにAKBグループが進出する展開に…今後の方針が問われる形となった。

バンド勢ではゲスの極み乙女が自社ブランド最大のヒットを記録したが2016年初頭ボーカル川谷が不倫したことから活動休止の事態となる。
他にはKANA-BOON、キュウソネコカミ、Suchmos、SHISHAMO、Mrs.GREEN APPLE、BLUE ENCOUNT、THE ORAL CIGARETTES、SUPER BEAVER、GLIM SPANKY、パスピエ、My Hair is Bad、KEYTALK、グッドモーニングアメリカ、WANIMA等がバンド勢では頭角を表す。
しかし、今度はKANA-BOONに不倫が発覚する事態に…

ソロ勢では高橋優、ぼくのりりっくのぼうよみ、daoko、水曜日のカンパネラなどがヒットを記録。

ポップシーンからの異動ではいきものがかりとavex王道路線の歌手AAAの日高のソロ活動SKY-HIが主力に加わったがいきものがかりは活動休止することに。

また、2010年代前半から主力となった星野源が国民的な人気者となり、米津玄師はニコニコ動画出身というアニヲタ向け歌手から一般層からも大人気を獲得。
タイアップ効果でbucknumberやRADWIMPSも更なる人気を得た。

ジャンルがめちゃくちゃとなり古参読者の一部からは文句が出つつある状況下の中、2016年にTHE YELLOW MONKEY再結成とHi-STANDARDが16年ぶりに音源を発表。
2017年は小沢健二が19年ぶりのシングル発売というかつての功労者が帰って来たことは古参読者にとっての救いだろう…


{しかし、雑誌でカルチャー(ファッション・映画・音楽等)が取り上げられる時はそれらの会社から広告費が出ている場合がほとんどである。
ロッキング・オンが「世間一般の流行とは違う独自のシーンからピックアップ」するアーティストも例外では無い。
ただしアーティストとしては世に出る上でやむを得ないことも認識した上で応援してみてはどうだろう}


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最終更新:2023年09月27日 15:51