ギャプラン

登録日:2012/04/27(金) 00:00:51
更新日:2023/10/21 Sat 10:00:11
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まだ子供の間合いだな!


落とせるのかい?このアタシを!!



ギャプラン(GAPLANT)とは、ガンダムシリーズに登場する機動兵器である。






【性能諸元】

型式番号 ORX-005
所属 地球連邦軍
ティターンズ
設計 オーガスタ研究所
開発 オークランド研究所
生産形態 試作機のち少数量産
全高 25.2m
頭頂高 19.8m
全長 20.3m(MA形態)
31.6m(ブースター装着時)
本体重量 50.7t
全備重量 94.2t
出力 3,040kw
総推量 183,000kg
243.600kg(ブースター装着時)
センサー有効半径 13,000m
装甲材質 ガンダリウム合金
武装 ムーバブル・シールド・バインダー ×2
ビームサーベル ×2
ビームライフル ×2
主なパイロット ロザミア・バダム
ヤザン・ゲーブル
ダン・ニムロド
エリシア・ノクトン
ウェス・マーフィ
エリアルド・ハンター
バレンスタイン
カワセ




【機体解説】

地球連邦軍のニュータイプ研究所(以下ニタ研)であるオーガスタ研究所が設計、オークランド研究所で開発された超高高度迎撃用可変モビルアーマー(以下MA。一部資料では可変モビルスーツとも。)
機動性と加速力を重視して開発されたモビルスーツ(以下MS)形態に変形可能。本来は宇宙用の機体だが、大気圏内でもある程度使い勝手が落ちるものの普通に使用出来る。

ちなみに変形の際、目くらましとして機体からを放つ機能がある。
…一度しか使われなかったが。

MA形態では凄まじい加速力を誇り、本機の特徴である、ムーバブルフレームの技術を応用した両腕のシールド兼ブースター兼ビームライフルの“ムーバブル・フレーム・バインダー”の働きによって方向転換無しでの急上昇や急減速が可能で、非常にトリッキーな飛行が出来る。
ブースターを装着すれば単独での大気圏離脱さえ可能。
また、アクティブスラスターユニットによりMS形態でも加速力を損なわずにある程度の飛行も出来る。

主に加速力と機動性を活かした一撃離脱戦法を得意とし、強襲や空中戦などで大きな戦果を挙げた。

だが、その凄まじい加速力や機動性故にそのGは強烈であり、並のパイロットでは扱いきれず事実上の強化人間専用機となってしまった。
後期型はリミッターが設けられて一般のパイロットにも扱えるように改良されたが、それでもヤザン大尉のような凄腕にしか扱えない人を選ぶ機体だった。

また、元から大気圏内用に開発されたアッシマーに比べて大推力に物を言わせて強引に飛行しているので燃費の悪さも目立ち、推進材積載量の都合もあって大気圏内での航続距離が極端に短かった為に長距離移動の際にはサブフライトシステムや専用ブースターによるサポートが不可欠となる。

MA形態に主眼を置いていたので機体サイズは25mと大きく、最大の特徴であるバインダーもそのサイズと両腕部に固定されているためにMS形態では扱い辛かった。
バインダー内蔵故に取り回しの悪いビームライフル、ビームサーベルこそ装備しているものの、MS形態はあくまで自衛用の域を出ない程度でしかなかった。
思う存分暴れ回ったヤザンも「動きが硬い」と評しており、あくまでメインはMA形態であった。

その他にこの機体の有名な弱点として「全天周囲モニターの下側が見えない」もあるのだが、実はこれ、一般パイロット向けに調整された後期型、それもヤザン機のみにある弱点で、調整を急ぎ過ぎた為に起こったミスである。
事実、後に解消されている。

なおコックピット自体は腹部だが、ハッチはコックピット正面だけでなく後頭部にも設けられている。
これはMA形態だと腹部が塞がってしまうためで、MA形態時の乗降はここから行う。

このような扱いづらさもあり、アンクシャという後継機を得たアッシマーと違って後継機は確認されておらず*1、ある意味不遇の機体と言えるかもしれない。
しかし設計の優秀さはその後のMS開発に影響を与えており、ティターンズではガンダムMk-Ⅲ ハーピュレイ、アナハイム社ではメタスX-2、ネオ・ジオンではガザW、イオリ・セイのビルドブースターMk-Ⅱ(プラモ)など、複数の勢力でギャプランを参考にしたMSが開発された。
どれも試作機で終わったのは秘密。


一般兵用の後期仕様は少数だが量産されたらしく、連邦軍以外にもカラバに提供されて第一次ネオ・ジオン抗争時にはネオ・ジオンと戦ったという記録が残されている。




【武装】

  • ムーバブル・シールド・バインダー
両肘からアームを介して接続された大型のシールド
伸縮式で後部にスラスター3基、先端部にビームライフル1門を内蔵する攻撃・防御・機動を一手に担う多目的装備。
名前の示すようにムーバブル・フレームを応用したフレキシブルな可動を実現、MS形態時はおろかMA形態での航空機らしからぬ三次元的な挙動を可能とした。


  • ビームライフル
両腕のムーバブル・シールド・バインダーに内蔵されているメガ粒子砲。出力は3.0MW。
ジェネレーター直結タイプなので通常の手持ち型のビームライフルより威力・速射性に共に優れているが、Eパック式ではないので一度撃ち切ってしまうと再チャージまで時間を要する。
しかし総弾数はかなり多いので乱射しなければ滅多に撃ち切ることはない。
ハンズフリーでも使えるが、照準を安定させるために折り畳み式グリップが取り付けてある。


  • ビームサーベル
両サイドアーマーに内蔵されている。
出力0.6MWと同時期のビームサーベルよりも出力が高い*2が、本来ならギャプランはMA形態での戦闘を重視している為に格闘戦を想定しておらず、自衛用の域を出ない。
だがヤザン機は二刀流を披露したりΖガンダムと激しい斬り合いを演じたりと縦横無尽に活躍した。

放棄されたゲルググのビームナギナタを拾って使ったこともあるが、旧式なのでΖのビームサーベルには一方的に打ち負けてしまった。


  • 専用ブースター
活動領域を補う為の追加ブースター。
これを装備することで衛星軌道上への進出が可能となり、地球に侵入した目標との邀撃戦や大気圏上層での空間戦闘を行うことが出来る。
これを装備した際の最高速度はマッハ9にも達し、超高速の弾道飛行によって地球上のどの地域へも30分以内に到達することを目的に開発されたようだ。

ギャプラン以外でもTRシリーズが使用している他、ミサイルランチャーを搭載したタイプもあり、ジョニ子のギャプランが使用した。




【主な活躍】

機動戦士Ζガンダム』、『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗の下に』、『エコール・デュ・シエル』、『ガイア・ギア』、『ジョニー・ライデンの帰還』などに登場した。

Ζガンダムではガルダ級スードリに配属されたロザミア機とアレキサンドリアに配備されたヤザン機が登場。
ロザミア機は百式に翻弄されたりカツのガンダムMk-Ⅱに撃墜されたりとあまりいいところを見せられなかったが、ヤザン機は野獣のように暴れまわり、アーガマやΖガンダムを追い詰めた。

ヤザンは「動きが硬い」とか言っていたが、ビームサーベル二刀流でΖを圧倒するその様子からはまるで伺えない。
結局、手足を失うことはあっても撃破されずに出番を終えた。


『エコール・デュ・シエル』では強化人間となったエリシア・ノクトンの乗機として登場。
主人公のアスナ・エルマリートのリック・ディアスと戦って破損させるが、彼女が新型機ル・シーニュに乗り換えると敗北して損傷し、エリシアスペシャルへと改修された。


『ガイア・ギア』では残骸が島に流れ着いただけなので活躍はない。
本文中には「百年以上前の人型機械」と呼称されており、名前は出てこないが挿絵では姿がちゃんと描かれている。


『ジョニー・ライデンの帰還』においては紅く塗られたイングリッド0専用機が登場。
そちらについては該当項目を参照。

その他にもヴァースキ大尉とその部下達によってジャブロー襲撃の際に使用され、テミスやレッドのゲルググを相手に暴れまわった。
なお、ヴァースキ機はイングリッド0の赤い赤いヘビーガンダムと対になるかのようなブルーの塗装が施されている。


ゲームブック『シャアの帰還』では、チバシティの連邦軍工業基地に侵入してアウドムラを占拠する作戦を実行中のシャアが、
基地内にリック・ディアスやリゲルグと共に並んでいるのを発見し、立ちはだかるジムⅢを倒すためにどれかを奪う事になる。


劇場版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、旅客シャトル・ハウンゼンをハイジャックした偽マフティーらテロリスト一味の乗ったカプセルを輸送する姿が映った。
モノアイカラーと一部アンテナ類の位置や、ブースター付きなどを鑑みるとAoZをリスペクトした機体である可能性が高い。
公式Twitterによれば
  • 小説の登場MSが少なく*3、スタッフ皆でどうにかMS増やせないか考えた結果、高高度で運用できるギャプランに白羽の矢が立った
  • どこかの基地に放棄されていた組み立て途中のものを引っ張り出したので、色が途中、ロールアウトカラーなので緑らしい
とのこと。




【バリエーション】

T3部隊仕様のギャプランTR-5など、カスタム機は案外豊富。
詳しくはギャプランのバリエーションを参照。



プラモデル

1/144とHGUCから発売している。
実は旧作の時点で1/144ながら差し替えなしの完全変形を再現しており(もちろん1/144ガンプラでの史上初の完全変形)、HGUCは完全変形は勿論、さらにブースターも再現したなかなかの逸品。
ただしボディの成形色が設定に比べて青みが強く、暗いためくすんだ色に見えるので気になる人は塗装して調整しよう。
旧1/144は勿論、HGも初期の発売なのでビームサーベルは刃とグリップが一体成形だが、何故か両者共にサーベル刃の塗装に青が推奨されている(正しくは黄色。)




【ゲームでの活躍】

VSシリーズでのギャプラン

エゥーゴvsティターンズシリーズに参戦。

  • 『無印』
コスト275の可変機。メイン射撃はリロードが早く回転率に優れたBR、サブ射撃は足は止まるが両手から2本のBRを発射する高火力、確定ダウンの射撃をそれぞれ持つ。
ブースト持続と速度のバランスに優れた変形を持ち、MS形態もコストの割には動かしやすい。
また、変形射撃はサブ射撃と同じく2本のBRを発射する。上下方向に強烈な誘導がかかり着地取りに非常に便利。

武装機動力どちらも高水準のものを持ち、それでいて癖がなく扱いやすい、バランスよくまとまった機体。
コスト帯としては中堅だが、その圧倒的なコスパの良さから上位陣の中でもさらに上位に君臨していた。
ライバルのアッシマー同様に対戦の主流をコスト310+275に決定づけた要因。

数少ない弱点と言えるのは射撃の弾数管理に気を使うところがある程度か。
リロードが早いとはいえメイン・サブの弾は共有であり、考えなしに撃ちすぎると弾が枯渇する。
格闘はいたって平凡な性能であまりあてにはできない。

  • 『DX』
当然のごとく下方修正を受け、サブ射撃の威力低下、MS時変形時共に機動力低下などの調整が入る。
とはいえこの程度の微修正でギャプランの勢いが止まるわけもなく、相変わらず一二を争う位置に君臨し続けていた。



Gジェネシリーズ

近距離用のビームサーベルと遠距離用のメガ粒子砲×2しかないので射程2〜3に死角が存在するものの、宇宙・空中・地上など場所を選ばない可変機として活躍が見込める。
ただしアッシマーやガブスレイと違って通常格闘などが無く、ビーム耐性には滅法弱いので注意が必要。



ギレンの野望シリーズ

宇宙地球上双方で運用可能。且つ最速候補の一角のMA形態、制圧可能なMS形態、他ゲと違い射程は短いが限界が高くエース用に生産して損しない機体。
NT制限機能無いので多分後期型。



SDガンダム外伝シリーズ

「多勢に無勢…これも乱世の宿命か…」
モンスターレッサーギャプラン、騎士ギャプラン、モンスターギャプランティス、モンス騎士クラブギャプランの四種が登場。
騎士ギャプランは実力者でありながら、ストーリーでは自らの不利を悟って投降し城主の居場所を教えるというヒントキャラとなっている。
それを踏まえてかSFC「SDガンダム外伝2 円卓の騎士」ではスカウトすると仲間になる。その場合ボスとの台詞もある。
攻撃力は低いがHPは高く、味方1人をかばう「守る」を持つタンク役。
同時期に仲間になり優秀な魔法を多く覚えるが防御力の低い「黒魔道士クエス」を守りたい…と言いたいところだが、
実際はあまりにも遅い素早さのせいで守りきれず、代わりにクエスから聖者の杖を奪ってそれで全体回復するのが主な仕事となりがちである。
ここで仲間に成ったのが正史なのか、後に新世円卓伝承編にて子孫の衛兵フライルーが登場する。
フライルーが被っている兜は皇からの気遣いとしてギャプランに贈られた物らしく、彼の一族の家宝となったというエピソードもある。




【余談】

当初メタスのような顔とリック・ディアスのようなボディでバインダーを腕に装備したエゥーゴの次期主力MSとしてデザインされていたMS「ドミンゴ」が
一旦没となって紆余曲折を経てティターンズ側にマラサイが採用されたので、その初期デザインを回収してメッサーラ(MA)がデザインされたが、
ドミンゴも若干リテイクを加えられてギャプランとして採用された結果、同じデザインが分岐して別のMSになったようなメッサーラとは可変機構や武装などに似通ったところが多い。
これを反映してかゲームブック『機動戦士Ζガンダム~ジェリド出撃命令』ではドミンゴがORX-003として登場し、
『ガンダム・モビルスーツ・バイブル』のMS進化論ではメッサーラからデータを提供されたとされている。





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最終更新:2023年10月21日 10:00

*1 とはいえ、アンクシャにはギャプランの技術も用いられている。アッシマー系に吸収・統合されたと見るべきか。

*2 ガンダムMk-Ⅱ:0.45MW、リック・ディアス&マラサイ:0.4MW

*3 マフティー、連邦軍を合わせてMS4機+αしかいない。