グロック17

登録日:2011/09/05 (月) 13:15:37
更新日:2024/04/16 Tue 15:57:54
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「おい、どこを見ている」

諸元
全長 186mm
重量 625g
口径 9mm×19
装弾数 17/19/33+1
製造 グロック社(オーストリア)

「P-38は古いから新しい銃が欲しい」
オーストリア軍制式拳銃トライアルに向けて、シュタイアー社はAUGに続く制式の座を狙い社運をかけてシュタイアーGBを開発した。GBは性能も悪くなく、下馬評もGB有利だったが…制式の座を射止めたのはグロック17※1だった。


ポリマーフレーム
フレーム、引鉄とその周辺機構、弾倉外側、その他強度が重要視されない箇所がポリマー製。成型が容易になりコストが削減され、軽量化にも成功している。軽いと反動がきつそうだが、フレームにある程度の柔軟性があるので反動は吸収され、衝撃は緩和される。
熱伝導率が低いので熱さで火傷をしない、冷たさで凍傷しないという利点もある。


○安全装置と撃発機構
17には手動の安全装置とハンマーがなく(ストライカー式)グロック社独自の「セーフアクション」と呼ばれる、3つの安全装置とスライド操作による変則ダブルアクションの機構を備えている。
(トリガーセイフティ、ドロップセイフティ、ファイアリングピンセイフティ)

  • セーフアクション
スライドを操作で薬室に装填するとストライカーが半分後退しロックされる。
この状況ではストライカーはロックされているので暴発しない。引鉄は前進位置にあるので射撃できると分かる。
ストライカーが前進している時、引鉄は後退しているので撃てない。つまり、撃てない状況では引鉄は引けないのである。一般的なダブルアクション(DA)拳銃とは違い連続で空撃ちが出来ないようになっている。
写真を見た時トリガーがやけに後退しているなと思うだろうが、これはストライカーがコックされていないため。
スライドを前後させてストライカーをコックすると、トリガーも前に移動して激発位置に動く。
スライドの動きでダブルアクション機構の一部を賄っているため、連続で空打ちが出来ないのである。

DAは一般的にハンマーを事前に起こしておくと(ハーフコックすると)、何かの拍子にハンマーが落ちて暴発する可能性がある。この点、17の機構はハーフコックの位置でロック出来るので暴発しないようになっている。
なおかつトリガーセイフティもあるので指をかけない限り暴発はしない。

引鉄を引くと連動してストライカーがフルコックの位置まで後退し、解放され撃発する。
射撃後、ストライカーは戻ってきてフルコックの位置で固定される。
既にフルコックになっているので引鉄を少し戻せばシングルアクション並の短いストロークと軽いトリガープルで二発目、三発目が射撃出来るのである。
一発でいいなら、引金を完全に戻してしまえばいい。ストライカーはハーフコックの位置でロックされ安全に保管が可能である。

まとめ
意識的にかける安全装置は無い。スライドを引けばハーフコックで即射撃可。
二発目以降は自動でフルコックされるので、軽くすぐ撃てる。
引鉄を完全に戻してしまえば、ハーフコックの位置でロックされ暴発しない。
いざという時に「安全装置を外す」という操作がいらない。
ということ。

ただしこれはあくまで引き金に指を掛けない状態での暴発しか防止せず、アメリカの警官等は銃を緊張で握り込むなどして暴発させる事が多々あった。
その為グロック社はわざとトリガープルを他のDAO拳銃並みに重くするパーツを組み込む事で対処、ニューヨーク市警での採用が多かったのかこの仕様は”ニューヨークトリガー”なんて呼ばれる事も有るんだとか。
とあるアメリカ在住ウン10年の銃マニアの人も、渡米したばかりの時に握り込んで暴発させた事があるとか。


○バリエーション
  • 左から17直系、コンパクトモデル、サブコンパクトモデル。×はモデル無。
グロック17L…競技用の長銃身モデル
17―19―26…9mm
20―×―29…10mmAUTO
21―×―30….45ACP
22―23―27….40S&W
31―32―33….357SIG
37―38―39….45GAP
×―×―28….380ACP
等々モデル数は20以上

サブコンパクトモデルは米国の拳銃の装弾数規制を逆手にとり「合法な10発で自然な大きさの銃」として開発された。
名前が「17」である理由は、装弾数が17発、特許を17件得た、会社の17番目の製品、など憶測はあれど真偽不明。

  • フレームの仕様
第一世代…グリップは全面梨地加工でチェッカーなし
第二世代…グリップ側面は梨地で前後はチェッカー
第三世代…マウントレールとグリップ前にフィンガーチャンネル
第四世代…グリップのバックストラップを任意に変更可能、フレーム自体も変更されて第三世代以前との互換性が大幅に低下
第五世代…スライドストップのアンビ化、第三世代で導入されたフィンガーチャンネルの廃止


○活躍
▽二次
  • Angelical Pendulum…チセリがシュタイアーGBとの二挺拳銃で使用。
  • BLACK LAGOON…エダが17Lを使用
  • Angel Beats!…音無が使用(2ndモデル)
  • バイオハザード CODE:Veronica…クリス・レッドフィールドが初期装備のハンドガンとして使用

▽三次
色々とユニークを詰め込み過ぎて当初は外観も含め敬遠されたが、1980年代半ばから実用性が評価され始め、現在もなお爆発的な人気を誇っている。
アメリカ国内だけで警察機関を中心に4000機関に採用され、約50カ国の軍隊で制式採用されている。日本では海上保安庁のSSTがサイドアームとして採用している。

エアガンでは、昔から各社メーカーが各種出していたが、現在入手しやすいのは東京マルイやKSC辺りが定番だろう。
ちなみにガスガンでセーフアクションをきちんと再現したものはなく*1、本来出来ない連続空打ちが可能である。

割と軽く、そこそこの装弾数、シャープなリコイル、飾り気の無いシンプルなデザイン…
使い勝手のいいツールのような一品なので、かなりオススメです!


○余談とか
第二世代
※1制式名は「Pi80」であり、その民間用が「グロック17」である。

  • 「プラスチック製なので空港検査をパス出来る」と言われるが金属探知機でOUT*2。だがX線検査では画像が銃であると判別し難かったので指摘されて以降はフレームに金属粉を混入させはっきり銃と判る様にしている。

  • 「プラスチック素材を使った初めての銃」と言うのは嘘。H&K P9の方が先であり、鋼材フレームにプラスチックフレームを被せたVP70もある。フレームがプラスチックである初の銃 が正解。

  • endotactical社からストックが販売されている。フルオート機能付きの18用かと。



エロ注意

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最終更新:2024年04月16日 15:57

*1 パテントの関係や、ガスガン自体ストライカー式で作りにくいため、スプリングフィールドXDのように内蔵ハンマー&コンベンショナルダブルアクションになっている。

*2 薬莢やバレルは金属製なのでバレバレ。