換装機

登録日:2011/06/24(金) 23:23:53
更新日:2023/08/16 Wed 13:43:52
所要時間:約 7 分で読めます





様々な状況に対応出来る事は、戦局を有利に運ぶ要素の一つ可変機合体機はその要素を持っていると言える。

しかし、「様々な状況に対応出来る」機体がもう一機存在する。
複数の武装を衣服を着替えるかのように取り替え、様々な状況に対応する事可能にした機体達が……

この項目で紹介する彼ら彼女らはと呼ばれる、様々な状況に対応する事を可変機や合体機とは違う、新たな方向で実現させた機体である。



■換装機の特徴

我々人間が「暑い時薄着に着替える」ように、換装機も外装や装備を取り替える事により様々な状況に対応する。
その為、機体によっては(素体とも言う)の状態がある機体とも言える。そこ、気持ちは分かるが破廉恥とか言うな。
外装や装備を取り替える事で見た目がガラリと変わる機体も存在すれば、バックパックを取り替えただけの機体もいる。
しかし、どちらも機体性能が大きく変わる。

高機動型格闘型砲撃型等の外装や装備が存在し、それらを取り替える事であらゆる作戦に順応する事が出来る。

装備は使っていない間どこに置いてるのかって? 知らん、そんな事は俺の管轄外だ



■可変機や合体機と比べて

可変機や合体機は、その場で変形・合体・分離が可能という利点があるが、換装機にはそれが出来ない。
全く出来ないと言う訳では無いが、元々装備していた物をパージする等してから再び装備するので、
元々装備していたものはそのまま回収されずに放置、なんて事も……(戦闘後に回収している場合はあるが)
換装機の場合、その多くが基地や母艦で外装や装備を換装、出撃する訳である。

しかし、作戦の順応性ならこちらの方がである。
作戦の度に外装や装備を変えるなら複数の機体を作るよりも安く済むし、必要ならば新たに外装や装備を作る事も可能で、形態が合体に負けずと劣らず多くなる事も。
装備の換装を前提としていない機体だと、特定の形態になるのに機体の改造やOSの再調整等が必要だが、換装機ならその必要がない。

また、可変機や合体機が形態によって能力がガラリと変わる事に対し、
換装機は「元々の能力をある方向に引き伸ばす」コンセプトが多い。
その為、目立った短所があまり無いが、長所も可変機や合体機のように尖った物ではなくなることもしばしば。



■商品としてのプレイバリュー(大人の事情)

……まぁぶっちゃけお人形の着せ替え遊びの男の子バージョンである。
大抵は素体部分が共通で換装パーツを変えたリデコ品になるため、メーカー側からすれば同じ素体を使い回しできたり、設計を使い回したりできるのでありがたい存在。
逆に消費者側から見ればプレイバリューが増える反面、同じものを何度も買わされる羽目になったり、素体だけ余ってしまったりもする。
素体が量産機なら別に問題はないのだが、この手の換装機には結構主人公機やワンオフ機も多いので換装を楽しむ分には余るのは困る面も……。


■換装形態あれこれ

・素体
本当に何も装備していない状態。だから破廉恥言うな
武器も装備されていないか、本当に必要最低限しか装備されてない。
が、装甲等の重量が無い分、機動性や運動性が上がる事も。
また、この形態が無い機体もいる。

・基本形態
基本的でオーソドックスな形態。
武装も普通、装甲も並、機動性もぼちぼち。
素体が無い機体はこれが素の形態になる事が多い。

・高機動形態
機動力等のスピードに特化した機体。
スピードを上げる為に大型ブースターを装備したり、少しでも機体を軽くする為に武装を減らしたり装甲を薄くする事も。 
搭乗者が主人公の場合、これだけあれば後はだいたいなくても困らないメインとなることが多い。

・格闘形態
格闘・白兵戦能力に優れた形態。
大型化された近接白兵武器や、複数の白兵武器を多数装備する。
反面、射撃武器はあまり装備されていない、牽制用レベルの物しか搭載してないのが一般的。
高機動形態程ではないが、機動性、特に瞬発力が優れている場合が多い。

・砲撃形態
遠距離武器を主体とした形態。
キャノンミサイルガトリング砲等、重火器を多数装備。
反面、重量過多に陥りがちで動きが鈍くなりやすく、格闘形態とは逆に接近戦が苦手に。
それを補うために重装甲化等防御力を強化される事が多い。
なお搭乗者が主人公だった場合は十中八九いらん子空気と化す。

最近は遠距離の間接支援砲撃主体の物が「砲撃形態(支援砲撃形態)」扱い、
中距離から近距離で弾をバラ撒く類の機体は「弾幕形態」扱い、
またスナイパーライフル等の遠距離狙撃に特化した形態は「狙撃形態」扱い、
と細分化が激しい形態でもある。
ただし狙撃形態の場合、狙撃も卒なくこなせるパイロットは少ない。狙撃の役割は基本的に、元から狙撃戦特化の機体とその操縦訓練を受けたパイロットが担うことが多い。

・空戦形態
空を飛ぶ為の形態。大型の翼や空力特性に特化した形状に装甲などが変更されたりするが、高機動形態と一緒にされる事もある。
武装自体は高機動型に近い軽装寄りになりがち。

・水中or海中用
水中や海中での戦闘及び探索を主眼に設計された形態。
武装面は一般の射撃火器や白兵武装が水中では減衰等で役に立たなくなる等で、銛や魚雷等の水中専用の装備を搭載する事が多い。
活動環境が限定されているためか影が薄くなりがち。
ただし、登場作品によっては寧ろこちらがメインになることも。

・0G下専用形態
宇宙用の形態。基本的には姿勢制御用のミニスラスターが多数配される場合が多い。
他の形態が宇宙での活動を考慮されていない場合に別途用意される事が多い。
尤も、大抵は高機動型や空戦形態と一緒くたにされる事が殆ど。
武装も高機動型に準じた軽装系が少なくないが、宇宙では無制限排熱可能と言う解釈で高出力火器を携帯する事もある。

・専用機
やっぱりあったよ専用機
やはり使用する個人に合わせた装備を装着する。
さらに換装機能をオミットする事も。

・全部載せ
合体機にもあったように、換装機にも換装形態全てを詰め込んだ形態がある。
これが最終形態

……とは行かない。
実際使ってみると
  • 操作が複雑になり並のパイロットでは扱いこなせない
  • 火器管制も複雑になり管理が大変
  • 空中分解を起こす危険性が出る
  • 性能バランスが劣悪で機体が装備についていかない
  • エネルギー供給が間に合わずすぐガス欠を起こす
等の欠陥を抱えている。そもそも、必要に応じて装備を換装するというコンセプトが全部載せとは全く逆の方向性なので、欲張って装備を増やすと実質魔改造と同じ状態となるのである。
また換装機のメリットの一つを完全に無視するこの全部乗せを嫌っている登場人物が出たりすることも。
その場合、そのコンセプトを引き継いだ機体を一から新たに作る事がある。卓上プランに終わってしまう物もあるが。



■現実兵器での換装

特二式内火艇
日本海軍(海軍陸戦隊)の水陸両用戦車であり、舟形フロート(スクリュー付き)展望塔や換気塔を装着することで、内火艇となる。
上陸後は装備を投棄し、軽戦車として味方部隊を支援するのが目的の兵器。
先に水陸両用戦車と述べたが、実は戦車ではなく艦船名簿に記載され、「隻」で数えられる立派な艦船である。

T-28重戦車・T-95自走砲試作車(駆逐戦車)
WWU時に米軍がマウスなどのドイツ軍重戦車やジークフリート線に対抗するために開発した試作機。
60口径105mm砲やアイオワ級戦艦の舷側装甲並みに正面装甲を装備した結果、
全備重量が86tにも達し、この大重量を支えるために通常2本の履帯を使用するところ、倍の4本の履帯を用いた。
この履帯、外側の2本は取り外し可能で、不整地突破形態⇔列車輸送・舗装道路走破形態に換装することが出来る。
結局、試作機が完成したのは終戦直後であり不採用に終わった。

飛行戦車(アントノフKT-40・特三号戦車)
戦車を空挺輸送することを目的とした機体。
ただし、これは後の空挺戦車と違い、戦車自体が空を飛ぶ。
翼を装備することでグライダーになり、輸送機にて引っ張って輸送、
目標地点にて切り離し、着陸後は翼を破棄、軽戦車として空挺部隊を援護する…という機体。
KT-40はソ連、特三号戦車は日本の機体であり、前者はテストには成功したと自称、後者は机上計画に終わっている。

クリスティー式戦車(BT-2・BT-5・BT-7)
アメリカの発明家「ジョン・W・クリスティー」の開発した戦車。
高速移動に適したクリスティー懸架装置や避弾経始に優れた前面装甲など、発明家らしい様々な野心的アイデアの投入された戦車。
特にクリスティー懸架装置は履帯(キャタピラ)を取り外すことにより、装輪装甲車⇔快速戦車と換装が可能であった。
しかし、その野心的な設計ゆえにアメリカでは不採用に終わり、逆にその野心性に注目したソ連やイギリスにて活躍することとなった。
ソ連のBTシリーズはこれを元に開発された戦車であり、BT-2・BT-5・BT-7では履帯換装機能も採用されている。
因みに先のアントノフKT-40もこの人のアイデアが元になって開発された。

銃火器(システム銃、システムウェポン)
最近の銃は、オプション部品を組み替えることで簡単に改造できるものが少なくない。
よく見るレールシステムなどは部品換装を容易にするためのものだし、銃本体が換装に対応するものも存在する。
モノによっては部品換装だけで複数の弾薬に対応したり、PDWから軽機関銃にまで変化したり…まさに換装機のコンセプトである。この場合「換装武器」のほうが正確だけど。
例としてはレミントンACRやH&K XM8FN SCARなど。
ちなみにこれらの利点は「汎用性」以外にも、共通部分の存在による「低コスト化」や「訓練の効率化」が謳われている。

沿海域戦闘艦
アメリカ海軍が開発した小型戦闘艦。
安価な小型艦を多目的に使うべく武装などをモジュール化し、対機雷戦装備、対水上戦装備、対潜水艦装備などが開発された。
しかしモジュールの開発に難航、さらに換装を行うには専用の設備を用意しなければならず、運用する人員さえも任務に合わせて入れ替える必要が生じ人件費が跳ね上がるなどにより安価な戦闘艦という当初のコンセプトも喪われてしまった。
有り体に言えば換装機という発想の失敗例。


ボクサー装輪装甲車
ドイツ・オランダ・イギリスが共同開発した装甲車。
元々は独・英・仏の共同だったのだが、例によってフランスが脱退した後に代わりにオランダが加入した格好である。
ミッションパックならぬ「ミッションモジュール」と呼ばれるユニットを車体後部に搭載し、
それによって兵員輸送型、野戦病院型、砲撃型……といった具合に自在に機能を切り替えるという、正にロボアニメの換装機の如き多用途性が与えられている。




他に各種戦闘機の装備の違い(爆装、対艦etc…)や、戦車の増加装甲なども換装と言えるかもしれない。
また冒頭にも挙げたよう、ヒトも進化の過程で換装機ならぬ「換装生物」になったという解釈も可能であろう。


■各作品に登場する換装機

漫画・アニメ

特撮

ゲーム

玩具・模型


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最終更新:2023年08月16日 13:43