唯一神(Y・H・V・H)

登録日 :2012/02/16(木) 09:16:24
更新日 : 2017/06/08 Thu 08:02:59
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わたしはあなたの父の神である。
アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。

お前が神を恐れる者であることがわかった。お前の子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。
地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。


Y・H・V・H


「一神教の裡面は一魔教なり、多神教の裡面は即ち多鬼教なり」
(一神教の裏面は一魔教である、多神教の裏面はつまり多鬼教である)
北村透谷『他界に対する観念』(1892)

「Y・H・V・H」或いは、YHWH,JHVH,JHWH,IHVH,YaHVeH,YaHWeH…etc.はユダヤ教キリスト教イスラムにて信仰される
他の宗教や神話が、最高神とその眷属となる神々により構成された多神教を基本としているのに対し、
これらはY・H・V・Hのみを唯一至高にして全能の神として崇める事から一神教と呼ばれる。
歴史的には紀元前1280年頃、シナイ山にてモーセに「十戒」を授ける場面で登場しているが、ヘブライ民族の神として、古代より彼らを導いてきたとされている。

この神の名に関しては、現在の表記、発音では「Y・H・V・H」が最も一般的なようだが、上記のように
時代や言語による別の表記も存在している。


【御名】

一般的に我が国の聖書では「主」「神」と訳されている。
これは「神の名を妄りに口にしてはならない」と云う共通した信仰によるもので、
この神を示す「Y・H・V・H」はギリシャ語で「神聖四文字(テトラグラマトン)」と呼ばれ、アドナイと訳された。
上記の「主」「神」は、その訳である *1

イスラムではアッラー(アラー)と呼ぶが、これも意味は「主」「神」である。
つまり、日本でよく使われる「アッラーの神」と云う表記は間違いである。

「Y・H・V・H」の子音四文字にアドナイの母音を当てた「YaHVeH」「YaHWeH」から、古代のラビ *2
「ヤハウェ」「ヤーウェ」等と発音していたとされており、この呼び名は現在では一般的に「神」の名として広まっている *3

また、本質的には「在る者」としか「名乗っていない」ので、そう考えるべきとの意見もある。

また、エジプト、ギリシャ、カナンを含む地域で通用した 「エル(主)」「エロヒム(神々)」「エルシャダイ(生命の王、全能の神)」「ツァバト(万軍の王)」「アグラ(真実の王)」 と呼び顕される場合もあり、中世の神秘学でも広く使用されている。
他にも「Y・H・V・H」を「ヨーット・ヘー・ヴァウ・ヘー(地水火風)」と訳す場合もあり、やはり神秘学にて使用されていた。
「カバラ」では原初の人間「アダム・カドモン」と呼び、その肉体その物が宇宙を構成しているともされる。

これら、神の呼び名について大本山のカトリック・ローマ教会では、
「好き勝手に神の名前を口にすんじゃねえ主で十分だろデコ助共がぁ!(意訳)」 と公式に注意を促しているが、
基本的に罰当たりな日本人辺りにはどこ吹く風である。

キリスト教の「三位一体」では「父」を顕し、キリストが「子」。
「聖霊」については議論が絶えないが、現在は「天使」と認めざるをえないとされているようだ。

ユダヤ・キリスト・イスラム教において、絶対者かつ救世主かつ真の善である。ただしユダヤ教では比較的、絶対者としての面が強い。
一神教以外にとっては、唯一神の属性はこれらに限らない。


【性格】

本来的には古代宗教に於ける天空神の一人或いはその属性を借りた存在と見なされている。
エジプトのアメン、ギリシャのゼウス、カナンのバアルらと同じ性格を持つ気象を司り、
豊穣と災害を齎す神であると考えるのが妥当であるし、事実それらの神話を取り込まれて伝えられてもいるようだ。
ユダヤ教では生け贄を求める「妬む神(jealous God)」であり、他の神の信仰を禁じ、恩恵を与える替わりに生命の代価を求めたとする伝承が残る。

ユダヤ教は他宗教と習合しつつも、他宗教を徹底的に攻撃・弾圧し、絶対者かつ救済者としての神の信仰を作り上げながら、布教していった。
これがキリスト教成立以降の、「唯一完全なる善性」としての唯一神観念にも繋がったようである。

イスラムでも「神は世界の創造主にして究極の善であり、世界の終末までを司る存在として悪魔(イブリース)の反抗をも見通していた」と語られている。ムスリムのサイイド・クトゥブによれば、イスラムとは「アッラーにのみ隷属させ…アッラーの支配権と権威を承認させ、生活のあらゆる局面で聖法に服従させる」ことである。

実際には世界に完全なる善も完全なる悪も存在せず、本来の一神教徒は弾圧される存在であった。
一神教が「貧者の宗教」「砂漠の宗教」と言われる由縁である。

故に、神秘学から派生した「グノーシス(真理)主義」においては「神は偽りの創造主であり、不完全な世界を創り不幸をばら撒いた存在である」と捉えられたりもしており、アルコーン、ヤルダバウト、デミウルゴスと呼ばれる存在が「Y・H・V・H」と同一視される *4


さらなる余談となるが、日本に秦氏が持ち込んだとされる渡来神にして、源氏の氏神たる「八幡神」は「ヤハタ」と読み解ける事から、「Y・H・V・H」の事を指す……と、オカルト界隈では主張される。
「八幡神」は尊名「八幡大菩薩」も持つ神仏習合神(神道と仏教の融合した神)の一例だが、元は日本神話・仏教ともに無関係である。
祭られる社寺の多さに影響されてか否か、かつてはミシャグジ同様に正体不明の神格として知られていた。

とはいえ現代の歴史学・文献学で八幡神は、中国・朝鮮が起原だと示されている。
試しにこうしたキーワードをGoogle Scholarで検索すれば、本場の研究において「八幡神」=「Y・H・V・H」という主張が説や論として認められず、度外視されていることが分かる。

近代以降の比較神話学では、むしろY・H・V・Hは他の神話の創造神や、世界最古の唯一神であるエジプトの神「アトン(アテン)」との共通点が研究されている。


【天使】

ヘブライ語の「マラーク(使者)」から転じた「神の影の善なる部分」。

上記の通り、一神教は信仰の拡大と共に他の神話・信仰の徹底的な破壊と攻撃を行っているが、
その過程に於いて民間信仰でどうしても捨てきれなかった魔術的な自然信仰や神秘思想を背負う存在として生み出された。

多神教に於ける「最高神以外の神々」に相当する存在であり、これら天使の存在が「唯一なる神」の属性からはみ出た部分を補っているのである。

加熱し過ぎた天使の信仰はカトリック教会では戒められているが、前述の通り「聖霊」と同一視せざるをえない部分もあるようである。
ユダヤの神秘主義でも重要視され、イスラムでも神と人間に仕える存在として伝えられる。

キリスト教ではミカエルが、ユダヤではメタトロンが、イスラムではジブリールが特に重要な天使として、神の代行も果たす。


悪魔

一神教において、神の世界を実現させる上で欠かせない存在でありながら、最も教義から外れた、矛盾した存在である。悪霊、偶像とも。
「神の裏」「神の影の悪なる部分」であり、何故「唯一完全なる善である神」が悪魔を作ったのかは、宗教界隈で未だに議論が尽きない。

もっとも、宗教学(science of religion)上では答えが明確になっている。
つまり、天使と同様、一神教が他から借用した存在である。

一神教は、自分が説明できない問題や失敗を「悪魔(偶像)」のせいにしてきた。また、他宗教を劣った存在として印象づけるため、他宗教を「悪魔(偶像)崇拝」と表現してきた。
現在でも、一神教が抱える問題・失敗や他宗教の神は、一神教にとっては等しく「悪魔」なのである。

多神教は悪魔をそれほど必要としてはいない。(中略)神々は、利害に応じて善人にも悪人にもなりうる曖昧な存在であるから、それだけで悪の存在を説明するに足りるのである。
一神教はこれとは正反対で、 悪魔なしでは立ち行かない
唯一神である限り、その 神がすべての源 とならざるをえない。つまりは、善のみならず悪の源泉にもなってしまう。
この大問題を回避する方法は一つしかない。すなわち、 悪の存在を説明できる逃げ口上 を、なんとか見つける以外にない。
この逃げ口上がまさしく 悪魔 であって、これ以外に解決法は見当たらない。
ただし、全能者の創造した世界を、なぜより劣った存在が混乱せしめうるのかを、まだ説明する必要は残されているが。
神にとって悪魔の存在は、もはや必要不可欠なものにならざるをえない。
逆説的なことに、 サタンのみが神を救いうる のである。
サタンのおかげで、現世における理不尽な肉体的・精神的苦痛を説明することが可能になるからだ。
ジョルジュ・ミノワ(著)、平野隆文(訳)『文庫クセジュ876:悪魔の文化史』

ちなみに、徹底した弾圧で痛め付けられたユダヤ/キリスト教、砂漠で厳しい生活を送るイスラムでは、明確な終末論と神の世界に救いを求めたが、
ユダヤ教の中でも伝統的な古代宗教に近い派閥では元来は地獄も天国も無く、悪魔への考えも大らかであったようだ。

中世では悪魔の王たるサタンは神に倒される運命を背負った存在だが、グノーシスや黒ミサでは矛盾した
信仰の解答として、サタンの正体たるルシファーを神の最高の被造物としてイエス・キリストと同一視する。


【主な登場作品】

◆ゲーム『女神転生』シリーズ

数え切れぬほどの 命を

もて遊びたる 呪われし者どもよ…

我が名を 称えよ

我が 栄光に満ちた ならぶ者無き

名を 称えよ

恐らくY・H・V・Hがそのままの名称で登場する唯一無二のゲーム。
実際にゲームに登場する機会は少ないが、FCの『女神転生Ⅱ』以降の同シリーズが 「唯一神の支配する世界への旧き神々の反抗」 を共通したテーマにしているがゆえ、その眷属たるヘブライ系の天使共々「悪役」扱いである。
LAW陣営の支配者にして象徴的存在であり、「旧き神々」を率いるルシファー閣下率いるCHAOS陣営にとっては不倶戴天の敵。
配下に自身の分霊である「神霊」と呼ばれる悪魔を持つ。

真・女神転生』に登場するダンジョン「カテドラル」はY・H・V・Hを降臨させる神殿としての側面を持ち、『真・女神転生』では地上にて自身より信仰の強まったルシファーを魔界に堕とし、世界統一のために数多の神を打ち倒したと語られる。
続編の『真・女神転生Ⅱ』では、LAW陣営が人類を支配する世界「千年王国」を地上に建国する事を目論み、配下の天使達を利用し暗躍している。
……が、Y・H・V・H自身は 過去に過ちを繰り返した現人類がいる限り目的達成は不可能 と判断しており、メギド・アークによって一部の優れた人間を除いた人類全てを一掃しようと企んでいた。

また、自身の意に背く人造救世主生成計画「メシア・プロジェクト」を推し進めたミカエル・ラファエル・ウリエルの三天使にも見切りをつけており、独り疑問を抱いていたガブリエルにのみ、自身の配下であるサタンを補佐するよう告げている。……四大天使不遇の時代はここから始まった気がしないでもない。

最終的にザ・ヒーローに敗れるも、人類を導き、人が頼り、縋るべき超越存在がいないために未来が混沌するという「罪」を犯したと告げて消滅した。

『真Ⅱ』で登場して以来、長らく音信不通だったが、



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EL
ELOHIM
ELOHO ELOHIM SEBAOTH
ELION EIECH ADIER
EIECH ADONAI
JAH SADAI
TETRA GRAMMATON SADAI
AGIOS O THEOS
ISCHIROS ATHANATON
AGRA
AMEN

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