デイノスクス(古代生物)

登録日:2012/02/10 Fri 19:45:56
更新日:2024/01/10 Wed 17:42:39
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デイノスクスとは、約8000万~7300万年前(白亜期末期)に生息していたとされる、大型の肉食性爬虫類である。
生息地は主に北アメリカ大陸で、ワニ目、正鰐亜目、アリゲーター科に分類される。

分かりやすく言えば、あの恐竜らと同じ時代にいた巨大ワニである。


【概要】

名前の由来は、デイノ(deino)は「恐ろしい」、スクス(souchos)は「ワニ」。
「デノスクス」と発音されることもあるが、正確には「デノスクス」であるため注意*1
また、シノニムとして、「フォボスクス」や「ポリデクテス」という名前も持つ。


して、どのくらい大きいのかと言うと、推定12~15mとされている。

“推定”なのは、デイノスクスの全身の骨格が見つかっておらず、頭の部分の化石しか見つかっていないため。
しかし、頭部を見る限りでは、現在のワニと酷似しているため、現存するワニと比較し、頭の大きさから全長を割り出した結果が上記である(頭の大きさは約1m前後)。
だが、15mはさすがに大きすぎるとの声もあり、せいぜい10mという説もある(それでも十分デカいが…)。


さて、このデイノスクスだが、現在のワニと同じ姿、習性だとするなら、当然獰猛な肉食動物である事は容易に想像がつくだろう。
現在のワニと同じく水辺に生息していたとされ、魚や水辺に来る草食恐竜等も餌食にしていたと推測される。
そしてこの大きさである。恐らく食物連鎖の上位にいた事は想像に難しくないだろう。

陸上はあの暴君ティラノが蹂躙していたのに対し、水辺はこのデイノスクスが支配していたに違いない。
ただし、体型などから考えて陸棲だったのではないかという説もある。
実は中生代ではワニの多様性は現在の比ではなく、陸棲のワニ類も珍しくなかった
(むしろ、新生代以降は「たまたま半水生のワニだけが生き残った」と言ったほうがいいくらい)。
よって陸棲説も十分考えられうるのであるが、半水生でも十分脅威なのにこんなのが陸上を走り回っていたとしたら凄まじい光景である。





さて、ここまで読んで思った方もいるのではないか。

ティラノサウルスとデイノスクス。実際に戦ったらどっちが強いのか?…と。

いつの時代も最強議論は男達のハートを熱くするものだ。
では実際に両者が戦ったらどうなるのだろうか。


まず両者とも、最大の武器は強力な顎となるだろう。互いに一撃与えればそこで勝負は決すると言ってもいいだろう。

しかし現在のワニを見る限り、口を閉じる力は強力たが、開く力はめっぽう弱い。
デイノスクスにもこれが当てはまるとすれば、
ティラノサウルスは打点の高さを活かし、デイノスクスの口を踏みつけるなりして真っ先に封じてしまえば、もう勝機は見えたようなものである。
あとはその乗用車すら噛み砕くという顎の一撃を与えれば、デイノスクスはなす術なく倒れ伏す。


しかし忘れてはいけない。ワニにはもう一つ強力な武器がある。

そう、それは強靭な尻尾だ。

現代のワニも、獲物を狩る際、噛みつきだけで倒す訳ではない。
獲物が大きく体力もあり、暴れられては流石に手こずる。そこでワニはで獲物を打ち据えるのだ。
筋肉質の強靭な尾の一撃は、人がまともに受ければ骨の数本余裕で折る事ができるという。
ましてや現代のワニよりも遥かに大きいデイノスクスなら、その威力は凄まじいものだろう。

いくらティラノサウルスと言えど、まともに受ければただでは済むまい。
なぜならティラノサウルスの尻尾は完全に腱で一直線になっており、のように振り回すのは難しいからである。
ティラノサウルスはその体勢の高さが逆に災いする事になる。体を支える脚を痛めれば、ティラノサウルスにとっては致命的となるだろう。

そこをすかさずデイノスクスが食らいつき、水中へと引きずりこむ。そうなれば最早デイノスクスの独壇場である。
不慣れな水中ではティラノサウルスはまともに反撃する事もままならないだろう。
そして、ワニの最終奥義、体を回転させて獲物の肉を食いちぎる必殺「デスロール」。

これだけされれば陸上で最強を誇ったティラノサウルスも、この恐るべき怪物と戦う事は躊躇ったはずである。







ところが…。
ティラノサウルスとデイノスクスの生息していた年代は、同じ「白亜紀」と言っても数百万年の隔たりがあり、両者が相まみえる事は残念ながら無かったとされる。
(ディノスクス約8000万~7300万年前、T-レックス約6850万- 約6550万年前)

…惜しい。実に惜しい。


【フィクション作品】

創作ではややマイナーな扱いだが、『みなし子恐竜トム』といった子供向けの作品では悪役としてよく出てくる。
また、『獣電戦隊キョウリュウジャー』にはディノスクスモチーフのガーディアンズ獣電池「ディノスグランダー獣電池」が登場。
同作においてディノスグランダーは地中戦を得意とし、ドリケラやアンキドンを凌ぐ地底活動スピードを誇ったという。


【余談】

後に「プルスサウルス」という、デイノスクスよりも大きなワニ類の頭の化石が、アマゾン流域の新生代の地層から見つかっている。
やはり大きさには諸説あり、議論は続けられている模様。



ぬいぐるみは存在しない。

ぬいぐるみは存在しない。

フィギュアはあるよ!






追記、修正は古代生物の最強決定戦にワクワクするのも程々にしてお願いします。

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最終更新:2024年01月10日 17:42

*1 似た名前の恐竜「ディノニクス」も、正確には「デイノニクス」である