火星の後継者(機動戦艦ナデシコ)

登録日:2012/02/15 Wed 01:53:13
更新日:2024/02/27 Tue 23:11:54
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地球の敵、木連の敵、宇宙のあらゆる腐敗の敵……
我々は、『火星の後継者』だ!!



火星の後継者とは『劇場版 機動戦艦ナデシコ』に登場する組織である。



●組織概要
火星を巡る地球木連の戦い(TV版『機動戦艦ナデシコ』)の後、好戦的な木連首脳部に対して月臣元一朗ら若年層が起こした穏健派によるクーデター『熱血クーデター』により失脚し、行方不明になっていた木連強硬派の草壁春樹によって設立されたクーデター組織。


●主な活動
来たるべき時に地球・木星の実権を握らんとするため、新型兵器の開発・増強、及び他組織への人員の潜入、兵器の要であるボソンジャンプ(以下BJ)研究のためのA級ジャンパーの拉致などを行なっており、組織自体は隠れたままながらも急速に勢力を拡大していった。
特に拉致されたA級ジャンパーは想像を絶する手段、すなわち薬物から人体改造まで行なってBJの研究を行なっており、その中にはTVシリーズ主人公テンカワ・アキトヒロインであるミスマル・ユリカもいた。

さらに目立った活動として地球圏No.2の軍事企業クリムゾングループと手を組み、ヒサゴプランに協力していた(その中でミスマル・ユリカはその管制ユニットとして遺跡に組み込まれてしまう)。

決起の際には統合軍に再編される中で立場を失った兵士(特に木連の人間が多い)達が多く参加した。
彼らは草壁中将の主義を信じてはいたが、その裏で行われていた非人道的な所業の事まで知っていたかは不明である。


●本編での活躍
テンカワ・アキトの駆るブラックサレナにヒサゴプランのターミナルコロニー・アマテラスが襲撃された混乱に乗じて蜂起、ボソンジャンプ管理のための新たなる秩序の確立を標榜し地球圏の重要拠点に攻撃を開始。

戦力的には圧倒的に連合側のほうが有利で通常戦闘では圧倒されていたが、独自開発したボソンジャンプ能力を持つ機動兵器群とジャンプコントロール技術の確立によって、艦隊旗艦や基地司令部などへ正確かつ予見不可能で致命傷足りうる奇襲攻撃を仕掛けこれを打破。
劇中中盤ではナデシコCを受領に向かうホシノ・ルリ達の乗るシャトルを襲撃、抹殺を図るも同じくボソンジャンプ可能なナデシコCのグラビティブラストによる強襲で部隊を壊滅させられている。
劇中終盤において地球の政治中枢、インフラ拠点など重要施設へのボソンジャンプ同時襲撃を敢行、大多数を占拠することに成功するも、地球連合総会議場に送り込んだ部隊がネルガル会長アカツキにより一杯食わされ、さらに乱入してきたアルストロメリアとそれを駆る月臣により鎮圧、さらに占拠成功した他の部隊までもが月臣の説得により大半が投降してしまう。

そして最後は拠点である火星極冠基地を始めとする火星全システムを「電子の妖精」ホシノ・ルリの操るナデシコCにより無血で完全制圧、
草壁中将は逮捕され、残っていた(これはアキトに決着を付けさせるためにあえてルリが停止させなかったものである)北辰らもブラックサレナとリョーコらナデシコの面々により撃破され壊滅した。


●関係者

  • 草壁春樹
CV:安井邦彦
火星の後継者の首謀者。
木連時代の階級は中将だったが、TV版の時期に実質的に木連を指揮していた人物。
信念を持つ軍人ながらかなりの好戦派であり、地球との和平を望んでいた白鳥九十九を謀殺するなどの冷徹な面を持つ。
月臣の熱血クーデターにより放逐された後に火星の後継者を設立、非人道的な実験を行うなどやはり手段は選ばない模様。
元部下の秋山は『正義を愛する熱血漢、理想の為なら死ねる男…ただ問題なのは、その自分にとっての理想が他人にとっても理想であると固く信じている所
と評した。
それ指導者にするには一番ダメなタイプじゃね?

最後は潔く逮捕されたが、これは『BJの危険性を世間に知らしめる』という彼自身の目的が達成されたからである。
逮捕の代わりに部下の安全を要求していたが、そもそも犯罪集団のリーダーにすぎない彼が逮捕されるのは当然の事であり、また今まで自分が散々非人道的な事をしていたという事実を踏まえると、厚かましい事この上無い申し出である……というか、ナデシコクルーの事を何だと思っているのだろうか?
やはり上述の秋山氏の発言通り、どこか自分に酔っていたのだろう。

CV:山寺宏一
火星の後継者の暗殺・拉致部隊として活動。
三度笠を被った風来人風の風体で行動する六人組の北辰衆を率いてA級ジャンパーの拉致を行なっていた。
テンカワ・アキトとは幾度と無く戦闘し、多数(7対1)で戦っているとはいえ、その度に退けているなど劇中通してもトップクラスの技量を誇る男である。

  • ヤマサキ・ヨシオ
CV:若本規夫
表向きはコロニー開発公団の次官だが、正体は火星の後継者のボソンジャンプを研究する科学者。
ユリカを遺跡の管理ユニットに組み込むなど非人道的な面もあるが、そのユリカを利用するために少女漫画を用いるなどどこか憎めない男である。
……がその手段はユリカにを見せ『大好きなアキトからのお願い』という形で遂行させるものであり、やはり非道である。
というかユリカは無事助け出されただけマシな方であり、ユリカにジャンプイメージを伝えるナビゲーター達はスキンヘッドに怪しい機械、焦点の定まらない目など取り返しのつかない処置をされていると思われる者が多数いる

  • シンジョウ・アリトモ
CV:幹本雄之
地球連合統合平和維持軍中佐であり、ヒサゴプランの警備部副司令。ブラックサレナ襲撃時に防衛戦闘を指揮した。 上司であるアズマ准将の熱血ぶりに困惑する場面も見られたものの…「13番ゲート」存在が明らかになると態度を一変。「茶番は終わり、という事です。」
その正体は火星の後継者のナンバー2。 決起後はアズマ准将を部下達に拘束させて指揮系統を乗っ取り「プラン乙」を発動。自らが火星の後継者である事を告げ、ヒサゴプランを占領。全員を現宙域から脱出させた上でアマテラスを爆破した。
統合軍の制服を破り捨てて決起を扇動する様は圧巻である。
「我々は、火星の後継者だ!」


CV:うえだゆうじ
火星の後継者の人体実験により、五感のほとんどを失ったTV版主人公。
特に味覚は完全にダメになっており、料理人としては再起不能。
TV版の快活な熱血青年の面影は無く、復讐鬼として多数のヒサゴプランのコロニー(火星の後継者の施設)を襲撃。
北辰との戦いの中、機体を破壊されても幾度と無く修理・改造され変化していくブラックサレナを駆るその姿は『黒い幽霊』『黒衣の復讐鬼』と言われた。


●火星の後継者の兵器
下記の新兵器の他、木連時代のジンシリーズも引き続き運用している。

  • 六連(むづら)
火星の後継者が開発した有人機動兵器。
全高4mと、この作品ではやや小型の部類に入る。
ジン・タイプの小型化の過程にある機体であり、最大の特徴は足が無い事
相転移炉は小型化できずジェネレーターにより駆動、通常のブースターで移動するため稼働制限が存在し、
ディストーションフィールドもコクピットブロックに限られるが宇宙・地上でも変わらずの高機動と外部ユニット接続式のBJ能力を持つ上、
小柄な見た目にかかわらずエステバリス系列を翻弄するほどの性能を持ち、また本体のサイズもあって閉所での戦いでは圧倒的な力を発揮する。
武装は本体に搭載したミサイルと(北辰衆の用いる機体は)錫杖を持つ。
これは投擲武器としてかなりの威力を持ち、実際にリョーコのエステバリスを串刺しにして戦闘不能にした。
劇中ラストにおいては北辰衆の機体が空戦でエステバリス部隊と戦ったものの、何だかんだで実力者揃いのナデシコメンバーによって全機撃墜された。


  • 夜天光(やてんこう)
六連で蓄積したノウハウをもって開発した機体で、最初からブースターによる機動を前提にしているため高い機体剛性を持つが、機体が大型化し7mのサイズになった。
しかし全身のブースターによる変則機動『傀儡舞』は全機動兵器の中でもトップクラスに位置している。
さらに六連から発展し、外部ユニットなしでのBJ機能持ち(コクピット周りのディストーションフィールド装置も六連で有効性が確認された為、そのまま搭載された)。
武装はミサイルと腕部から繰り出される打撃、及び北辰機のみ持つ錫杖。

主にこの機体の機動性に対抗する為、ブラックサレナも通常ブースターを搭載・増設し、機動力を向上させた為に徐々に大型化していった。

最後はブラックサレナと火星で一騎討ち、『抜き打ち』に敗れる。

ちなみにこの機体は北辰の専用機というわけではなく、指揮官用量産モデルである。
事実、本作の後日談を描いたゲーム版においても、本機に搭乗するパイロットが居る。


  • 積尸気(ししき)
量産型夜天光としての位置付けにある、火星の後継者用量産機。
夜天光よりもやや小型化している。
エステバリスとは異なり、こちらも機体に固定されたターレットによる通常ブースター機動の為、機動力は高いが稼働制限がある。
ただし、外付けのBJ装置が搭載可能(片道のみ)なので稼働時間の短さはあまり関係が無い。
これを利用し本機が行ったBJ奇襲戦法により、地球各重要拠点が陥落した。
武装はハンドガンとミサイル四基。
軽武装だがBJした瞬間に不意を突けるのでかなり有効である。
(なので位置付け的には特攻機とも言える)

なお火星の後継者の機体は、ブラックボックスである火星遺跡からのデータを利用している為、どの現行機よりもBJ機能を始めとした完成度が高い。
そのため六連と夜天光はTV版終了の一年後には完成しており、早くから活動を開始していた。



スーパーロボット大戦シリーズでの扱い
やらかした悪行があまりにも卑劣なうえ、彼ら自身が「悪」を標榜して憚らない(むしろ「悪」を免罪符にしている)ため、自軍部隊からの印象は最悪を通り越している。
元組織である『木連』が参戦する場合には原作通り和解すべき「相手」であるが、火星の後継者の場合は自軍部隊が率先して滅ぼしにかかる「悪」であることもままある。
復讐に肯定的とは言えないキャラであっても、アキトに対しては「火星の後継者なら仕方ない」といった感じ。

初参戦作品。
黒幕の介入により連邦軍(並びにスーパーロボット軍団)が弱体化している序盤では、ネオ・ジオン軍に並ぶ脅威とされている。
非常に早い段階でアキトは自軍と合流するも、直後に黒幕によりナデシコCは大爆発、クルー全員死亡という最悪の結末を迎える。
過去編では黒幕の介入で、北辰らが木連に所属しているにもかかわらず火星の後継者の装備で大暴れするも、
最終的に主人公部隊の介入で木連は地球と和解し残党は全員逮捕、トドメに演算装置はアルクトス王家御預かりになると、存在自体が歴史から完全に消されてしまった

据置初参戦作品。
火星で人類と平和に共存していたバーム星人人質に取り、月のギガノスと結託して地球を襲う。
ただ、戦力が足りていなかったのかTV版の木連の機体も動員している(というか、そのためだけにTV版がクレジットされている)。

第2部でZAFTアマルガムと結託して地球連合を攻撃する。
本作では木連との和解後、わずか半年で出現したため、『R』ほどではないが大幅に前倒しになっている。

演算ユニットが別宇宙に飛ばされてしまったので、アクシズ・ショックの際に異世界転生したνガンダムのサイコ・フレームを悪用している。
第29話(全52話)と割と早い段階で壊滅してしまい、以降は残党がガミラスの手下にまで成り下がる。

「悪名高いテロリスト」という設定であり、本作の連邦軍は僻地であればあるほど弱く腐敗しているため火星付近の住民*1は苦しめられている。
一方で、賞金稼ぎにとっては美味しいカモ扱いされている模様。
本作でも28話目と早い段階で草壁がタイーホされて壊滅するが、逃走した大多数の兵士がネオ・ジオン軍に合流したほか、北辰たちはオリジナル敵組織に雇われる。


…おっと、他にも大事なのを忘れていた。

TV版のみの参戦であるが、終盤でラウ・ル・クルーゼがかぐらづきを轟沈させたため、草壁を始めとする幹部は軒並み死亡
火星の後継者は成立前に消滅、劇場版は来ないということになった。

TV版のみの参戦であり、本作で木連は境遇が似ている機動戦士ガンダムAGEヴェイガンと手を結んで地球に侵攻。
さらにヴェイガンがマクロスFランカを捕縛して、呼び寄せたバジュラまでも戦力として扱っていた。
だがこれが仇となり、「さて遺跡ユニットをどうするか」という段になったユリカが「解放したバジュラクイーンに預かってもらう」というウルトラCを決めてしまう。

このため「有用なワープ技術のために遺跡が欲しい、だがそのためにはワープで銀河を駆け巡るクイーンを捕まえなければならない」という、
手間はかかるわ捕まえられるぐらいならもう価値がないわという状況になり遺跡は諦めざるをえなくなる。

起死回生を狙って全軍で地球へ向かうが、確定生存の九十九や本当の正義に目覚めた元一郎、憎しみを捨てたフリットの活躍により多くの一般兵士は離反。
最後まであがいた末に草壁も敗北を認めて投降し、劇場版フラグは完全にへし折れた。








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最終更新:2024年02月27日 23:11

*1 本作において『ガン×ソード』のキャラは全員火星の住人である。