スターゲイザー(MS)

登録日:2012/02/12(日) 03:31:37
更新日:2024/02/20 Tue 19:45:44
所要時間:約 9 分で読めます




上を見る者

その向こうにある、『星を見る者』



――『STARGAZER』――



機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場するモビルスーツ(MS)。


目次




基礎データ


型式番号:GSX-401FW
全高:18.94m
重量:76.22t
   83.59t(ヴォワチュール・ユニット含む)
装甲材質:不明(マイクロマシナリーテクノロジー搭載)

武装:ビームガンKSM71/J

特殊装備:ヴォワチュール・リュミエール
自己対話型複列分散処理AI
ワイヤー×2

パイロット:ソル・リューネ・ランジュ
      セレーネ・マクグリフ


概要


宇宙探査を目的として『D.S.S.D(深宇宙探査開発機構)』が開発した非戦闘用MS。
スターゲイザーとは英語で星を見る者の意。
元々は型番だけで呼ばれていたが、それを味気なく感じたソルが叔父のエドモンド・デュクロが口にしていた言葉から名付け、DSSD内での正式名称として登録された。


将来人類が本格的に火星以遠への進出*1を行うことを見越してDSSDが推進する「スターゲイザー計画」の中核となるべく建造された機体。

民間研究機関用の機体であることから、純粋な攻撃兵装は内蔵せず装甲も戦闘用MSより薄い。腹部や脛などは内部パーツが露出している。
頭部はツインアイに斜め上方に伸びたブレードアンテナなどガンダムタイプ的な要素を持つ一方バルカンなどは無く、代わりに多数の情報収集センサーなどが詰め込まれ側頭部にボリュームがある。
そして大きな特徴として装甲各部に入った線状のスリットと背面に背負った巨大なリングパーツが目を引く。


主に探査活動を目的とした機体であるが、膨大な時間を要する惑星間移動を伴う有人探査活動はパイロットの心身に掛かる負担が大きく、C.E.73年時においても現実的ではなかった。
そこで本機は無人での運用を前提に、胸部に自己対話型複列分散処理AIを搭載することで、様々な事象に対して人間のように自ら考えて判断し、行動できるよう設計された。
しかし、AIによる完全な自律行動を行えるようにするには、予め人間が機体に搭乗して操縦し、そのデータをAIに反映させて大量の経験値を積ませる必要が生じる。それが無ければこのAIはただの「凄いスーパーコンピュータ」に過ぎないのである。
そのため、AIユニットが収納された胸部ユニットは有人運用のためのコクピットユニットに換装できるようになっている。
AIユニットとコクピットユニットは外観は同じだが、有人用コクピットはメインの操縦士と情報収集など行う補助員が前後の座席に同乗する複座式で、通常のMSよりやや広い作りになっている。

また、長期間の無人運用に耐えられるようにナノマシンを利用した自己修復型マイクロマシナリーテクノロジーが使われていて、ある程度の異常は自動で対応可能。

補助動力としてパワーセルを搭載。肝心の主動力については、作中Nジャマーキャンセラー効いているからパワーセルしか使えない」と発言していることから……
……「NJCに妨害される特殊な動力」が存在するとかでなければNジャマーが効いている」の間違いとしか思えないため、
用途からして(どうせ運用するのはNジャマーのない地球圏外なので)NJC抜きで核エンジンを搭載しているものと思われる。


ちなみに本機のOSは
Guider
UNmanned
Deployment
Autonomic
Manipulation
「無人・自律運用展開教導機」となっている。
なのでSEEDシリーズの定義上では「ガンダム」であるが、この呼び名を知る者が作中に登場しないため作中でガンダムと呼ばれる機会はない。
また、外伝作品のタイトル機という立場からなのか、作品外でも「スターゲイザーガンダム」ではなく「スターゲイザー」の表記が用いられることが多め。



○ヴォワチュール・リュミエール(VL)

背中に装備されている惑星間推進システム。意味はフランス語で「光輝ける運び手」
背中に装備された巨大な輪の形をした「ヴォワチュール・ユニット」から微粒子の膜を形成し、空間構造を歪めることで「量子ディラック干渉」を発生。そこに受けた太陽風をはじめとする荷電粒子を光に変換し機体を移動させるというもの*2
荷電粒子ならどれでもいいので、外部から受けたビームも変換できる*3
なので太陽風を安定して供給され続ければ搭載している推進剤を消費することなく、理論上は無限に加速し続けられる。

スターゲイザーに採用されたモデルは稼働させた際に荷電粒子が副産物として滞留し緑の光輪が発生するが、これは使い方次第で攻撃や防御に転用できる。
具体的には相手の放つビームをねじ曲げて光輪を形成、つまりビームの威力を身に纏ったまま攻撃できる、まさに攻防一体の機能である。
なお、戦闘にも使えることはDSSD内でも知られてはいたが、「万が一の時のための保険」として扱われていた。

機体のあちこちにあるスリットはVLのサブシステムの役割があり、背中のトーラス(円環構造体)とリンクさせる事で推力バランスの補正を行う。
また、ヴォワチュール・ユニットは普段背面に固定されているが、背面に収納されている接続アームの可動やトーラス部分の半円状への分割機構などによって広い可動域を有しており、足元にトーラスを移動させ輪に乗ったような状態でのVL加速や半円を翼のように広げてのAMBAC移動など、様々な応用が可能。


本来、このシステムは惑星間探査のために作られたものだが、DSSDがスポンサーや提携のために各勢力と基礎技術を共有していたことからデルタアストレイターンデルタレッドフレーム改デスティニーストライクフリーダムなどの戦闘用MSに技術を転用した短距離加速用推進システムが搭載されてしまった。
これらの用法は総じてVLが持つ変換能力のみを利用した能動的なロケットとなる。



武装


元々戦闘用ではないため内装火器や専用武装は存在しない。

  • ビームガンKSM71/J
元々はシビリアンアストレイの武装。片手用の小型ビーム銃で、速射性が高く小型で取り回しも良い。
劇中ではこれでスローターダガーを一撃で撃破していた。

  • オラージュ・ド・リューヌ
VLを使い形成した複数の光輪の大きさや形を変化させ相手に向かって射出する。簡単に言えばビームサーベルの輪っかが複数飛んでいくような物。
空間構造ごと切り裂くため切断力が高いうえ、本体の予備動作なども無く光輪部分だけを不規則に変化させられるため攻撃の出も見切られ難く、特に対MS戦では強力な攻撃手段。
しかし、形成した光輪の維持にエネルギーを消費するため、パワーセル稼働状態のまま長時間連続使用し続けるのは難しい。



劇中の活躍


C.E.73(『STARGAZER』)

本体は地上、ヴォワチュール・ユニットはトロヤステーションでそれぞれ開発されており、ブレイク・ザ・ワールド事件の直後本体もシャトルで宇宙へ打ち上げられトロヤステーションで機体が完成。
VLの稼働テストが行われ成功し、その後AIのデータ蓄積のためテストパイロットとしてソルとセレーネが搭乗した。

しかし本機のAIユニットの情報に軍事転用の可能性を見出した地球連合軍がファントムペインを派遣。
ユニット奪取のために攻撃を仕掛けてきたため、シビリアンアストレイに混じって本機もコクピットユニットに換装して出撃した。

非戦闘用でありながらVLによる驚異的な機動性で敵機を翻弄し、次々と撃墜していくが、スウェン・カル・バヤンストライクノワールとの戦いで苦戦し、遂に武器のパワーを使い切ってしまう。
するとセレーネはソルをコクピットから脱出させるとノワールに取り付き、アポロンAのプロパルジョンビームを自機に受け、そのエネルギーをVLで推進力に変換、自分ごと地球と金星の間の宙域までブッ飛ばした。
移動後、大破したノワールからエネルギーを貰うと、セレーネとスウェンを乗せた本機はVLを起動させ地球へ帰還を始める。

ラストシーンでは地球圏への帰還を果たすが二人は……?



関連機体


シビリアンアストレイ DSSDカスタム

DSSDがジャンク屋組合と共同で開発したMS、その警備仕様機。
背面の電磁推進システムがVLの原型となった。


デルタアストレイ

ターンデルタ

ガンダムアストレイ レッドフレーム改

デスティニーガンダム

ストライクフリーダムガンダム

上記の通りDSSDから流出した技術を基に、近距離加速用のVLを搭載した機体群。


◇ルナゲイザーガンダム

『ガンダムビルドファイターズA-R』に登場するガンプラ。
レディ・カワグチが初めて触れたガンプラであるスターゲイザーへの思い入れから、新たな愛機とした百式にスターゲイザーの要素を引き継がせる形で製作された。


◇ネプテイトガンダム

ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』に登場するコアガンダムが「ネプチューンアーマー」を装備した形態。
非戦闘用で太陽系の果てを目指しVLを装備しており、各部パーツもスターゲイザーを意識したデザインになっている。



ガンプラ


HG SEEDで発売。商標登録の関係で商品名は「スターゲイザーガンダム」となっている。
本体は勿論ヴォワチュール・ユニットも可動域が極めて広く、色分けもほぼ完璧(足りないのは各部のわずかなグレー部)。
通常の黒のラインのシールの他、プロパルジョンビーム受信状態を再現するホログラムシールが付く。
付属品はビームガンと劇中のシーン再現の為のクリアーグリーンの光の輪のパーツ、展示用スタンド。
光の輪はスタンドに接続できる。
アンテナが独特なデザインであるため、破損防止用フラッグと間違えて切り落としてはならない。

同時期に発売されたストライクノワール同様評価は高い。

BB戦士ではNo.297番で発売。
HG同様バックパックの可動範囲が非常に優秀、機体各所のスリットはメタリックシールで再現されている。
付属品はHG同様ビームガンとクリアーグリーンのエフェクトパーツが付属、エフェクトパーツはHGと違い半円状のパーツが四つ付属する。
余談だが、全塗装されがちなパッケージなどの商品写真もスリット部分にメタリックシールを使用している。



ゲーム


◇『スーパーロボット大戦シリーズ

K』で参戦。
VLとビームシールドで防御力が高く、HP回復と修理装置も持っている。
宇宙ステージではどれだけ移動しても消費ENは1になる。


◇『SDガンダムGジェネレーションシリーズ

宇宙と空中の適性がAで移動力も高く、特殊属性の武装を二つ持ってるので相手を選ばず戦える。火力は高くないが。
またHPを回復するマイクロマシナリーテクノロジーを持ってはいるものの、防御に関するアビリティを何も持っていない為、オプションをつけなければ非常に打たれ弱い。
設計で生産登録しやすいのも特長で、戦力が心もとない序盤に生産しておくと活躍させやすい。
開発先は当初はM1アストレイだけだったが、最近ではVL繋がりでストライクフリーダムへ開発可能になっている。
また、『クロスレイズ』ではMAP兵器としてVSシリーズのオリジナル武装「フラッシュマイン」が実装されたほか、初期配備機体2つを1回ずつ開発すると設計素材が確保可能で、先述のようにストフリの開発元になれるので序盤のオススメ機体としての価値は他作品よりも高く、本機を生産してストフリに開発して解体するという工程で資金確保も出来る。


◇『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II

家庭版の隠し機体として参戦するが、メイン射撃がまさかの爆弾。
このフラッシュマインは設置→起爆と工程を踏む必要があるためかなり特殊な機体になっている。
また、ゲームオリジナルでビームシールドが使用できる。


◇『機動戦士ガンダム EXTREME VS. FULL BOOST』

コスト2000で参戦。
メイン射撃がビームライフル、サブ射撃がフラッシュマインになった。
そのほか射撃CSで原作再現の回転しながらの連射、特殊射撃でシビリアンアストレイDSSDカスタムを呼び出し、特殊格闘ヴォワチュール・リュミエールを展開する。
覚醒技は原作でプロバルジョンビームを受けることによる超加速によってノワールと共に深宇宙方向に吹き飛んだアレ。
以降X BOOSTまで続投。

◇『機動戦士ガンダム EXTREME VS 2 X BOOST』

コスト2000で続投。
本作でまさかのN格闘(VL時後格闘)の溜めが保持可能になるという強化を受けた。最大溜めは3つの輪っかを飛ばすため、1本1本の範囲は狭いものの総合的に見ると範囲が広い。それに加え単発で強制ダウンを取れるうえ、もともと弾数が存在しない武装のため常にこの輪っかを抱えたスターゲイザーと見合わなければいけないと迎撃手段としてゲーム中トップクラスのものに。コスト2000でありながら自衛力が非常に高くコストの関係上いろんな機体と組みやすいため、使用率・勝率ともに高かった。
しかし来る2021/07/29日シリーズ随一の害悪と言われたG-アルケインとともに下方修正を受けた。下方内容はN格闘(VL時後格闘)の弾数化のみ。
しかし立ち回りの根幹を支える武装が弾数化したことにより明確な隙が出来た。1発7秒リロードと回転率も良くなく、弾がない時は溜めが不可と、今までより分かりやすく攻めるタイミングができた。が降りテクの豊富さとVL時の機動力及び攻め力が強く、弾数化したとはいえ大体10秒に一回輪っかが飛んでくるので結局自衛力は高いまま。さらに同じ修正で2022年2月まで環境トップとなるサザビーが上方修正を受けたこともあり依然として勝率・使用率はトップクラスだった。
2021/12/09日再び下方修正を受けることに。Nアシストの連射数減少(3→2)、レバー入れアシストの誘導弱体と地味に響く修正を受けた。
2度の修正により初期の化け物さは鳴りを潜め、やや癖のある万能機となった。
癖があるとはいえステップや輪っかの扱いに慣れがいる程度なのでだいぶ使いやすい部類に入る。
ただ2度の修正を受けた2022年6月現在でも2000コストの中ではトップクラスの自衛力を誇っていることは変わらず。
立ち回り自体も大きくは変わっていない。
自衛しているだけでは無視されてしまうという自衛力が高い機体特有の欠点を抱えているものの、その弱点をフォローし得るポテンシャルを秘めている。
また2000コストであると言うのも見落とされがちだが、嬉しいポイント。
使用率こそ最盛期から衰えを見せているものの、依然として高いキャラパワーを誇る。



◇『機動戦士 ガンダムSEED BATTLE DESTINY』

通常時はブースト性能が高めで格闘が特殊なだけの汎用機だが、機体SPAを使用した瞬間、チート機に化ける。
自機の周囲に格闘判定の光の輪が常に出現し、射撃も高い誘導性能と大型MAですら1発で転ばせる特性を持つ光の輪を射出する攻撃に変化する。
そのため1発でも攻撃が当たれば密着して常に格闘ダメージ+起き上がっても即座に転ばされるというコンボが成立するため、ストフリだろうがデスティニーだろうがデストロイだろうが瞬殺する作中最強の戦闘力を持つ。





追記・修正は無限に加速しながらお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム
  • ガンダムSEED
  • STARGAZER
  • MS
  • 星を見る者
  • 星をみるひと←ではない
  • ヴォワチュール・リュミエール
  • 主人公機
  • 非戦闘用ガンダム
  • 八坂神奈子
  • 荒天装備
  • フルブースト参戦
  • 無限加速
  • チート
  • ボンバーマン ←連ザでの話
  • 複座
  • フルブースト復活参戦
  • スターゲイザー
  • 星をみるガンダム
  • 主役機
  • 無人機
  • 無人機(予定)
  • 惑星間航行用MS
  • MS
  • D.S.S.D
  • 深宇宙探査開発機構
  • ソル・リューネ・ランジュ
  • セレーネ・マクグリフ
  • 探査機

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月20日 19:45

*1 探査活動だけならジョージ・グレンのツィオルコフスキーが木星探査を行っているが、生存圏に出来たのは火星圏のマーシャンの拠点オーストレール・コロニーまでである

*2 光は作用反作用を持つため、これを推力にするロケットというアイデアは現実にも存在する。ただし、既存のエネルギー機関では光を十分な加速推力が必要なだけ用意する事ができないため、実用化していない。VLでは「量子ディラック干渉」「空間構造に干渉する」という設定が存在する事から、どうやらエネルギーを光に変換させやすい物質の溜まった空間にアクセスして実用レベルの光圧を用意しているらしい。

*3 ソーラーセイルの一種ともされるが、あちらは太陽光がセイルに当たった際に生じる作用反作用を利用するので別物である。