ディン(MS)

登録日:2012/02/18(土) 22:32:55
更新日:2024/03/28 Thu 14:48:42
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機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場するモビルスーツ(MS)。


目次





ディン
DINN

基礎データ


型式番号:AMF-101
全高:18.93m
重量:37.33t
動力:内蔵バッテリー
装甲材質:不明
武装:MMI-M7S 76mm重突撃機銃
MMI-M1001 90mm対空散弾銃
6連装多目的ランチャー×4

パイロット:マルコ・モラシム
イザーク・ジュール(小説版SEEDのみ)
ラウ・ル・クルーゼ


機体解説


ザフトの空中戦闘用量産機
頭部のモノアイと細身のボディ、マントのように背面に畳まれた巨大な翼が特徴。
一般機は装甲を紫色に塗装されている。

ザフトが主戦力としたジンをはじめとするMSは宇宙空間で高い戦果をあげ、地上での戦闘にも適応できる性能を持っていた。
しかし、本格的な地上戦で必須となる制空権確保を行うのは単独飛行能力を持たないジンでは荷が重く、元々数で劣るザフトが連合と同じく航空機でもってこれにあたるのも適当ではなかった。
そこでザフトは火力や運動性といったMSの長所を維持しつつ、単体で空中戦闘を行える機体を開発することになり、このディンが生み出されることになった。

開発はプラントのハインライン設計局が担当。
第1次連合・プラント大戦序盤、オペレーション・ウロボロスの可決と共にバクゥグーンなど同じく地上侵攻用機としてプロパガンダの一環で開発が公表。
その後、C.E.70年5月にザフトの地上橋頭堡となるカーペンタリア基地が完成すると共に、本機も主戦力の一角として配備された。


開発にあたっては先行開発されていたジン航空戦術偵察タイプなどのデータを参考にしているが、ボディの基礎設計は同設計局製のシグーをベースとしている。
そのため手足など各部パーツの形状などにシグーと似通った部分が多い。

一方で、グゥルなどのサブフライトシステムに頼らず単独での空中戦を可能とすべく、機体を軽量化(なんとシグーから40tも減量)。
内部パーツの変更に伴い頭部のトサカ状センサーアレイは廃され、コクピットの位置も腹部ではなくジンに近い胸部に配置するなどの変更が加えられている。
更に背面にはスラスターと巨大な六枚の翼を備えたバックパックを設け、飛行時には翼を左右に展開し揚力を得ることで重力下での長時間飛行を可能とした。
また、バックパック中央には整流用エアロシェルを備え、高速移動する際はこれを頭に被り空気抵抗を軽減し航続距離の延長を図っている。
これらの工夫もあって大気圏内でも最高飛行速度は亜音速に達する。
ちなみに、片側の翼を失ってもそれなりの速度で飛行出来たり、(膝下が無いとはいえ)100t超えのデュエルASを空中でキャッチしてそのまま離脱出来たりとスラスターの出力自体も結構高い模様。

陸上での単独離着陸は勿論ボズゴロフ級潜水空母からの垂直射出なども可能で、拠点防衛から強襲戦闘まで幅広い作戦行動に対応し、
地上用兵器の開発ノウハウが不足気味だったザフトのMSの中にあって良好な性能を発揮している。

その反面、軽量化のために全体の装甲を削っているためMSとしては防御力が恐ろしいほど低く、当たり所が悪ければ戦闘機の機銃でも致命傷になり得た。
他にミサイルの直撃一発で撃墜される場面も度々描かれており、(その程度で撃墜される事は少ない)ジンなどと比べて耐弾性の低さが際立っている。
また、最初から亜音速以下での空中戦を目的に空中運動性の向上を優先していたため、地球連合空軍の主力戦闘機であるスピアヘッドと比べて最高速度や航続距離では負けている。



武装


  • MMI-M7S 76mm重突撃機銃
シグーと同じ物を装備。防御力の高い相手に使われる。
非使用時は右腰のホルスターにマウントされる。

  • MMI-M1001 90mm対空散弾銃
左腰ホルスターにマウントされているショットガン
重突撃銃同様プラントのMMI社製。
こちらは防御力の低い相手に使われる。
ストライクが水中戦をしていた際、上空で撃墜され落ちて来たディンが装備していた本銃を偶然拾い、咄嗟に使用して難を逃れた場面がある。
超至近距離からの発砲とはいえ、水中発射でも連発すればMSの装甲に致命打を与えられる威力はある模様。

  • 6連装多目的ランチャー
胸部左右に上下2段で計4基内蔵。
通常時はカバーが掛かっており、使用時にはカバーが上下に開いて発射体勢をとる。
基本は小型ミサイルだが、弾種は任務ごとに選択可能。

  • M68 キャットゥス500mm無反動砲
ジンなどが使用するバズーカ。
ASTRY R』において空中から発射するシーンがある。



劇中の活躍


□C.E.71(SEED)

海洋に出たアークエンジェルを撃沈するため、モラシムが搭乗。
部下のディンやグーンと共に空と海から攻撃を行うが、グーン隊はキラストライクに、ディン隊もムウスカイグラスパーによって全滅させられ、自機も破損したため撤退した。

その後もザフト軍の空戦用主力機としてオペレーション・スピットブレイクなどの地上での作戦に投入されたが、
連合の主力がMSに移り変わってくると軽装甲が仇となり撃墜されることも多くなり以前ほど戦果を挙げることなくなっていったという。


□C.E.73(DESTINY)

バビの配備が進むまで地球での制空権確保に適したMSが他に無かったこともあり、未だ現役で運用されている。
とはいえこの時代になると火力面での能力不足も目立ち、第一話のアーモリーワン強奪事件の際には地上輸送前の機体が緊急出撃しジンやシグー、ガズウートと共にカオスガイアアビスを取り押さえようとしたが、為す術も無く撃墜されてしまっている。

デストロイ相手に果敢に挑む機体も散見されるが、やはり荷が勝ち過ぎたか事も無げに蹴散らされている。


□C.E.75(FREEDOM)

既に型落ち機だが、アフリカ共和国オルドリン自治区のザフト駐屯部隊や新興国家ファウンデーション王国の機体が登場。
まぁ言わばやられ役なのだが、同じやられ役のジンに比べて影が薄い。後半の宇宙戦には登場しない(できない)し。




派生機


◇クルーゼ専用ディン

ラウ・ル・クルーゼ専用機
カラーリングがシグーに似た白やグレー系メインの配色になっているが、性能は一般機と同じ。
オペレーション・スピットブレイクで搭乗していたがクルーゼ自身が生身での潜入を行っていたこともあり、トーチカを破壊した以外これといった活躍シーンは無い。



◇早期警戒・空中指揮型ディン特殊電子戦仕様

型式番号:AME-WAC01

その名の通り、特殊な電子戦装備を搭載した早期警戒用のディン。
センサーやレーダーを一体化させた大型ディッシュアンテナを装備。飛行時には両手でアンテナをぶら下げるような格好となる。
アンテナを保持することで低下する機動力を補うため翼部に可動式の補助エンジンを追加。更に腰部サイドアーマーを増槽にしており、機動力及び航続距離が大幅に強化された。
反面、胸部の多目的ランチャーはセンサーに置き換わり、銃器類を収めるサイドアーマーも上記の通り増槽になっているため、武装類は無く単体の攻撃能力はほとんど無くなっている。
コクピットは機体操縦担当一人と電子装備を扱うサブパイロット二人、計三人乗りの複座型に変更されており、胸部中央が前方に向けて出っ張った形になっている。
なお、最も名前が長いMS候補の一角でもある。


◇AWACS(エイワックス)ディン

型式番号:AMF-101C

C.E.73年時に運用された早期警戒管制用の機体。
上記の特殊電子戦仕様と比較するとよりノーマルディンに近いデザインになっている。
索敵用にエアロシェルに特殊センサー、背面にレドームが追加され、両者の併用で広範囲を索敵出来る。
武装はノーマルディンと同様だが、作中で6連装多目的ランチャー部から海中用ソナーらしきものを出しているシーンもあるため、一部パーツの換装も可能だったと思われる。
エンジェルダウン作戦に投入されており、戦闘中に上空からアークエンジェルを監視していたり、作戦終了後は海上に浮かんだ破片の調査や海中探知をしている。


◇ディンレイヴン

型式番号:AMF-103A

特殊部隊用のディン。レイヴンは「Reconnaissance Attack adVanced Electronic iNstllation(特殊電子機材搭載・偵察・攻撃)」の略。
スラスターの強化やセンサーの追加などで機動力や通信能力、索敵能力を高めている。
最大の特徴はミラージュコロイドを搭載していることで、これは黒以外の色の装甲でも定着させられる改良型である。
かなりのレア物で、ほとんど存在を知られていない。



◇マディガン専用ディンレイヴン

カイト・マディガンの専用機。
機体に白い十字のマーキングが施され、腰のウェポンラックをアーマー兼サブスラスターユニットに変更し、武装に彼愛用の複合銃を追加している。
ジェス・リブルの取材の護衛に使用された。


◇ディン-F

型式番号:AMF/A-102F

型落ちしたディンをファウンデーション王国が安く買い上げたもの。「F」は「ファウンデーション」の意味。
カラーリングが青系に変わった以外は原型機と同じ。

主にファウンデーションの一般兵士が搭乗してブラックナイトスコードのサポートを行う。


◇ディン-R

型式番号:AMF-101Q/4

こちらもファウンデーション所属の機体だが、無人機に改修されている。「R」は「リモート」の意味。
頭部がシンプルなボール型になり正面と左右に計三基のモノアイレーンが設けられ、背部のエアロシェルも頭部の変更に合わせ形状が変化している。
その他胸部のコクピットブロックの形状も変わっているが、機体の基本性能自体はディン-Fと相違無いと思われる。

ブラックナイトスコードルドラの火力を補う為にそれぞれ3機のジン-Rまたはディン-Rが3機が随伴。
通常武装以外にもジン用のキャニスなど大型火器も装備しており、ブラックナイトスコードからの誘導で目標への一斉攻撃などを行う。



関連機体


◇バビ

型式番号:AMA-953
全高:19.84m
重量:65.75t
武装:MGX-2237アルドール 複相ビーム砲
MMI-GAU2436 22.5mm4銃身機関砲×4
QFJ91 12連装航空ミサイルランチャー×2
MA-M343 ビームライフル
MMI-M182 航空ガンランチャー


C.E.73年にディンの後継となる空戦用量産機として開発されたMS。
Y字型のモノライレーンを持つ縦長のコーン型頭部と背面に背負った大型翼が特徴。
通常機の装甲はディンよりやや彩度の低い紫色に塗装されている。

ディンが既に型落ちとなっていたことから、その弱点を解消した新規格の機体として登場した。
ディン最大の弱点ともいえる防御力については、ボディの新規設計に伴う装甲の強化により平均的なレベルに押し上げている。
同時に重量は25t以上増加しているが、発展した駆動機関を採用したことで全体の出力が向上しており、背面の翼や機体各部に設けられたスラスターによりディンに劣らない高い空中運動性を発揮する。
更に脚を尾翼に見立て背中に折り畳み簡易変形機構により、MA形態に変形出来る。
また、不足していた火力も質・量共に強化されていて、ディンが実弾兵器ばかりでフェイズシフト装甲を持つ機体に対応できなかったことからビーム兵器を複数装備している。
これらの機動性と火力を活かした一撃離脱戦法などではセカンドステージMSにも劣らない戦力となるとされる。
量産機としては珍しく高出力の赤ビーム砲を備えるが、アークエンジェルのラミネート装甲にアッサリ弾かれている。

なお、本機の型番として新たに設けられた「AMA」は「Aerial Maneuver Attacker」=「空中機動攻撃機」を意味し、今後の空中戦闘用MS開発における新機軸となることが期待されていることが窺える。


『DESTINY』中盤辺りから地上のザフト軍基地に配備され登場。
しかし作中ではフリーダムやデストロイなど強力な敵機を相手取ることが多かったので華々しい活躍は無く、オーブ戦でセイラン家を潰したくらいで目ぼしい活躍は出来ていない。
ちなみに漫画版ではミネルバ艦載機らしき変形した2機が出撃するシーンがあったり、損傷した本機にアスランが乗り込み、キラとシンの戦いに割って入っている。

連ザⅡでは変形時にミサイルを連射出来るが、ラッシュ覚醒で連打するとミーティアのフルバーストもかくやなミサイルの弾幕をかまし、ゲームが処理落ちを起こす。
チートに片足突っ込んだミサイルの雨を降らし、爆撃機とされるのも頷ける一端が垣間見える。



立体化


ガンプラ

1/144のコレクションシリーズにてディンが発売された。
ただしこのシリーズは可動箇所が極端に少なく、背面のウイングは一応開くことは可能だが、形状は待機状態時のまま固定されている*1
なので完全な飛行状態を再現しようとするなら改造が必要。
ただしエアロシェルは差し換えで展開できたり、左右の銃をホルスターに収納できたりと低価格キットながら頑張ってギミックを仕込んであることは評価できる*2

また、ディンそのものではないが、劇中でストライクが使用した縁か2023年にはガンプラ入りラウンドBOX封入のEGスケール・ストライクガンダム[リサーキュレーションカラー/ネオングリーン]の付属品として対空散弾銃だけが再度立体化している。
更に2024年発売予定のEGストライク用オプションの詰め合わせである「オプションパーツセット ガンプラ01」にも同じ物が付属する。


バビはガチャシリーズで僅かに販売された程度で、プラモデル関連は一切販売されていない。



ゲームでの活躍


機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II

無印からはディン、Ⅱからはバビも参戦している。
ディンは格闘こそ蹴りやチョップだが、マシンガンとショットガンを距離によって使い分け、ミサイルによる弾幕形成も可能。ブースト量が同コスト帯では多めなのが利点。
指揮官用ディンもいて、コストが10上がりマシンガンの総弾数とブーストゲージ量が微増加している。

バビはこの時代では珍しい射撃と格闘の両方にチャージ攻撃を持つ機体。
どちらも腹部ビーム砲だが単発と照射の使い分けができる。代わりにゲージをチャージしている間は武装を使えなくなるので、使いどころはしっかり見極めたい。
ディンの上位互換と言って差し支え無く、ガンランチャーや変形ミサイルは硬直無しで撃てる他、ステップ効率は全機体中最高ランク。

SDガンダムGジェネレーションシリーズ

ディンはSEEDから、バビはPORTABLEより参戦。
両方共に格闘武装と防御手段を持たないので接近戦では圧倒的に不利。ステータス面でも微誤差レベルの性能差しかなく、耐久値と防御値には不安を抱えている。
またどちらも運用は地上限定で、宇宙ステージでは使えない。空中適性も常時Aなのは素晴らしいが、バビの方は変形してもAなのであまり使う意味が無い。
一方でバビは攻撃面では実弾・ビームの両方を持ち合わせているのでPS装甲持ちへの対処はしやすく、鉄血のナノラミネートアーマーに対してもそこそこ立ち回れる汎用性がある。


余談


「バビ」という名称は元々ディンやシグーの初期稿に着けられていた仮称の一つであり、後にメカデザインを担当した大河原先生のツイッターにおいて、
このディンの流れを継いだスタイルをしたバビのラフデザインが発表されている。 




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最終更新:2024年03月28日 14:48

*1 本来は左右計6枚のウイングが待機状態では重なって1対2枚になっている。このプラモでは重なった1対のままで固定。

*2 コレクションシリーズはそもそもギミック自体が存在しない(武器を持たせて手足を少し動かせるだけ)キットも多く、その中ではディンはだいぶ頑張っている方である。