鉄人28号(2004年版)

登録日:2010/10/18(月) 21:34:02
更新日:2024/02/13 Tue 12:53:16
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戦うために作られたもの

全てを破壊するために作られたもの

時代の遺物



正 太 郎



鉄人28号(2004年版)は、2004年に放映された横山光輝原作「鉄人28号」の第四作目のアニメ。

監督は「機動武闘伝Gガンダム」「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」でお馴染みの今川泰宏
アレンジが強いことと、作品を区別するため、ファンからは今川鉄人とも呼ばれる。

第二作「太陽の使者 鉄人28号」や第三作「鉄人28号FX」と比べ、キャラクターやロボットは原作に近く、第一作「鉄人28号」に比べ「戦後」であることが強調されている。

本作は深夜放送だったのだが、放送中に原作者の横山光輝が本作を見るために寝煙草をしていたところ、家が火事にあい、
横山もその時の火傷が原因で逝去してしまった。
なお生前の横山は本作に対して「暗すぎる」という感想を遺している。


登場人物

金田正太郎(声:くまいもとこ)
皆さんご存知、少年探偵でありショタコン(=正太郎コンプレックス)の語源。(正確には太陽の使者版だが)
運動神経、推理力の高さは原作通りだが、見た目以外の点は「大人」として描かれていた原作とは違い、今作では良くも悪くも「子ども」であることが強調されている。またよく縛られる。
大人の事情により銃を所持できず、代わりにバナナで威嚇することも。
車を運転している事に突っ込んではいけない。

大塚署長(声:稲葉実)
正太郎の育ての親的な存在でありムードメーカー。
九大天王ではないので空は飛ばない。

敷島博士(声:牛山茂)
正太郎の育ての親的存在その2。
今は亡き正太郎の父・金田博士の元助手であり、鉄人の研究にも関与した。
現在は妻子持ちで、敷島重工の社長。
とあるシーンでは彼のMADな一面が窺える。

村雨健次(声:幹本雄之)
兄の竜作と子分の辰と一緒に兵器関連の物を盗むギャング。銃は使わない主義で武器はナイフ。
とある事件をきっかけに正太郎と鉄人に因縁を持つようになる。
ちなみに不死身ではない。

高見沢秘書(声:石塚理恵)
大塚署長の秘書であり、実質このアニメの紅一点でムードメーカーその2。
正太郎におごってもらおうとするなど子供っぽい所がある。


登場メカ

鉄人28号
正太郎の父・金田博士が生み出した「無敵の兵士」であり「もう一人の正太郎」。リモコン(操縦機)によって操縦可能だが、それ故に正義の味方にも、悪魔の手先にもなりうる。
ちなみに起動音はOVA版ジャイアントロボと同じ。


評価

鉄人があまり活躍せず、後半は特に暗く重い作りになっているため賛否両論。
当初はNHKで流す予定が流れてテレ東に落ち着いたという逸話もあり。
これはケチで見切り発車に定評のあるガンジスのプロデューサー・大月俊倫の意向により、予算が削られ、今川が「ロボットアニメに必要とする作画枚数」が実現できなかった。
そのため、今作のような人間ドラマ重視の作風になった、と今川が愚痴混じりでバラしている。
メカデザインもつけてないので、鉄人もロボじゃなく「ひとりのキャラクター」として見ているんじゃないか、とのこと。

本来は原作の様なロボット活劇にしたかったが、大月は鉄人の皮を被った『プロジェクトX』を作りたかったようだ。
最初、大月が「鉄人出さなくていいよ」と言ったので、制約もあってその通りにするといざ始まると「鉄人出番少ないよ!」と最初の発注と180度異なる発言。
彼の掌返し不満に「お前が言ったんだろうが!!」と今川はたいそうおかんむりだったそうな。

なおそのせいであまり動かないアニメと言われがちだが、OP(とそれを流用したED)はガチで動く。
あとロボット戦はアイデア勝負な回も多く、まったく見所がないわけではない。

戦後の時代背景や登場人物の情念の描写、千住明作曲の音楽、OP&ED、何よりストーリーは非常に完成度が高いので、是非一度見ていただきたい。

ラストシーンは原作者・横山光輝氏が本来やりたかったものを踏まえている。


白昼の斬月

放送から終了から大体3年後の2007年には劇場版「鉄人28号 白昼の残月」が上映された。
今川泰宏の劇場アニメ初監督作品だが、現在は同時にこれが最後の映画版ともなっている。
元々は放送終了から間を置かない2005年の公開予定だったが、何故か公開予定が伸びに伸びて2年もかかってしまった。
アフレコがもう終わっていることが出演者である麦人によって明かされていたこともあり、
これはポシャったとアニヲタ達の誰もが公開を諦めていた。
理由は不明だが、その後制作していたパルムスタジオが潰れたため、その辺りのゴタゴタが原因だと思われる。
しかし当時は鉄人の熱もすっかり冷めきっていたうえ、ミニシアター上映だったこともあり、
客の入りはそこまでだったようだ。

こちらはTV版とキャラクターや世界観、キャストはほぼ同じであるが物語上の繋がりは無い。
言ってみればTV版の別ルートといった感じの作品。
また十傑集の誰かとも関係はない。

なお、劇場アニメということもあって、TV版とは比べ物にならないくらいロボットが動く
むしろTV版では出来なかったからとばかりに、今川が鬱憤を晴らすが如くお得意のロボットプロレスを
これでもかというくらいやってくれる。
TV版でロボットが動かなくてモヤモヤしていたアニヲタ諸君には是非見て欲しい一作。

PS2版ゲーム

プレイヤーが正太郎として鉄人を操縦でき、操縦機の再現度と操縦の自由度の高さから評価は高い。
ただし、ストーリーはゲーム独自のもので、2004年版アニメのような重い展開ではない。
2004年版の声優などを使用した「鉄人28号」のゲーム化といった方が近い。
あまりに自由(建物・人を持ち上げる、攻撃が可能etc…)なので、正太郎or鉄人を正義の味方にするか、悪魔の手先にするかはプレイヤー次第である。




ここに、一つの鉄の塊がある

かつて鉄人28号と呼ばれたそれは、日本の高度成長期を支えた礎のように姿を変え

平成と呼ばれる今もなお、この日本のどこかに、人知れず身を隠している

そしてその姿は、時代のすべての罪を一身に背負ったように

赤く

黒い



そう、良いも悪いも追記・修正次第なんだ…。

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画像出典:鉄人28号(2004) ©光プロ/敷島重工/テレビ東京

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最終更新:2024年02月13日 12:53
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