グスタフ/ドーラ(兵器)

登録日:2013/02/09 Sat 19:14:59
更新日:2023/10/28 Sat 09:19:07
所要時間:約 4 分で読めます。





グスタフ/ドーラとは第二次世界大戦中のドイツが作った列車砲である。

クルップ社が開発し、計画では3台を製造する予定だったが、内2台の製造に止まった。

この列車砲の名前は
一つ目はクルップ社会長の名前から取り「グスタフ」
二つ目は設計主任の妻の名前から取り「ドーラ」
というのが由来になっている。


追記・修正お願いします









ドイツの技術は世界一ィイイイイイ











これでは特段、変わりのない兵器に思える。

が、ここはアニヲタWiki

この列車砲、ただの列車砲ではない。




この列車砲の正体は


8 0 c m の 列 車 砲


簡単に言えば、弾を撃つ穴が80cmなのである。



ここでこの兵器のデータを見て貰おう。

【性能】
全長:47.3m
砲身長:32.48m
全高:11.6m
全幅:7.1m
重量:1350t
最大射程:48kmまたは38km

【要員数】
砲操作要員:約1400人
支援要員:4000以上


誰の目から見てもすごく大きい。

この列車砲は世界最大のカノン砲なのだ。


ちなみに、日本が作った戦艦大和の主砲が46cmである。
この事からも、いかにこの砲が巨大かが分かって頂けるだろう。

そこから撃ち出される砲弾は人の背丈ほどもあり、全体を合わせると3mを超える。


砲弾は2種類ある。

  • 榴弾
重量:4.8t
爆薬重量:700kg
最大射程:48km

  • ベトン弾
重量:7.1t
爆薬重量:250kg
最大射程:38km


その威力たるや厚さ7mのコンクリートを貫き、直径10m深さ10mのクレーターを生み出す程である。

その分反動も凄まじく、砲撃の際は反動を吸収するために5軸10輪の台車8台と駐退復座装置を使った。



【開発経緯】
製造された目的は、まずマジノ要塞を攻略するためであり、そして当時のドイツの総統アドルフ・ヒトラー閣下が
「我等は史上最大の大砲を持つべきだ!!」と言い、クルップ社に依頼し造られた。
なんと浪漫の分かる御方だろうか。



しかし、これだけの物を造るとなると莫大な資金が必要になる。
そして案の定、赤字となった。

が、なんとクルップ社が自腹を切り製造をした。
なんと浪漫の分かる企業だろう。

とはいえその莫大な開発費から、上述したように3台も作れず、2台の製造で止まっている。





【戦歴】
この列車砲、前述の通りマジノ要塞を攻略するために造られたのだが、実戦配備をする前にドイツ軍はマジノ要塞を
攻略していた。

そのため、初陣は1942年6月の独ソ戦のセバストポリ攻略。1号機のグスタフが投入された。
その際、48発もの砲撃を行いその桁外れの威力を見せ付けた。

街の都市区画をオモチャのセットのように木っ端みじんに吹き飛ばし、
更には地下30mに設けられていた火薬庫を一撃で貫徹、大爆発を起こし粉砕したという。

こりゃ絶頂を覚えてもおかしくない


1942年8月には2号機ドーラがスターリンググラードの戦いに投入された。
が、ソ連軍の逆包囲により損傷を恐れ早期に撤退した。





【短所・欠点】
その巨大さから生み出される威力は絶大だが、やはりその巨大さが欠点となる。

まず砲操作には1400人。2個高射砲大隊が随伴などの支援要員は4000人以上と、多くの兵力が必要となり
主要戦闘地から兵力を奪う形となる。
これが連合軍が勝った要因の一つと言われている。

更には1発撃つのに30分~45分掛かるとされ、実際に撃てるのは1日14発が限界の仕様である。

1350tという重量から移動には特殊な二重線路が使われ、牽引するのにディーゼル機関車2台を使用する。
また長距離を移動する際は分解して運ばれた。
この場合、砲撃を行うには

整地→レールの設置→砲の移動→組み立て、などの工程が必要となり完了するのに数週間かかる。


更に、砲弾を輸送するための専用貨物列車。
400tもある換えの砲身を運ぶための台車を大型貨車4台(台車8台)も使用する必要があり、これもまたレールが複線となった

更に更に、組み立て用クレーンを載せた台車を移動させるために、左右一対ずつ線路が追加され複々線となった。


このように運用の難しさ、運用するためのコストなどが大きな欠点となった。




最終的にグスタフ/ドーラ共に、連合軍の手に渡るのを恐れたドイツ軍が自ら破壊している。


【余談】
設計に携わったミュラー博士は静止目標だけではなく移動目標の戦車へも撃てますと総統に説明しており、
総統からその是非を問われたグデーリアン(ドイツ装甲部隊のエキスパート)を呆れさせた逸話が存在する。

一説によると、この列車砲は1台しか製造されていないと言われている。
”ヒトラー達上層部はグスタフ、前線ではドーラと呼ばれていたのでは?”という説がある。

真偽がどちらにせよ、このような兵器を開発したドイツは、やはり変た・・・ではなく偉大なのであろう。

ちなみに仮想戦記で80cm列車砲の艦載版を搭載した戦艦がたまに登場するが、史実でも正式承認に至る前に終戦を迎えてしまったため幻となったプランが存在する。
火葬艦の極致とも言われるドイツの超戦艦H44の次の戦艦、すなわちH45。
計画排水量70万トン(実際はもう少し小さい模様)、主砲80cm砲8門、副砲24cm12門。大きさたるや全長600m以上、最大幅90m以上の化け物。
H44があって45がないのはどうよ? と一部で囁かれていたのだが、やはりあったのだ。
5月終戦なので、設計はまだかなり細部に変更余地が残されていると思われる。
ただしH級戦艦の内、H39級とその改良版であるH40級が実際にZ艦隊計画に組み込まれた案、H41級はドイツ版パナマックスで国内で建造され得る極限案、
H42級以降は残された戦艦設計陣に仕事を与えるために発注された窓際業務に近い紙上だけの存在で、仮想戦記のように起工される見込みは無かった。
……とされていたが、正規の設計図が確認されていない上、
出典刊行前に海外の架空兵器サイトで同一スペックの戦艦が載せられてたという情報もあり、ビスマルク級の愛猫オスカーと同様に実在は疑問視されている。
仮に構想自体はあっても福井静夫が創作した18インチ砲搭載の十三号艦型巡洋戦艦と同様に、後世の人間が勝手に性能を捏造した可能性も残されている。



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最終更新:2023年10月28日 09:19