混沌帝龍-終焉の使者-

登録日 :2012/01/28(土) 15:34:08
更新日 : 2016/10/28 Fri 03:00:13
所要時間 :約 12 分で読めます




混沌帝龍-終焉の使者-

読みは「カオス・エンペラー・ドラゴン」。

『混沌を制す者』で初登場した遊戯王オフィシャルカードゲーム(以下OCG)のモンスターであり、
同時に 決闘者だけでなくコナミにとっても思い出したくないであろうカード である。

カードプールの増えた現在においても比類なき強烈な効果を持ち、他2体のカオスモンスターや「八汰烏」と共に、
その名の通り 当時の遊戯王を終わらせた 忌まわしきカードである。

【性能】

《混沌帝龍 -終焉の使者-/Chaos Emperor Dragon - Envoy of the End》
星8/闇属性/ドラゴン族・効果
ATK3000/DEF2500
このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。
1000ライフポイントを払う事で、お互いの手札とフィールド上に存在する 全てのカードを「墓地に送る」
この効果で墓地に送ったカード一枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える。

緩すぎる召喚条件で「青眼の白龍」と同じステータスに究極のリセット効果、おまけにダメージまでついてくる。

この効果が混沌帝龍を最強と呼ぶ決闘者が多い理由で、当時の環境では効果を防ぐ方法が

  • 召喚される前に「スキルドレイン」「王宮の弾圧」などを発動しておく
  • 相手の墓地のモンスターを前もって除外する事で、特殊召喚そのものを防ぐ

くらいしかなかったため、出て来たら焼け野原は確実であった。
奈落の落とし穴」でいいだろ、という意見もあるかもしれないが、ルールまでもが味方をしており、
当時は優先権を行使して奈落に落ちるより先に効果を発動できたため、結局焼き払われた決闘者が数多くいた。


墓地に送る
混沌帝龍の持つ最大にして最凶の効果の分類である。
墓地に送るとはどういう事か。

例えば、自分の場に「破壊されない」効果を持つモンスターが5体。
さらに「破壊を防ぐ」罠「スターライト・ロード」、「破壊を防ぐ」魔法「我が身を盾に」があるとする。

この効果を食らうと、一枚残らず墓地送りである。

「『破壊』ではなく、 『墓地に送る』 ので、破壊耐性は通用しない」というのがこのカードの恐ろしいところ。

墓地に送られるのを防ぐ「マクロコスモス」などのカードも、それごと叩き落としてくるのだから意味がない。
現在は「ダンディライオン」のような墓地に送られて効果を発動するカードも増えたが、
この効果を直接防げるカードは今をもってしてもフィールド上では効果そのものを受けつけない「毒蛇神ヴェノミナーガ」、
手札から墓地へ送る事で効果を無効にする「エフェクト・ヴェーラー」などしかない。

召喚権すら使っていないため、相手の場を一掃してからさらなる展開を行う事も可能。
どんな劣勢でも効果さえ通ってしまえば引き勝負に持ち込めるため、優勢でも劣勢でも腐る事はない。

おまけのように見えるバーン効果も、お互いの手札とフィールドの枚数を数えるので結構な火力になる。
4枚で1200、7枚で2100、10枚で3000と引導火力には十分。

狂いすぎてる効果だが、 効果を使う時のデメリットがライフポイントを1000払う以外何もない。
そのためメイン1でこいつと同時にモンスターを展開し、バトルフェイズでみんなで殴って、
メイン2で効果を使い高火力のバーン効果を発動しトドメを刺す……という、誰がどう見てもぶっ壊れとしか思えないような戦法もできる。

こいつの方が先輩だけどね。


【ヤタロック】

墓地に送るという効果を利用した、遊戯王史上最強のコンボにして最強のデッキ。
ドグマブレード】のように「決まれば勝つコンボ」はいくつもあるが、
ヤタロックは 誰でも使える超お手軽なコンボ だったため一気に広がった。

  • 自分の場に「クリッター」または「黒き森のウィッチ」が存在する
  • デッキに「八汰烏」が入っている
  • 通常召喚権が残っている

以上の条件を満たして混沌帝龍の効果を発動すればこちらのデッキが切れない限り 勝利が確定 した。

具体的には
  1. 混沌帝龍の効果でクリッターか黒き森のウィッチを巻き込む
  2. クリッター(黒き森のウィッチ)の効果で八汰烏を手札に加える
  3. 八汰烏を召喚、フィールドががら空きになった相手にダイレクトアタック
  4. 八汰烏の効果で相手はドローができない。つまり 何もできなくなる
  5. あとは延々と八汰烏で相手を殴り続ける

なんと、使用カードたったの3枚。【サイエンカタパ】に並ぶ凶悪さを誇り、これを受けて全国の決闘者の間でリアルファイトが勃発した。

【時代背景】

このカードが出た当初、遊戯王OCGはまだ封入率改正前であり、レアカードの価値は現在とは比較にならないものだった。

強力さゆえに入らないデッキはないとまで言われたカオスの内、混沌帝龍はシークレットレアであり、 3箱に1枚あるかないかの確率 という事もあって価格は暴騰。
だが翌年の1月、『Collector's Tin2004(Tin缶)』にアルティメットレア仕様のこのカードが特典として付けられ、前述のヤタロックは一気に氾濫した。

やられてみれば分かるが、ヤタロックは された時点でゲームじゃなくなるコンボ であり、コナミにも多くの苦情が寄せられたという。

『混沌を制する者』も『Tin缶』も売れ残っている時期に禁止にはしたくないためか、混沌帝龍も制限カード止まりだった。
そしてこの判断が、 後にコナミ自身を滅ぼす事になる。

【そして終焉へ……】

規制したところでヤタロックの脅威は止まらず、相方の開闢たちは【変異カオス】などの新しい力を手に入れて暴れ続けていた。
結果、当時の決闘者たちは苦渋の決断を下す。


「遊戯王、辞めよう。」


そもそも当時は原作が連載終了し、アニメDMも終わりに近付いていた時期である。
さらにはカオスがなくてもGXへの移行を期に遊戯王を辞めるプレイヤーが続出しており、
そこへデュエルの多様性を失わせる混沌帝龍が現れたため、競技人口は目に見えて減少した。

早期に禁止カードにしていればまだ救いはあったかもしれないが、制限状態で一年以上放置されたために離反は止まらなかった。

つまり、 コナミ自身が遊戯王というコンテンツにトドメを刺してしまった。
これが 遊戯王暗黒期の始まり である。

【第4期~第9期前半】

遊戯王も長い冬の時代を過ごす事となったが、GX後期から徐々に人気を取り戻し始め、5D'sに移行した後も前評判を覆す程の人気を得て、
5D's終盤では 世界でもっとも売り上げたカードゲーム としてギネス認定を受けるほどに復活した。

だが、このカードの最速禁止記録を初めて塗り替えたダーク・ダイブ・ボンバーですら一度は規制をすり抜けている。

また、このような効果を再現できないように、未来のカード製作に影響を与えているのも事実である。
忘れないでほしい。このカードは禁止という檻の中からでも影響を与えてくるのだ。

このカードの禁止後、デュエルは徐々にパワーインフレが進行した。
これに伴い2011年9月から、長らく禁止だった同じカオスの「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」が制限復帰した。

当時はサーチできなかったが、現在は「エクリプス・ワイバーン」「嵐征竜-テンペスト」「ドラゴン・目覚めの旋律」で直接手札に加える事ができるようになった。
手札がなくても征竜や「馬頭鬼」のような墓地から自身の効果で特殊召喚できるカードも増えたため、
一方的に相手をサンドバッグにする事もできるようになった。

万一このカードを解放すれば、ゲームも環境も瞬く間に焦土と化すだろう。
ノーリミットデュエルでは使用可能ではあるが、あっちのルールではもっと凶悪な処刑人が……。

遊☆戯☆王タッグフォース」などのゲーム作品でヤタロックが成立すると、なんとCPUがサレンダーする
ちょうど「八咫烏によるロックで勝利する」というチャレンジもあることだし、
一度あの無法地帯で試してみるといいだろう。



【そして15年1月】





「ただいま!」

星8 闇 ドラゴン族/ 特殊召喚 3000/2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合 のみ 特殊召喚できる。
このカードの効果を発動するターン、自分は他の効果を発動できない。
①:1ターンに1度、1000LPを払って発動できる。お互いの手札・フィールドのカードを全て墓地へ送る。その後、この効果で 相手の 墓地へ送ったカードの数×300ダメージを相手に与える。

まさかのエラッタ・制限復帰
2015年1月の制限改訂における大量エラッタ祭りにこいつも参加していたのだ。
前例があるとは言え、かつての遊戯王を終わらせようとしたこいつが戻ってくるとは思わなかった決闘者も多かったに違いない。

特殊召喚方法が限定された為に蘇生出来なくなり、リセット効果を使う場合は他のカード効果が使えなくなり、
バーンダメージが相手のカードの数参照になったが、リセット性能はそのまま残っている。


効果の使用制限によりサーチ直後にぶっぱ出来なくなり、効果コピーによる悪用も不可能になった為、かつての様な使い方でワンキルに繋げる事は非常に困難になったものの、
有無を言わさず場・手札を空にする恐ろしさはそのままであり、バーンダメージもライフを投げ捨てる現環境では無視出来る様なものではない。

また「比較的簡単に特殊召喚出来る星8・闇属性・ドラゴン族」と言う点に着目すれば、効果さえ使わなければ展開を邪魔しないのでシンクロ・エクシーズなどにも利用出来る。
上記にもあるようにサーチ手段も豊富で打点も高いのでそのまま殴っても問題ない。


……と、エラッタでかなり弱体化した筈なのにそれでも強い辺り、如何にかつてのこいつが壊れていたのかを見せつけてくるかのようだ。

そんなこいつを見た決闘者達の反応は
「こいつ全然反省してねぇぞ」
「ホントは脱獄したんじゃね?」
「すぐ再投獄されるだろ」
だの、散々な言い様である。

そんな中、No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴンと言う新たな相方を見つけ、征竜とともに
手札・場・墓地0、相手にモンスター5体と言う絶望的な状況からでも逆転1キル可能なルートを開拓するという騒ぎが起こる。

いやもうホントに止めてください

【その後】


「……でもそれって征竜が壊れてるだけですよね?」

征竜投獄後は環境デッキにはあまり投入されなくなっている。

そもそも、「効果を使用したターンには他の効果を使えない」という制約は想像以上に重い。
混沌帝龍のリセットコンボは飽くまで「クリッターを巻き込みつつ八汰烏をサーチする」という動きが前提だった。
そのコンボどころか簡単な立て直しすら不可能になったため、高確率で無防備を晒す事となる。
また、このカード特殊召喚までにサーチ・墓地肥し・バック破壊など発動したいカードが多いため、テンポよくリセット効果が発動できない。

「手札と場が空っぽになっても、墓地が有ればすぐに動ける」と書くと一見強く見える。
だが、相手も「手札1枚と墓地だけでガンガン動いてくる」のである。ドローできる分、相手に分があるだろう。
考えなしに相手にターンを渡したが最後、動き出す前に逆にこちらが殺されかねない。

そういう事情で、リセット効果が使われるのが稀となった。
ぶっちゃけノーレラスの下位互換である。

近年は専らアタッカーやエクシーズ素材として利用される事のほうが多いだろう。
ただ、墓地リソースを必要とする点でペンデュラムモンスターと相性が悪いためか、大会上位でそのイラストを見るのは稀。
強いエクシーズモンスターはランク4に固まっているため、高レベルモンスターに言うほど需要がないのも向かい風だろうか。

ドラゴン族である事を活かさない限り、上手く使うのはなかなか難しい。

【無制限化】

しばらく成績を残せなかったせいか、最終的にカオス・ソーサラーと同様に平均点よりやや強い程度のモンスターに落ち着いたのか、とうとう2015年10月の制限改定で無制限カードとなる。

混沌帝龍が3枚積みが可能となる

「サーチ手段が豊富である」という長所は消えていない。
特に「ドラゴン・目覚めの旋律」の効果で混沌帝龍を2枚1度にサーチできる点が大きいだろうか。手札コストも餌になるし、相性がいい。
また同改定で「竜の霊廟」が準制限になったのも追い風である。
「エクリプス・ワイバーン」も健在なので、初手に3枚揃えることは容易い。

エクシーズ召喚の候補筆頭はギャラクシーアイズだろう。
そのまま「No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン」に繋げることで、墓地肥し(=後続の餌)と相手のデッキ破壊を同時に行える。
上手くいけば、先攻で相手のデッキをずたずたにできるだろう。上手くいけば。

【アニメでの活躍】

アニメではなんと海馬瀬人が使用。
モンスター効果で没落貴族ことジーク・ロイドに大きなダメージを与え「ワルキューレ・ブリュンヒルデ」を墓地へ送った。

その後、「魂の解放」と「次元融合」のコンボで「青眼の白龍」3体と「エメラルドドラゴン」と共に再び海馬のフィールド上に召喚される。
ドラゴン5体が瞬時に召喚されるまでに至るシーンはまさに圧巻であり、多くの視聴者を驚かせた。

その時は効果は使用せず、ロイドのフィールド上に再び召喚された「ワルキューレ・ブリュンヒルデ」の持つ
「ドラゴン族1体につき攻撃力が300ポイントアップする効果」を逆用する事により逆に攻撃力を下げ、
「守備力を1000ポイント下げることで破壊を無効にできる」効果を使えなくするために、攻撃力3000となっていた「ワルキューレ・ブリュンヒルデ」に攻撃、自爆特攻した。
効果名は「セメタリー・オブ・ファイヤー」。

遊戯王GXの時代ではあまりの強さゆえに禁止カードに指定されていると三沢が語っていた。
万丈目の兄もこのカードを所有していたが、三幻魔の影響でカードに宿る魂を抜かれて真っ白にされてしまった。 ざまあみろ。


ライフを1000払い、追記・修正を発動する!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/