劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI

登録日:2009/06/07(日) 23:27:24
更新日:2024/01/22 Mon 00:50:12
所要時間:約 7 分で読めます




誰も知らない金と銀の世界をかけろ!

2000年7月に公開されたアニメ映画。
アニメポケットモンスター映画第三作。
同時上映は「ピチューとピカチュウ」。

タイトルのENTEIはアンノーンで書かれている。


●目次

◆概要


興行収入は38億円を達成し、前作と連続して邦画興行成績第1位を記録した。

ミュウツーの逆襲ルギア爆誕で脚本を担当した首藤剛志と、本作以降の映画で脚本を担当している園田英樹の合作。
2人の個性が組み合わさっているのが特徴。
また、首藤氏がポケモン映画の脚本を担当したのは本作が最後である。

主要キャラが満遍なく活躍すること、ミーとアンノーンが作り出す美しい幻想世界など魅力も満載。

今作では非常にバトルシーンが豊富なことも特徴で、カスミとタケシがまともなポケモンバトルをする初めての映画でもある。
2人が「ここはオレに任せて先に行け!」と言って死亡フラグをぶっ立てる姿は脳汁溢れる。

基本「悪意を持った人間により翻弄されるポケモン」というテーマが多いポケモン映画には珍しく、明確な悪人キャラは登場しない(強いて言えばアンノーンが元凶だが、あくまで暴走していただけであり、特に害意があったわけではない)。

テーマはパンフレットによると“親子の絆”らしい。
WEBアニメスタイルの首藤剛志氏のホームページではいろいろな裏話が記載されている。
序盤を首藤氏が担当したものの、最終回の構想にも繋がるはずだった当初の案を「この『無機物に命が宿る』作品はヒットできるか?」といわれ、首藤氏も説得する案がなく却下されていたこともあって脚本がまとめられず、精神状態が安定していなかったこともあり、なし崩し的に園田氏にバトンタッチされたとのこと。
園田氏のプレッシャーは半端なく、首藤氏に思わず「勝ち逃げですか」と言ってしまったが、首藤氏は作品テーマや却下されたことへの悩みから「敗走」の気分だったらしい。


◆ストーリー


美しい高原の町「グリーンフィールド」に大好きな父と暮らすミーという少女がいた。だがある日、父のシュリーが遺跡発掘中に行方不明になってしまう。
傷心の彼女が、父が残した謎の石版を並べ替えていると、大量のアンノーンと共に憧れのポケモン“エンテイ”が現れた。
サトシ達もグリーンフィールドを訪れていたが、突如グリーンフィールドが結晶に覆われるという異変に遭遇する。
困惑する彼らの前にエンテイが現れ、偶然その場に居合わせたサトシの母を連れ去って行く…


◆主な登場人物


CV:松本梨香
ご存じ主人公。ミーとは親の関係で面識がある。母のハナコを救うために結晶塔に乗り込む。

CV:飯塚雅弓
俺たちのm(ry
ミー10歳ver.と戦う。

CV:うえだゆうじ
ミー18歳ver.と戦う。
彼女が幼いミーの作り出した幻影だといち早く気づくが、それはそれとして紳士的に振る舞う。

ムサシ(CV:林原めぐみ)
コジロウ(CV:三木眞一郎)
ニャース(CV:犬山犬子)
のいつもの3人組。
本作でもサトシの窮地を救う。
「敵とはいえ長い付き合いだニャ」

CV:豊島まさみ
ヒロインその3。サトシの母。
オーキド博士と共にグリーンフィールドにやってきたが、エンテイにミーの母代わりとして拉致されてしまう。

  • リン
CV:加藤あい
本作のヒロインその1。赤いバンダナがトレードマークの若い女性トレーナー。
グリーンフィールドに向かう途中でサトシ達と出会い、冒頭でバトルした。その後一緒に行動し、共に街で異変を目撃する。
手持ちはエイパム、グランブル、マンキー、キリンリキヌオーバタフリー

CV:石塚運昇
ご存じポケモン研究の権威。サトシ達をサポートをする。

  • ケンジ
CV:関智一
かつて旅に同行していたポケモンウォッチャーの青年。現在はオーキド博士の助手。
前作のタケシと同じく映るのは一瞬。

  • シュリー博士
CV:竹中直人
ミーの父親。オーキド博士の元教え子の1人である科学者。若い頃のハナコに勉強を教えていたことがあり、息子のサトシとも知り合い。
冒頭で遺跡の研究中に謎の失踪を遂げる。

  • ジョン
CV:薬丸裕英
シュリー博士の助手。
彼が遺跡にシュリー博士を呼んだことで博士は失踪。
さらにアンノーンの石板を屋敷に持ち込んだせいで結晶塔が出現と、2度にわたって事態を悪化させている。
彼自身に悪意はなく、むしろ善人なのだが……

  • ミー
CV:矢島晶子
ナイスロリ。本作のヒロインその2。大豪邸に住む5歳のお嬢様。
父をとても慕っているが、仕事でなかなか帰ってこないので寂しがっている。
母は昔に家を出ており、更に父も行方不明になったことでその心が石版と共鳴。
アンノーンを呼び寄せ、エンテイを生み出し町全体を結晶で覆い、結晶塔を造り上げてしまう。
アンノーンの力で自在に外見年齢を変えることができ、カスミとは10歳、タケシとは18歳の姿でポケモンバトルを繰り広げる。
18歳の姿はタケシが欲情する程の魅惑のおねいさん。

  • デイビット
CV:山寺宏一
ミーの執事で本作の山ちゃん枠。
山ちゃん枠では初めての人間役だが出番は少なめ。


◆主な登場ポケモン


CV:大谷育江
我らがマスコット。
ハナコ救出のため、サトシ達と共に結晶塔へ向かう。

残念ながら、オープニングのリンとのバトルと、エンテイとの前哨戦ぐらいしかバトルシーンはなく、少々活躍の場面には乏しい。

CV:こおろぎさとみ
チョッg(ry

CV:三木眞一郎
サトシ最強のポケモン。リザフィックバレーで修行中の身だが、サトシの危機を知ってラストバトルに参戦する。
本物でないとは言え“伝説の3匹”であるエンテイと互角に渡り合うなど、最高の活躍と漢っぷりを見せつけてくれた。

CV:林原めぐみ、かないみか、うえだゆうじ、西村ちなみ、うえだゆうじ
サトシのポケモン達。オープニングのリンとのバトルに加え、結晶塔への突入シーンでも全員に見せ場がある。
ヒノアラシとワニノコはエンテイに挑むもまるで歯が立たなかった。

CV:大谷育江、三木眞一郎
カスミのポケモン達。水中でのバトルということで数少ないトサキントの出番。
ヒトデマンは「こうそくスピン」でマンタインの「うずしお」を打ち破りミーを驚かせた。

CV:三木眞一郎、愛河里花子、石塚運昇
タケシのポケモン達。
ミーの繰り出すポケモンと戦うが、可愛らしい見た目とは裏腹のパワーに苦戦を強いられる。

今回の異変の元凶。「人の意思や願いを読み取り、それを具現化する」というチート能力を持つ。
ミーの心と共鳴したことによって暴走を始める。
ポケモン映画では珍しい、最後までサトシ達と敵対したポケモン。
後に「ディアルガVSパルキアVSダークライ」でちらっと再登場する。

CV:竹中直人
唯 一 神
結晶塔の帝王HENTAI
ミーの夢から造り出された存在であるが、本物と変わらない強大な力を持つ。人語を解して人との対話も可能。
彼女からは「いなくなったお父さんがエンテイになって帰ってきた」と見られている*1

口から謎の紫色の炎のようなものを放つが、正体は不明(少なくとも「かえんほうしゃ」や「ほのおのうず」ではない模様)。
威力は凄まじく、結晶塔の壁を容易くぶち抜くほど。

父親代わりとして活動し、母親の代わりとしてハナコを拉致するなどミーの願いを叶えることを最優先して行動する。

彼に限らず、劇中でミーが使用するポケモンは全て彼女の夢から造られたもの。
それらのポケモンは異常な程のステータスを誇っており、ゴマゾウの初回ころがる一☆撃でタケシのイワークが数メートル吹き飛ばされた。
まあ夢から造られたんだからレベル100じゃねーの?と思わせる一撃だった。






最後は「夢の世界」と決別することを決めたミーのため、アンノーンを鎮めて消滅した。


その後、シュリー博士は無事に遺跡から発見され、家を出ていた母も帰ってきたためミーは幸せな生活を送っている。





◆余談


  • ミーの母
ミーの母の不在について、「THIS IS ANIMATION」(劇場版の内容を絵本形式にまとめた書籍)では「実は病気で入院していた」と説明されている。
なお、首藤剛志氏の脚本上では本来、本当の母親は病死している設定であり、映画のラストで登場したこの女性には驚いたらしい(前述の書籍の通りであれば、人の母親であるサトシの母親を浚わずに「自分の母親の病気をなおして」とエンテイに頼むはず、とのこと)。
首藤氏の精神不安定による仕事放棄で急遽中盤以降の脚本を任された園田氏が、子供向けらしく母は生きていたことにしたらしいが、「ミーの行動原理」が揺らぎかねないこのことについて首藤氏は、最終的には病気で倒れた自分も悪いということと、映画の中では本当の母親とは明言されていないことから、映画を見る分には後妻と見ることも可能であり、「父と娘」「家族の絆」という映画のテーマが観ている方に感じていただければいいとしている。



主題歌は森公美子の『虹がうまれた日』








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最終更新:2024年01月22日 00:50

*1 このためなのかCVはシュリー博士と同じ