フリット・アスノ

登録日:2011/10/12 Wed 21:56:52
更新日:2024/03/17 Sun 18:20:19
所要時間:約 15 分で読めます


タグ一覧
14歳→39歳→63歳 Xラウンダー ※日曜夕方17時です。 アスノ家 ガンダムAGE ガンダムEXAVSでは最大の被害者(扱い的な意味で) ガンダム主人公 パイロット フリットさん フリット・アスノ ラーガーン!! ヴェイガンは殲滅する! 不幸 並行世界のジェリド・メサ 中の人はAGE探検隊の隊員 主人公 二筋の流星 井上和彦 井上和彦ガンダムキャラリンク 司令官 君の中の英雄 壮絶すぎる人生 天才 学生 少年 年相応 復讐者 悲劇の主人公 戦争の被害者 救世主 数奇な運命を背負った男 本当は優しい人 機動戦士ガンダムAGE 波乱万丈 祖父 童顔 第一世代 粛正委員会 英雄 豊永利行 連邦軍 銅像 開発者 頑固 高性能じいちゃん




僕、なれるかな……

みんなを救う救世主に!





CV:嶋村侑(幼少期)→豊永利行(第一世代編・青年フリット編)→井上和彦(第二世代編以降)
年齢:7歳(プロローグ)→14歳(フリット編)→22歳(UNKNOWN SOLDIERS)→39~40歳(アセム編)→63歳(キオ編以降)
性別:男性
階級:民間人→中尉以上(青年フリット編)→中将(アセム編)→民間人(キオ編)→予備役→総指揮官(第四部)



機動戦士ガンダムAGE』の第一部主人公。また、『AGE』全編を通しての主人公であるとも言える。


【概要】


第一世代編ではキャラクターデザインの関係で10歳くらいにしか見えないが、年齢は14歳。
先祖代々モビルスーツ鍛冶というアスノ家に産まれ、自分もガンダムAGE-1を設計開発し、そのパイロットとして搭乗する。
“息子”にあたるアセム・アスノや“孫”にあたるキオ・アスノが活躍する第三世代編まで生存が確定しており、物語の軸となる人間。


製作協力の総責任者である日野いわく、歴史における「偉人」で、独自の数式でUEの来襲を予想し、
母の遺したデータと軍の協力があったとはいえ、ガンダムを一から作り上げてしまうほどの天才。
ちなみにガンダム作品に限らなくともロボットアニメで主役機を主人公自らが作り上げるという例は意外と少なかったり。

何を思ったかその予測結果を学校の教師相手に力説したりと、どうも事あるごとにUEの危険性を周囲に訴えていたらしい。
一応、教師は有事の際には生徒を引率して避難する現場の責任者ではあるので理に適ってはいるのだが、
UEが攻めてこない状況下だった以上、学校生活では奇行の絶えない変人として浮いた存在でしかなく、煙たがられていた。

だが、将来の嫁エミリー・アモンドと、世界観の違うディケ・ガンヘイル、技術士官のバルガス・ダイソン
アニキ分あたるラーガン・ドレイス、親代わりであるブルーザー司令など、理解者には恵まれていた。

このような人脈は大人となったアセム編や老人となったキオ編まででも世代を通して陰ながらフリットを支えており、
世代を通せば階級に縛られないウルフ・エニアクルセリック・アビス等が彼の助けとなっており、時には彼を抑えるブレーキ役ともなってくれた。
ゼハート・ガレットと違い、彼が最後まで一線を越えなかったのはフリットがこのような得難い人々や家族に恵まれていたことが非常に大きいだろう。


基本的に育ちが良く天才であった故か自分の判断は常に正しいと思い込み、相手の意見はガンとして聞かない性格。
これは大人になっても相変わらずではあるが、グルーデック・エイノアやウルフと言った信頼できる相手には素直に意見を聞き入れている。


UEことヴェイガンが初めて地球圏に来てコロニーエンジェルを破壊した『天使の落日』の日に生まれ、
第三部が『勇気の日』から始まり、その日にフリットの誕生日パーティがある事から
フリットの誕生日に『天使の落日』『ノートラム侵攻』『ヴェイガンの一斉蜂起』『終戦』と何かと歴史に残る事態が起きている。
……ここまでくると命日も自分の誕生日なのでは……

世代を通して親、恩師、戦友と多くのかけがえのない人々を亡くしており、不幸さと悲惨さだけでも歴代ガンダム主人公屈指である。息子は長期行方不明の戦死扱いになったとはいえ、自分が没するまでに家族は誰一人欠ける事が無かったのがせめてもの救いである。



【フリット編】


「さあ行こう、ガンダム。僕達がみんなを救うんだ! 」


7歳の時に生まれ故郷のコロニー「オーヴァン」で、
UEの襲撃を受けてイスマイールじゃないけど声も同じ母親のマリナを殺害され、アスノ家に伝わるAGEデバイスを託される。

以降、ガンダムAGE-1の開発を7年かけて完成に漕ぎ着ける。
AGE-1のパイロットには当初ラーガンを想定していたが、
AGE-1はまだ不完全であった為、ジェノアスで出撃したラーガンがUEの待ち伏せを喰らい彼があっけなくリタイアした為に自らパイロットに志願する。

設計者だけあって「ガンダムを作ったのは僕だ! 機体のことは僕が一番よく知ってる!」と「初代リスペクトな台詞」を言い放ち出撃。
初の実戦で気が動転していたのか、実戦テストこそまだだったもののUEの攻撃を凌いだガンダムの装甲に自身でも驚いていた。

また出撃時は携行火器を装備していなかったので、牽制の為近場に落ちていたジェノアスのビームスプレーガンを拾って攻撃。
流石にそれは通じず、唯一の武装であるビームダガーでガフランの胸部装甲をめった刺しにし撃破した。

戦いの最中にフリットは自分の運命を大きく動かす事となる少女ユリン・ルシェルと出会い、彼女を救助した際にはXラウンダー能力の片鱗を見せており、先読み能力による射撃でUEを撃破している。

コロニーもかなり被害を受けたものの、人類史上初のUE撃破という快挙を讃えられることになったが、勝利の代償として親代わりであったブルーザー司令を失ってしまう。

なお、フリット自身はことあるごとにガンダムに乗るのは自分だと強く主張しているが、本当のところ正規のパイロットではなく、
ウルフの加入やラーガンの復帰でパイロット不足も解消されたため、乗らなければならない理由が薄い。
所有権としてはアスノ家の私物扱いになるものの、エースパイロットに譲った方が賢明と言える。
ただ、序盤のUE襲撃時はAGEデバイスをラーガンに託す気満々だったので、ブルーザー司令による最期の通信そして自己犠牲が彼の長い人生にとって一種の呪縛とも呼べる「救世主」になるという「自責の念」の始まりだったのかもしれない。

ただし(機体性能で有利とはいえ)エースパイロットであるウルフと模擬戦で競り合ったり、
ユリンに向かって飛んできた看板を咄嗟に撃ち抜く、ペイント弾や水蒸気を利用して目くらましをする機転など、
経験こそ乏しいものの素質は充分にあったようだ。


更にミンスリーでのUEとの戦い(ウルフ曰くアンバットの前哨戦)やドン・ボヤージが最期に残した救世主になれるという言葉を胸に、
Xラウンダーの力に覚醒。驚異の戦闘能力でUEを撃退。

そして再会したユリン・ルシェルと心を通わせていく。
ドラマCDではこの話が掘り下げられており、一緒についていくといったユリンに対しフリットは待っててと言った。

しかし、幸せは長く続かなかった。


ユリンがUEにさらわれたことで引き離され、次に出会った時は敵同士だった。
デシル・ガレットの卑劣な罠でユリンとの永遠の別れを経験し、怒りと憎しみ、共鳴により高まったXラウンダー能力をもって一方的にデシルを打ち倒す。
この時、一人の人間の少女すら救えない程に無力な自分に絶望していた…。


「何が救世主だ! ユリンさえ救えないなんて…。僕は…僕はああああああああっ!!」


激戦の果てにUEに勝利するもヤーク・ドレからUEの正体が連邦政府によって存在を消された同じ人間達である事を知らされ、再び悲しみに暮れるが、大切な誰かを失わないために「救世主」になることを改めて決意する。



「なるんだ……! UEを倒して……僕が救世主になるッ!!」




その涙は、宇宙の星に溶けていった……。





【外伝作品】


「きっと帰ってくるよ、エミリー。君のところに……」


コウモリ退治戦役後は軍に正式に入隊。22歳でアスノ隊の隊長を務めており、中尉以上の階級と思われる。
当初はウルフとコンビを組み各地を回ったらしく、
当時の連邦では最強と言われ「二筋の流星」として有名だったらしい。
フリットが中央へ転属するとウルフは前線へ残りコンビは解消している。
その後はトルージンベースにてエミリーと再会しており、彼女との関係についてフォローされている。

ウルフの影響かプレイヤーから見れば人格的にも上司的にも一番灰汁のなくて良い頃。

だが、当人曰くは後述のように
「とにかくヴェイガン殲滅の為に突っ走って、部下や友軍を顧みることもほぼ無かったとにかく我武者羅な時期」だそうな。
実際アセム編の下地は出来ていた。

フリットを密かに謀殺する事を画策していた連邦首相フロイ・オルフェノアの手回しにより、空き家同然にされたトルージンベースにヴェイガンの大部隊が襲来するも、僅かな手勢を率いて大規模会戦レベルの艦隊を壊滅(巨大母艦4隻中3隻撃沈)の憂き目に遭わせ基地を守り抜いたり、
喧嘩したエミリーとどう仲直りするか考えながら強大さに定評のあるヴェイガン艦をレイザーブーメランの一撃で沈めたりと超人的な活躍を見せている。
でも女の子とのデートにモビルスーツのガチ学会を選ぶのはどうかと思うよアスノ隊長。

後にこの戦いはアーシュランス戦役と呼ばれ、
アーシュランス戦役後にエミリーと結婚し、アセム・アスノが誕生。
アセム誕生後は軍がAGEシステムを介さず開発したアサルトジャケットの運用試験のため、AGE-1の2号機のパイロットをラーガンに頼んでいる。




【アセム編】


「お前には味わって欲しくない…。大切な者を守れない悔しさを……」


39歳になっており、エミリーとの間に息子のアセムと娘のユノアを授かる。
階級は中将とかなり出世しており、連邦軍ビッグリング司令官の座に就いている。
後述のことや、アデル開発にメカニックとしても関与するなど、「パイロット」「指揮官」「軍内政治」「メカニック」と多方面で活躍した身分相応に優秀な人物である。

普段は冷静沈着であるが、ヴェイガンについては人間と認めないと人種差別主義者同然なまでの憎しみを内に秘めている。
(もっとも政府が申し込んだ和平交渉をヴェイガン側が撥ねつけ続けており、地球人類にとっての脅威であり続けているのもあるが)

その一方で、一族の宿命を背負わせてしまったアセムには自分と同じ哀しみを味わって欲しくないと願っていた。
ドラマCDにおいて、エミリーの出産に付き添う為に無理して長期休暇をとっていたなど、家族想いな一面について掘り下げられている。
エミリーとの関係については、青年期「付いてこられない奴は問答無用で置いて行く」とヴェイガン殲滅に向けて突っ走っていたら、
ふと振り向けば自分に付いてこられた奴は誰一人居らず。
そんな中でもエミリーは常に自分に寄り添って見守ってくれたことを自覚し、気付けばプロポーズしていたのだという。


普段は指揮官に徹しているが、時にはガンダムAGE-1フラットで出撃することもある。
修行を積んだのか歴戦のエースパイロットとして遜色ない技術を見せている。自分を囮とした大胆な戦法を披露している。
指揮官としても優れており、ディーヴァに乗艦した際は的確な指示でXラウンダー機を完封していた。


ディーヴァ乗艦後はヴェイガンとの戦いの中で彼らを支援している地球側の人間がいることをグルーデックから知り捜査するが、恩師であったグルーデックは暗殺され、ノートラム攻防戦では戦友であったウルフが戦死してしまう。




「また私の前から……」




悲しみに暮れながらもフリットはグルーデックの遺志を引き継ぎ、ウルフの意志を継いだアセムと共に一年後クーデターを決行。
ヴェイガンと内通していた連邦首相オルフェノアを逮捕し、彼を含めたヴェイガン協力者を粛正する。

このヴェイガンとの内通に加えてウルフやグルーデックの死が内に秘めていた「ヴェイガンは殲滅すべし」という行動理念を確立させてしまい、信じていた正義と自責の念により深く囚われてしまう事となった。




「元よりそのつもりだ…。私が目指すのは……ヴェイガンの殲滅なのだから!!」






【キオ編・三世代編】


「…これはただの戦争ではない。地球を脅かす悪魔の討伐だ!」

「私はヴェイガンを1人残らず抹殺する!」

「この戦争に勝利し、ヴェイガンを根絶やしにするのだ!」

「どうあろうとイゼルカントは狂った支配者だ」

「ヴェイガンはこの手で殲滅する。1人残らずな!」

「ヴェイガンは殲滅する!!! 一人残らずだ!!!!」


63歳。軍を退役しており、ヴェイガンとの戦いに備えてガンダムAGE-3を建造。
孫のキオをMSバトルシミュレーターでMSの操縦を訓練させている。
宇宙要塞ラ・グラミス攻略戦では総指揮をアルグレアスから任され、予備役から現役へと復帰している。

相変わらずヴェイガンを憎んでおり、キオに対して「ヴェイガンは魔物」と称し教育をさせていた。

キオ編もヴェイガンの大規模な地球侵攻作戦による無差別攻撃から始まっており、後に明かされるヴェイガン首領フェザール・イゼルカントの思想を考えれば魔物である事はあながち間違いではない。

第三者から見ると自身の偏見を押し付けるような教育にしか見えないだろう。
が、幼少のころから無差別にコロニーを襲い、人を攫ったり武器を売ったりしている所を見ていたフリットからすれば紛れもない事実である。
更にアセムとの約束があるためそうせざるを得なかったところもあり、人生の大半を戦争の前線で過ごしたフリットからすれば、
ヴェイガンとの対決はアスノ家の命運そのものであり、戦国時代の武将が跡継ぎに護身術の手解きをしているようなものでもある。
そうした事情から、フリット当人としては、戦う以外何も出来ない戦闘マシーンに育てるなどという意識は無く、
ただ生きる上で必要なことを教えているに過ぎないと言える。
(実際MSシミュレーターを与えたのは父親がいないキオへ少しでも楽しみを与えてやる名目もちゃんとある)
キオに対する愛情も本物でキオの危機には冷静さを失い正常な判断力を欠くこともあった。


60を過ぎてなお肉体も衰えておらず、初登場にはアクロバティックな身のこなしを見せていた。
他にはガンダムAGE-1の操縦やヘタレな艦長ナトーラ・エイナスに代わって指揮しつつヴェイガンの作戦を看破する等と高性能じいちゃんと化している。
ナトーラの艦長としての才能にもいち早く気づき、師弟関係として厳しくも優しく指導する(キオ以上に孫と祖父のような関係である)。
こうまで指導したのも不器用ながら歴代艦長を見てきたフリットが艦長としての重荷を背負っていると自覚して欲しかった為で、
彼女の成長を見届けた後はディーヴァクルーの指揮を一任している。


MS隊の隊長であるセリックに対しては初対面こそ微妙な感じではあったが、
正式にディーヴァの一員となった際は頼れる参謀役となった彼を呆れつつも信頼しており、彼の最期に立ち会った際は真っ先に敬礼をしている。
またセリックもフリットの良きブレーキ役として裏で手を回したり、悩んでいるフリットに提案する事もあった。

ヴェイガンへの憎しみは依然として薄れず、彼らとの対話を訴えるキオに対して彼らを滅ぼすべきと声を荒げることもあった。
ただし、フリットはキオと違い長期化する戦争の中亡くなる者、戦死する者達、
戦争が終わる気配無く老いていく自分や7歳のころからヴェイガンに大切な人を殺され続けてきているので無理もないことなのであるが。
てか以前ヴェイガン側に和平交渉を蹴られてるしね。

作戦時にはいつでも殲滅策を用意しており、最終決戦でも大量破壊兵器であるプラズマダイバーミサイルを用意するという念の入れ様。

だが、スパイであるシャナルアの妹をこっそり保護したり、
無茶をするキオを心配する一面や負傷し動けなくなってしまったセリックを救助しようと必死になる等、昔からの優しさを残している。


また、本章でより強く出て来るが、彼を突き動かすのは復讐心と言うよりは自責の念。

それが特にあらわになっているのがそれぞれの道を決めたアセムやキオの会話後、
一人心情をほのめかすシーン(なお、この時ガラスには過去の自分が映しだされていた)や最終話の少年時代の姿に戻るシーンである。



(私には守れなかった者がいる…守れなかった者達が…。私は誓ったのだ…敵を打ち倒し皆も守る救世主になると…。どんな手段を使っても…)



過去に捕虜を抹殺だの皆殺しだのと物騒なことを口にしてきたフリットだが、殺意や敵愾心が先行しきってはいないので、
実際にはセリックやアルグレアス等、冷静な周囲の人間に制止されるのを前提として頼っているとも言える状況で口にする、やるやる詐欺に近い発言ばかりだった。
最終的に選択する行動自体は常識の範疇である。
ヴェイガンに容赦ない一面を出している一方、自軍を捨て駒や巻き添えにする戦法も一切していない。
ここが味方ごとディグマゼノン砲を発射したゼハートとの違いでもある。

プラズマダイバーミサイルも、一応作りはしたが、実際に使うかはかなり迷っていた。

そのフリットがその最終兵器を自ら手にして、どうやら本気で使う気らしいと知った時には、
フリットの性格を良く知っているからか数々の問題発言を軽くスルーして付き従っていた腹心のアルグレアスも、驚きを隠せなかった様子。



「じゃあ…どうすればいいんだよ…」

「あいつらだって苦しいのは解ってるさ…でも…」

「奴らはユリンを…それに…この僕だって君を…」

「僕はユリンを守れなかった!」


戦いの終盤、シドと合体したヴェイガンギアによるラ・グラミスの暴走を察知すると、プラズマダイバーミサイルを持ち出してセカンドムーンを破壊しヴェイガンとの決着を付けようとするが、アセムやキオに説得され、Xラウンダー能力のよる精神世界でユリンや亡くなっていった者たちと邂逅。
精神世界の中で少年時代へと若返っていたフリットは、長年抱えていた自責の念を吐露するが、ユリンやマリナ、そしてウルフ達に激励を受け改心し、セカンドムーンを救う為に連邦軍とヴェイガンに協力を要請した。



「……聞こえるか、地球圏と火星圏の全ての戦士たちよ!」

「わたしの声が届いている全てのモビルスーツに告ぐ。戦闘を止めて聞いて欲しい」

「このままではヴェイガンの移動コロニー・セカンドムーンは崩壊し多くの命が失われる!」

「もはや時間はない! ここにいる全ての者たちの協力がなければ間に合わないのだ!」

「多くの命を救うため……君達の協力を要請するッ!!」




戦後はAGEシステムとEXA-DBの技術を用いてマーズレイの治療やヴェイガンの生活環境の向上に努めた。

A.G.201年の時点ですでに鬼籍に入っており、ガンダム記念館の前に銅像が立てられた。

得るものよりも失う事の方が多かった人生であったが
長きに渡る戦争の末、彼は地球だけではなく、ヴェイガンの救世主となったのである。


余談ではあるが、本作品の一期エンディングテーマ「君の中の英雄」は全編通して1世代から3世代における彼の物語を描いたような歌詞となっており、終盤精神世界での場面ではバラードバージョンが流れ、「劇中流れる挿入歌の歌詞が、フリットがこれまで歩んできた人生と重なっていく」という流れとなっている。


終盤、死んでいった者たちの声がゼハートには幻影として呪縛となっていたが、フリットにとっては暖かい赦しの声となっており、
その違いは本人自身の心の中での迷いに対し周囲の人がどう接してくれたの違いであった。


……ただ、やっぱりキオ編以降のインパクトが強かったためか、
ガンダム国勢調査の「敵にしたくないおじいちゃんおばあちゃんは?」では、『00』のイオリアとともに3位のレビルをぶっちぎりで抜いて2位となった。
※イオリア・シュヘンベルグ:52.6%、フリット・アスノ:22.0%なのでイオリアには大差で負けてはいる。



【漫画版】

放送に先行して掲載された漫画版では、複数の宿題をやりながら食事をしつつ研究を進める、数式を口走るなど天才を強調した面が強い。
エミリーに惚れられているが、恋愛には興味はない。
一人称は「僕」と「おれ」の両方を使う。


『First Evolution』では基本的にTV版準拠だが、幾分かアニメより素直になっていて、ウルフとの和解も早い。

またザラムとエウバの戦闘を止めるために武器だけを破壊したり、初めて使用したタイタスウェアの性能を最大限出し切っているなど、
ガンダム操縦面でも成長が早く、彼がガンダムのパイロットであることに説得力がある。本人はラーガンに任せようと思ってた時もあるけど。

こちらのフリットがユリンに恋心を抱いていたかは不明ではあるが、
少なくとも自分が初めてガンダムで守れた人物として強く印象に残っていたようだ。

エピローグでは好青年イケメンフリットがアセムの名前を名付けたところで終了した。

『Second Evolution』ではほとんどアニメ版と変わらないが、
ヴェイガンに対する恨みのセリフが「人間を食い荒らす忌まわしき獣どもめ…」くらいしかなくそちら方面は地味。

むしろ、どちらかといえば優秀な指揮官だったり、
ヴェイガンとの戦闘中アセムのことをかなり心配しており、アルグレアスに茶化されたりしていた印象が強い。

またアセムが無茶な特訓で体を壊して寝込んだときにはアセムがいる部屋の前でずっと立っていて、
ウルフから「相変わらず不器用だな、お前も…」と言われたりと相変わらず不器用な親バカ。

そして「やったか!?」とフラグを立てたくせに成功しているという……


クライマックスヒーロー』では爺馬鹿度が上がっており、戦果を上げるキオを「流石はワシの孫じゃ!」と良く褒める。通称きれいなフリット
最終局面ではプラズマダイバーミサイルをぶっぱしようとしたが、キオの説得とゼハートの遺言を聞いて思いとどまった。


小説版

アニメよりストイックな面が強調されており、少年時代にはディケやウルフから諌められることも少なくなかった。
本編では凶行染みた独裁を敢行はせず、常識から完全に逸脱することはなかったフリットだが、小説版では完全にそっちの修羅道を突き進んだ。

間違えて解釈され易いが、テレビ本編のフリットが行っていたのは「粛正」であり、小説版で断行した「粛清」と似て非なる。
前者が不正を一切許さない厳しい査察官だとすれば、後者は容疑者を絞首台に送るのが生き甲斐の処刑マニアくらいに違う。
その為、ユノアからは家庭環境のことも含めて嫌悪感を抱かれていた。

ただ、「自分が殺した人間の数」を覚えており、全てが終わった後で「独裁者」として討たれる覚悟はあった。
最終局面において、精神世界で「かつての自分」の幻影と対峙し……。


【エミリーとの関係】

第1部の時点で視聴者からヒロイン(笑)扱いされ、以降は空気なうえに数十年に渡ってユリンの死がフリットを縛っていたことから
「フリットって本当にエミリーのこと愛してるの? ユリンの代わりじゃねーの?」
「死んだ人間に一体何時まで拘るんだ」などと言われることもあるが、描写不足だったアニメ本編以外の媒体では色々フォローがなされている。

とくにホビージャパン掲載の小説では、
結婚直前にエミリーを怒らせてしまったフリットが何とか仲直りしたくて戦闘中にもそのことばっか考えている
という本編では見られない愉快な一面を覗かせた。

ドラマCDでもウルフにからかわれるぐらいには意識していた。

またアニメ本編でも死んでいたと思っていたアセムが海賊をやっていたと知ってエミリーにどう説明したもんやらと頭を悩ませていることや、
先述の通り家族間のイベントは重視しており、決してエミリーの事を蔑ろにしていたわけではない。*1

あくまで戦争の中で喪っていった大切な人たちの象徴がユリンだったということなのだろう。
まぁ、現実でも、今の妻や恋人は勿論大事だが、初恋の人間というのはまた特殊なカテゴリーに居たりするもんである。
更に言うならユリンの立場はフリットと似ていた部分も多かった。(家族をUEに殺されて自分だけが残った、義父に引き取られた等)
ああいう死別の仕方をした分、尚更印象に残ったのだろう(それとドラマCDでの会話も理由の一つだろう)。
更に言えば彼女を失った状況は母親の時の「何も力を持たない子供」として失った状況とは違い、
伝説の救世主『ガンダム』を使用している、つまりそれを使用する救世主にも拘わらず女の子一人守れない救世主ということを突き付けられた状況である。


スーパーロボット大戦シリーズでの活躍】


「私は…私が守れなかった者たちのために戦い抜いてみせる!」

初参戦作品。キオ編以降の時代設定で登場する。
同時参戦している『ガンダムUC』や『ガンダム00』、『マクロスシリーズ』とキオ編の年表を重ねると、
AGE本編以上に戦争まみれの壮絶な人生を送ってきたことになることが発売前から話題となっていた。


またヴェイガン殲滅のイメージが強調されて「過去作の三輪長官のような自勢力における超タカ派になるのではないか?」と危惧されていたが、
蓋を開けてみれば数々の戦争を最前線で経験してきた元総司令官という面がクローズアップされ、主人公部隊の中核を担う一人に。
ヴェイガンへの熾烈な憎悪は健在なものの、ヴェイガン以外の敵勢力に対しては冷静かつ良識を持って対応しており、
かつての部下であったブライトを始めとする地球連邦軍内部の良識派からは厚い信頼を寄せられている。

再調整されて無理やり戦場に送り出されたマリーダに対してはやはり思うところがあったようで、
ガルダ上の戦いでは自軍内で誰よりも早くバンシィの破壊ではなく停止を提案した。
一番星コンテストでは酔っ払って『複雑な家庭環境の中でもキオがいい子に育ってくれたことを涙ながらに感謝する』という、
普段の威厳を放り投げてただの爺バカおじいちゃんと化す場面も。

序盤はディーヴァのサブパイロットを務め、戦術指揮も担当。
なお戦術指揮のボーナスは反撃時のダメージ増加と、ヴェイガンに対する攻撃力・防御力増加。どこのサイボーグだお前は。
まぁ、実はフリット以外の指揮官も自分の作品の敵に対する攻撃力・防御力増加のボーナスを持っていたりするのだが、
何分最初に公開されたのがフリットだったので……。

基本的には的確な指示を出してくれるのだが、ヴェイガンが登場するステージでは、やっぱりブチキレて悪態をつくだけなので、
代わりにナトーラが部隊へ指示を出すハメになっている。この辺は原作視聴者にとっては大体の予想通りかもしれない。

ユリンのことを原作以上に引きずっている描写が多く、思い出の場所であるミンスリーに合体原種が現れた際には怒り狂って部隊の出撃命令を出している。
この剣幕にはナトーラも「普段より気合いが入っている」と気圧され、キオも言い知れぬ不安を覚えた。
また、フラムが駆るフォーンファルシアと対峙した時にも激しい怒りを露わにしている。

パイロットとしての参戦は終盤。プラズマダイバーミサイルが広範囲MAP兵器でまさかの攻撃力9999というジム神様に匹敵する大盤振る舞い。
さらにフリットは「覚醒」「魂」を覚えるため、間違いなく本作におけるリアル系最凶である。別方向で殲滅魔と勘違いしてしまう人も一部に
二つ欠点があり、前述の通り序盤からディーヴァのサブパイに居座ってる為優先的にディーヴァを使わないとレベルが置いてけぼりになってしまう事。
AGE-1グランサの武装火力が狂っているのは9割方このせい
そして撃墜数が0なためエースパイロットは若干難しい。プラズマダイバーで稼げばいいが。


【余談】


上記の通り過激な殲滅思想を持っていった事からバスク・オムパトリック・ザラの同類と看做されてしまいがちだが、
彼らのように無関係な人間達の虐殺行為や味方をも切り捨てる非情さなどは持ち合わせておらず、この見方は大きな誤解と言わざるを得ない

殲滅思想に関しては息子のアセムに対するゼハートや孫のキオに対するアノン兄妹のように、
良い影響を与えたヴェイガン側の人間が皆無だった上に、彼らに家族や多くの仲間を次々と奪われていった事も大きく、
道を間違わないよう良い方向へと導いてくれた多くの恩師など周りの人々に恵まれていた事もまた大きい。

近年でも『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する「復讐鬼と化した親」繋がりでプロスぺラ・マーキュリーと同一視した意見が見られているが、実の娘をも手駒として利用する(後に一応それなりの情はあった事は判明したとはいえ)プロスペラとは異なり、アセムやキオを思い通りに利用しようとまでは全く考えておらず親としての情愛は本物である*3

また何より必要とあらば子や孫にではなく自らの手で事を成し遂げる覚悟すら持ち合わせていることは、終盤プラズマダイバーミサイルを持ち出したことからもうかがえるだろう(事実「プロスペラより遥かにマシ」と比較する意見も見られている)。



「AGEシステム!! Wikiを盛り上げる最適な処置を教えてくれ!!」


建て逃げ → 不可

ロック → 不一致

荒らし → 不適合


「これだね!!」


「 追 記 ・ 修 正 だ ! ! 」


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダムEXAVSでは最大の被害者(扱い的な意味で)
  • 機動戦士ガンダムAGE
  • 波乱万丈
  • ガンダムAGE
  • 主人公
  • 第一世代
  • ガンダム主人公
  • 豊永利行
  • 井上和彦
  • 少年
  • 祖父
  • アスノ家
  • 開発者
  • 学生
  • 天才
  • ラーガーン!!
  • 童顔
  • 年相応
  • Xラウンダー
  • 中の人はAGE探検隊の隊員
  • 連邦軍
  • 司令官
  • 14歳→39歳→63歳
  • 銅像
  • 救世主
  • 英雄
  • フリットさん
  • 復讐者
  • 頑固
  • 高性能じいちゃん
  • 粛正委員会
  • ヴェイガンは殲滅する!
  • 戦争の被害者
  • 二筋の流星
  • パイロット
  • 不幸
  • 君の中の英雄
  • フリット・アスノ
  • 並行世界のジェリド・メサ
  • 悲劇の主人公
  • ※日曜夕方17時です。
  • 本当は優しい人
  • 壮絶すぎる人生
  • 数奇な運命を背負った男
  • 井上和彦ガンダムキャラリンク

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月17日 18:20

*1 外伝でのフォローの場合でもエミリーとの恋愛面での本格的な交流は青年フリット編以降アセム編以前であるため、時期的にアニメでは描写できなかったとも言える

*2 時系列的にはAGEデバイスやEXA-DB内のデータが作られた時期と大体同じ時期に活動していたと思われるイオリアのガンダム&GN粒子のほうが先になる可能性も一応あるが……

*3 先述したようにアセムを士官学校に入れたり、キオにMS操縦技術を仕込んだりしたのは、決して自分の道具として使うためではなく、アスノ家の人間としていずれ必要になると考えていることを身に着けさせるためである