疾風ウルトラ忍法帖

登録日:2011/06/16 Thu 09:26:19
更新日:2024/01/08 Mon 19:20:14
所要時間:約 11 分で読めます




『疾風ウルトラ忍法帖』は、かつてコミックボンボンで連載されていた忍者漫画。作者は御童カズヒコ。


概要

「鶴亀の国」の平和を脅かす怪獣忍者集団「朧党」とそれに立ち向かうウルトラ忍者、通称「ウル忍」が繰り広げる騒動を描くドタバタ系ギャグ漫画であり、
登場人物の設定や人間関係は原作から大きくアレンジされている。
基本的に1話完結方式のギャグ作品だが、時には数話に跨がるエピソードやシリアスな話が展開されることもあり、
長編シリーズの際には第三勢力が登場した。

途中で寿(ことぶき)→超(うるとら)→輝(フラッシュ)と文字が入り、リニューアルしていった。
平成16年に、講談社漫画賞を受賞。小学館から出ている「現代漫画博物館」にも収録されている。

単行本は過去にボンボンコミックスから刊行されたが、収録話に抜けが多かったり最終話まで収録に至らなかったりで未完全なところが多い。
2012年には復刊ドットコムから『疾風』分の完全版が全3巻で刊行されたが、こちらも『寿』以降には繋がらなかった。
2015年になって、ようやくebookjapanから電子書籍と言う形で全シリーズのエピソードを収録した完全版が販売された……が、こちらも2018年に販売停止。
販売停止に至ったのは版権を持つ円谷プロの意向によるものらしく、著者の御童カズヒコ氏も作品が事実上の封印作品になってしまった事に無念の意を示している。



◇登場キャラ


【ウル忍】

主人公。底抜けのバカでスケベでドケチなクズ野郎(以上、全部作中で他のキャラから言われたセリフ)。
落ちているカビ生え饅頭なども平気で食うが、身体能力や生命力がハンパないので、その程度ではビクともしない。
しかし忍者としての技量は高く、シリアス編では遺憾なく戦闘力を発揮する。
朧党を乗っ取り、ネオ朧党を結成して悪事の限りを尽くした結果、一時期ウル忍を解雇されてプータロー忍者になってしまった事もあった。

ウル忍の頭。隻眼。
マンのバカさ加減に手を焼いているが、彼自身もマンと同レベルのバカで、おまけにスケベオヤジだったりする。
ウル忍では貴重な正統派忍者だが、その分他と比べて戦闘力は低い。
副業としてファミレス「ゾフィール」を経営していたが、資金難をマン達の給料をピンハネして乗り切ろうとしたのがバレ、
当然マン達に逆襲され店は潰れた。
髭を剃って眼帯を外すとマンと同じ顔になる。

マンの相棒で、マンとは小さい頃から喧嘩をしていた仲だった。
アミアと結婚して引退し、焼き鳥屋「鳥七」を経営している。
マンだけが知っている引退した本当の理由は古傷のために右手が時々麻痺するため

マンの舎弟その1。まだ年若く、初めの頃は語尾に「です」を付けるのが特徴だったが、いつの間にか普通に話すように。
忍者だが医者志望で、部分移植や解剖バラバラの術など医療関係の技を使う。
初登場回のみ泣き声で建物を破壊する特技を持っていたが、これが原因で朧党が大変なことに……。
母はウルトラの母だが、父がウルトラの父かどうかは不明(多分違う)。

長屋暮らしのボンビー浪人。語尾に「やんす」を付ける江戸っ子。よくウル忍とつるみ、悪に立ち向かう。
剣の達人で「無宿殺法*1」なる剣術を得意とする。さすがは切断王子。
マンと同等以上のバカだが、実力の高さはマンにも認められている。
梅干しと沢庵が好物で、ゾフィーからは原物支給という形で給料として貰っている。
愛車はタタミカー

タロウの同級生。盗みが得意。元義賊で、悪い金持ちから金品を盗み、エースを始めとするボンビーな人達に配っていた。
学校をサボるためにネオ朧党やネオウル忍に寝返ったこともある。
原典ではレオはセブンの愛弟子だが、本作では彼の登場と同時にセブンが忍者を引退したため接点はほぼ無い。

マンの舎弟その2。マンのことを「先生」と呼び慕う。
ウル忍としては珍しく真面目な性格で基本的にはツッコミ担当だが、たまに天然が入っているとしか思えないボケをかます。
チョコレートが好物。手品を駆使して闘う。
ダイナの空手(荒神流編開始までは護身術)道場に入門してからはシリアスシーンでは空手で戦うようになった。




【朧党】

怪獣の忍者「忍獣」で構成された悪の組織。いわゆるばいきんまんロケット団のノリである。
基本的にウル忍とは敵対しているが、第三勢力の脅威にはウル忍と協力したり、構成員も悪人ではあるもののお人よしだったりして何処か憎めない。

朧党の党首。マン達とは幾度となく闘ってきた。
マンより多少はマシだが彼もボケ役であり、しょうもない理由で下らない作戦を考え部下を困らせる事もある。
だが、悪の組織同士の抗争を勝ち抜いて朧党を全国規模の組織に育て上げた人物なだけに、シリアスな場面の戦闘力は高く、
そうでない時にもたまに部下想いな一面を覗かせることがある。
赤ん坊好きで笹比羅の息子の守とも仲が良いが、小学生のタロウやティガには特に甘くはなく、
息子がバカを言い出したときにもゲンコツを入れている。
愛称は「めひらす」。

  • 冥府羅州キミヒロ
冥府羅州のドラ息子。バルタンJr.とペガッサJr.を舎弟に持つ。

朧党の科学者。ダンボール製のニセセブンや粘土化銃など、変な発明ばかりしている。
一時期エースと文通をしていた。

  • 笹比羅(ササヒラー)
初登場時は一介の忍獣だったが、次第に出番が増え、いつの間にか冥府羅州の片腕になっていた。妻子持ち。
クビになったマンを復職させるためにティガと協力して一芝居打つなど、人の良い一面がある。

朧党の戦闘員ポジションで、一郎から十郎までいる十人兄弟。
全員同じ顔だが、本人達が言うには、一人一人に外見上の違いが一応はあるらしい。
海底支部にはエラが付いた海ケムールがいる。
最初期には元ネタに忠実な顔の黒怪夢瑠が登場してウル忍に真っ二つにされたりしていて、
単行本の宣伝ページでは十人衆から「気持ち悪い」などと驚かれていた。
後述の血祭党登場の前までは十人衆以外の怪夢瑠も登場し、戦闘員らしくガヴァドンに食われたりしていた。

  • 忍獣
朧党の構成員達。いわゆる怪人ポジション。
基本的にボケ役だが、シリアスな奴や恐ろしく強い奴もいる。

  • 朱牙崙きくゑ(シュガロン)
朧党が雇った家政婦。四十二歳。五つ子をかかえ夫が失業中の身であり、朧党の家政婦募集に応募してきた。
大家族を仕切っているだけにかなりパワフルな性格で朧党を仕切り、彼女のペースに冥府羅州たちも従うようになってしまった。
掃除や料理などの主婦スキルもさることながら戦力としてもかなり有能であり、スペシウム光線を掴んで飲み込むというトンデモない人。ただし、オバサンは禁句。
作者曰く「夫婦ならシーゴラスとシーモンスだけど、ニカっと笑った顔はシュガロンにしかできない」とのこと。

【闘いを見守る人々】

鶴亀の国(日本列島の関東地方に相当)の将軍。口癖は「~ぞよ!」
ウル忍以上にお気楽な性格で単純なバカ殿だが、ウル忍のバカさに呆れて「ネオウル忍」を編成したこともある。
正月早々転売屋紛いのことをしてマンからボコボコにされたりため口をたたかれたりするなど全く尊敬されていない。

  • アミア
くノ一でセブンの妻。夫を尻に敷いている。
くノ一時代は度々キレて暴力を振るっていたが、
焼鳥屋を開業してからはかなり人当たりが良くなっている。
原典は『ザ☆ウルトラマン』におけるジョーニアスの妹だが、
当時は映像ソフト化に恵まれてなかった事もあり、彼女を知らない読者も少なくなかった。
なお、兄のジョーニアスは未登場。

セブンとアミアの子供。まだ赤ちゃんだが、強い超能力を持っている。冥府羅州のお気に入り。ゼロ涙目。

レオの弟。
レオ初登場回で勝手に貧しさのため死んだことにされて盗みの口実にされていた。

  • 老中エレク
将軍の側近で貧乏くじを引きやすい。
自分が老い先短いことが気になって仕方ないらしい。トシなので雑魚敵にもボコボコにされる程度の身体能力。
アミアと同じく『ザ☆ウルトラマン』から主人公を差し置いて登場。
なお、作者のTwitterによると作者自身も本作を描くまではエレクとアミアを知らなかった模様。

忍者小学校の先生。1~6年の全学年を掛け持ちしていた為、身体はボロボロだった。
「分身の術を使って掛け持ちしている」と言っていたり、「実戦経験はなく勉強して教師になった」と言っていたり
詳細な実力は安定しないが、あまり強くない。

  • 忍者小学校の生徒達
シャドウ、コロちゃん、エレキング、バルタンJr.、ペガッサJr.、カロリンちゃんなど。

ウル忍達の知恵袋。忍者小学校の校長も兼任している。

少年修行僧。基本的に平和主義者だが、怒ってコロナモードになると見境なく暴れてしまい、一度朧党にその性格を利用された。
タクアン超人コンテストで優勝候補のエースや殿堂入り間近だったブラックサタンを抑えて優勝。
その際の賞金で買った寺院にいた墨海上人に出会って以来彼に師事している。

  • 墨海上人
コスモスが買った寺院にいた即身仏。
悟りを開いたらしく、基本的には何をされても怒らないが、度を過ぎた悪人は法力で懲らしめる事もある。
即身仏なので最初は無表情だったが、マン達との交流を経て顔がほぐれたそうで、やがて表情が変わるようになった。
彼と同じく修行していた弟がいたが、弟は即身仏になることを拒み、海底で仙人暮らしをしている。

元・朧党メンバー。
コスモスと墨海上人に対して恩義を感じ、朧党を脱退して、上人に弟子入りする。田舎の母はとても喜んでいたらしい。
朧党在籍当時は鶴亀ラーメンに対抗して冥府羅州らがラーメン屋を始めた際に店長に選ばれた事もあるが……。

  • 杉田卵白
将軍の御典医で、診療所をやっている。
マンたちが何かしらの病気にかかると必ず登場する。地味に第1回と最終回の両方に登場している。

  • 轟万蔵
「ラーメン優優」の店主。旨さの秘訣は秘伝のスープ。
忍者の才能もあり、ネオ朧党騒動のせいでマンがクビにされた際には、ゾフィーがマンの穴を埋めるために雇った。

ある事件でマンと意気投合し、ウル忍に加わった。ただの牛のはずだが腕っ節は強く、忍獣とも渡り合う。
マンと合体して「ウトラマン」になった事もあった。

鶴亀道場の師範で武闘家。
基本的に真面目だが、それゆえにギャグ場面では振り回されっぱなし。
荒神流編の実質的な主人公。
ちなみにコミックスの表紙を見るとストロングタイプである事がわかる。

  • 門下生達
ダイナが営む鶴亀道場の門下生達。
ティガ以上の体力を持つ描写があったり、特に最年長のキヨシは一度ティガが慢心していた間に実力が逆転していたこともある。

虓魔王編にて、鶴亀の国が異世界に飛ばされた際にマン達が出会った、異世界のウルトラ忍者。
虓魔衆に両親を殺され、自らも逃亡していた。
虓魔王の打倒後も鶴亀の国に残るが、彼もまた真面目な性格ゆえギャグ時空についていけずにいる。

FBIから怪獣マフィア・ダダを追って派遣されてきたウルトラ捜査官。
アメリカ出身という事で、打撃時の効果音はアメコミ風。初登場時は英語で喋っていたがマンの日本語学習(物理)を叩き込まれたことで日本語が話せるようになった。
後に後輩のマックスも登場した。

ネオウル忍(ウル忍二軍)のリーダー。
実力はないがダジャレが得意。
他の二軍メンバーはニセウルトラマン、ニセウルトラセブンイーヴィルティガ

チョコ玉丼やウミウシ丼、辛え丼やデレロン丼、ドドンガ丼など、いかにも不味そうな丼ばっかりを扱っているバカ丼屋の店主。
あまりにも不味すぎるため、将軍から営業停止を言い渡されてしまった。



【第三勢力】

「血祭党」を率いる成金。金を使った買収が得意だが実力は大した事はない。
ケムールを買収して朧党に成り代わろうと企んだ。

  • 邪鬼姫阿留波(じゃきひめ あるは)
邪鬼一族の頭領。作者曰くコギャル。セクシーな技を使うが、セクハラした相手には容赦なくぶちのめす。
ノンマルトの秘宝「不思議なパンT」消滅後、その姿を見た者はいない。

邪鬼姫の部下だったが、不思議なパンTを穿いて凶暴化。邪鬼姫を裏切る。
最期はあっけなくやられた。

  • シャドー(ウルトラマンシャドー)
ダイナのかつての兄弟弟子にして、現・荒神流空手総帥。
「力こそが全て」というポリシーの元、各地で破壊活動を展開。拳の象徴「シャドーの塔」を建てて鶴亀の国の制覇を狙う。

セブンが板前修業をしていたあずさの国の外道街を支配する凶状持ち「血祭一家」の頭。
当時修業の旅をしていたダイナとセブンの目の前で岡っ引きのキリヤマを襲い、同心のタケナカ、下っ引きのソガを殺したため、セブン・ダイナ・キリヤマによって壊滅した。

  • 虓魔王(こうまおう)
ただ殺戮のみを目的とする忍者集団「虓魔衆」首領。
配下の四鬼と共にガイアの両親や仲間を殺し、かつてウル忍に助けられたペテロ族を虐殺するなど、連載史上まれに見る残忍さを見せた。

  • ドラキュラス
マンが幼い頃存在した忍者集団「怒愚魔党」党首。
配下の忍獣を持たないものの多数の戦闘員を束ね、将軍を暗殺して名を上げるという野望を抱く。
ゾフィーに内緒で討伐に来たセブンを人質にするが、同じく討伐に来ていたマンの介入に遭い、マンとセブンによって壊滅した。

  • バルタン兄弟
大柄でブタっ鼻の乱暴者の兄バルタン・ビアンコと痩身で腕にガトリング砲を仕込んだ冷酷な弟バルタン・ネーロからなる強盗兄弟。
セミ人間十人衆を束ねて峰曽田村を荒らし回っていたが、帰郷したにせセブンと同行したマン・ティガによって倒された。

かつて冥府羅州に潰されたが生き延びていた組織「怨霊党」現首領。
金邪符を手に入れた怪夢瑠十郎を利用し回収した4つの邪符と共に「闇の陰陽五行邪法」の力を手に入れ、朧党の吸収とこの世の支配を目論む。



余談

ちなみにウルトラマンダイナ第13話「怪獣工場」にて、本作の疾風編と寿編各1巻が小物として登場している。




追記・修正は「鳥七」の焼き鳥を肴に……

セブン「だからツケは認めねーって言ってんだろ!?ボランティアじゃねーんだぞ、こっちは!!」
マン「そんなこと言わねーでくれよ~。金がねーんだよ~……」

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最終更新:2024年01月08日 19:20

*1 ちなみに「無宿」とは、単純にホームレスという意味ではなく、身内に勘当されたり村に追放されたりして、戸籍の無くなった者を指す言葉。と言っても、エースは自分から村を出た様なので、現状重い設定は無いと思われる。