天王路博史/ケルベロスII

登録日:2012/09/17 Mon 04:01:56
更新日:2024/01/08 Mon 22:02:08
所要時間:約 8 分で読めます





ご苦労様、仮面ライダーの諸君……。

そして、さようなら……。


天王路(てんのうじ)博史(ひろし)とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダー剣』の登場人物。
よく間違われるが「天王寺」ではない。

演:森次晃嗣


【目次】



【人物】

人類基盤研究所(通称「BOARD」)の創設者。
黒のスーツにシャツ、サングラス、右手に着けた指ぬきグローブが特徴の男性。


途方もない財力を持つという億万長者であり、それなりに名が知られている。
一方で、その過去や現在について詳しい情報は一切不明。
白井虎太郎の口からその名を聞いたとある編集長が「調べようとした者が昔から何人もいなくなっている」と血相を変えて釘を刺すなど、裏社会に通じる者の間では関わること自体をタブー視されているという不穏な人物。


BOARDでは初代理事長を務めていたが、本編から3年前に同組織の研究員・広瀬義人が古代の遺物・ラウズカードの研究中にアンデッド解放事件を起こしてしまい、その不祥事の責任を取る形でBOARDから脱退している。
橘朔也とは辛うじて面識はあるものの彼も詳しい人となりまでは把握しておらず、その後輩である剣崎一真広瀬栞が入所した時点では既に身を引いていたので彼らには名前くらいしか知られていない。

理事長職を辞した後も創設者として金銭面の援助などでBOARDへの支援は行っていたようで、組織壊滅後も自らのポケットマネーでライダーとして戦う剣崎達の口座に給料を振り込んでいた。
表向きは仮面ライダーを支援する元理事長であるが……。










【仕組まれたバトルファイト】

本作で起こったアンデッドにまつわる事件、その全ての元凶
実は、広瀬義人によるアンデッド解放は天王路の計算の内で、不治の病で妻を失った彼が永遠の生命に縋る事を利用*1して現代のバトルファイトを引き起こし、それを影で支配していた黒幕。


彼の目的は、平和などと言っているが実際はバトルファイトの勝利者に与えられるという「万能の力」を得る事によって、
最終的に地球上に現存する全人類を消滅させ、同時に自分に従う新しい人類を創造し、自身は「神」としてその世界に君臨すること
つまりは新世界の創造世界征服


BOARDの創設もその足掛かりに過ぎず、ラウズカードとアンデッドを研究することでバトルファイトの仕組みを解き明かし、遂に3年前の事件によってバトルファイトを開始させることに成功した。
広瀬義人のアンデッド解放による事故現場に急行し、続いて現場に現れた橘朔也に広瀬の死を告げ、事態の収拾を図ろうと見せかける。
そしてバトルファイトの開幕と共に解き放たれた数十体のアンデッドたち、彼らを効率よく封印する為、烏丸啓に表向きは「人類に危害を及ぼすアンデッドを封印するため」と称して、ライダーシステムを作らせ仮面ライダーたちの手による封印を実行させた。
アンデッドによる事件が多発しても一向にマスコミ沙汰にならず都市伝説扱い止まりだったのも、虎太郎の編集長がいうように彼の圧力による揉み消しがあったことがうかがえる。

更にバトルファイトのゲームマスターである超常存在"統制者"、その意思を媒介する封印の石"モノリス"(通称「ねじれこんにゃく」)を密かに発掘し自身の管理下に置くことで、勝利と共に起こるであろう"統制者"からのコンタクトを確実なものにしようと目論んでいた。

なお、本来のバトルファイトでは倒されたアンデッドは"モノリス"の力でラウズカードへと封印され敗退となるが、"統制者"の意思によるものではない天王路のイレギュラーな策謀の下で開始された現代のバトルファイトでは"モノリス"による封印作業が実行されない。
天王路がライダーシステムを作らせたのはバトルファイトの進行上不可欠なこの封印作業を代行させるためである。

しかしこのため、特別に封印能力を付加されているジョーカー以外のアンデッド同士では、いくら戦っても敗退しないが同時に勝者になることも出来ない
当初、この事態の異常性を明確に認識し原因を洞察出来ていたのは、金居ことギラファアンデッドのみであった。
なお、他のアンデッド達については明言されていないが、伊坂(ピーコックアンデッド)は"統制者"による封印が行われない状況に対応するための駒としてレンゲルの開発を試み、スパイダーアンデッドはわざと封印され睦月の心を乗っ取ることで他のライバルの始末を図る、キング(コーカサスアンデッド)は戦いへの意欲を見せずでたらめに戦況をかき乱す、城光(タイガーアンデッド)も他のアンデッドとの戦いで"統制者"が出現しないことを疑問に思う、等々少なからず異常を察していた者達はいたようである。



上記の目的や行動からも想像できる通り、本質は冷酷なエゴイスト。
自身の身勝手な目的のために人間、アンデッド問わず利用し、他者の思いを踏みにじり、罪なき人々が巻き添えになって命を落とすことについても全く気にしていない非道な人物である。
「万能の力」を手にし実現する願いを問われ「無論、平和だ」と答えてはいるが、それも「(邪悪な心に満ちていると自身が称する)現人類の抹殺」を前提としている辺り、非常に独善的であり、所詮は建前でしかないのだろう。

アンデッド解放についても、娘を想う義人の心を利用した卑劣なもので、結果的に彼を死に追いやったうえ、死した後にまで彼を利用し続けた(後述)。

正に本作における黒幕であり絶対悪。



【究極のアンデッドへ】

理事長職を辞した後は表舞台から姿を消していたものの、仮面ライダーとアンデッドたちの戦いの裏で暗躍を続けていた天王路。

手始めにアンデッド解放時に致命傷を負った広瀬義人が死に際に自身の記憶を埋め込み造り上げた改造実験体・トライアルBのプログラムを改変。
記憶を書き換えられ自分を義人本人だと思い込んだトライアルBを自らの手駒として利用し、人間とアンデッドの細胞からトライアルシリーズを造らせた。
更に多くのアンデッドが封印されバトルファイトの終局が見えてくると、"モノリス"の力を借りて保管していた二枚のラウズカードから合成アンデッド・ティターンを製造。
不要となったライダーたちを排除させようとした。

結局ティターンはライダーたちに打倒されてしまうが、トライアルシリーズやティターンの研究から既に十分なデータは揃っていた。

そして天王路は、自らを究極のアンデッドへと変える事を選ぶ。
ついでにこの時点で剣崎たちを解雇扱いにして給与振り込みを停止。晴れて彼らは無職になった。


天王路が自らの野望の為に造り上げた人造アンデッド・ケルベロス
ジョーカーを圧倒するほどの驚異的な強さを誇り、アンデッドを封印吸収する能力や強力な火炎を操る能力をも兼ね備える無敵の怪物が誕生した。
だが、その凶暴さ故にトライアルシリーズの様に完全な制御は効かなかった。*2

しかし、このケルベロスもまた天王路の手駒の一部に過ぎず、仮面ライダー達の活躍により倒された直後に天王路自らがケルベロスを封印。
その後、金居 (ギラファアンデッド)にケルベロスのカードを寄越すよう迫られるが、自身の左腕に仕込まれたカードリーダーによりケルベロスのカードが天王路と融合、
究極のアンデッドの力を手に入れた「ケルベロスⅡ」に変身する。デュワッ!!、とは言わない。
外見はケルベロスから余り変化は無いが、胸に天王路の顔がある(この顔はケルベロスII変身直後は生身の顔だったが、すぐに白い顔に変化した)。
ケルベロスの能力に加え、両肩から炎を放つ「ディバインウェーブ」という能力を新たに得た。
「倒せ火を吐く大怪獣」と歌われたヒーローが今度は火を吐く大怪獣になろうとは。
大ダメージを受けると変身が解除されるようであり、カードを使用して変身することも含めてライダーシステムに類似している。

その力を使い、ギラファを封印しようと追いつめるが、ギャレンとレンゲルが駆け付けたことにより取り逃がす。


だが、最強のアンデッドとなった天王路は自らの手でライダーたちを排除すべく彼らの前に現れる。
四人のライダー達と対峙し天王路はカードとライダーシステムの返還を促すが彼らはこれを拒否。まぁレンゲルはBOARD製でもないし……

改めてこれまでの行動の真意を問われると、自身の野望をあらわにし「今の人類は邪悪な心に満ちている」と語る、がぶっちゃけどの口が言うんだという話。
そして彼らの信じてきた正義をあざ笑い、再びケルベロスⅡへと変身する。


ハッハッハッハ…全て幻…

驚異的な力でライダー達をねじ伏せようとするケルベロスⅡ。
だが、ライダー達との総力戦の末、団結の力に敗れ、ケルベロスとの融合は解除され、カードリーダーも破壊され変身する術も失ってしまう。


なんということを……
貴様たち、何をしたのか解ってるのか!?


力を失った天王路は自分の諸行を棚に上げライダー達を非難し、なおも狂ったように笑いながら自分の野望を叫び、往生際悪くジョーカーやギラファを封印しろとライダー達に命令する。
だがその直後、ギラファが振り下ろした刃に脳天から切り裂かれ、流れ出る鮮血と共に断末魔の声を上げ、天王路はあっけなくその命を落としたのだった(正に口程にも無い小物の相応しい結末であった)

ちなみに上記の「全て幻」という台詞にはファンからよく「お前はモロボシ」と返される。


本格的に登場したのは作中でも終盤だが、基本的に悪人が居なかった人間サイドに真正の悪役として現れた天王路。
始や嶋さん、虎姐さんといったアンデッドという怪人でありながら他者を思いやる優しい人間の心を持った者達がいたのに対し、己の野望のために人類を滅ぼそうとする姿は怪物の心を持った人間といえるかもしれない。
……しかし皮肉なことに死に際に彼が流した血の色は人間の象徴である赤だった。



【余談】

演者の森次晃嗣氏は『ウルトラセブン』のモロボシ・ダン役でお馴染み。

本作ストーリー展開上のラスボスは「ジョーカー」であるが、彼は実質悪役とは言い難い立ち位置にあるキャラクターである。
映画『レッツゴー仮面ライダー』においてアンデッド軍団が客演した際、その頭目として会議に参加していたのはジョーカーやギラファアンデッドではなく天王路の分身ともいえるケルベロスだった。
公式としても天王路(とケルベロス)こそが『仮面ライダー剣』最大の敵と位置付けている感がある。

15年後に(ある意味で)ケルベロスⅡの亜種と言える怪人が登場していた。






……君はまだ追記・修正の本質を理解していないようだね。

この項目が面白かったなら……\変身!/

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最終更新:2024年01月08日 22:02

*1 烏丸によれば、アンデッドの解放に賛成していた者達は他にもおり、仮に義人が解放を行わなくても遅かれ早かれ封印は解かれていたと推測されている。

*2 誕生直後にはその場にいた天王路以外の研究スタッフを皆殺しにしているが、天王路はそれを特に気する様子もなかった。もしかしたらケルベロス以外の人造アンデッドが創られる可能性を潰すため、最初からスタッフを始末する腹積もりだったのかもしれない。