大気津比売神

登録日:2012/05/24(木) 18:55:16
更新日:2022/10/30 Sun 18:09:24
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大気津比売神(オオケツヒメノカミ、オオゲツヒメノカミ)

大気津比売神(以下オオケツヒメ)とは日本神話に登場するの一柱。大宜津比売とも。
大はそのまま大きいの意味。気津はケツ、つまりを表す言葉。
比売は日本神話における女神を表すもので、直訳すれば「大きなお尻の女神」となる。

大きなお尻とは安産型であることを示しており、オオケツヒメは安産祈願の神として有名。
特に阿波の国(現在の徳島県)の阿波大気津神社に存在する大気津比売像の尻部分を妊婦が撫でた場合、その妊婦は良い子を産み、
夫婦が撫でた場合、その夫婦は子宝に恵まれるという。
ただ、注意すべきはこの像に妻を持つ男性が触れた場合。この場合、像に触れた男性は「不貞を冒した」として天罰が下ると言われている。

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【オオケツヒメの由来】

オオケツヒメとは日本神話に登場する神の一柱。
登場は古事記における国土創世譚、いわゆる「国産み」が初。
一応国産みについて説明すると、
イザナミイザナギという偉い神様が協力してイザナギの矛をドロドロになった穴に突っ込んで引き抜いたらその矛もドロドロになっており、
そのドロドロの雫が矛から零れて出来た島の上でセックスする話。このセックスにより産まれた神々が、それぞれ日本の国土とイコールになっている。
オオケツヒメはこの時産まれた神の一柱であり、伊予之二名島(現在の四国)の内の阿波国(現在の徳島県)に対応している。
非常に簡単に説明してしまえば、徳島県=オオケツヒメなのだ。

とまぁ普通なら国産みで産まれた神はこれで出番終了なのだが、幸か不幸かオオケツヒメに関してはもう少し逸話がある。


【オオケツヒメの属性】

ここで少しだけ彼女の名前について考えてみよう。

天照大御神が「天照らす」つまり太陽の神であるように神の名前はそれぞれ意味を持っている。
彼女の名前「大気津比売」をそれぞれ解読してみれば、
「大」は「多」、質的な「大きさ」ではなく量的な「多さ」、つまり「こんなにいっぱい……入らないよぉ……」のいっぱいを示している。
次に「気津」の「気」。これは食物の事を指し示し、「比売」は女神であること、「神」はそのまま神。
つまりオオケツヒメとは「いっぱい食物女神」……五穀の女神という事になる。

そして彼女の五穀の女神としての活躍もまた、古事記に見ることが出来る。次項ではそれについて触れてみよう。


【古事記に見られるオオケツヒメ】

さて、古事記におけるオオケツヒメの活躍を紐解いてみよう。
オオケツヒメは皆がよく知る、あるメジャーな神様と共演している。
それが建速須佐之男尊――ヤマタノオロチ退治で有名なスサノオだ。
このマザコン、要するに死んだ母親に会いたいと駄々こねて家出して、
姉頼ったが暴れすぎて追い出されて追い出された先で「オロチ倒すから娘と結婚させろ」とか言って脅した訳であるが、
スサノオとオオケツヒメの出会いは姉に追い出された後――俗に神逐(かんやらい)と呼ばれる出来事のすぐ後である。

神逐により天界を追い出されたスサノオは空腹を覚え、取り敢えず何かタカリに行こうと食物の神であるオオケツヒメの元へと向かった。


「おい雑種、せっかく我が来てやったのだ。何か、我に相応しい馳走を用意せよ」

などと言ったかは解らないが、オオケツヒメはスサノオのタカリを快諾。
スサノオは家の中へと通され、そこでスサノオは様々な食物を与えられる。
これで満足しておけばいいものを愚かなスサノオは「なぜこの家にはこんなにもいろいろな食物があるのだ?」と不信に思い、
オオケツヒメが料理をしている際にキッチンを覗き見てしまう。

そこでスサノオが見たものは……


「ゲロゲロゲロゲロ」

という音が出ていたかはスサノオしか解らない事ではあるが、口や耳、鼻や尻の穴から様々な食物を取り出すオオケツヒメだった。


「おのれ下郎の分際で……そのような不浄な物をこの我に食わせたというのか!万死に値する愚行であるぞ!!」

くどい様だがこのような事を言ったかはさっぱり解っていないが、とにかくスサノオは大激怒。怒り狂ったスサノオは弾みでオオケツヒメを殺してしまう。

そしてオオケツヒメの死体からは頭から蚕が、両の目からは稲が、両の耳からは粟が、鼻からは小豆が生まれ、最後に尻と性器からは大豆と麦が生まれたという。

これらの稲、粟、小豆、大豆、麦は古事記における五穀であり、それに加えて蚕を生み出したため、オオケツヒメは五穀と養蚕の神として崇められているのである。


【終わりに】

  • オオケツヒメはここで死んでいるが、記紀には何故かオオケツヒメがハヤマトとの間に八柱の神をもうけたという記述がある。

  • 日本書記においては、この話が無いがその変わり月読命(スサノオの兄、アマテラスの弟)が保食神(うけもちのかみ)を殺し、
    その死体から五穀が生まれたとの記述がある。
    天照大神は人間の食糧問題を解決するため、食べ物を生み出せる神に使者を使わす。
    しかし、使者である月読命あるいは素戔嗚命は食べ物の神がもてなすために体内から出した食事を穢らわしいとして殺してしまう。

    事態を重く見た天照大神は激怒、月読命を月へと追いやり以後、太陽と月は同じ時間に出ることがなくなった。
    国の最高神である天照大神、大蛇退治の素戔嗚命と比べ全く資料の無い月読命が日本書紀限定でかかわる話である。

    弟共が揃いも揃ってこんなんだとそりゃお姉ちゃんも岩戸に引きこもりたくもなるというものだ。
    天熊人命に見舞わせると死骸の頭は牛馬に変わり、体のあちこちからに稲・粟・豆・麦・小豆の五穀や蚕の繭等ができていた。
    これを持ち帰り天照大神に献上するとたいそう喜び、体に稲が実ったことから「稲荷正一位」の位を授けるとともに、この穀物を人々の主食とした・・・とされている。

    なお、文献によっては体内から食べ物を生み出せるのではなく、糞を皿に盛り付けるのを目撃され殺されたとも言われており、
    これは「優秀な肥料からは優秀な食べ物が育つ」故に食べ物の神であったとされている。

  • 神が死ぬ事で何かが生まれる話はそう珍しい事ではなく、インドネシアのセラム島やアフリカの方にも似たような神話が存在する他、
    少し違うが北欧神話やメソポタミア神話において「巨人の死体から世界が生まれた」という話もある。
    何にせよ神が死ぬ、ということはなにか特別なものが生まれるきっかけとなるのだ。
    • このうちオオケツヒメや保食神の様に「ある神の死体から主要な食物が生まれた」とする神話は、インドネシア神話の女神の名をとって「ハイヌウェレ神話」と総称される。




追記、修正頼みます。

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最終更新:2022年10月30日 18:09