事故(TCG)

登録日:2012/05/27(日) 23:36:05
更新日:2023/07/09 Sun 18:50:39
所要時間:約 15 分で読めます







「「デュエル!!」」

「(こ……これは! レベル5が3枚とレベル10って……ほとんど手札事故だろ!)」

「(おいおい! レベル7が5枚って……これ完全に手札事故だろ!)」

「……。」

「……。」

「「完璧な手札だ!!」」


●目次

概要

事故とは、トレーディングカードゲーム(TCG)においてデッキがうまく回らず機能不全に陥ってしまった状態のこと。

ランダムでカードが手に入るという運の要素が存在する以上、TCGプレイヤーにつきまとう、ある意味最初で最強の敵であり、最後まで最も多いであろう「手札が事故を起こした場合」は手札事故とも呼ばれる。

例えば、手札のカードの種類が偏っていたり、呼び出すのにコストがかかるカードばかり引いてしまい、
機能しなくなってしまった場面は誰でも経験したことがあるだろう。

TCGには多かれ少なかれ運が絡んでくるものであり、最初に引く手札も内容はランダムである。
ゲーム開始時にはデッキをシャッフルするのが一般的であり、プレイヤーの思惑通りのカードが来ることはほとんどない。
この最初の手札を補充する段階で、プレイヤーの思惑から大きく外れるように偏った手札が来ることを「事故」と呼ぶ。

また対戦中に相手の妨害によって必要なカードが墓地などに送られてしまい、デッキの動きが阻害されることもあり、そうした状態を「事故った」と表現することもある。
相手を事故らせるための妨害もTCGでは重要な戦略の1つといえるだろう。

事故といっても「とりあえず最低限動ける」ものから「全く動けない」ものまで程度の差が広いのもあり、ゲーム中の事故を根本から完全に防ぐことは不可能ではある。
だがなるべく頻度を減らすためにもデッキ構築に気を配るのもまたカードゲームの醍醐味の一つと言える。

尚、実際の大会では事故が起きた場合、自分のデッキタイプを判別させないために早期にサレンダー(投了)し、相手に情報を与えないというプレイングをする事も多い。*1




代表的な「事故」


  • 土地が来ない or 土地しか来ない
MtGガンダムウォーなど、「カードを使うためのコストを生み出す専用カード」が存在するゲームで起きる。(こうしたカードは元祖であるMtGに倣いよく「土地」と呼ばれる)
で、コストを用意しようにも土地が全く来ない、あるいは土地ばかり来て肝心の使うべきカードが無い状況。
特に初手で土地が全く無かった場合は、初動からつまずいてしまい目も当てられない。
土地ばかりの手札の場合は半ばヤケクソで「地主」とも。

MtG世界殿堂入りプレイヤーともなると土地岡翔太氏は普段のマシーンのようなデッキ構築とプレイングの割に、大規模大会の重要な局面でヤソ土地事故を起こす傾向があり、ファンからネタにされがち。


  • モンスター(キャラクター)カードしか来ない or 魔法・罠(サポート)カードしか来ない
おそらく一番わかりやすい手札事故。
だが、そこまで致命的とはいえない軽い事故でもある。
前者は少なくとも壁は召喚できるし、後者も「モンスター(キャラクター)カードを手札に持ってくる」ものがあればどうにかなる事もある。
また遊戯王OCGだと伏せておくだけで相手にプレッシャーを与えられる。要はプレイングで克服できる場合が多々ある。

例外はポケモンカードゲームの様に「ランダムで引いた初期手札」から「必ず特定種類のカードを出さなければならない」ゲーム。
旧ルールでは後者の事故が連続して起きるとその場で敗北。現ルールでも引き直し回数だけ相手の初期手札を増やしてしまう。
ちなみに、一瞬思いつくであろうこれを利用したデッキ破壊はルール上実質的に不可能である。*2


  • 重いカードしか来ない
儀式モンスター三幻魔など、召喚にコストがかかるカードを切り札にしていると、手札でそれらがダブって動けなくなってしまうのはよくある話。

デュエル・マスターズならキング・アトランティスMagic the Gatheringなら甲鱗のワームやエムラクールなどを多く投入するデッキで起こりやすい。

重いカードは枚数を少なくし、サーチカードで必要な時に引っ張ってくるのが多くのTCGの定石ではあるが、
そういったカードを主軸にしたデッキでは、やむをえず何枚も積むことになるため、時として事故が起こってしまうこともある。

メインデッキの重いカードを0にすればこの事故は起こりようがなくなる。この最たる例がデュエル・マスターズの黒緑速攻であり、3コスト帯が「密林の総督ハックル・キリンソーヤ」のみで他は2コスト以下のみという構築も珍しくない。

カードファイト!!ヴァンガードではヴァンガードと呼ばれるユニットカードのグレードを1ターンに1つずつ上げていくというのが基本のゲームデザインだが、現在のヴァンガードより1つ上のグレードのカードがない「ライド事故」が発生する事がある。
ドロー手段は割と豊富だが事故る時は盛大に事故る上、相手は(基本的に)普通にライドを重ねてくる為、1ターンのライド事故はそのまま勝敗に直結する。
他にも手札にある事前提の守護者カードにライドしなければいけなかったりと、実質クリーチャーカードしかないゲームの割には事故が多くなりがちである。
後にGアシストという事故防止のルールも生まれたが、「Gゾーンのカード2枚と手札のカード2枚を除外する」という比較的重いコストの上それでも引けない事がある
こういう場合はデッキ構築を見直すかお祓いに行こう。


  • 色が合わない
「色」概念があり、かつ色の混合ができるTCGにおける事故。
土地が適正な数だったとしても、軽いカードをちゃんと握れていたとしても、その手のゲームでは色の組み合わせが適正でなければカードを使うことができない。
事実上、重いカードしか来てないのと同じことである。
大抵は色が合うカード1枚が来るだけでかなり解消されるため、運が向けば後からリカバリーしやすい方の事故と言える。
基本的に序盤で起こる事故だが、システムによっては終盤で起こることもある。


  • 手札以外にあった方が都合のよいカードを引いてしまう
デッキから直接呼び出すなど、手札以外にあった方が都合のよいカードが来てしまうパターン。
遊戯王OCGでよくある現象であり、例えば《ブリリアント・フュージョン》で
デッキから素材として落とす予定だったモンスターを引いてしまうと、目論見が頓挫する上に、手札では役に立たないモンスターを抱える羽目になる。
特にデッキにないと出せないメタル化モンスターや/バスターが手札に来てしまうと悲惨である。

他にも《予想GUY》や《レスキューラビット》で出す予定だったバニラや、2枚目の《D-HERO ディアボリックガイ》を引いてしまうといった事例がある。
変わった所では、《RUM-七皇の剣》のようなドローフェイズで引かなければ発動できないカードが初手やドロー効果で手札に来てしまい腐ってしまう……なんて事も。


デュエル・マスターズだと、シールドゾーンに置かれてほしいS・トリガーを何枚も引いてしまうというパターンが往々にして発生する。
「デス・ゲート」や「アクア・サーファー」など、手札から使えないこともないカードならまだいいが、
「ザ・クロック」等最初からS・トリガーとして使うのが前提のようなカードが初手にダブると落胆が大きい。
特にトリガーだけを目当てで色の合わないカードをタッチで投入している場合、撃つ事もままならずマナ基盤にもならないと散々な事になる。

ヴァンガードではトリガーユニットがこれに該当するが、これらのユニットは手札に来たとしてもガードやブーストに使えるので上記に比べるとそこまで痛手ではない。
特にヒールトリガーはシールド値が高かったり特殊なGユニットのコストにも使える為、手札に来ても凹んではならない。


  • コンボパーツが中途半端に来る
コンボデッキでよく起こる事例。
それ単体ではあまり意味を成さないコンボのパーツが偏って来てしまい、腐ってしまうケース。
上記の事故と複合して起こることも。
よくエクゾディアを筆頭にコンボデッキはキーカードが初手に来た方がいい、なんて考えられがちだが、
実際は大抵の場合キーカードを揃えるためやコンボ起動ための下準備が必要なため、デッキを回転できないキーカードばかりが来るとほとんど動けない状態になってしまう事が大半。
序盤に来るべきはむしろキーカードを揃えて起動するためのドローやアド稼ぎカード等、コンボ補助カードである事がほとんど。
それでも最悪ドローやライブラリー操作があれば良いのだが、たまにそれらが無いor尽きてしまって完全に運頼みになることも。

残りのパーツをトップデッキから引くことで即座に逆転できることもあれば、結局引くことができずにそのまま敗北したりもするも。


  • 山札以外の領域に行ってしまう
ポケモンカードのサイドカードやデュエル・マスターズのシールド、Z/Xのリソースやライフなど、
ゲーム開始時にランダムでカードを伏せるTCGでは、手札や山札以外の場所にキーカードが行ってしまうという可能性がある。
これは俗に「落ちる」と呼ばれる(サイド落ち、シールド落ち等)。
特にポケモンカードの場合、対処手段がグラジオなどかなり限られている。

デッキに3、4枚入っているカードならすべて山札から無くなることはまずないが、1、2枚のカードならば十分にあり得る。
特に、制限カードとなってピン挿しを余儀なくされるとこのリスクが一気に増す。
このタイプの事故はサーチを試みる等しないと気づけないため、気がつけば既に取り返しがつかなくなっていたという事も多々ある。

かつてデュエマでは「エンペラー・キリコ」のデッキで防御兼シールドからの回収として「スローリー・チェーン」が採用されていたこともある。

遊戯王OCGではゲームシステム上起こらないが、強欲で貪欲な壷などのデッキを無造作に裏側で除外するカードを使用した際に起こり得る現象。
裏側除外されたカードは基本的にアドバンテージにならず、回収も困難。
全滅するとまずいカードをフル投入して全部裏側で除外される確率を下げる対策をしても、所詮確率は確率。
安定性を高めるために投入した強欲で貪欲な壷を初手で発動したら、フル投入されたキーカードが全部裏側除外に飲み込まれてしまい、事実上のゲームエンドを迎えてしまう事もある。


  • 試合終盤に軽いカードばかり引いてしまう
「トップ事故」とも呼ばれる。
試合終盤はコストの重いパワーカードで一気に戦局を変えたい局面であるが、
そんな時にデッキトップからコストの軽い(カードパワーの低い)カードしか引けずにジリ貧になるという事例。
また、軽いカードしか来ないということは、それだけ手札の枯渇も早まるということである。
デッキの重量化を恐れて軽いカードを入れすぎると今度はこれが起きやすくなる。
「重いカードしか来ない」が発生していると当然こちらの発生率も上がってくる。引いていた重いカードを序盤でコストの支払いに当てたり処理していると悲惨。

デュエマでは、マナブーストを行うコントロールデッキでよく見られ、
終盤に「フェアリー・ライフ」や「霞み妖精ジャスミン」ばかり引いてしまうというのはザラ。

速攻デッキでもこの状況が起こりやすいが、そもそもデッキコンセプトが「相手の場が整う前に畳み掛けて勝利する」である以上は短期決戦を見込んだデッキになる訳で、押し切れずに長期戦にもつれ込んだ時点でジリ貧になるのは自明の理。
速攻デッキを使うのであれば、そのことを念頭に置いたデッキ構築やプレイングをしよう。


  • 試合終盤にコストを払えないカードを引いてしまう
上記の逆バージョン。
マナコスト制がないコストを手札やライフで払うゲームで起こり得る事故。

遊戯王OCGなら終盤のリソースの削り合いで、ジリ貧になった展開で引いてしまう上級や特殊召喚コストを要求するカードや、
ライフコストを払えなくなりブラフや手札コストにしか使えなくなってしまった神の警告などが該当する。
特にお互いジリ貧になったトップ勝負の状態になった時に引いてしまうと、それで勝敗が決してしまう事がある。

基本的にコストを要求せず状況に左右されずにいつでも使えるカードを増やし、構築をフラットにすることで対策はできる。
しかし、ジリ貧になる前にケリをつける気で構築しているのであれば、この事故は許容するつもりで相手を畳み込んでしまう手もある。



事故を防ぐ

事故の原因とは結局は「運が悪かった」という一言に尽きる。
しかし、デッキ構築の段階で工夫を凝らせば、ある程度までは事故を減らすことが可能である。
「事故ばかり起こる」と感じる画面の前のあなた。自らの運の悪さを嘆く前にデッキを見直してみよう。

  • デッキ内のカードのバランスを見直す
魔法・罠とモンスター、土地とそれ以外のカードなど、デッキ内のカードのバランスを見直す事で「○○しか来ない」という事故は割と防ぐことができる。
ドローゴーなど特殊なデッキでなければ、この2つのバランスが良くなるように調整すれば事故は防げるかもしれない。
何のカードを主体とするデッキなのかをよく考え、採用バランスを決定しよう。

コストの概念があるゲームならば、「マナカーブ」という指針を参考にしたい。
軽いカードは多めに、重いカードは少なめにし、グラフにしたときにカーブを描くようにするのが目安である。
序盤から終盤までデッキの動きを想定し、その動きに必要なカードをうまく引けるようにカードの比率を調整しよう。

また、個性的なデッキを目指して様々な色・カテゴリ・テーマのカードが同じデッキに詰め込まれる場合があるが(所謂ハイブリッドデッキ)、
これは非常に高い構築力とプレイングスキルが要求される行為であり、事故のリスクも跳ね上がる。
あまりにも事故の頻度が高くなってしまう場合、コンセプトを見直してシンプルなデッキとして完成させた方が安定するということも多々ある。
そう、18枚の《山》だ。


  • 投入枚数を増やす
必ず引きたい(引かなければならない)キーカードは最大枚数投入することで引ける確率を上げることができる。
またサーチやドローカードも間接的にキーカードとして数えることができるので、投入限界枚数を越えて水増しすることにつながる。
ググってみれば何枚投入で何ターン目までに引ける確率等も出てくるため、参考にしよう。

特にランダムにカードが落ちるルールがあるカードゲームで、かつ代用が効かないコンボ用のカードの場合は、必ず落ちる確率を考慮に入れて枚数を決めるべし。

ただし、カード資産の少ないプレイヤーにとっては分かっていてもどうしようもなかったりする。
それが高レアカードや絶版カードであるなら尚更である。


  • 投入枚数を減らす
デッキにあった方が都合のよいカードや初手に引きたくないコンボパーツは投入枚数を押さえるのも有効。
試合終盤に使うことを前提とした重いカードを採用する場合も投入枚数を減らすことがある。
こちらも確率計算を参考にしながら考えていくべし。
遊戯王のEXデッキやデュエル・マスターズの超次元ゾーン等メインデッキとは他にモンスター(キャラ)を用意できるゾーンが存在するTCGの場合、フィニッシャーをそちらに用意し、メインデッキから抜く事で事故率を大幅に軽減する事ができるのでそれらを試すのも一興。
特に遊戯王の場合フィニッシャーをEXデッキに用意しメインデッキはそれらの高速召喚とサポートに特化させる、といった構築は現実やアニメでも良く行われておりガチ、ファン問わず割りと一般的。

ただし、深い意味もなくキーカードを減らす行為はオススメできない。

また、幅広い対応が出来るように投入枚数を抑えたり、同名カードメタの対策として同型再販や相互互換を入れたりするケースもある。
こうした考えの究極型と言うべきなのがハイランダーである。

増やすにしても減らすにしてもドローソースやサーチカードを投入するのも重要。
これだけで事故を大幅に軽減できる。


汎用性の高いドローソースやサーチカードを入れることで、事故率を軽減できる。
使用するカテゴリ内に専用のサーチカードがある場合、デメリットがキツくない限り大抵はフル投入が基本となる。

また、低コストのドローカードは土地ルールによる事故を抑えることにもつながる。ドローカードを撃つタイミングを調整することで土地カードを引くタイミングをある程度選べるのは強み。

ただ、遊戯王OCGにおける《強欲で謙虚な壺》や《強欲で貪欲な壺》など発動条件のあるカードは逆に事故の原因になることもあるので投入枚数はよく考えたい。
特に《強欲で貪欲な壷》は前述した通り、無計画に入れると自らデッキ事故を引き起こす原因にも成り得る。


  • 複数の効果を持つカードを投入する
1つのタイプのみを破壊するカードの場合、相手がそのタイプのカードを使用していないと死に札となる。が、複数のタイプを対象にできるなら事故率は必然的に減る。
まったく別な複数の効果から1つ、ものによっては追加コストで複数を選べる*3カードなら、さらに柔軟性を増すことができる。
起動型能力があるタイプのTCGだと本体コストは軽くて能力コストは重いが強力…といったカードもトップ事故対策に有効。

一方で個々の能力に特化したカードと比べて、こういったカードの単体性能は落ちる。
メインデッキを特化させて対策カードはサイドボードに任せるか、メインデッキの時点で対応力を上げてサイドボードは別の用途に使うか、といった構築の優先順位も重要なポイント。

  • コンボ要素を減らす
複雑なコンボは決まった時の爆発力や爽快感は凄まじいが、逆に言えばそれだけ多数のカードやターン数を必要とするということである。
コンボを簡略化する、コンボの種類を減らす、単体でも機能するようなカードをコンボに組み込むなどで、コンボパーツ由来の事故は減らせるかもしれない。

この究極系が「グッドスタッフ」。一枚一枚が単体で一枚分以上の働きをするので理論上は相手と渡り合い、最終的にアド差を作れる理論の構築でできている。

ただし、それによって爆発力が減りデッキを回す楽しさが薄れてしまうこともないわけではない。(もちろんコンボに頼らない故の戦略による別ベクトルの楽しさはあるが)
趣味デッキと割り切って、事故覚悟で使うならそれもまた一興。ロマンデッキであれば事故覚悟で積極的に狙っていきたい。


  • よくシャッフルする
デッキのバランスを整えてもデッキ内のカードが偏った混ざり方をしていては意味がない。
並べた土地などを他の種類のカードとよく混ぜないままに次のゲームを始めれば土地事故を引き起こしやすくなってしまう。

対戦が終わった後は念入りにシャッフルしよう。一般的に行われるヒンズーシャッフルだけでなく、
ディールシャッフル(カードをいくつかのまとまりに並べていく方法)なども併せて行うと確実にデッキのカードが混ざる。
ただしMtGではディールシャッフルはシャッフル手段として認められていないので注意。じつはこれ、時間がかかる上にイカサマの温床になりやすいのだ。
また2種類以上のシャッフルを組み合わせて無作為化をしなければならない。一般的にはヒンズーシャッフルとファローシャッフル(いわゆる横入れシャッフル)を組み合わせる。

ただしシャッフル後のデッキは無作為化されてなければならない。偏っているのか散らばっているのかが推測できる状況というのはシャッフル不十分である
シャッフルが不十分だと、ジャッジから注意を受けることもあり得るので気をつけよう。

また事故らなくなるシャッフルというのはイカサマなので要注意
要は積み込みの一種であり、バレた場合は即座に失格、場合によっては資格停止レベルの処分を食らうことがあるので絶対にやらないようにしよう。


  • ゲーム開始前のマリガン(引き直し)を利用する
デメリットがあるカードゲームも多いが、回る見込みの少ない手札で戦うよりマリガンしてしまうのも有効。
ただし、遊戯王OCGやデュエル・マスターズなど、マリガンできないTCGも少なくないので注意。


  • デッキの内容を均質化する
ある意味究極的なデッキ事故の回避手段。
同じカード、または同じ性質のカードだけでデッキを構築することでどこを引いても同じ動きができるようにする、というもの。
「60枚中8枚、ないし12枚同じ動きをするカードがあればデッキが作れる」とはMTGにおける言い回しで、強い動きのパターンが高確率で出来るようになれば、それだけ安定して勝てるデッキが作れるのだ。

ただし、事故は起きにくくなるとはいえ、カードを妥協してしまえばデッキ自体は弱くなってしまう場合も見られる。
対人戦において事故を恐れるあまりデッキパワーを削いでしまっては本末転倒である。
とはいえコンボデッキでもない限り勝ち筋を一つだけしか用意しないのはそれはそれで問題なので、サブフィニッシャーを用意する等して戦術を増やすのも有効。


  • 割り切る
ここまで様々な対策を述べてきたが、TCGというゲームの性質上、
どんなに調整しようがプレイングに気を配ろうが事故る時は事故る
そんな時は「こんな日もあるさ」とある程度割り切ることも必要。
勝負事は冷静さを失った方から負けるのだ。

特に環境上位デッキに対して下位デッキで挑む場合は安定性を捨てて戦闘力を上げる必要も多く、同時に事故の可能性もつきまとう。

また、重いカードを多用するものや、派手なコンボを狙うためにコンボパーツが多いといったタイプのデッキは元から事故の要因を多分に含んでいるので、
宿命として受け入れざるを得ないだろう。
ただし、最初から事故を割り切ってしまうのは得策では無いので、まずは上記にあるような改善策を試したい。

大型大会で予選を通過するだけなら、要は予選を通過できる成績を残せばよいので、極端な事故は割り切って勝率を高められるような構築を優先することが重要。

  • イカサマ
バレなきゃあイカサマじゃあねえんだぜ…
バレなくてもアウトである。あなたがカードアニメの悪役でない限り、絶対にやめておこう。
引いたカードの枚数をごまかす、リストバンドに仕込むなど様々な手段がある。
周囲に観客がいようと、高い技術で行えば心を読まれたりしない限り周囲に発覚することがない。最早カードマジックの領域である。
賞金や高額な賞品がかかっている大会ではこういったフェアプレー精神に反する行為を厭わない者もおり、実際にデッキに1枚しか投入できないカードを毎回初手で持ってくるなど不自然な手段で世界大会を制した者もいる。
勿論バレた場合は例えフリーでも人間関係の悪化に繋がるし、公式イベントの場合公認大会出場禁止、公式大会参加資格剥奪等重いペナルティが課せられるのは言うまでもない。
悪い意味で名前が売れてしまい、大炎上に繋がるケースもあり得る。


  • 賄賂で勝敗をひっくり返す
だからやめろっつってんだろ!
対戦相手やショップと癒着して、勝敗を操作が行われているのではないかという都市伝説がある。
勿論、大多数のプレイヤーはそんな事をしないし、バレたら失格、どころか最も厳しいペナルティが定められているTCGも多い。そうでなくても大炎上は間違いない。
倫理や道徳も守って楽しく対戦しましょう。


事故らされる

上記の「運が悪かった」と反する様に見えるが、カードゲームの本質は対人ゲーム。
相手のデッキとの相性や相手からの干渉によって、結果的に手札を「事故らされる」事もあり得る。というかカードゲームによってはそれが前提で環境が回っていることもある。
下記は事故を引き起こされる行動の例。

……等

せっかく勝利目前まで来たのに相手の干渉によってグランエル引かされたりする例は現実でもわりと少なくないのである。
初手強迫……思考囲い……コジレックの審問……うっ、頭が

つまり事故を防ぐには、
  • 相手の動きを予想する
ことも肝要である。
その動きが通せたら強いよね、でも大半の相手には普通決まらないなあ。ではお話にならない。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ともいう。相手が何をしてきたら事故って、どういうカードを入れておけばそれを対策できるのかも考えておくといいだろう。

極端な例として、遊戯王OCGの【イグナイト先攻1キル】というデッキでは、デッキ内のあらゆるカードがどのような順番で積まれていようと、つまりどのような手札5枚からでも先攻での1ターンキル率が100%であるデッキが構築可能な時期が存在した。
しかしこのデッキは1キルに特化しすぎていて相手の妨害札に弱く*4、また妨害された時のフォローも難しいため成功率の低いロマン寄りのデッキ、先攻ワンキルを狙わずに安定性を高めたほうが強い。と評されていた。



アニメや漫画において

TCGを題材にした作品では、基本的に登場人物にドロー補正がかかってるため基本的には起きない。
事故勝ちや事故負けを見せられても地味過ぎる上に、カタルシスを得られにくいのが理由と思われる。

ただし、演出の都合などで手札事故のシーンを導入することもある。
例えば遊戯王なら普段絶対事故らないようなドロー運の持ち主が、タッグデュエルになったとたんに手札事故に陥る場合もある。
これはタッグパートナーとの連携を魅せるために演出として事故らされるのである。
もっとも、パートナーと協力できるので総合的に見れば事故ってないともいえるのだが。

また「カードとの絆が切れた、デッキを信頼しきれていないために必要なカードが引けない」などということを表す手段として事故が起きることもある。
例として「デュエルシミュレーターで現実と同じデッキを使った際かなり事故った」というエピソードもある。

数少ないシングルデュエルにおける初手の事故といえば、遊戯王DMで城之内がジーク戦で起こした事故が有名。
これも周りがチートレベルの引きの良さの持ち主ばかりの中で、「城之内克也という決闘者は一般人である」ことを証明するような演出だとも言える。
と同時にこのような状況から章のラスボスを本気にさせた上、ぎりぎりのところまで追い詰めたという「一般人だが実力者」である事も証明している。

また明らかに手札事故だが、コンボ等で魅せて初見では事故のように見せない演出がなされる場合もある。
《カゲトカゲ》を場に出すためだけに5枚のカードと召喚権を犠牲にした遊戯王ZEXALのアストラルの例がわかりやすいか*5
まあこれは「このターン中に《No.39 希望皇ホープ》を出さないといけないのに、手段がそれしか無い」から起こったことではあるが、事故であるのは間違いない。


他にも遊戯王ARC-Vでは榊遊矢が「初手及びドローカードが全てペンデュラム召喚の条件を満たしていないモンスターのみという事故」を起こしたことがある。
ペンデュラム召喚を使うほか、アクションカードを取る戦術のため遊矢のデッキのモンスターの比率が多いというのが大きいだろうが、
同時にこれもペンデュラム召喚のルールを伝える演出的な都合だろう。


さらに遊戯王VRAINSでは脇役同士*6のデュエルで両プレイヤーが共に初手で事故を起こすというアニメでは極めて稀な状況が発生した。
だが、相手に悟られない様にするためにか、項目冒頭の通りお互い同時にハッタリをかまして誤魔化している。*7

最終的に片方は手札交換でなんとか場を立て直したが、もう片方のディスティニードローで引いたたった1枚のカードに一発逆転されてしまった。
事故の怖さとそこからの立て直し、それが出来なくても最後のカードを見るまで結果はわからないという、
事故を語る上ではわかりやすい事例だったと言えるかもしれない。

そして遊戯王SEVENSでは主人公の遊我2回も手札事故を起こしている。(しかも同じ相手に)
一応召喚できるモンスターはいた為即殺は逃れたものの、これも「遊我はアイデア力は豊富だが、デュエリストとしてはあくまで強いだけの一般人」という表現の為だろう*8
余談だが一年目OP「ナナナナナナナ」では歌い出しが「いくぞボクのターン! からのキミのターン!」と即ターンエンドしている事から稀にドローゴーの手札事故と言われている。
実際は目まぐるしくターンが経過するスピード性を歌詞に表したのだと思われるが…。

アニメデュエル・マスターズ ビクトリーでは主人公の勝太が初めて改造したデッキでデュエマに挑むが、パワーカードだが手札がコストの高いカードばかりでほぼマナチャージしかできないという初心者のデッキ構築にありがちな失敗が描かれている。


バトルスピリッツ 少年激覇ダンでは主人公ダンが手札がマジックだらけでスピリットを出せないという手札事故の挙句、
本来エースであるはずの雷皇龍ジークヴルムを壁として出さざるを得ず破壊されてしまうという状況に陥ったことがある。


ヴァンガードでは初手で一度だけマリガン(引き直し)が許されているが、
アニメで先導アイチが事故を起こしていた際にそのルールが説明された。
他方マケミさんはデッキ構築が余りにも酷すぎて常に事故を起こしている。しかもマリガンルールでライド出来る低グレードを戻して更に事故に近づける
たま~~~に上手く回る物のガード、ブースト、インターセプト等に使えるカードがない為結局押し切られる。
その為各種ゲームでは最初の相手として倒されることが多い。




対義語

逆に「デッキが完全に意図した通り(若しくはそれ以上)の理想的な回り方をする」といった事例も起こりうる。
こちらは「鬼回り」や「ぶん回り」という言葉が用いられることが多い。

プレイング以上に、カードパワーそのものがあまりに強すぎるとバランスブレイカー扱いになることも。


ゲームシステム側での対処

デッキ構築とドロー運もTCGの楽しみではあるが、事故が起きるとまともな勝負にならない為、ゲームシステムの時点である程度は事故を避ける工夫がなされている場合も多い。

  • マリガン
初期手札を引き直すシステム。
制限がないと理想の手札になるまで何回でもやり直し続けられるため、「引ける枚数は共通だがマリガン回数自体に制限がある」「マリガンする毎に引ける枚数が減る」等の形で回数に制限が入っていたり、マリガンする度に相手にメリットが生じるルールになっているのが基本。

  • 土地カード自体が存在しない
MTGのマナに相当するカード使用の共通コストが無いゲーム(遊戯王など)、コスト要素がカードと独立しているゲーム(バトスピなど)、全てのカードがコスト支払いにも使用できて土地と兼用のゲーム(デュエマなど)が該当。
ただし最後の場合、カード効果は強いがその分土地としての効果は弱い等の形でバランスが取られる事も多く、こういったTCGでもコストが重く土地効果が弱いカードばかり引く事故はある。

  • ターンごとのドローを増やす
ターン開始時のドロー枚数はゲームによって様々だが、その枚数を増やす事で事故を減らす形。
代わりにその分、基本的な支払いが多めになっている事も多い。

  • 一部の種別はデッキ外で扱う
魔法・罠(サポート)カード等はデッキとは別の場所に配置し、デッキはキャラや土地のみで構築する形。

  • 事故防止専用のルールを導入する
ヴァンガードで見られた事例。ヴァンガードは前述のように「ライド事故」というゲームシステム特有の事故が存在している。
ライド事故が起きるとゲームにならないことも多かったためか、ライド事故時に「手札公開+サブデッキのカード一部除外」でライド事故を回避できるかもしれないルールが作られた。
これによりある程度ライド事故は緩和されたがそれでも事故る時は事故り、「コンボパーツなどで手札に維持しておきたいがライドに使わざるを得ない」等の事故も残っていた。
Dシリーズに入ってからはゲームの軸ともいえるこのライドシステムに抜本的な見直しが入り、「ライドに使うカードは別の領域(ライドデッキ)に予め用意する」ルール*9に変更された。
これによりDシリーズにおいてはライド事故は完全に消滅することとなった。これは上述の「一部の種別はデッキ外で扱う」例になったと言えるか。
ただ、過去カードの使えるレギュレーションはライドデッキを使用できないので、それらのレギュではライド事故は残っている。

  • 山札自体を無くす
金色のガッシュベル!! ザ・カードバトルが該当。
「魔本」と呼ばれるカードバインダーにカードをセットし、ゲーム進行やダメージによってページを捲りコストを貯め、ページが尽きた方が負け、
つまりデッキがそのまま手札と土地と残りライフを兼ねるという珍しいシステムを採用している。
ターン開始時に何ページ進めるor戻すかはプレイヤーが任意に決める事ができ、また相手の攻撃で何枚捲らされるかもある程度予想可能、
そしてカードバインダーにセットされたカードを順番に使用するというシステム上本作にはシャッフルという行為が無い
デッキ内のカードがどの順番でいつ頃来るかある程度想定できる……というか能動的には想定した動きしかできないため事故が発生し得ない

魔本を使用しないルールも存在するが、そちらは一般的な山札からランダムにカードを引くルールであるため事故が起こり得る。




アニヲタ(……げっ!事故ってやがる……。
「wiki篭り」のカードはあるけど、「アニヲタの集い」がなけりゃどうしようもないじゃないか……。
次のターンに賭けるしかない。
まぁ、1ターンぐらい生き残れるだろ)


相手(なんだこの手札は?
「wiki籠もり」
「アニヲタの集い」
「追記」「修正」
そして「冥殿」!!オイオイこれじゃ…Meの勝ちじゃないか!)

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最終更新:2023年07月09日 18:50

*1 大抵のカードゲームでは大会だと三本勝負のマッチ戦で行われるので、一本落としても残り二本連取すれば勝利なため。早期にサレンダーする事で、情報を持たない相手の行動を制限しやすくするのである。

*2 初期手札を増やすかは任意のため。流石に途中で相手が気付くだろうし、必ず1枚はたねポケモンを入れなければならないため、確率的にはデッキ枚数が著しく削れることはない。

*3 こういった効果選択はMTGやWIXOSSで「モード」と呼ばれている。

*4 特にサイドデッキから妨害札を増やせるマッチ戦が主流のトーナメントシーンでは絶望的

*5 《ズババナイト》を通常召喚、手札を1枚(魔法カード《減量》)捨てて《コロボックリ》を特殊召喚、魔法カード《等価交換》で《ズババナイト》と《コロボックリ》を墓地に送り両者のレベルの合計4と同じレベルの《カゲトカゲ》を特殊召喚。という流れ。

*6 正確に言うと仲間の脇役と敵モブ。

*7 第二話で速攻でクラッキング・ドラゴンをアドバンス召喚できる手札だった際に「完璧な手札」と言ったハノイの騎士がいることを考えるとよりネタ度がアップする仕様。

*8 彼自身の使用デッキが様々な種族・属性の最上級モンスターを中心としているため事故りやすいというものある

*9 WIXOSSのシステムに近い