Vol.シリーズ(遊戯王OCG)

登録日:2011/03/03 (木) 23:30:02
更新日:2023/12/16 Sat 17:13:03
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Vol.シリーズとは、遊戯王の最初期のパック群の事である。
次期:第2期

収録カードは遊戯王のゲームボーイソフトに登場するカードと、原作に登場するカードが多い。
内訳は殆どがモンスターカードであり、しかも通常モンスターが大多数を占める。

現環境に於いて第一線で活躍出来るカードは少ないがそれなりにある。
収録カード内には禁止カード、制限カードも多数存在する。

初期は装備カードで攻撃力を上げて戦うのが戦術の要であり、場合によってはあの《青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)》も殴り倒せた。結構難しいが。

中期からはエキスパートルールが登場。
所謂、「19・18ライン」のモンスターがメインとなり制限カードも制定される。

後期はゲーム出身のカードに効果付きの者が登場し、OCGオリジナルカードも多数登場して来期への期待が高まった。

エキスパートルール導入前はパワーカードの応酬が目立ち、当時はカードゲーム自体があまりメジャーでなかった事もあってあまり話題にならなかったが、エキスパートルール導入後はルールやカードが整備されていき、漫画の人気も手伝って遊戯王OCGはやがてブームとなっていく。

この期最大の特徴がそのテキスト仕様で解説テキスト欄よりも攻撃力・守備力の表記の方が大きいこと。
これは下記の物や同時期発売・配布されたものにしか見られないため、同時に稀少カードを見分けるポイントでもある。

以下、その始まりの7パックと「カードダス」で展開されたBOOSTERシリーズを紹介する。
この時期の構築済みデッキであるSTARTER BOXとEXについてはスターターデッキを参照。

○Vol.1

記念すべき最初のパック。
遊戯王OCGの始まりであり起源。
表紙は青眼の白龍が写っているが、このパックには入っていない。所謂パケ写詐欺である*1
内容は正直言って使い物にならない雑魚カードばかりである。

一応、遊戯の切り札《ブラック・マジシャン》や《暗黒騎士ガイア》が入っている。ウルトラレアだが。
ちなみに当時のウルトラレアの封入率は箱1と非常に低くその価値は現在の比ではなかった。

サンダー・ボルト》を手に入れられない子供達の味方、《ブラック・ホール》は何故か入手しやすい(というより、全体的にスーパーレアは入手しやすかった。そして表面が剥がれやすかった)。
このパック唯一の罠カード《落とし穴》は当時は非常に便利で強力なカードであった。一方《地割れ》は解釈を間違えた子供達に雑魚カード呼ばわりされた。

2018年8月に発売された20th ANNIVERSARY SETではこの復刻版パックが3パック封入され、必ずウルトラ・スーパーレアは1枚封入された。*2
コピーガードやスタジオダイス表記追加により初期版との差別化がされているが、その懐かしさから予約完売・当日販売がない店も多かった。

○Vol.2

比較的攻撃力の高いモンスターが増えた。
装備カードも増え、単純な攻撃力だけでカードを選べなくなる。
もっとも、《青眼の白龍》はまだまだ最強の座に君臨していたが。
原作出身の強力な魔法カード《光の護封剣》と《死者蘇生》が登場。
が、当時はどのモンスターも似たりよったりなので(一部除く)、蘇生カードはあまり注目されなかった。
ちなみにこのパックには罠カードが収録されていない。

○Vol.3

城乃内の相棒《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》が登場。
現在は禁止カードの《強欲な壺》もこのパックに収録されている。
効果モンスターの登場もここからであり、驚異の効果を備えた《人喰い虫》は最強のカードと崇められた。
《ハネハネ》も同時に登場しているが当時はまだエキスパートルールが導入されていなかったので事実上モンスターの数を減らせないバウンス効果は評価が非常に低かった。
このパックも罠カード無し。
シークレットレアとノーマルレアも登場。
最初のシークレットレアは《竜騎士ガイア》、ノーマルレアは《カードを狩る死神》。

○Vol.4

比較的高いステータスのカードが登場。
エキスパートルール導入前最後のパックで一気に登場し、一気に消えた(使用者的な意味で)カードが多い。
みんな大好き《モリンフェン》とか《死の沈黙の天使ドマ》とか。
あの生け贄一体で最高ステータスの《デーモンの召喚》はこのパック初出。
特定の種族を一掃する魔法カードが登場。
もっとも《サンダー・ボルト》と《ブラック・ホール》が現役だったので見向きもされなかった。
聖なる魔術師(セイント・マジシャン)》と《闇の仮面》も登場したが、市販で手には入る罠カードが《落とし穴》しかない環境だった為、《闇の仮面》は冷遇されていた。
シークレットレアは《ハーピィ・レディ三姉妹》。
もっとも、ウルトラレアに《万華鏡・華麗なる分身》が収録されているので、シークレットもくそも無いのだが。

○Vol.5

エキスパートルール導入後初のパック。
リフレクション効果を持つ上級モンスター三魔神が登場。
凶悪カード《心変わり》も収録されている。
またパラレルレア仕様が追加されウルトラレアには全てパラレルレア仕様が存在する。
シークレット枠(この弾のみシークレットレア仕様が存在せず、ウルトラレアで収録されている)ではあの《青眼の白龍》を超える攻撃力をもつ《ブラックデーモンズドラゴン》が収録された*3

○Vol.6

《黒き森のウィッチ》と《クリッター》が初収録。
生け贄一体で主力になるカードが増えたほか、《キャノン・ソルジャー》もなかなか注目された。
また、カウンター罠が登場。
後にアニメで印象的な活躍をする《シャドウ・グール》の初出もこのパック。
そして《融合》がイラスト違いで初めて再録され、多くのプレイヤーはここでようやく融合召喚を行えるようになった。*4
前弾ではシークレットレア仕様がなかったためか《千年竜(サウザンド・ドラゴン)》と《グレートモス》の2枚になっている。
ノーマルレアは《ベビードラゴン》

○Vol.7

バンデットキースの使用したカードが多数収録された。
中でも《TM-1ランチャースパイダー》はノーマルカードとして収録。「星7つのモンスターカードはレアになる」と思っていただろう初期からのプレイヤーを驚かせた。入手の容易さから使っていたプレイヤーもいるのではないだろうか。
必須クラスの強さを持つ強力な罠カード《聖なるバリア-ミラーフォース》は、それとは逆になんとシークレットレアとして登場し、シングル価格を高騰させた。
キースの切り札《リボルバー・ドラゴン》は、当時の最上級モンスターの平均ラインに加え、強力な除去効果も備えたパワーカードだった。
また初のデメリットアタッカーである《ダーク・エルフ》も登場。

○BOOSTER1

バンダイのカードダスで展開されたコナミのカード、という説明するのも面倒くさいし、これ以前のバンダイ版とも混同しそうなBOOSTERシリーズの始まり。
内容はレアとノーマルだけで、ノーマルは星3の好守ともに1000以下のモンスターかVol.1に収録された魔法カードの下位互換、レアもVol.1に収録された装備カード、と当時としても寂しいラインナップ。
なお以降のBOOSTERシリーズでもレアはVol.シリーズの再録となることが多い。

○BOOSTER2

Vol.3とほぼ同時期(厳密にはこっちの方が数日早い)に展開されたせいか、レアカードはVol.3のモンスターと重複。
しかし特筆すべきは属性を指定した装備魔法や、今でもデメリット無しで打てる最大火力のバーンカード《昼夜の大火事》が収録された事だろうか。
とはいえ今となっては上昇率が微々たるものである装備魔法はもとより、後者もどうせ使うなら使い勝手の上回る《御隠居の猛毒薬》の方が……

○BOOSTER3

BOOSTERシリーズの中では唯一Vol.シリーズからの再録が無い。
登場から禁止カード指定まで歴代最長記録を誇る《血の代償》や幅広いメタやデメリットモンスターのお供につかえる《あまのじゃくの呪い》などが登場。
自己強化する効果を持つカードやステータスを倍・半分にする効果を持つカードが登場したのもここから。
とはいえ《レオ・ウィザード》のように当時の環境でも使いどころに困るカードがちらほら存在するのもまた事実である……
他にも遊戯王最初期のカードでありながらそのイラストで人気のある《ドリアード》や、
公式が個人実況のネタを取り込んだことで話題になった《シーホース》などもこの弾で登場している。

○BOOSTER4

《ヂェミナイ・エルフ》を筆頭に《メカ・ハンター》《ランプの魔精・ラ・ジーン》《シーザリオン》と高い攻撃力の下級モンスターに、《強欲な壺》に並ぶドローソース《天使の施し》が一気に登場。
ピンポイント過ぎて使いどころに困るメタもついでに登場。
また素材を三枚指定した融合召喚モンスターの《黒き人食い鮫》と《アクア・ドラゴン》が登場したのもこのパック。
「攻撃力2000越えの融合召喚モンスター」という強みは一期のうちに陳腐化してしまうが、《黒き人食い鮫》は《簡易融合(インスタントフュージョン)》や禁止カード化前の《突然変異(メタモルフォーゼ)》と相性が良いので見かけた人もいるだろう。


○BOOSTER5

「王宮」シリーズ始まりで有用な罠カード対策の《王宮のお触れ》、デッキ破壊戦術で有用な《ニードル・ワーム》に壺型効果モンスターの先駆け《メタモルポット》が登場。
《謎の傀儡師》は《血の代償》のデメリットを打ち消せるので禁止化以前はよく併用された。

○BOOSTER6

1ターンキルで猛威を振るった《デビル・フランケン》を筆頭に複数の融合素材代用モンスター、サーチカードの《融合賢者》や墓地から《融合》を回収する《モンスター・アイ》と融合用のサポートカードが多数登場。
《ペンギン・ソルジャー》や《ドッペルゲンガー》などはお世話になった古参デュエリストもいるのではないだろうか。
OCGよりむしろ初期のゲームで活躍した《砂の魔女》も登場した。

○BOOSTER7

BOOSTERシリーズの最後で第1期フォーマットの最後でもある。
最強クラスの魔法・罠除去である《大嵐》が登場。
《地雷グモ》《マーダーサーカス》《ドリーム・ピエロ》《悪魔の調理師(デビル・コック)》あたりは今でも見かけるだろうか。
またEXから《デビル・ドラゴン》《ガーゴイル・パワード》が再録されている。


○余談

収録されてるのは通常モンスターばかりで絶版が多い、有用カードも軒並み再録されているものばかりなのであまり見向きもされていなかった。
が、発売から約20年経った現在ではこのシリーズのみの独自仕様と良好な状態で残るものの少なさからコレクターからの需要が増しており、状態良好なこのシリーズの真紅眼の黒竜などは万超えも珍しくない。
特にその古さと現存数の少なさから店によってはビニール未開封箱の買取が安い物でも50,000円、Vol.1に至っては100,000円以上で買い取るなどすさまじいことになっている。




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最終更新:2023年12月16日 17:13

*1 まぁ初めてM&Wが行われた原作単行本の表紙を流用したからなのだが。

*2 ただし中にはウルトラレアが2枚封入されているものもあった

*3 ただ、上記の竜騎士ガイアにも言える事だが融合素材は2体とも非常に当てにくいウルトラレア、融合もSTARTERBOXにしか収録されていない……と色んな意味で召喚するためのハードルが高かった。一応、デビル・フランケンを用いて出す事は可能だったのでヴァリアブルブック2のサンプルレシピでも採用されている。

*4 実は長い遊戯王の歴史全体で見ても一般パックかつ通常枠でカードが再録されるというのは非常に珍しい。以降のシリーズで一般パックでカードが再録される事はあるもののそれらは全てシークレット等の特別枠での収録となっており、黎明期ならではの仕様と言えるだろう。