WILL ザ・デストラップⅡ

登録日:2019/07/22 Mon 09:53:10
更新日:2022/06/15 Wed 21:43:19
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「WILL ザ・デストラップⅡ」とは、1985年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたPC向け(PC-8801・PC-9801・FM-7・X1)のテキスト入力式アドベンチャーゲームである。

ストーリー

-物語は、いつも一通の指令書から始まる-

フロリダ州、マイアミ……。静かな波の音に身をまかせ、ベンソンは、続けざまの任務に疲れた体をいやしていた。よく冷えたワイン、かたわらには優しく微笑む恋人・ジャスミン……しかし、穏やかに流れる時間を楽しむには、あまりにも短か過ぎるひとときであった……。

折りしもワシントンの大統領専用回線に事件の幕開けとなるメッセージが割り込んでいた。“たった今、私ハワードは、もっとも愚劣かつ下等な生命体である人類を地球上から抹殺すると決意した。もはや、人類の存在理由のかけらすらも見い出すことはできない。娘の死を君たち自身の死をもって償いたまえ。が、君たちにもきっと言い分はあろう、一人の人間をここへよこすのだ。最後のチャンスをあげよう。”

NASAからの報告によると、この狂気のメッセージは、南太平洋に浮かぶ孤島・トリニア島から発信されたもので、しかも島の地下深くには、全人類抹殺に余りある核兵器の存在の可能性が認められた。

そして、ベンソンのもとに一通の指令書が届いた。

(ゲームの説明書より引用)

特徴

ビジュアル

本作を起動すると、横たわる女の子が瞬きをするアニメーションとともにタイトル画面が表示される。執筆している2019年現在こそアドベンチャーゲームにアニメーションが使われるのは当たり前だが、当時はまだ「線画が表示される」→「線画の中で色が塗られる」という静止画での描画が多く、ドット絵のアニメーションというのは希有な存在であった。*1

また、前作の「ザ・デストラップ」同様にテキスト領域を下部1/3程度にとどめ、本作では上部の左側にマップを、右側にビジュアルを配置することで視覚的にわかりやすい作りとなっている。ビジュアル面でも一部がアニメーションしたり、点滅したりという描写がなされているが、タイトル画面に比べて使用頻度が抑えられている。

テキスト入力

当時はまだ英語で「動詞+名詞」を入力して行動するタイプのテキスト入力式アドベンチャーゲームが多かったが、本作では「ザ・デストラップ」に引き続き日本語(カタカナ)での「動詞+名詞」入力が採用されわかりやすくなっている。こうなると場所移動に「ヒガシ」「ニシ」「ミナミ」「キタ」といった入力が必要になるのでは思われるが、そこは矢印キーで移動ができるなど簡略化が図られている。

難易度

当時のアドベンチャーゲームの中でも難易度が高めで、一歩間違えれば行き詰まって最初からやり直すことになる「ハマり」がいくつかの場面で用意されていたり、上記のテキスト入力においても得たアイテムから自分で考え入力しなければいけなかったりと、一筋縄では行かないつくりとなっている。

前者の「ハマり」は、その後も自由に行動出来るパターンもあってプレイヤーがそうと気付くことができないのでタチが悪い。さらに、ヒントかと思われたアイテムこそがその「ハマり」への呼び水だったりするなど、情報の取捨選択も必要。「おっ、これヒントか! よし、これを入力すればいいんだな!」とそのまま脊髄反射してしまえば、そこで即クリアフラグが折られる。

初回プレイ、かつノーヒントでノーミスクリアは至難の業だが、いっぺん解法を覚えてしまえばブラインドタッチで10分もかからずクリアできてしまう。使用されたメディアが2D(320キロバイト)のフロッピーディスクであったため、少ない容量を考えるとそれだけ凝ったつくりにしたものと考えられる。

登場人物

リチャード・ベンソン

A国の凄腕諜報員。前作「デス・トラップ」では敵国から科学者を救出するなど活躍し、今回は人類代表として南太平洋の孤島に潜伏することとなる。

アイシャ

謎の少女。彼女との出会いが人類を救う鍵となる。

Dr.ハワード

「娘が死んだ! 人類全員で償え!」(要約)というネジが吹っ飛んだ思考で世界中をパニックに陥れた科学者。全ての黒幕ではあるのだが、上陸して早々変わり果てた姿で見つかり……

余談

  • 前作「ザ・デストラップ」がハードボイルドなストーリーだったのに対して、こちらは若干近未来寄りになっている。続編ではあるものの、主人公がベンソンであること以外は全く繋がりがないので、それぞれ単体で遊んでも問題はない。やはり丁寧にハマリが仕込まれているのが問題といえば問題だが。
  • ゲームの進行に関係はないが、様々な場面で隠しキャラが潜んでいる。毛が三本生えたオバケとか。
  • 1985年に発売されてから長らく沈黙し、2000年代に入ってからのリバイバルブームにおいても全く音沙汰が無かったのだが、2013年に突然「ザ・デストラップ」「α」「ブラスティー」「ジェネシス」という同じくスクウェアから発売されたセットがプロジェクトEGGから「CLASSIC PC-GAME COLLECTION」として復刻。その後、2014年7月から同じくプロジェクトEGGにおいてPC-8801版とPC-9801版のダウンロード販売が開始された。
  • かつてのパソコン通信ではアンドロイド萌えの始祖のひとつと言われていた。



ツイキ シュウセイガ ココロ ニ シミル・・・。

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最終更新:2022年06月15日 21:43

*1 本作の後、同じ年にエニックスから発売された「セイバー」というゲームでは安楽椅子に揺られる老婆や振り向く少女といったアニメーションや、立ち絵+背景の多重スライド処理といった、当時としては画期的なグラフィック処理が行われ、さらに翌年にはスクウェアがさらにアニメーション表現を強化した「α」を開発した。まさかこの遥か後、両社が合併することになるとは夢にも思われていなかった時代の話である。