JOKER(山根和俊)

登録日:2019/05/22 Wed 01:16:32
更新日:2019/06/11 Tue 11:01:36
所要時間:約 12 分で読めます





21世紀初頭…天文学史上最大の事件に人類は震撼した

それが「月」…

「月の異常接近」である



目次




【概要】

『JOKER』とは、山根和俊による漫画作品である。

週刊少年ジャンプの1997年32号から1997年47号まで連載された。
「プロレス」+「バトル」+「怪物化」という勧善懲悪モノであり、タイトル通り「ジョーカー=道化師」をモチーフとしたヒーローが主人公である。
また、若干お色気シーンやバイオレンスな残酷描写が描かれている。

単行本は全2巻で読み切り版も収録されている。



【あらすじ】

が異常接近している街ルナシティーには、月による影響で人体変異を起こして変身するルナティック=フェノメノン(月性変異)が存在している。
月の接近以来、ルナシティーは満月の夜のみルナティック=フェノメノンで変身した化け物達による猟奇殺人が多発するようになった。
ルナティック=フェノメノンに侵されているプロレスラーのキッドは子供達に興奮と正義感を与えるため、ジョーカーという名の悪役(ヒール)を演じている。
だが、彼の本当の姿は、ルナティック=フェノメノンによって殺人を犯す化け物達を倒す英雄(ヒーロー)である…。



【用語】

  • ルナシティー
本作の舞台である架空の都市。
プロレスが盛んになっており、子供達に大人気のメインイベントとして頻繁に開催している。
ニューヨークのような企業城下町だが、同時に凶悪な犯罪者やそれを遥かに越えるルナティック=フェノメノンの化け物が跋扈する犯罪都市でもある。
また、多くの浮浪児やホームレスがスラム街で生活する等、格差社会も激しい。
それらの事情で事故や犯罪が多発しているため、満月の夜の日に満月警報(フルムーン・アラート)を発令して市民に夜間の外出を控えるよう呼びかけている。

  • ルナティック=フェノメノン(月性変異)
人間が満月時に狼男のごとく凶暴化し変貌を遂げる現象。
月の異常接近以来、世界中で発生して凶悪犯罪が5倍に上昇するようになった。
社会的な影響の考慮からか、ルナティック=フェノメノンが世に広まる事を防ぐために化け物の存在は一般に公表されず、LSPの手で秘密裏に事件を処理している。

  • LSP
犯罪捜査スペシャリストで構成されたルナシティー警察の捜査チーム。正式名称は「ルナシティー特犯課」
主にルナティック=フェノメノンによる事件を担当している。

貧困層の少年少女達。
ほとんどが親や身寄りがなく、ゴミ漁りや万引きで飢えをしのいでいる他、中には犯罪に走る者もいる。
ルナシティーの西にある13(サーティーン)ストリート(通称「ゴミだめ通り」)で約2000人の浮浪児が生活しており、警察や市民からは「ドブネズミ」と蔑まれ、時には暴力のはけ口にされる等、不当な差別を受けている。

  • バビロン=メディア=ネットワークス
日本から進出してきた大企業。
オーナーは羅生門ヤシャであり、本作における悪の秘密結社。
蜘蛛のロゴがトレードマークで蜘蛛の糸のごとく世界中に張り巡らせたメディアであらゆる情報を掌握している。
豊富な資金力でTV局・映画会社・新聞社・ラジオ局・インターネットサービスを買収してルナシティーのメディアの60%を支配下に置く等、ルナシティー全体に市政以上の権限と影響力を持っている。

  • エデン
バビロン=メディアが建設した義援施設。
表向きは浮浪児達を救済するための楽園で衣食住の保障を宣伝しているが、その実態は世界中の人類を一度にルナティック=フェノメノン化させる装置であり、内部にはアンテナとなるバビロンタワーが収納されている。
起動には純真な子供の脳が必要で施設内には2000人の子供達を全裸姿にして収容するカプセルが設置されており、被験者達と羅生門の脳波を同調させる事で世界規模のルナティック=フェノメノンを起こす仕組みとなっている。
被験者のほとんどが浮浪児であり、彼らを迫害する民衆の排斥感情を利用してボランティア活動という名目で定期的に専用のバスに乗せて連れ出していた。*1
浮浪児達には「全てが手に入る良い所」とチラつかせていたが、行ったら最後、システム運用のための使い捨てパーツとして命を落とす運命にある。ちなみに浮浪児達をバスに乗せていたバスガイドの女性は表面上は優しく接していたものの、出発した後に浮浪児達がいない所で運転手と共に邪な笑みを浮かべる等、彼女もまた薄情な民衆の1人である事が窺える。
終盤で充分な被験者を揃えて計画を実行しようとしたが、キッドの活躍で阻止され、収容された浮浪児達も全員LSPに救助された。
作中では(トミーとチップを除く)浮浪児達のその後については描かれていないが、本当の意味で大人達が彼らに救いの手を差し伸べてくれることを願わずにはいられない。



【登場人物】

レギュラー陣

  • キッド/ジョーカー
本作の主人公。
「地獄の道化師」の異名を持つ悪役プロレスラーであり、奇抜なメイクと狂気の笑い声と反則ファイトがトレードマークで観戦している子供達からは毎回ブーイングを浴びている。少なくとも某ピエロ男のような狂人ではない。
素顔が二枚目の青年であるが、性格はズボラで大雑把で喧嘩っ早いという欠点を備えた残念なイケメンであり、マネージャーのエンジェルからはしょっちゅう小言を言われている。

少年時代は浮浪児で当時はヒーローレスラーのファンであったが、弟分のラットが命を落とした際に誰からも助けてもらえなかった事でヒーローに失望して現在に至る。*2
前述の過去が原因で悪役としての生き方を貫き通しているが、かつての自分と同じ浮浪児に対しては不器用ながらも気にかけており、彼らに必要以上の暴力をふるったゴロツキに制裁を加える等、根は偽悪的な人物と言える。

ルナティック=フェノメノン化で有機的な装甲を全身にまとった道化師の姿となり、プロレス技で敵と戦う。
カーミラ曰く悪役(ヒール)の仮面を脱ぎ捨てた正義の道化師(ジョーカー)



  • エンジェル
本作のヒロイン。
キッドのマネージャーである金髪の童顔女子。
ヘソが見える黒のノースリーブにホットパンツと普段から露出が多く、スタイルも良いが、キッドからガキ扱いされている。


  • カーミラ
LSPの女捜査官。
以前からキッドに惚れ込んでおり、彼と協力体制を築いて事件に立ち向かう。
容姿端麗でスタイル抜群の美女であり、はだけた胸元とタイトなミニスカが目立つ制服も相まって本作のお色気要員と言える。
もっとも、キッドから見れば好みのタイプではないらしく、彼からは終始素っ気なく扱われている。
LSPで受けた訓練により捜査官として優れた戦闘力を持ち、作中では数人の男を体術で叩きのめしていた。
彼女もまたルナティック=フェノメノンに侵された1人であり、変身後は衣服がハイレグ状に変化して、巨大なコウモリの翼と鋭い牙が生える等、名前の通りの女吸血鬼となる。


  • トミー
  • チップ
物語の後半から登場した2人組の浮浪児。
13ストリートの空きガレージで住み着いており、途中で居候となったキッドと共同生活を送るようになる。
街の外の世界で暮らすことを夢見ており、キッドのバイクで遠い場所へと連れて行ってもらう約束をしていたが、ある日買い物で所持金(キッドから渡された金)を落とした事が原因でチンピラ風の店長から一方的に泥棒扱いされて容赦ない暴力をふるわれ、挙句に「ドブネズミの一匹二匹くたばってもどうってこたあない」「てめーら浮浪児に生きてる値打ちなんぞない」などと存在を否定するような暴言を浴びせられてしまう。*3
帰り際に街の人々からも白い目で見られた事で自分達の人生に絶望。悲しみに暮れていたところをバビロン=メディアに拾われてエデンへ連れて行かれそうになったが、キッドの活躍で事なきを得た。


  • 羅生門ヤシャ
バビロン=メディアのオーナー。本作におけるラスボス。
黒髪ロングと美しい女性のような顔が特徴の中性的な日本人男性で、鍛錬によって肉体が鍛え抜かれている。
羅生門家の先祖は将軍に仕える忍びの者で私欲を捨てて忠義尽くす家訓の家系であったが、自身は家訓に縛られることなく欲望のままに生きており、人間が持つ欲望を利用してルナシティーを支配下に置いていた。
社交的な手腕だけでなく、戦闘力も優れており、羅生門流忍術体殺法というプロレス技に近い体術を得意としている。
ルナティック=フェノメノン化で漆黒のボディスーツを纏った6本腕の怪人となり、髪の毛を操って蜘蛛の巣を形成する等、その姿はまさに蜘蛛人間と言える。

終盤では、世界中を欲望で満たそうとエデンによる大規模なルナティック=フェノメノンを起こそうとしたが、殴り込みに現れたキッドの妨害を受けてしまう。
クラッチに近い関節技である「蜘蛛絡(くもがらみ)」やパイルドライバーのような「六手獄(りくしゅごく)」でキッドを追い詰めるものの、彼のトリックプレイで次第に形勢逆転して最期はフルムーン=スパイラルで倒された。

バビロン=メディアがその後どうなったかは不明だが、羅生門が敗北した後にLSPがエデンを制圧したため、壊滅した可能性が高い。


キッド達の関係者

  • ラット
キッドの弟分であった幼い浮浪児。既に故人。
お互い血が繋がっていないものの、実の兄弟以上に強い絆で結ばれており、2人でプロレスの試合をドームで観る事が夢であった。
ある日万引きで手に入れた品物をチケットの金に替えようとしたが、逃げる途中でモブの警官に撃たれて致命傷を負ってしまい、プロレスを生中継する街頭テレビの前でキッドに看取られながら息を引き取った。*4


  • ワイルド=ブル
エンジェルの祖父。
悪役レスラーであるが、孫や他のレスラーからは尊敬されている。


  • イワン
ベテランの悪役レスラーである老人。
リングネームはキラー・クラウンであるが、不気味なネーミングとは裏腹に子供好きな優しいおじいちゃんであり、試合の際には観戦している子供達を喜ばせるためにわざと対戦相手にコテンパンにやられて引き立て役となっていた。
飛行機事故で息子夫婦と孫を亡くして現在は天涯孤独であり、それ故にキッドを息子のように可愛がっている。


  • カーミラの先輩
カーミラの恋人であった男。本名不明で既に故人。
自分の信念を貫く公正な人物で早くに母親を亡くして男手一つで育てられたため、父親思いの一面もある。
大学を卒業してすぐにLSPの捜査官となり、自身に付いていく形でLSPに入ったカーミラと共に職務をこなしていた。
だが、のちに父親の会社が多額の負債を抱えて倒産寸前である事を知って父親を助けたいあまり、処罰を受ける覚悟でLSPのシークレットファイルを犯罪組織に多額で売却しようとしたが、その様子を偶然カーミラに見られてしまう。
カーミラに見逃すよう頼むが、拒否されて衝動的に彼女の首を絞めてしまい、直後に我に返って取り返しのつかない事をした罪悪感に苛まれた末にルナティック=フェノメノンで蘇生した彼女に殺害されてしまった。

彼の顛末は公にならなかったようであるが、正当防衛とはいえ愛する者を手にかけたカーミラの心に暗い影を落としてしまい、キッドにその事を語った際には涙を流していた。*5


ゲストキャラ

  • キング=マスカー
第1話で登場したUPFヘビー級チャンプであるプロレスラー。
その名の通り、現役の王者で子供達からは熱狂的に応援されている紳士的なヒーローであるが、何故か人前では常にマスクを被っており、誰も彼の素顔を知る者がいない。


  • MANX
第2話で登場した不良グループ。「マンクス」と読む。
メンバー全員が浮浪児で背伸びしたヤンキーの格好をしており、縄張りに入った一般人をナイフや銃でカツアゲして生活している。
しかし、その一方では同じ境遇に置かれた年少の浮浪児であるレミーとフィルを食糧を分け与えて養う等、仲間思いの兄貴分でもあり、根っからの悪党ではない。
自分達を差別するルナシティーを心底嫌っており、カツアゲをしているのも街から出るための大金を稼ぐためであったが、警察に目をつけられた後も満月の夜にカツアゲをしたせいでルナティック=フェノメンの保安官に処刑されそうになったが、キッドに救われて「銃なんか握りしめてちゃ救いの手につかまるコトもできねーぜ」と諭された。


  • シェリフ
第2話で登場したルナシティーの地区保安官。
屈強な体格でトレンチコートのような制服とサングラスを着用している。
その本性は苛烈な正義を掲げるマキャベリストであり、僅かな罪をも許さず、相手が犯罪者なら幼い子供に対しても度を超えた暴力で制裁する事も辞さない。また、キッドの過去やラットの末路を知っており、成人したキッドの前で「罪を犯した者(ラット)には当然の報い」と言い放っていた。
父親が警察官で自身も警察大学をトップで卒業したエリートであったが、7年前に万引きをした無抵抗の浮浪児を射殺する事件を起こして人権保護団体に訴えられた事が原因で出世コースから外れて現在に至るまで地区保安官止まりとなっている。
もっとも、当のシェリフは悪びれることなく「罰こそが正義を守るための掟」「街のウジ虫を一匹始末してやっただけ」と一蹴しており、むしろ“出世や金勘定しか頭にない役人”や“無責任に人権を叫ぶ市民”に対しても目障りに思っている。
幼少時代は犬好きな心優しい少年であったが、「いくらしつけても人に吠える事をやめなかった」という理由だけで愛犬を父親に射殺された事が原因で現在のような歪んだ正義感を持つようになった。
それらの狂った正義によってルナティック=フェノメノンに侵され、4か月の間に7人もの浮浪児を殺害していた。

変身後は袖が破れるほど筋肉が増強し、大砲に変化した右腕からエネルギー弾を放つ。
MANXのリーダーとその仲間を処刑しようとしたが、駆けつけたキッドに独善的な正義を否定され、二発目を撃とうとしたところを銃口に正拳突きを叩き込まれて暴発。最期はグランド=クロスを食らって敗北。


  • シェリル
第3話で登場したキッドの元カノ。
女優志望で夢を叶えるために整形をしており、キッドと付き合っていた頃はストリップダンサーだった。
別れた後も関係が良好でキッドも彼女と再会するなり、エンジェルやカーミラの時とは大違いな態度でデレデレしていた。
実は整形で変わっていく自分に不安を抱いており、古くからの付き合いのあるキッドに完全に変わる前の自分を見てもらうために3年ぶりに出会う機会を作っていたのである。
最後の整形をしようとした矢先に主治医に命を狙われるも、駆けつけたキッドに命を救われて「心さえ変わらなきゃお前はお前さ」と励まされた事で今までの迷いを振り切った。
事件が解決してから数ヵ月後に整形で更に別人の姿となって女優の夢を叶えた事が明かされた。


  • リー=マービン
第3話で登場した整形外科医。
シェリルの主治医であり、通称「ドクター=ジーザス」。彼もまたルナティック=フェノメノンに侵された1人。
50代の女性の顔を20歳若く整形できる程の腕を持ち、卓越した技術と芸術家も舌を巻く美的センスで患者の女性達からは「神」と呼ばれていた。
だが、彼自身は持って生まれた美しさにこだわっており、むしろ患者に対しては内心「金で美が手に入ると思っている醜いブタ共」と侮蔑する等、本性は傲慢かつ冷酷なエゴイストである。

変身後は両手の指がメス状の刃物に変化し、石像を容易にバラバラに切断できるほどの斬撃を繰り出せる。しかし、本職が医者ということもあってか戦闘慣れしておらず、戦闘能力そのものは余り高くない。*6
失敗作と見なした患者を密かに殺害して警察からは容疑者としてマークされていたが、証拠不十分であった事に加え、彼の父親が政財界の大物であったために今で言えば忖度という形で無罪となる等、どこぞのカビ医者とは別の意味でタチの悪い悪徳医師と言える。
警察からの追及を逃れた後も懲りることなく、患者のシェリルをも始末しようとしたが、キッドに阻止されてメテオ=インパクトであっけなく倒された。


  • ロニー・ダグラス
第4話から第6話まで登場した元ボクサーの黒人男性。彼もまたルナティック=フェノメノンに(ry
27選20勝7敗で負けた7戦は反則負けによるものであり、野獣のごとき闘争本能と2メートルを超す巨体に似合わぬ華麗なフットワークから黒い蝶(ブラック・バタフライ)という異名が付いた。
12歳の頃に敵対する不良グループの少年2人を撲殺し、プロテスト受験時にはスパークリング・パートナーを再起不能になるまで叩きのめす等、死闘以外に居場所を見い出せないタイプの戦闘狂である。
彼にとってボクシングは闘争本能を満たすための狩場に過ぎず、対戦相手を試合中に死なせた時にはマスコミに対して「ハエを殺すより簡単だった」と己の強さを誇示する体たらくであり、ボクシング界では名を馳せた実力者でありながらも前述の人間性が原因で人望がなく、本編の5年前にボクシング界を永久追放処分されたところを羅生門ヤシャに拾われて彼の配下となった。
変身後は筋肉増強やスパイク状の突起の形成だけに留まっているが、元々常人離れした強面であるため十分に圧倒的な威圧感を漂わせている。

強い獲物と戦うためにキッドを襲撃し、鋼鉄に拳の跡を残すほどのパンチ力と瞬間移動のようなフットワークで苦戦させたが、地形を活かした反撃でプールに沈められて動きを封じられた末に無重力卍固めで敗北。
それでもキッドに敗北した時点ではまだ死亡しておらず、行方をくらまして羅生門の元へと戻ったが、彼からは破門を告げられて逆上。反旗を翻そうとしたものの、赤子の手をひねるかのようにたやすくあしらわれた挙句に蜘蛛絡で今度こそ力尽きてしまった。
その末路はまさに「蜘蛛の巣の餌食となった蝶」と言える。


  • 鬼麿呂
第7話から第12話まで登場した女装レスラー。通称「ゲイシャ・ガール」
羅生門の手下でジョーカーを公開処刑するデス・マッチの処刑人Xとして現れた。
初登場時は和服の美女の姿をしており、初対面のキッドからは女性と間違われるほど女装が完璧であった。彼もまたルナティック=フェノメノンに(ry
元は歌舞伎役者で舞台で役にのめり込むあまり、共演者を殺めてしまい、以後舞台の上で演じる事でしか己の生きる喜びを見い出せなくなってしまった。
変身後は筋骨隆々な鬼の姿へと変わり、更に全身の隈取を変化させ、対戦相手の感覚を狂わせる隈取である狂隈(くるいぐま)*7を形成して有利な状況へと導く。
狂隈と持ち前の戦闘力でキッドを苦戦させたが、途中で返り血を浴びて顔が血まみれになった事で狂隈が無力化してしまい、その隙を突かれてキッドのグランド=クロスで敗北した。

表向きは観客を盛り上げるための演出であったが、実はルナティック=フェノメノンの化物同士による殺し合いを生中継して観戦している子供達をルナティック=フェノメノンに目覚めさせるという計画であり、化物が化物を殺す様子が発動のスイッチとなっている。しかも観客だけでなく、TVを通して試合を観ている世界中の子供達にも効果が及ぶ。
ちなみに殺される対戦相手はどちらでもOKであり、羅生門の筋書き通りに鬼麿呂がジョーカーを殺せばそれで良し。逆にジョーカーが勝利したとしても、文字通りの公開処刑を引き金に世界規模のルナティック=フェノメノンが引き起こされる。
だが、計画を知ったキッドが子供達の身を案じてトドメを刺さなかった事と、試合会場に来ていたカーミラの介入で計画が失敗に終わり、その事に激怒した羅生門が八つ当たりに近い形で鬼麿呂を処刑してエデンの準備に取りかかる事となる。


  • キャビアノフ=グルメスキー
読み切り版で登場した肥満体の大富豪。
ルナシティー次期市長候補の美食家であり、作中では高級レストランで選挙活動を行なっていた。
表向きは温厚な性格で市民に親しまれていたが、その本性は拉致した人間の肉を究極の美食として喰らうという猟奇的な暴食家である。彼もまたルナティック=フェノメノンに(ry
被害者のほとんどが社会から見捨てられた浮浪児であり、たとえいなくなっても誰も気にも留めない立場をいいことに喰い残した遺体をわざわざ人目につく場所に捨てる等、絶対に権力を持たせてはいけないタイプの人物と言える。
変身後は胴体部に巨大な顔が形成されたガーゴイルのような姿という、グルメスキーの人物像を体現した異形となる。
食材として拉致したトミーとチップも喰おうとしたが、最期はキッドのフルムーン=スパイラルで敗北。

前述の通り、市長選で当選する事を目論んでいたが、こんな奴が街のトップに選ばれたら、今以上に犠牲者が増えるのは火を見るより明らかであっただろう。





追記・修正はルナティック=フェノメノンに侵されてからお願いします。

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*1 準備の際に羅生門が「誰も異議を唱える者などおらぬ」「口は出すが手は汚さぬ偽善者共も納得する」と、浮浪児を誰も助けないルナシティーに対する皮肉を口にしていた。と言っても人道的な見地からではないが、バビロン=メディア側から見てもルナシティーにおける格差社会がいかに根深いものであったのかが窺える。

*2 警官からは「札つきのワル」として目をつけられていたらしく、現在でも警察のブラックリストにキッドの名が載っている。

*3 トミー達は万引きしたわけでもなく店内で商品をカートに乗せて運んでいただけであったにもかかわらず、浮浪児という理由だけでトミー達の言い分を信用せずに他の客もいるであろう店内で暴力をふるっていた。力の弱い未成年を過剰に痛めつけた店長の行為は当然ながら傷害罪であり、近年はSNSなどで情報が広まりやすく、現実でやろうものなら店のイメージダウンはもちろんであるが、暴力をふるった側が逆に世間から非難されるであろう。

*4 過剰発砲に対してもう一人の警官が「始末書だけじゃ済まんぞ!!」と非難したが、ラットを撃った警官は罪悪感の欠片もなく「街のダニを一匹掃除しただけさ」と吐き捨てる始末であった。

*5 魔が差す形で汚職に手を染めたが、首を絞めた後にカーミラが意識を失った際に彼女を抱きしめながら謝罪の言葉を口にしていたあたり、本質は善良な人格者だった事が窺える。

*6 キッドからは「刃物が怖くてプロレスラーが務まるか」と一蹴された。

*7 狂気を司る歌舞伎禁断の隈取であり、元禄時代に狂隈を用いた舞台で理性を失う観客が続出したため、ついには幕府が狂隈の使用を禁じた。