SCP-2206

登録日:2019/05/12 (日) 23:24:23
更新日:2024/01/19 Fri 00:52:21
所要時間:約 10 分で読めます




SCP-2206は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト (SCiP) のひとつである。
項目名は『Maximum League Baseball (マキシマム・リーグ・ベースボール)』、オブジェクトクラスはEuclid。

概要

まず、このオブジェクトは現時点では収容されていない。
どういうことなのかというと、SCP-2206とは「不可解な内容のラジオ番組」なのである。リスナーに何か変なことが起こるとかは特に無いのだが、とにかく内容がおかしい。後述する性質上、放送を停止させるには至っておらず、多くの人に聞かれてしまっているため、財団は「これはジョーク番組である」と偽情報を流して誤魔化している。

具体的には、偽公式ウェブサイト、グッズの制作&オンライン販売、偽広告、機動部隊ラムダ-30「スポーツキャスト・パフォーマーズ」によるライブショーを展開している。

SCP-2206は2008年から北米大陸で放送されている「野球」の実況・解説をするラジオ番組で、放送時間は夕方、その地域で野球の試合が開催されている時間帯である。財団サイドは電波の発信場所を特定できたものの、そこには放送設備がまったく発見されなかったため、放送を停止させることはできていない。

そして、この「野球」なのだが、この世界の野球とは様相がまったく異なっている。先ほどの「電波源が見つからない」という特徴も含めて、異世界のラジオ番組ではないかと推測されている。

マキシマム・リーグにおける「野球」のルール

野球に馴染みが薄い人のためにも少し丁寧に説明するが、いかにトチ狂っているのかがわかるだろう。
  • 歩いて塁に出ることが無い。フォアボールだろうとデッドボールだろうとダメ。出塁のためにはヒットしなければならない。
  • バットはアルミニウム、または複合材料。こっちの世界(我々の世界、財団の世界)のメジャーリーグではバット素材にホワイト・アッシュの木が使われており、日本のプロ野球でも金属バットは使われていない。
  • 各塁間の距離は180フィート(約55 m)、ホームベースと後壁の最も遠い点との距離は1600フィート(約490 m)もある。いくら何でも広すぎる。ちなみにプロ野球では塁間距離が90フィート(約27 m)、ホームベースから外野フェンスまでが250フィート(約76 m)以上、理想は320フィート(約97 m)以上とされる。
  • 周囲のフェンスが異常に高い。
  • 乱闘は当たり前。
  • 重傷者や死者も当たり前のように発生。
  • ステロイドなどのドーピングは必須。
  • 選手がおかしい。遺伝子改造された人間、幽霊、アンドロイド、何でもあり。
  • ファンの迷信が試合に影響する。

球団

最大のツッコミポイント。アメリカン・リーグ、ナショナル・リーグがあることは変わらないのだが、どのチームもそろいもそろっておかしい。しかし番組内ではすべて当然のことである。以下では、現実(と財団世界)で相当するであろう球団も挙げながら解説していく。

アメリカン・リーグ

  • アナハイム・アベンジャーズ(Anaheim Avengers)
ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムに相当。
アナハイムをホームとする史上2番目のチーム。前のチームに何があったのかは一切語られていない。「Avengers(復讐者)」ってもしかして前のチームの仇討ちでもするの? 一体何があったんだろうか。

  • ボルティモア・テラピンズ(Baltimore Terrapins)
ボルティモア・オリオールズに相当。
「テラピン」とはキスイガメのことで、現実のメリーランド州の象徴とされている。のだが、テラピンズのマスコットは酸を吐いたり背中から毒トゲを飛ばしたりする体重3トンの大トカゲ。あっちの世界はこんなヤツがメリーランド州の象徴らしい。SCP-682じゃなくてよかった。

  • ボストン・レッドシャツ(Boston Red Shirts)
ボストン・レッドソックスに相当。
1試合における死者数最多記録を持つチーム。それが発生した1903年のニューヨーク・ハイランダーズ戦では、観客をチームにドラフトし、結果1-0で勝利。観客よく頑張った。

  • シカゴ・ブラックソックス(Chicago Black Sox)
シカゴ・ホワイトソックスに相当。
1919年のワールドシリーズで、あろうことか八百長を仕組んだ。それなのに4連敗。

  • クリーブランド・エグザイルズ(Cleveland Exiles)
クリーブランド・インディアンズに相当。
1900年以降、地元のクリーブランドでは一度も試合をしていない。なぜだ。

  • デトロイト・ウルヴァリンズ(Detroit Wolverines)
デトロイト・タイガースに相当。
選手が不死身らしい。それだけ。

  • ヒューストン・コルト.45ズ(Houston Colt .45s)
ヒューストン・アストロズに相当。
1972年に「試合中の銃火器使用禁止」というルールができたのは全部このチームのせいらしい。逆にそれまで銃使えたのか。そしてこのチーム何したんだ。

  • カンザスシティ・キングス(Kansas City Kings)
カンザスシティ・ロイヤルズに相当。
カンザスシティはミズーリ州とカンザス州にまたがっているのだが(これは現実も同じ)、ミズーリ州側とカンザス州側の両方にカンザスシティ・キングスが存在する。どちらも「自分たちはカンザスシティ・キングスを名乗る正当な資格がある」と主張しており、譲らない模様。

  • ミネソタ・クローンズ(Minnesota Clones)
ミネソタ・ツインズに相当。
クローン選手を本格的に採用した最初のチーム。前の選手のクローンを作成して新たな選手にするため、1985年から選手名簿がまったく変わっていない。

  • ニューヨーク・ハイランダーズ(New York Highlanders)
ニューヨーク・ヤンキースに相当。
SCP-2206世界の倫理からしても卑劣なチームとして有名で、番組コメンテーター達からも嫌われている模様。ニューヨーク・ゴッサムズとブルックリン・エクセルシオールズが1958年の事件(後述)でニューヨークから逃亡した後、1961年のニューヨーク・アーバンズ結成までは唯一のニューヨークのチームだった。

  • オークランド・エレファンツ(Oakland Elephants)
オークランド・アスレチックスに相当。
このチームの試合を観戦すると、なぜかその試合を忘れることができない。忘れられないほど印象的、というわけではなく、何らかの作用があるようだ。ちなみに英語のことわざでは、象は記憶力のよい動物とされている。

  • シアトル・ストームズ(Seattle Storms)
シアトル・マリナーズに相当。
複数の気象の神々から加護を受けたため、2009年度は出場停止になった。なお、SCP-2206の世界では神の存在が当たり前のように共通認識で、かつ「シーズン中の守護神は1チーム1柱まで」という規定がある。

  • タンパベイ・デヴィルズ(Tampa Bay Devils)
タンパベイ・レイズに相当。
このチームの選手の給料は人間の魂で支払われる。選手もオーナーも何者なんだ?

  • テキサス・レネゲイズ(Texas Renegades)
テキサス・レンジャーズに相当。
1993年にチーム全員で野球をやめ、バスケットボールに転向したが、1995年には野球に復帰。何があったんだろう。

  • トロント・レーザーズ(Toronto Razors)
トロント・ブルージェイズに相当。
観客に無料で髭剃りサービスを提供している。SCP-2206の世界のオンタリオ州はヒゲがお嫌いな模様。

ナショナル・リーグ

  • アトランタ・アステカズ(Atlanta Aztecs)
アトランタ・ブレーブスに相当。
ホームゲームの際、始球式の代わりにB級有名人を生贄に捧げる。改めて述べるが、番組内ではそれが当たり前のように報道されている。

  • シカゴ・オーファンズ(Chicago Orphans)
シカゴ・カブズに相当。
1897年以降オーナーも監督もコーチもいない。1902年にはホーム球場も追い出される。それなのに20回以上ワールドシリーズを制覇している。どういうことだ。

  • シンシナティ・コミュニスツ(Cincinnati Communists)
シンシナティ・レッズに相当。
1952年から1993年まで非合法なチームだった。共産主義運動でもやってたんだろうか?

  • コロラド・ブリザーズ(Colorado Blizzards)
コロラド・ロッキーズに相当。
ホーム球場は年間を通して雪の1m下に埋まっている。ホームゲームでは場慣れしていない相手に無類の活躍を見せるらしい。そりゃそうだよ。

  • フロリダ・フロウンダーズ(Florida Flounders)
マイアミ・マーリンズに相当。
唯一の完全水陸両用チーム。アトランティス・アクアティックス(カナダの水泳クラブチーム)との5試合1セットの魚座杯で米国代表に。ちなみに魚座杯で勝った方が北大西洋の漁業権を制するらしい。

  • ロサンゼルス・デフェクターズ(Los Angeles Defectors)
ロサンゼルス・ドジャーズに相当。
ブルックリン・エクセルシオールズ(Brooklyn Excelsiors)として活動していたが、1958年にニューヨーク・ハイランダーズによる暗殺計画の標的に。危ういところで逃れ、チーム・球場・オーナーシップが1晩でロサンゼルスへと移動した。1晩で移動できる距離じゃなさそうだが。

  • モントリオール・ボルケーノズ(Montreal Volcanoes)
ワシントン・ナショナルズに相当。
ホームゲームをモンロワイヤル(モントリオールにある火山)の中で行う。SCP-2206の世界のモンロワイヤルはこちらや財団の世界と違って活火山であり、2005年のトロント・レーザーズとの試合ではチーム全員が消し炭に。もちろんレーザーズと観客も。なにやってんの。

  • ニューヨーク・アーバンズ(New York Urbans)
ニューヨーク・メッツに相当。
1969年のワールドシリーズ初日の前夜、ボルティモア・テラピンズの選手を全員暗殺。そこから通称「マーダー・アーバンズ」と呼ばれる。またこの事件のため、1970年から2000年まで「球場外での暗殺は禁止」というルールができた。逆になぜ解除された。

  • フィラデルフィア・ファントムズ(Philadelphia Phantoms)
フィラデルフィア・フィリーズに相当。
発足からずっとチーム全員が幽霊で、ホームゲームの際に球場に出現する。シーズン全勝を達成しないと解放されないという呪いをかけられているらしいが、アウェーゲームができないので残念ながら彼らは永久に解放されない。

  • フェニックス・ファイヤーバーズ(Phoenix Firebirds)
アリゾナ・ダイヤモンドバックスに相当。
防火屋根付きの球場でプレーした最初のチーム。だから何故だ。

  • ピッツバーグ・レーベルズ(Pittsburgh Rebels)
ピッツバーグ・パイレーツに相当。
2010年、コミッショナーに対して暴動を起こしたが、コミッショナーの眼光で殺害されたため、失敗。コミッショナーは何者だ。

  • サンディエゴ・ホエールズ(San Diego Whales)
サンディエゴ・パドレスに相当。
選手達が日本の捕鯨船から何度も狙われた。どこがクジラに見えたんだろうか。

  • サンフランシスコ・ゴースツ(San Francisco Ghosts)
サンフランシスコ・ジャイアンツに相当。
ニューヨーク・ゴッサムズ(New York Gothams) として活動していたが、1958年にニューヨーク・ハイランダーズによる暗殺計画の標的に。こちらは危ういところで逃れられなかったが、チーム・球場・オーナーシップが1晩でサンフランシスコへと移動した。だから1晩で移動できる距離じゃなさそうだって言ってるのに。

  • シアトル・オートパイロッツ(Seattle Autopilots)
ミルウォーキー・ブルワーズに相当。
自律駆動車2台、無人飛行機4機、自動掃除機3台が選手登録されている。野球できるんだろうか。

  • セントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals)
セントルイス・カージナルスに相当。これだけ現実の球団と同じ名前。
ただし、現実の球団の「カージナル」はミズーリ州の鳥でもあるショウジョウコウカンチョウ(ユニフォームにも描かれている)だが、SCP-2206の世界の方の「カージナル」は枢機卿*1であり、本物の枢機卿を1人チームマスコットとして採用している。

追記・修正は、放送局を突き止めてからお願いします。


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最終更新:2024年01月19日 00:52

*1 カトリック教会の司教から選ばれる法王の補佐役。彼らの服が赤いことから赤い鳥であるコウカンチョウもカージナルと呼ばれる