帝国(ウォーハンマー40k)

登録日:2019/05/11 (土) 16:31:38
更新日:2024/04/23 Tue 21:56:44
所要時間:約 85分で読めます




「〈皇帝〉以上の希望はない!!」

画像出典:ウォーハンマー40K ルールブック、ノベルなどの書籍より「双頭鷲(アクィラ)の国章」



概要


画像出典:Erasmus Brosdau氏によるファンアートムービ「The Lord Inquisitor - Prologue」より

帝国とはウォーハンマー40Kに登場する架空の国家のことである。正式名称は「人類の帝国」(Imperium of Man)で単に「帝国」や「インペリウム」と呼ばれる。

聖地とされる地球(テラ)を本拠地とする人類種族の国家で、皇帝を中心とした100万を超える惑星と数兆の臣民を抱えている天の川銀河最大の勢力として君臨している。
西暦25000年、銀河系の各惑星へ入植した人類は異星人によって一度文明が滅んでしまい、連絡が取れずにバラバラになってしまう。
それから5000年後の西暦30000年頃に再び皇帝が〈帝国〉の名の下に人類の再統合を行い、天の川銀河をほぼ統一する事に成功する。
そして、建国10000年後の第41千年紀(西暦40000年)における人類唯一の巨大国家として、今でも異星人や悪魔との終わりなき戦争を続けているのである。

これらの膨大な人々の頂点に立つのが超人的な力を持ち、唯一絶対の神と崇められる「皇帝」である。
皇帝無くしては帝国は成立しえず、帝国無くしては人類は様々な異星人や悪魔によって滅ぼされてしまう可能性が出てきてしまうのだ。

政治体制は西暦40000年の遠未来にも係わらず貴族制を取っており、臣民の大半は政府の圧政に苦しみながら日々を過ごしている。
貴族や政府関係者を含める大半の臣民は各惑星のハイブシティー(多層都市)に住み、1万年以上もひたすらいつ終わるかわからない戦争のために血汗を流しながら働き続ける。

人類以外のエイリアンやミュータント(変異)に対しては排他的な姿勢をとっており、また帝国の頂点に立つ皇帝に対して絶対的な崇拝と奉仕が義務付けられている。
それには従わない者は即刻排除されるという過剰で狂信的な一神教国家としての顔をもっている。

殆どの臣民は人類が多くを占めているが、ごく少数ながらも帝国に忠誠を誓った異種族や亜人間も受け入れている。臣民の数は数兆ともいわれその正確な人数を知ることは困難を極める。
ちなみに国自体はあまりにも酷いありさまだが、こう見えてもウォーハンマー40Kにおける 主人公勢力 である。
もう一度言うが、ウォーハンマー40Kにおける主人公勢力である。


帝国の文化、生活


「内なる敵を警戒すべし!」

「外なる敵を憎悪すべし!」

「彼方の敵を恐れるべし!」

画像出典:ウォーハンマー40K「ルールブック第5版」 P7,P8イラストより

【国のシンボルやデザイン】
国を表すマークは双頭鷲(アクィラ)と呼ばれ、帝国の象徴となっている。
見た目はスチームパンクと中世ヨーロッパ的なゴシックデザインが融合した独特なデザインが特徴となっている。
しかし、政治体制や一部の用語は「ローマ帝国」を基にしたと思われるものが多い。
一回人類の文明が滅びたとはいえ何故にこのデザインかというと皇帝の趣味のわr[異端審問官による編集済]好み他ならない。

基本は中世ヨーロッパデザイン+スチームパンク+ローマのような文化をもつ〈帝国〉だが、惑星によってはその土地の文化が残っている場合もある。

【言語】
使われる言語も「ローゴシック」と「ハイゴシック」と呼ばれる英語のような言語を母国語としている。
特に「ローゴシック」は帝国内の共通語であり、ほとんどの帝国の惑星では第一言語または第二言語として話されている。
その他にも機械崇拝団(カルト・メカニクス)の信徒が使う「リンガ・テクニス」、「カントメカニックス」と呼ばれるデジタル言語も広まっている。
また、惑星によってはその土地古来からの言語が残っており、中にはなんと「日本語」まで使うものまでいるらしい・・。

【臣民の社会性】
かつて人類は高度な技術や社会性を有していたが、数多くの内戦や狂信的、異常とも言える機械崇拝や皇帝への信仰異端審問による異端狩りなどによって社会性が衰退している。
人類における黄金期だった西暦2000年代の〈技術の時代〉に比べたら技術力は大きく低下し、人々の社会性も中世ヨーロッパの暗黒時代のように論理や理性よりも迷妄や狂信を重視するようになっている。

【臣民の生活】
臣民や市民の生活は殆どが圧政による貧しくも過酷な生活が強いられている。裕福な生活を送っている貴族や大商人、教会の神父は臣民の中でもごくわずかにすぎない。
工場で働くもの、採掘にいそしむもの、「帝国防衛軍」や「惑星防衛軍」として戦うもの等、殆どの市民や臣民が贅沢すら許されない生活を送っている。
工業惑星(フォージワールド)、農業惑星(アグリワールド)、過密惑星(ハイブワールド)など惑星によっても就ける職は異なる。
帝国臣民として生きるということは、旧ソ連や戦時中の日本を彷彿させるプロパガンダにまみれ、常に行政から監視を受けながら生活する「ディストピア」といっても過言ではない。

しかし、過酷な戦時中にも関わらず、臣民にも少しは娯楽や休息も与えられ、暗黒の遠未来においてのささやかな幸せとなっているのだ。

【帝国の通貨】
帝国の通貨は数種類の存在し、「クレジット」、「スローン」、「クラウン」が代表的なものである。また惑星によっては、通貨は宝石や鉱石などの物品に置き換わっている場合もある。
臣民は帝国の主な共通通貨である「クレジット」と呼ばれている通貨を稼いでいる。
臣民が働ける肉体労働で月収が30クレジットだが、通常の兵士職なら50クレジット、商業を営む者は120クレジット、低級の貴族なら500クレジットを稼いでおり、貧富の差は激しい。

臣民の職業別の収入のリストは次の通り。
職業 毎月の月収
肉体労働(ほとんどの臣民がこの職業) 30クレジット
通常の兵士 50クレジット
専門業者(公認サイカー、アーバイツのアビトレイターなど) 70クレジット
メンタルワーク(行政官など) 80クレジット
商業 120クレジット
通常のテックプリースト 150クレジット
アデプトゥス・ミュニストルムの司祭 200クレジット
低い地位の貴族 500クレジット

しかし、この厳格な社会的秩序の中にも一攫千金を狙える職業(ローグトレーダー、海賊)などもある。
上記のリストの外の職業(特に審問官およびローグトレーダーや海賊)の経済状況は、これとは大きく異なる可能性を持っており、場合によっては惑星全体をまるごと購入することができる金額を稼ぐことも可能。
ただし、これらの職業にはハイリスクが伴い、下手をすれば今以上に悲惨な状況に陥ることもあるだろう・・。

画像出典:Erasmus Brosdau氏によるファンアートムービ「The Lord Inquisitor - Prologue」より

帝国の政治体制


「皇帝陛下の御言葉は〈帝国〉の法なり。」

「皇帝陛下の御意志は〈帝国〉の力なり。」

「皇帝陛下の祝福は〈帝国〉の力なり。」


【概要】
帝国は民主的国家ではない。皇帝を崇める宗教(帝国正教会)と不可分一体となった祭政一致の国家であると同時に、数人の政治家によって管理されている国家でもある。

かつて帝国はトップに立っている一人の皇帝を中心とした”絶対君主制国家”だったが、トップである皇帝は植物人間になってまともに政治を執ることができなくなる。
今現在は代わりに12人のハイローズ・オヴ・テラ(帝国至高卿)が代理で国を治めている。
現在の「帝国」は帝国の名がついているが、実際には少数の人々が政治権力を握る”「寡頭政」(かとうせい)国家”が実情である。

そして、帝国は現在の民主主義と違って個人の自由は絶対に許されない。
個人の欲望は渾沌のディーモン(悪魔)達のつけいるスキとなり、ひいては人類をおびやかす弱点になるという思想に基づいて、帝国の市民には国家への献身、すなわち帝国正教会への熱狂的なまでの信仰が要求される。
現に、ディーモンにとりつかれた権力者の反乱もしばしば起きている。 結果、個人主義は弾圧され、人類社会に潜むミュータントを狩る異端審問官が強い権力を得ている。

よって、種としての人類の生存のためには、個人の自由や尊厳は無視されてしまうのだ。

帝国至高卿による政治によって、「アデプトゥス・テラ」(中央執務院)、「アデプトゥス・ミュニストルム」(宗務院)、「インクイジション」(異端審問庁)の各組織が皇帝の名の下に聖務を執り行う。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ミリタルム・テンペストゥス」(codex:Militarum Tempestus) P15の図を翻訳

【政治組織の一覧】
〈帝国〉はあまりにも巨大であり、惑星間の距離はあまりにも遠大なため、〈帝国〉領内では時に、コミュニケーションの遅延や混乱、あるいは誤解が発生する。単純な情報伝達さえも、その応答には著しく精密さを欠くため、正確な人口調査など到底不可能である。
〈帝国〉内の多くの機関は、迷宮のごとく入り組んだ複雑な組織構造を成すため、たとえその一部であっても詳細を理解しようとする試みは徒労に終わるだろう。
〈帝国行政局〉の学芸員さえ、〈中央執務院〉内の全部門を完全にリストアップすることは不可能であり、ましてや〈帝国宗務局〉の組織図を把握することは論外である。
  • ハイローズ・オヴ・テラ(帝国至高卿)
帝国の政治は各部門の代表者によって構成された、12人の代表者による統治機関。別名「地球至高卿」、「セナトール・インペリアリス(帝国元老会議)」とも呼ばれている。
皇帝の名の下に人類の帝国を統治し、帝国の政治を取り仕切っている。至高卿のメンバーは下記の省庁の局長や、重要組織の長官などの代表者で構成される。
至高卿の中でも3名の者は「長官」と呼ばれており、至高卿の中でも強い権限と地位を持つ。

彼らは動かなくなった「皇帝の意志」を解釈し、"皇帝陛下の名の下に"執り行われた議会の決議を基にして、銀河全体に住まう何兆もの帝国臣民の生活に影響を与える決定を下している。
彼らは「カウンシル・オヴ・ハイローズ・オブ・テラ」(地球の至高卿による議会)と呼ばれる議会を開会し、庶民の生活方針から大規模な征戦までありとあらゆる議題を取り扱っている。

  • インクイジション(異端審問庁)
帝国内の反逆者及び異端者をあぶりだすための秘密警察組織。
詳しくは下記の異端審問官の項目を参考されたし。

  • 帝国暗殺局(オフィシオ・アサシノルム)
あらゆる帝国組織の中でも秘密裏に動く暗殺部門。公には知られないように隠されている。
より密やかに〈帝国〉の権威を示す必要がある場合、帝国至高卿たちは当局に暗殺の依頼を出す。
また、任務内容によっては諜報や潜入調査の任務も行う。

  • アデプトゥス・メカニクス(帝国技術局)
帝国におけるあらゆるテクノロジーの管理や工業製品の製造を行っている組織。
詳しくは下記の帝国技術局の項目を参照されたし。

  • アデプトゥス・テラ(中央執務院)
「地球院」とも呼ばれている官僚組織。アデプトゥス・テラは、まさに帝国の中核であり、多数の省庁・組織が含まれている。
アデプトゥス・テラ自体の活動というものはほとんどなく、それに所属する各省庁・組織の活動がその実態であるといえる。
〈中央執務院〉は〈中欧至高卿〉らによって下される命令の数々を実行させるため、自治機能を持つ無数の下位部門へと任務を伝達させる。
〈帝国〉の全組織の中で〈中欧宗務院〉の命令系統に属していない機関はほぼ皆無に近い。例外はわずかに存在するが、その中でも特筆すべきは〈異端審問庁〉、〈帝国技術局〉、そして聖教会である。
【主な省庁、組織(一部は図に掲載していないものもあり)】
  • アデプトゥス・アストラ・テレパシカ(銀河感応逓信局)
帝国内の通信および異能者(サイカ―)を管轄する省庁。別名「帝国逓信局」。異能者による星間メッセージのやり取りを行うほか、異能者の新規徴集、識別、等級区分を施し、各々の価値に相応しい訓練を施すことである。
この義務を果たすため、〈銀河感応逓信局〉は内部で二つの下位組織に分割されている。すなわち〈黒き御船の連盟〉(リーグ・オヴ・ブラックシップ)と〈異能学究院〉(スコラスディア・サイカナ)であり、〈銀河感応逓信局〉の局長はその両組織を統括している。
〈銀河感応逓信局〉は異能者たちを様々な等級に分類するが、その中でも特に高い能力を持ち、その力を〈帝国〉のために利用可能な高位の異能者たちを「筆頭異能者」(プライマリー・サイカ―)と定めている。
異能者の等級で最も一般的なのは「精神感応官」(アストロパス)であり、テレパシーの力によって惑星間の情報送受信役を担っている。
特殊な訓練を受けた精神感応官たちの精神波が、星々を隔てるほどの遥かな宇宙を越えて、メッセージの通信を行うのだ。
また、精神感応官の等級までは及ばないが、ある一定以上の等級にある異能者たちは、〈灯光保全局〉へと再配属される。最後に、数々の選抜試験を突破できなかったその他の者たちは、およそ健全とは言い難い他の用途で利用され、そこで然るべき義務を果たすことになるだろう。

  • アデプトゥス・アストロノミカ(灯光保全局)
〈銀河感応逓信局〉に奉仕するほどの素質を持たぬ者、あるいは訓練水準を満たせなかった者たちは、別種の訓練を受けるために、かの部門から〈灯光保全局〉へと引き渡される。この訓練を生き延びた者たちは、アストロノミカンの灯火を維持するためのサイキックパワーを供給する。
アストロノミカンとは、〈歪み〉を通過する航宙士(ナビゲイター)たちが宇宙船舶を安全に航行させるべく発される、サイキック的な信号灯である。
アストロノミカンを制御するには、最低でも一万人の異能者による精神波合唱が必要とされ、休み無くサイキックパワーを放射する過程で、彼らは急速に生命力を失い力尽きてゆく。
そのため、欠員を埋めるための要員が常に訓練され、尽きることなく供給されるのだ。

  • アデプトゥス・アドミニストラトゥム(帝国行政局)
スペースマリーン含む帝国の諸軍を管理すると当時に帝国臣民の生活管理を行う省庁。〈中央執務院〉の中でも最大の規模を誇る部門である。
その内部はさらに無数の下位組織に分割されている。この組織を構成する官僚の大部分は、自らの仕事がどのような大計画の一端を担っているのかを知らず(そもそもそのような概念を持たず)、また所属組織内の計画ですら知りえない。
彼らの仕事は彼らだけで完結しており、彼らにとって最も重要な関心事は、自らが生存を続けることだけなのだ。任務に対する理解などを必要とされておらず、深く理解しようとする姿勢を歓迎されることもない。
帝国防衛軍の兵士たちは「戦う人間1人につき、少なくとも12人の書記と2人の官僚がいて、誰からも必要とされない無意味な詳細データの記録作業に精を出している」と語っている。
また、彼らの仕事の一例としては〈帝国〉臣民の生活にまつわるすべての事柄を詳細な記録に留める。その仕事は記官〈スクライブ〉、文書技官〈レクスメカニク〉、記録官〈レコード・キーパー〉などによって行われる。
帝殿の大部分を占有するこの組織は、租税の査定と徴収、および〈帝国〉の財源やその他無数の機能を適正に分配する務めにも従事している。

  • アデプトゥス・アーバイツ(高等裁定局)
「帝国法務院」とも呼ばれる帝国警察。
詳しくは下記のアデプトゥス・アーバイツの項目を参考されたし。

  • アデプトゥス・カストード(皇帝近衛団)
皇帝の玉座と帝殿を護る近衛兵の軍団。
詳しくは下記のアデプトゥス・カストードの項目を参考されたし。

  • アデプトゥス・ミュニストルム(帝国兵務局)
帝国防衛軍(アストラ・ミリタルム)の召集を認可し、銀河全域に展開する帝国宇宙軍(インペリアル・ネイビー)の艦船と数百万の兵士に物資を行き渡らせるよう手配する省庁。

  • アデプトゥス・ミュニストルム(帝国宗務局)
アデプトゥス・ミュニストルムは、帝国唯一の国教である「インペリアル・カルト」(帝国正教)を管理する教会である。別名「宗務院」とも呼ばれている。

銀河中に司祭等を派遣し、帝国の掟と信仰心を維持している。ミュニストルムには下部組織として、アデプタ・ソロリタス(修道女院)があり、シスターズ・オブ・バトル呼ばれる女性のみで構成された軍事勢力を保有している。

【惑星総督】
各惑星には帝国の代理に惑星を治める貴族「惑星総督」が存在する。広大な帝国の領土を、1つの政府によって中央集権で管理するのは非効率かつ困難なので、代理となる総督によって各星系、および惑星が治められている。
惑星総督は帝国の代理人として政治を任せられ、政府への〈帝国租税〉支払いと戦時動員の義務を守りさえすれば、惑星の政治方針や生活の指針に関しては、惑星総督の自由に行うことができる。
ただし、有事、非常時には「異端審問官」及び「星域の長」の指示には従わなくてはいけない。
惑星によっては提督による封建制度の政治が執られていたり、中には議会政治が執られている惑星も存在したり、部族による氏族的な政治が執られている惑星も存在する。殆どの惑星では、民主主義、自由選択、そして個人の市民権のようなものが存在しない圧政下による政治がほとんどを占めている。
広大な領土を持つ帝国の惑星も地球から離れすぎると官僚機構のほころびからこぼれ落ちていとも簡単に秩序が失われることも少なくない。そこに〈渾沌〉や異端の邪教がはびこったり、惑星総督の独裁政治が敷かれるなどの反乱の芽が育つこともあるのだ。
惑星の領主が自由にできる分、大きな危険も伴うのも事実だろう。
殆どの惑星が惑星総督によって治められている場合があるが、少数ながらも直接「スペースマリーン」の戦団長が治めている「拠点惑星」や、帝国宗務局によって治められている「礼拝惑星」等の帝国の省庁が直接管轄する惑星も存在する。

〈帝国〉内に存在する無数の惑星は、〈帝国〉に対して〈帝国租税〉を支払う。〈帝国租税〉の内容はその惑星が所属する恒星系の資源に応じて変化する。
官僚達が惑星毎に算出した特産物や金融資産、食物、武器、鉱物、製造品、兵士、捕らえられた異能者(サイカー)などによって〈帝国租税〉は賄われている。
しかし、〈帝国租税〉の中でも必ず支払わなくてはならないものがある。それは異能力を持つ臣民、すなわち「異能者」(サイカ―)である。
〈人類の帝国〉内には異能者の数が年々増加しており、恩恵になりうると同時に危険な脅威ともなる異能者を管理しなければならない。
そのため、異能者の個人や集団を捕らえて〈黒き御船〉に乗せることも税の徴収の一環として必要になるのだ。

“我らが絶対的に信じられる力、それは皇帝陛下と、死のみである。”


皇帝

「愚かは汝よ。汝は渾沌を制したつもりで、その実、渾沌の奴隷となったに過ぎぬのだ。人が禍つ神々を従えることなどできぬ」


【概要】
〈人類の帝国〉を治めし君主。太古の時代の地球に空前絶後の強大なサイカー(超能力者)として生まれた。
皇帝はその本名や出自詳しく知られていないが、常人を超える能力を備え、戦士、君主、司令官、超能力者、技術者として神の如き才能を持つ。
更に、不和の時代で失われていた一部の技術に精通しており、何千年にもわたって人類史を陰ながら見守り、支え、救ってきたという。
画像出典:Genzoman氏によるファンアート「Warhammer - Emperor of Mankind」より
【地球統一戦争】
第23千年期(西暦22000年)頃から始まった〈不和の時代〉、地球は技術蛮族(テクノバーバリアン)と呼ばれる者たちに支配されていた。
彼らは残忍な略奪者であり、古代人類の技術や機械を用いて悪逆の限りを尽くしていた。
大規模な核戦争後、技術蛮族の各部族は、〈技術の時代〉の遺跡とテクノロジー巡って争っており、地球の各大陸の覇権を握っていたという。
そんな世紀末的な時代から数千年たった第29千年期(西暦28000年)末、人類の未来を憂いた皇帝は、地球を平定するための戦争に乗り出す。
後に〈地球統一戦争〉と呼ばれたこの戦争は、遺伝子を改造して肉体強化を行った兵士「サンダーウォリアー」を率いて、技術蛮族達との激戦が繰り広げられた。各大陸の技術蛮族を討伐した皇帝は、地球統一を果たす。
しかし、皇帝にとって地球統一は、通過点に過ぎなかった。
【新たなる計画】
皇帝は次なる計画のために自らを補佐する20人の超人将帥「総主長」(プライマーク)を作り上げた。しかし、計画の途中で20人の赤子であった総主長は渾沌の神々に誘拐され、天の川銀河の別々の場所へと飛ばされてしまった。
それでも皇帝は計画を止めようとせず、総主長の遺伝子情報を基に、自らを補佐する超人兵士「スペースマリーン」を作り上げることに成功する。
彼らは同じ超人兵士であるサンダーウォリアーよりも寿命が長く、臓器も強化されており、広い宇宙へと遠征するのに最適な兵士として開発された。
そして、1万人単位からなるスペースマリーンの軍隊である「兵団」(レギオン)を設立し、彼らは帝国の主力部隊として活躍することとなる。
その後皇帝は、火星の機械崇拝団と火星条約締結後に〈人類の帝国〉を建国し、遂に大いなる計画の準備が整った。
この時、銀河中に吹き荒れていた〈歪みの嵐〉は治まり、再び他の惑星へ星間移動ができる等になっていた。
【大征戦】
皇帝は天の川銀河を人類の手によって〈帝国〉のもとに統合する〈大征戦〉(グレードクルセイド)を開始する。
今から約一万年前の〈技術の時代〉に人類は、進出した多くの惑星にて異種族(ゼノ)による攻撃を受け、人類は異種族によって虐殺や支配を受けてしまう。
それに加え、天の川銀河〈歪みの嵐〉が発生し、星間移動が出来なくなってしまう。こうした状況で星々の政府は崩壊し、人類の文明は滅びの瀬戸際に立たされることとなった。
そんな中皇帝は、天の川銀河を再び人類の手によって再征服し、100万を超える星々を〈帝国〉のもとに統合するために立ち上がったのである。
皇帝の手によって作り出されたスペースマリーンにたちは、異種族が支配する惑星を次々と解放し、また帝国の威令に従わない惑星を討ち滅ぼした。
そんな中、皇帝は行方不明になっていた総主長たちと再会していった。彼らはそれぞれの惑星で育ち、その地の風土を受け継ぎつつ強靭な能力と精神力を備えていた。
そして、総主長たちは自分の遺伝子を基にしたスペースマリーン兵団をひとつづつ任されていった。スペースマリーン兵団は20存在し、各兵団は数十万人のスペースマリーンが所属する。
その圧倒的なスペースマリーンの兵力と総主長の統率によって、帝国は約200年の間に銀河の過半数を支配した。この時人類は絶頂期が再来したのだ。
【帝国公理】
皇帝の最終目的は、人類統一のみではない。最終的には〈渾沌の神々〉の呪縛から逃れることによる人類の繁栄である。
人類から迷妄を取り除くことが〈禍つ神々〉すなわち〈渾沌の神々〉の呪縛を逃れ、宗教や神にすがる思想や文化を捨てることが永遠の繁栄への道と信じていた。
〈渾沌の神々〉達は、人類の迷妄や悪夢、神への祈祷などからエネルギーを得て生きている。これら迷妄などのエネルギー源を元から絶つ事によって〈渾沌の神々〉から人類を護れると考えたのだ。
そのために彼が唱導したのが〈帝国公理〉、すなわち「論理」と「理性」のみが唯一信じるに足るべき思想であるという信念である。
〈帝国公理〉の名のもとに、あらゆる宗教と迷信は弾圧され滅ぼされた。
【網辻】
更に、〈渾沌の神々〉の影響から逃れるために、古代人が作ったワープ通路〈網辻〉(ウェブウェイ)を利用しようとしていた。現在人類が恒星間航行を行うには渾沌の領域である〈歪み〉と呼ばれる危険な空間を利用しなければならず、人類は渾沌の力に頼らなければいけない状況であった。
しかし、古代人が作ったとされる銀河に張り巡らされたワープ通路である〈網辻〉を利用すれば、〈歪み〉を経由しなくても恒星間航行が可能となる。
皇帝はこの〈網辻〉を人類が使えるようにするための秘密プロジェクトを実行しようとしていたが、総主長の一人である「赤のマグヌス」によってそのプロジェクトは失敗に終わった。
【大逆】
帝国が銀河統一を目前としたその時、最愛の息子でありスペースマリーンの兵団を統括する「ホルス」の反逆によって内戦が勃発。本拠地である地球にまで攻め込まれ、最後は一か八かのホルスとの一騎打ちに勝利した。
しかし、皇帝もホルスから致命傷の一撃を負ってしまい、皇帝は死にゆく骸と化してしまったのである。生命維持装置〈黄金の玉座〉に接続された皇帝は一命をとりとめたが、植物人間として生ける屍と化してしまう。
【皇帝玉座に座す】
もはや皇帝はその口で家臣に指示も出せず、その腕で剣すら振るえない体となっており、ほとんど死体と同じようなものとなってしまった。
皇帝が玉座に接続された後は皮肉なことに、新興のカルト教団によって皇帝自身が望まない宗教による神格化の対象としてあがめられ、人類の迷妄や狂信を加速させてしまうこととなる。
そして、自らが守護してきた臣民たち(サイカー)を今度は自分の体や魂を保つために毎日4000人"いけにえ"としてささげられているのである。
しかし、今も皇帝は身じろぎもせず〈黄金の玉座〉に座り、体が完全に動かなくなっても皇帝はその超絶の精神力とサイキックパワーによって渾沌の領域〈歪み〉で、宿敵である渾沌の神々に抗いながら銀河中の臣民たちを守護している。

帝国の国教


「皇帝陛下の偉業を見上げ、これを畏怖せよ!」


帝国には現在、2つの宗教が国教として公認されており、帝国臣民が救いを求めるための精神のよりどころとしている。
皇帝がまだ心身ともに動けていた時代では〈帝国公理〉と呼ばれる戒律に基づき、宗教活動や教団は弾圧の対象となっていた。
〈帝国公理〉によってあらゆる宗教や迷信は弾圧され、滅ぼされており、臣民は論理と理性のみが唯一信じるにたるものとされていた。
しかし、皇帝が〈ホルスの大逆〉にて致命傷を受けて黄金の玉座に接続された後に、弾圧したはずの宗教や迷信が復活して帝国臣民の精神性を蝕んでいってしまう。
そして、帝国は現在のような狂信的な神権国家へと姿を変えだのだ。

なお、崇められている当の本人である「皇帝」自身は宗教自体が大っ嫌いだったりする笑えない皮肉なオチが付いている。
画像出典:ウォーハンマー40K「ルールブック第8版」 P38イラストより

  • 「カルト・メカニカム(機械崇拝)」

万機神を讃えよ


【概要】
帝国における2大国教の1つ。宗教団体のカルト・メカニカス(機械崇拝団)によって宗教活動が行われている。
骸骨と歯車の印章がトレードマーク。大征戦の時代よりも前の〈不和の時代〉に生まれた。火星を総本山として「万機神」(オムニシア)と機械神の化身(ということになっている)である皇帝を崇拝する。
本来なら皇帝にとって宗教は潰すべきものとして嫌悪して弾圧しているが、どうしてもカルト・メカニクスの技術力や生産力が〈大征戦〉を遂行するのに必須だったので例外ではあるが受け入れている。
帝国の形式的な配下だが、事実上別の勢力すなわち人類帝国と永遠の同盟を結んだ独立集団として帝国に忠誠を尽くしている。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:スキタリ 第7版」(codex:Skitarii) P6イラストより

【機械崇拝の教理】
彼らの教理は機械であり知識で、知識がつまった機械は生命より大事としている。それ故に昔の人類の「科学技術」や「製造機械」などを神格化して機械を崇めているのだ。
要は、家電製品や乗り物、武器を有難く拝めて、動かなくなったらそれは「機械神への信仰が足りない」、「機械のメンテナンスが足りなくて機械精霊がお怒りになられている」と解釈される宗教である。

【信者の特徴】
機械神の下僕たる信者は、その体の一部及びほとんどを機械化してしまう。過酷な宇宙や惑星の環境に耐え抜くため、ひいては機械神〈オムニシア〉に近づくため自らの体を機械化改造するのである。
万機神は技術局における謎めいた信仰対象で、皇帝の神格化が一般的になっている現在でも技術局は万機神への崇敬を一切捨てていない。賢人達の中には、皇帝こそ万機神の化身であるという考え方すらあるのだ。
機械化した信徒「テックプリースト」をはじめとする機械崇拝の信徒は、松本零士作品の機械化人間を彷彿させるようなメカデザインが施されている。
信徒である「テックプリースト」は最初は設備の保守や生産管理などを行っていく。そして知識を増やして位階を上げることで段々保守作業や生産管理の業務から解放され、自由に知識の追求が行える。
知識の探求ができるようになった「テックプリースト」は神として崇めている「万機神」の考えを理解するために、銀河中に散らばっている「STCテンプレート」の収集や科学技術の研究を行うことを許されている。

【機械精霊】
彼らは万機神のほかにも機械精霊(マシーンスピリット)と呼ばれる精霊も大事に扱っている。
機械精霊は機械神が人類に授けたものであり、機械なら基本何にでも宿っていると信じられている。
自動的に動作する機械は全て「機械精霊のおかげで動いている」ことになっている。機械が調子が悪かったり思い通りに動かない場合はそこに住まう「機械精霊」に祈祷を行うのだ。
そのため、機械をむやみに改造したり改良すると機械精霊が破壊されてしまうと信じられているのだ。
つまり、科学技術の改良や発明は異端とされ、人類の技術は事実上発展せず、むしろ後退してしまっている。
【異端の所業たる人工知能】
更に機械崇拝では人工知能などの自らで考える機械は邪狡知能(アボミナブル・インテリジェンス)と呼ばれる異端とされ、
自立型の兵器やコンピューターは禁止されている。
禁止理由としては、古代人類の文明において「人工知能」が暴走して人間に反乱を起こしたことがあり、再び反乱を起こさないための措置である。
例外として機械精霊が住まうとされている古代の機械や、サービター(奉仕者)による生体機械、またはコジテーター(熟慮機)と呼ばれるコンピューターに関しては禁止の対象にならない。

これらの特徴を持つ機械崇拝によって人類のテクノロジー技術は衰退したといっても過言ではないが、その反面過酷な戦争を機械技術や製造面で下支えしているのも事実である。

  • 「帝国正教(インペリアル・カルト)」

“皇帝陛下の御力は人類の力であり、人類の力は皇帝陛下の御力そのものである。もしその一方が離反することがあれば、我々は道を失い、永遠の罪業を負うであろう”
セバスチャン・ソア説教集、第27巻、第62章より


【概要】
帝国における2大国教の1つ。キリスト教に似た特徴や文化を持っている。「帝国聖教」とも呼ばれる。
異常なまでに皇帝を崇拝し、「帝国宗務局」(帝国聖教会)と呼ばれる教会が主に帝国の掟と信仰心の維持、布教活動、管理を行う。

「帝国聖教会」(エクレシアーク)は神なりし皇帝陛下に対する信仰を確立し、「帝国信条集」(インペリアル・クリード)を布教する目的で設立された一枚岩の巨大組織であり、その厳格さで特に名高い。
帝国聖教会では「説教師」(プリーチャー)、「告解師」(コンフェッサー)、「宣教師」(ミショナリー)、「枢機卿」(カーディナル)といった聖職者の活動を通じて臣民の信仰心を管理し、それが正しく皇帝にのみ向けられるよう、緻密にコントロールしている。
また帝国聖教会は、〈信仰の戦い〉をおし進め、自宗の防衛に努めるいっぽうで、遠方の惑星に「銀河伝道団」(ミッショナルス・ギャラクシア)を派遣して聖教会首座の教えを広めるなど、さらなる布教活動にも余念がない。

なおこの組織は、 決して皇帝自身が公認した組織ではない。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:シスター・オヴ・バトル 第2版」(codex:Sisters of Battle) 表紙イラストより

熱き信仰心に、臆病風は吹かぬ。

【教団の誕生と歴史】
〈ホルスの大逆〉以後、皇帝自らが犠牲となって人類を守り、植物人間となって黄金の玉座に収められた以降、皇帝は崇拝の対象となった。
皇帝を讃え、神として崇拝する信仰が、またたくまに帝国全域に広がり、人類の惑星という惑星に幻視者(ヴィジョナリー)や預言者(プロフェット)が現れては皇帝陛下の教えを説き、やがてその教えを信ずる人々によっていくつもの教団が築かれていったのだ。

そして数多くの皇帝を崇拝するファンクラブ皇帝崇拝教団が統合されて一大勢力となったのが救世帝教団(テンプル・オヴ・セイヴィアー・エンペラー)と呼ばれる大教団である。
この大教団がM32頃には帝国の公認組織として認定され、宗教名を「帝国正教」とし、教団の名称は「帝国宗務局」及び「帝国正教会」(エレクシアーク)と改める。
宗務局の誕生以降、帝国正教の地位は機械崇拝以上の国教として確立し、もはや帝国正教の狂信を止められるものは誰も居なくなった。
M32の時代から帝国宗務局が台頭し、宗務局の局長が「帝国至高卿」として政治にも介入するようになる。帝国は狂信的な神権国家としての道を歩み始めたのだ。

後に〈背教の時代〉にて、帝国宗務局とヴァンダイアによる強権政治、〈血のくびき〉が起こされる。ヴァンダイアによる強権政治が終焉を迎えた後に、帝国宗務局の権限は大幅に縮小された。
これに加え、帝国宗務局による狂信的な宗教活動によって、内戦や権力闘争、腐敗をもたらされることとなり、更に帝国の衰退を加速させることとなる。

M41の現在においては、帝国宗務局と帝国正教は存続しており、その影響力は8千年の歴史を持つ今でも強大なものとなっている。

【信者の特徴】
皇帝がとにかく好きで好きでたまらない熱狂的なファン信者であり、皇帝に対して疑いすら持ったら処刑されるほどの異常な個人崇拝が特徴。それに加えて、異端者をあぶりだすための過剰な信者同士の「相互監視」を行っている。
信者たちは「帝国信条集」(インペリアル・クリード)と呼ばれる聖書を基にして、日々宗教活動を実践している。

この帝国信条集に反する行動を行う、もしくはそれにあたると疑われた行動はすぐに「大逆的思想」とされ、被疑者は「異端者」の容疑で「宗務局」や「異端審問官」に密告や告知がされるのだ。
そして、異端者の疑いがかかった者に対しては、「宗務局」や「異端審問局」によってすぐに拷問が執り行われる。ここで被疑者は「皇帝陛下に対する忠義」つまり、拷問もしくは死をもってその信仰心を示さなければならないのである。
信者たちは常に自分たちが異端者扱いされないように、日々細心の注意を払いつつ、誰が異端者であるかを監視しつつ生活を行っているのだ。何故なら、下手をすれば自分が「異端者扱い」を受けるからである。

見つかった背教者や異端者に対しては、皇帝陛下の名の下に地獄のような拷問と死という裁きが待っている。
信者は「狂信」か「死」のみしか選択肢はないのだ。

【「帝国信条集」(インペリアル・クリード)】
帝国聖教会の教義の集大成ともいうべき「帝国信条集」(インペリアル・クリード)。この書の解釈は自由度が高く、聖教会首座自身はもちろん、一介の教区説教師にすら独自の解釈が許されている。
それゆえ「宗務局」内部にも、いくつかの戒律や信仰嘆願の文言解釈をめぐって、考えの異なる学派が存在しているほどだ。そうした諸学派同士の意見の相違はまったく折り合いがつかず、しばしば聖教会首座の公式見解とも対立する。
だからといって、その学派がただちに異端とみなされることもない。現在では、よほどの奇説でも唱えないかぎり、異端の烙印を押されることはまずないのだ。
そもそも、意見の対立といっても些細な内容が大半であり、典礼の作法、聖堂の設計、建築様式といった事柄に終始する。
一般臣民には取るに足りないこととしか思えない細かな事柄や、あまりに難解で何のことやらわけのわからない問題を巡って、中央聖庁の会議が何週間も紛糾するというのは、決して珍しいことではないのだ。

とはいえ、健全かつ建設的な議論と異端との間には、おのずと明確な線が引かれている。帝国聖教会の長い歴史をひも解けば、そうした一線をあえて踏み越える個人や宗派だけでなく、欺かれているとも知らずに渾沌(ケイオス)の暗黒神らを崇める愚か者といった、明らかな異端者も存在する。
むろん、こういった明らかな邪徒の罪悪については、もはや議論の余地すらないので、すべからく極刑に処すべし、とされている。皇帝と人類に対する裏切りは見過ごせない重罪であり、そのような裏切り者を野放しにすれば帝国の将来に不安を残すからだ。
しかし、すべての異端者が最初から露骨な振る舞いに出るわけではない。
神の定めた道を踏み外す外道の大部分は、一足飛びにではなく、小さな過ちを積み重ねた末に、やがて大きな罪を犯すものだ。異端は、帝国聖教会に対する疑いが芽生えるところから始まる。やがてその者は、皇帝と人類のためにつくすという本分をないがしろにし、利己心を優先させるようになるのだ。
こうなると、聖教会首座の布告にさえ従わぬことすらあるだろう。この利己心が次第に肥大し、ついには反体制的な行動に手を染めるようになるのだ。
つまりは、自らの身勝手で矮小な思惑のためだけに、帝国の組織をねじ曲げ、腐敗させようとするのである。異端の徒に赦しなど不要。度を越した逸脱に対しては、極刑をもってのぞむほかない。異なるのは、痛みなく一瞬で死ぬか、それとも、穢けがれた魂を浄化するべく苦痛に満ちた死を味わうかだけだ。
むろん、異端者にほんのわずかでも同情心を示してはならない。そんなことをすれば、たちまち周囲の者から眉をひそめられ、自分自身が破滅の道をたどることになろう。今日、人類の〈帝国〉が存続できるのは、敬虔なる臣民たちが常日頃から異端の兆候に目を光らせてきたからに他ならない。臣民の助力がなければ、人類はみずからの手で混乱と滅亡をまねき寄せていたことだろう。

【聖地巡礼】
帝国には数多くの聖地が残っている。総主長「グィリマン」がかつて眠っていた惑星マクラーグ「総主長霊廟」をはじめとした聖人たちゆかりの地が数多くの惑星や寺院に存在する。
それらの聖地をめぐっていく信者たちは巡礼者(ピルグリム)と呼ばれ、聖人たちの足跡や想いをはせていくのだ。

そして信者らは帝国正教の聖地である地球(テラ)へと巡礼することが信者としての最大目標の一つとなっている。何故ならそこには、崇拝すべき神である〈皇帝〉がそこに座しているからだ。
その夢は決して簡単ではない。地球に訪れるだけでも旅行気分ではいけない大金がかかり、遠い惑星ならなおさら難しい。
神聖なる地球の地表を踏むだけでも〈帝国〉の臣民の大半には一生かなえることのできない高望みな夢なのである。

【礼拝芸術】
信者の礼拝芸術にはイコン(聖像)と呼ばれる概念が求められる。祈祷、聖句、聖歌、建築などありとあらゆる聖なるデザインや言葉自体がイコンとなる。
その為、帝国正教が建てた建築物や身に着ける衣服、それに関連する兵器などには必ずイコンが刻まれているのだ。

帝国の国力や臣民の精神面を大きく衰退させた原因の一つでもあるが、狂信的な皇帝の神格化が帝国の臣民の精神のよりどころになっていることも否定できない。

事実とは、認識を縛る鎖にして真実を拘束する枷。恐れを知り、かつ心を曇らす事実を知らぬ者こそが、この世界を再建できるのだ。

ワープ空間の航海

【概要】
西暦40,000年すなわち第41千年紀の宇宙は人類にとって恐るべき脅威に満ちている。アエルダリやオルク、ティラニッドといった異種族たちに抵抗するためには、どうしても星間文明の成立が必須となる。
しかし、これを成り立たせるにはには光速を超える速さで恒星間を移動する技術が必要となる。 これらの諸問題は〈歪み〉(ワープ)空間の存在によって解決した。

〈歪み〉(ワープ)空間とは我々の住むこの物質宇宙に並行して存在するもう一つの宇宙のことだ。この並行宇宙は渦巻くエネルギーと意識体のみで構成されており、物質宇宙のあらゆる生物の精神は何らかの形で〈歪み〉(ワープ)空間とつながっている。
生物の精神は〈歪み〉空間、あるいはそこに住まう意識体と相互に影響を与え合っているのだ。
〈歪み〉空間では時空の概念は意味を為さない。ワープエンジンを装備した宇宙船は物質宇宙と〈歪み〉空間を隔てる障壁を突き破り、通常の時間の流れから自らを切り離す事が可能となる。
こうした方法によって宇宙船は何億何万キロという距離を短時間で行き来することができるのだ。 しかし、〈歪み〉による航海は決して、目的地に一瞬で着く安全な旅ではない。
〈歪み〉空間を通ったとしても移動にはそれなりの時間を必要とし、宇宙船の乗員が〈歪み〉空間内で一ヶ月過ごしたと感じている間に、物質宇宙では半年から数年過ぎていること珍しくはない。
結果として、増援の要請を受けて到着した艦隊があまりにも遅く到着してしまったという事態が時に起こり、事態の混乱に拍車がかかることになる。

さらに、〈歪み〉空間の中を航海するのも容易な事ではない。四、五光年くらいの距離ならある程度正確なワープジャンプは可能だが、それ以上の距離を移動するには〈歪み〉空間自体を航行することが必要になる。
ワープはあたかも大洋のごとく流動しており、通常の手段では進むべき方向を定めるのはほぼ不可能となっている。
帝国の場合は〈航宙士〉(ナビゲイター)と呼ばれる特殊なサイカー達だけが、"第三の目"によって発揮される超能力により〈歪み〉の流れを見極め、宇宙船を目的地まで導くことを可能としている。
しかし、ナビゲーターたちも指標となるものが必要となっている。そのために皇帝が作り出したのが〈星辰波〉(アストロノミカン)と呼ばれる極めて強力な超能力によるサイキックビーコンである。
〈航宙士〉(ナビゲイター)はアストロノミカンを"感じ取り"、宇宙船の進むべき方向を定めることができる。これに加えて、各地に配所されたより小規模なビーコンなどが”宇宙船にとって灯台”の役割を果たしてくれるのだ。

帝国の諸軍

皇帝陛下の御慈悲。そは許しにあらず、忘却にあらず。ただ受け入れることにあり、だ。

画像出典:ウォーハンマー40Kキャンペーンブック「Imperium Nihilus Vigilus Defiant」より

【概要】
この過酷な銀河で、軍事力なしに帝国が統一を保つことなど不可能だ。まして現在は、戦争と戦士の時代である。強者と無慈悲なる者以外には、生き延びるチャンスすら与えられない。
宇宙を焦がす戦火がやむことはなく、帝国は幾千万人もの死の上に、かろうじて命脈を保っている。だが、四方から攻め寄せる敵どもの勢いが衰える気配などまったくない。
いよいよ、帝国の存亡を賭けた総力戦に討って出るべきときが到来したのだ。聞け。銀河には剣戟の音が響き、巨砲のうなりが轟きわたる。帝国を守る皇帝の戦士たちには、敵に情けをかけることも、また弱音を吐くことも許されない。
つかのまの休息すらないまま、いつ終わるとも知れない戦争を戦い抜かねばならぬのだ。

帝国には様々な軍事組織が存在し、主戦力である〈戦闘者〉こと「スペースマリーン」や、一般人による軍隊「アストラ・ミリタルム」、反逆者をあぶりだす秘密警察である「異端審問官」、皇帝の玉座を守護する近衛部隊などなど、その種類や役割は多岐にわたる。
【ゲーム上の特徴】
ルールによっては同じ帝国諸軍やスペースマリーンと一緒にアーミーが編成可能となっている。

  • スペースマリーン(アデプタス・アスタルテス)
「For the Emperor !!」(皇帝陛下の為に!!)

画像出典:ウォーハンマー40Kボックスセット「ダーク・インペリウム」(DARK IMPERIUM)ボックスアートより

【概要】
「戦闘者」とも呼ばれる遺伝子改造を施された超人兵士。ウォーハンマー40000を代表するキャラで主人公ポジ。
スペースマリーンは数多くある帝国の戦闘部隊のうち、もっともポピュラーな部隊で帝国の主力部隊。射撃から格闘までそつなくこなす万能の兵士。
万能の能力を持つ「皇帝陛下」の遺伝子が体に組み込まれており、身の丈2mを超える。


  • アストラ・ミリタルム
「銀河の運命を決するのは、ひと握りの勇者たちではない。幾百万の名もなき兵士たちなのだ。」


【概要】
一般人による軍。またの名を「帝国防衛軍」、「インペリアルガード」とも呼ばれている。
スペースマリーンは確かに人類最強の兵であるが、その数は「帝国」の領域全てをカバーするにはあまりに少ない為に足りない分を補うために設立された。
広大な帝国の各惑星から輩出された志願兵たちが部隊の中心となっており、多くの部隊から構成されている各連隊(レジメント)は政治将校(コミッサー)によって率いられている。

【ゲーム上の特徴】
兵員を多く投入できるように設定されており、個別の能力は貧弱なものの総兵力で敵を圧倒できるようになっている。
また、戦車や自走砲、航空機なども用意されており、人で壁を構成して戦線を構築し、その後方から強力な火砲で敵に打撃を与える戦い方が基本となる。
ミニチュアの数をそろえないといけない故に、リアルでプレイヤーのお財布が寒くなりがち(コストがかかる)なのでそろえるのは難しい。
画像出典:ウォーハンマー40K 第8版「ルールブック」P69より

【兵士の規模】
帝国領内の多種多様な惑星で徴募される兵士の数は、億の単位をもはるかに超え、彼らによって構成される連隊の数は、数十万を数える。
帝国に属する各惑星は、アストラ・ミリタルムに兵員を供出することを義務づけられている。彼らは星の海を渡って、皇帝の御名の下、苛烈をきわめる戦場へと投入されるのだ。

連隊の編成はまさに千差万別。よく訓練された歩兵や威風堂々たる騎兵をはじめ、戦車と火砲だけで構成された機甲部隊はもちろんのこと、巨獣のような超重戦車や、それをも上回る移動要塞キャピトル・インペリアリスを擁する連隊すら存在する。
個々の兵士の能力と武装の性能は低いが、銀河系最大の兵員を持つ。

【戦術】
その戦術、作戦、戦略の思想はただひとつ。物量の過剰投入による圧殺である。
戦線を安価で低性能な装備を持たせた一般人兵士を大量に配備して肉の壁で作り、後方から強力な戦車や迫撃砲などの火力の高い兵器で敵に打撃を与える。

弾丸>兵士なので兵士の命は軽く見られ、逆に弾丸の無駄は決して許されない。
そのためには政治委員や従軍神官の投入、略式処刑による恐怖統率も辞さない。
兵士を万単位で消費することに呵責を覚えないのが司令官の素質である。
正に旧日本軍やブラック企業も真っ青のブラック軍隊と言っても過言ではない。

【主要キャラクター】
  • 「政治将校ヤーリック」
オルク殲滅に命を燃やす老兵の政治将校(コミッサー)。本名は「セバスティアン・ヤーリック」。
腕などの体は義肢などに改造され、右手は敵オルクから引きちぎって奪ったロボットアーム、左目に光線を出す義眼、さらにバリアまで使うトンデモ改造が施されている。

若い時ころからオルクの襲撃に度々遭遇し、戦ってきている。兵士の時代に数々の罠を仕掛けてオルクを屠ってきた。
彼の独創的な戦術に感銘を受けた軍は、「政治将校団」の候補生として迎え入れられて政治将校として活躍する。
彼は戦いの中、オルクの文化や言語を研究しオルクに対する有効な戦術で数多くの戦いを勝ち抜いていく。

惑星「アルマゲドン」で起こった「第三次アルマゲドン戦争」でヤーリックはさらなる頭角を現すこととなる。
いくさ頭「ガズグッカル」率いる圧倒的な数のオルクの軍勢に対しヤーリックは、圧倒的に不利な状況の中優れた戦術を持って防衛線を勝ち抜いた。

その後はアルマゲドンの英雄として、同惑星下の連隊「スティールレギオン」を率いてオルクとの終わりなき戦いに身を投じている

【主な連隊(レジメント)、部隊】
  • ケイディア連隊 「ショックトルーパー」
渾沌の軍勢の本拠地「恐怖の眼」を不断の監視を持って警戒する要塞惑星「ケイディア」の連隊。
惑星は臣民皆兵制が採用しており、出生率から死亡率を差し引いた数字と徴兵率がほぼ一致している。
アストラ・ミリタルムの中で一番ポピュラーな部隊。

  • カタチアン連隊 「ジャングルファイター」
帝国でも屈指の危険さを誇る死の密林惑星「カタチアン」出身の連隊。見た目はランボーっぽいタンクトップ兵士。
常に死と隣り合わせの惑星で生き抜いたタフさとジャングル戦闘に特化した戦力が特徴。
彼らの着ているタンクトップは防弾性のある特別品。

  • モルディアン連隊 「アイアンガード」
惑星「モルディアン」出身の厳格な秩序に沿って戦う連隊。綺羅びやかで装飾的な軍服に身を包み戦場に赴く。
連隊旗の誇りを胸に与えられた命令を一語一句違わず、忠実に、且つ一切の躊躇も疑念も抱かずに実行する正確性で名高い。

  • タラーン連隊 「デサートライダー」
砂漠惑星「タラーン」出身の連隊。見た目は中東の兵士。
ゲリラ戦術を得意とする俊敏な戦士であり、戦車を駆使する機甲戦闘の名手である。
一発の威力が強力でヒット・アンド・アウェイに適しているプラズマ兵器とミサイル兵器を好んで使用する。

  • ヴォストロヤ連隊「ファーストボーン」
工業惑星「ヴォストロヤ」出身の者達で構成された連隊。見た目はソ連兵のような軍服を着ており、身体の機械化手術を行っている兵が多い。
惑星が遥か昔に起こした失態の釈免のため、向こう一万年間の間ヴォストロヤに暮らす全家庭は貴賎問わず長男を帝国防衛軍として供出している。
皇帝陛下の恩義に報いるためと連隊の士気は極めて高く、その勇気と意志力、屈強さはスペースマリーンに勝るとも劣らない。

  • アルマゲドン連隊 「スティールレギオン」
過密惑星にして帝国随一の工業生産力を有する惑星「アルマゲドン」出身の連隊。
物資の困窮著しい帝国軍の中にあって珍しくも完全機械化を成し遂げている。

  • ヴァルハラ連隊 「アイスウォーリアー」
極寒の氷結惑星「ヴァルハラ」出身の連隊。どんなに小さな罪であっても死罪を宣告されてしまうほどに彼らの命は安い。
野砲部隊による大規模は曲射砲撃とそれに続く歩兵による波状攻撃を得意とする。
弾の補充より人の補充のほうがしやすい過酷な連隊。

  • アッティラ連隊 「ラフライダー」
惑星「アッティラ」出身の騎兵連隊。機械兵器が一般的な遠未来の宇宙戦争にもかかわらず、サラブレット等の馬に騎乗して戦う。

  • クリーグ連隊 「デスコーア」
帝国に反旗を翻し、500年に渡る反乱戦争を起こした惑星「クリーグ」出身の連隊。
懲罰のために核を落とされ惑星は焦土化、住民は皆罪人として末代までの贖罪という宿命を背負う事になってしまう。
持久戦と塹壕戦を得意としており、彼らの包囲技術の高さは銀河全域に知れ渡っている。

  • エリシア連隊 「ドロップトループ」
惑星「エリシア」出身の連隊。精強で知られるエリシア空挺連隊を持つ。
高度からの着地を可能とする「グラブシュート」と呼ばれる装置を背負って降下する。

  • ヴェントリリアン連隊 「ヴェントリリアン・ノーブルス」
富裕惑星「ヴェントリリアン」出身の連隊。ヴェントリリアンは貴重な宝石の産地であり、惑星自体が非常に富んでいる。
産出される宝石はメカニクスにとって製造と研究の両分野で重宝する為、それと引き換えに協力な重戦車が多数供与されている。
ラスガンによる射撃と近接戦闘を得意とする。

  • 「ミリタルム・テンペストゥス」(特務機動部)
帝国防衛軍の一員であるにも関わらず自由な作戦行動を許された少数精鋭のエリート部隊。「冷酷なる殺人機械」、「嵐の寵児」の異名を持つ。
孤児となった帝国貴族の子弟であり、幼少より厳格な教育を施され皇帝陛下への奉仕を他の何よりも優先されるよう訓練される。
肉体的にも精神的にも人類が満たしうる最高の条件を備え、帝国防衛軍の中でも最高の装備に身を包んで戦う。

  • インクイジション(異端審問局)
浄め、除き、殺せ!!


基本カラー:局によって異なる

【概要】
インクィジター(異端審問官)が帝国内部の背信者をあぶり出し、取り締まるための秘密警察のような組織。
皇帝陛下直属の組織で、アデプタス・アスタルテス(スペースマリーン)や帝国の諸組織よりも位が高い役職。彼らが主と仰ぐはただ一人、神なる皇帝陛下のみ。故に彼らに命令できる者は少ない。
主に異端審問はインペリアル・エージェントが行い、異種族の陰謀、あらゆる腐敗、突然変異、異端、異教徒、邪悪なサイカー等、〈帝国〉の中で〈異端審問局〉が精査に値すると思われる人、物、場所において、あらゆる脅威を調査する権限を持つ。

インクィジターには狂気の中でも強き心を保てるほどの、徹底的な現実主義が要求される。その本質は無慈悲でかつ冷徹。もはや人間性のかけらすらない。
高圧的で疑いがかかった者に対しては味方であろうが情け容赦無く、過酷な拷問を行う。
渾沌や異種族で穢れてどうしようもない場合は敵味方ごと惑星を焼き払う無慈悲な制裁「究極浄化」(エクスタルミナトゥス)を発令し、惑星のすべての生命を皆殺しにする。

しかし、インクィジターの中にも良心の呵責を覚える者もおり、法の正義と情の正義で板挟みになって苦悩するものも少なくない。

【ゲーム上の特徴】
帝国に所属する様々なアーミーを同盟軍に迎えられる。更に強力な暗殺能力を持つアサシンも制限付きで参戦可能。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:インペリアルエージェント第7版」(codex:Imperial Agents) 表紙イラストより

【宗団】
異端審問局は「粛清の団」、「純血の団」、「鉄槌の団」の3つの宗団とその他の宗団が中心となって構成されている。

【オルド・マジョリス】
  • 粛清の団」(オルド・ヘレティカス)
国内の異端者、反逆者の調査、発見、掃討することを目的とする宗団。
帝国臣民がミュータントや異能者など帝国に対する脅威になることを未然に防ぐのも彼らの仕事である。
「シスターズ・オブ・バトル」を率いて戦いに参加することが多い。

  • 純血の団」(オルド・ゼノス)
人類の脅威となるゼノ(異種族)の探索、研究、殲滅を任務とする宗団。
異種族掃討を専門としたスペースマリーンの特殊部隊「デスウォッチ」を率いることが多い。

  • 鉄槌の団」(オルド・マレウス)
渾沌の悪魔「ケイオス」に関して調査及び悪魔狩りを行う宗団。
非常事態においては、帝国の全勢力(スペースマリーン含む)を一時的に指揮下に加えれる「マレウス・リミット」(鉄槌の権限)と呼ばれる権利を行使することが出来る。
その他、ケイオスディーモン討伐専門のスペースマリーン戦団「グレイナイト」を管轄している。

【オルド・マイノリス】
  • 埋葬の団」(オルド・セプルトゥルム)
〈恐怖の眼〉の周りで活動を行い異端に起因する不死疫病(ゾンビ・プレーグ)の蔓延に対して編成され、現在では〈歪み〉から生まれた無数の悪疫の発生を調査し、隔離し、対処している。

  • 尚書の団」(オルド・スクリプトルム)
〈帝国〉の公式及び非公式記録、声明、そして〈帝国〉内のおびただしい記録機関に関する、書記官同士の対立によって勃発する散発的な紛争、いわゆる〈羽根の戦争〉(ウォーズ・オヴ・ザ・クイル)を取り締まっている。

  • 時限の団」(オルド・クロノス)
時系列的に起こりえぬ/存在しえぬはずの実体を容赦なく探し出し、それらを葬り去ることで〈歪み〉を経由した航行のもたらす異常を抑制する。

  • 封邪の団」(オルド・マレディクタム)
〈大亀裂〉を退け、完全に封印するためのあらゆる手段を模索している。

  • 亡躰の団」(オルド・ネクロス)
〈帝国〉のいかなる文書にも明記されていない命令を実行するために動く。

  • 警衛の団」(オルド・ヴィジルス)
純粋にオルド・ネクロスを監視するために組織されている。

【派閥争い】
異端審問庁では2つの派閥が争いあっており、急進派(ラディカル)と保守派(ピューリタン)による紛争が続いている。
異種族由来の技術や考えを取り入れようとする急進派(ラディカル)と、人類由来の技術と帝国正教の教えにしたがって行動する保守派(ピューリタン)の派閥に分かれており、ひどい場合には戦争になることもある。

【主要キャラクター】
  • 「アイゼンホーン」
伝説的な活躍を見せる異端審問官。本名は「グレゴール・アイゼンボーン」で、彼は帝国の忠実な信奉者とも、あるいは信用ならぬ流れ者ともみなされているが、いずれにせよ強力な戦士であることは間違いない。
帝国の諸国を旅し、潜入捜査を行って政治家や官僚に化けた悪魔や妖術師を多く処刑している40K版水戸黄門
24歳の若さで異端審問官に任命され、延命手術を受けながら長きにわたって帝国の隠れた敵たちと戦ってきた。
ある事件により拷問を受け後遺症によって笑顔を作れなくなってしまう悲しき過去を持つ。
サイキックの能力を持ち、サイキック用の杖、カスタマイズされたボルトピストル、折り畳み可能な剣を携え、潜入捜査を行う。

そのラジカルな思考と高い行動力とカリスマ的な指揮能力で多くの異端者に裁きを下した実績を持つが、時折それらの行動が保守派の審問官から厳しい視線を向けられることもある。

  • 「グレイファックス」
〈粛清の団〉所属の異端審問官。本名は「カタリナ・グレイファックス」。仕事熱心な典型的なシリアスキャラ。たまにデレることもある。
彼女の中に良心の呵責や情けはない。彼女が異教徒とする者を全て執行するのみ。
彼女はネクロン族のニヒラーク王朝を治めていた「トラザイン」に捕まえり、コレクションの一部として保存されていた。
しかし、トライザンがコレクションの数々をケイディアに解き放つと同時に解放され、「第十三次黒き征戦」に巻き込まれながらも激戦を戦い抜く。
その後は、〈粛清の団〉に帰還し、異端審問官としての聖務を再び全うする。

余談だが、名前は「グレイフォックス」ではない。正しくは「グレイファックス」だ。一文字間違えるだけで某潜入ゲームの某キャラになっしまうので注意。

  • 「フョードル・カラマーゾフ」

「私の審問で無罪の嘆願のようなものは無い。無罪の嘆願は私の時間を無駄にするだけで有罪だ。」

〈粛清の団〉所属の異端審問官。異端審問局の何たるかを体現したみんな大好きパワハライカレジジイ。
2足歩行で歩く介護用椅子型ロボット〈裁きの玉座〉に座して従者たちを指揮しながら異端者に裁きを執行する。
冷酷無比な彼の妥協なき無慈悲さを備え、およそ二世紀にもおよぶ経歴の中で銀河系の異端者を裁き続けた。
マルチメルタやパワーソード、あるいは衛星軌道砲撃誘導装置などを駆使し、異端審問官カラマーゾフは皇帝陛下の敵をいささかのためらいも慈悲もなく抹殺するのだ。
今日も"歩く大聖堂"に座しながら皇帝陛下に代わって正義の鉄槌を下す。

余談だが、元ネタは「フョードル・ドストエフスキー」氏の異端審問を取り上げた小説「カラマーゾフの兄弟」から取っている。

  • グレイナイト


至高騎士団長: カルドール・ドライゴ
ホームワールド(拠点惑星):衛星タイタン
コデックスの採用:なし
基本カラー:グレー
【概要】
対ケイオス(渾沌)専門に創設されたインクイジターの一部門「鉄槌の団」(オルド・マレウス)直属のスペースマリーン戦団。通称ディーモンハンター。
創設には重大な秘密があり、それゆえに人類に対しても存在を知られてはならない第666番目の戦団番号を持つ鈍色の騎士。
ディーモン狩りに特化しており、帝国内でも秘密裏にケイオスディーモンを狩り続けている。

画像出典:Erasmus Brosdau氏によるファンアートムービ「The Lord Inquisitor - Prologue」公式Facebookより

  • アデプタ・ソロリタス(シスターオヴバトル)

背教者らは、救済の炎を切望している。彼らは何も恐れる必要などないのだ。我らがその炎をもたらすのだから

〈神聖薔薇修道会〉のカノネス「ジョスメイン」


基本カラー:ブラック
【概要】
皇帝の崇拝を行うアデプトゥス・ミニストゥルム(帝国宗務局)所属の女性だけで構成されたシスター部隊。「修道聖女会」とも呼ばれている。皇帝大好きクラブの追っかけ狂信者集団。
帝国正教を信仰しており、皇帝の讃美を行うと同時に聖遺物の守護、皇帝に逆らう反逆者の抹殺にあたる。
元は皇帝を崇拝する女性だけのカルト教団「皇帝陛下の息女」(ドーター・オヴ・ジ・エンペラー)という武装した宗教組織であったが、第36千年紀において至高卿ヴァンダイアにより、帝国の正式な宗教軍事組織として認められる。
その後は帝国正教会がヴァンダイアを中心として圧政や暴虐を強いた経緯があったために、教会は武装した人間(man)を持つ事を禁止されたが、「武装した女性達」(woman)は問題無しと解釈し、修道女のみで構成された戦闘部隊として再編成された。

幼いころから皇帝を崇拝するよう育てられている。戦闘となると専用のパワーアーマーを身にまとい、敵を容赦なく叩きのめす。
バトルシスターズは精鋭としての訓練を施されているだけでなく、帝国内でも上位の装備の数々を用いて戦うことが許可されている。

画像出典:ウォーハンマー40K 第8版「チャプター・アプルーブド2018」P68より


  • アデプトゥス・カストード(皇帝近衛団)
半神なる黄金兵団


近衛大将(キャプテン・ジェネラル):トラヤン・ヴァロリス
基本カラー:ゴールド

【概要】
皇帝陛下の近衛部隊(タロン・オヴ・エンペラー)。通称カストーディアン。皇帝の遺伝種子を宿した人造人間であり、スペースマリーンよりも強力な戦闘力を持っている。
彼らは戦士であると同時に統治者、外交官、歴史家にして哲学者であり、まさしく陛下の血筋を継ぐものとしてふさわしき実力を持つ。
カストーディアンは「異端審問官」や「スペースマリーン」よりも高い役職で、帝国の命令系統の外にあるために直接指示を出せるのは皇帝陛下のみとなっている。その為、彼らに対しては皇帝陛下同様に跪く位だ。
皇帝陛下の遺伝子を分け与えられた者たちの内、「カストーディアン・ガード」と「シスター・オブ・サイレンス」のみが帝殿にある「皇帝の玉座の間」に入ることができる。
【ゲーム上の特徴】
スペースマリーンよりも高コスト、高性能な上級向けアーミー。
3人編成1ユニットでの白兵戦で約10人のケイオススペースマリーンを打ち負かす驚異の高スペック。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:アデプトゥス・カストード第8版」(codex:ADEPTUS CUSTODES) P34,P35より
【兵団の特徴】
近衛兵団はスペースマリーンのような強化人間とは異なり、遺伝子操作されたデザインドヒューマン(人造人間)として製造される。
スペースマリーンよりも遺伝子改造が複雑でかつ困難を極め、禁断の技術へのアクセスを利用して作り上げられる。選び抜かれた一握りの人材を極限まで鍛え上げられているので兵団は1万人と少ない。
更に渾沌への誘惑に対する耐性も高いが、自由な意思を持ち合わせていない致命的な欠点を持つ。
装備している黄金のパワーアーマーも「オーラマイト」という超希少な金属で作られ聖別された特注品で、装備している兵器も帝国内でも最上位の装備を揃えている。
【戦闘教条】
基本的はテラに座す皇帝陛下の守護が最優先される。通常は本拠地の地球にある帝殿の護衛や太陽系周辺の警護を行っているが、戦況が激しくなる状況に対抗するために遠くの惑星や星系へ行くこともある。
カストーディアンにはスペースマリーンの戦団のような「シールドホスト」、「シールドカンパニー」と呼ばれる小さな組織が多数存在し、それぞれ異なる特殊な役割や聖務を持って行動している。
【「シスター・オブ・サイレンス」〈沈黙の姉妹団〉】
また、姉妹の部隊として女性だけの近衛部隊「シスター・オブ・サイレンス」〈沈黙の姉妹団〉と呼ばれる対サイカー用特殊部隊も配備されている。
その名が示す通り、彼女らは頑なに沈黙を貫いている。しかし彼女らに発話能力がないわけではなく、彼女らは皇帝陛下御自らに沈黙の誓いを立てているのである。
彼女らはその身から溢れ出る超自然的なオーラによって敵の精神を撹乱し、〈歪み〉のエネルギーを引き出すことを困難にする。そのため彼女らにはサイキックがほとんど効かないのだ。
通常の人間にとってさえこれらの〈空白〉は不安感を感じさせ、魂をきしませる。サイカーにとっては真の恐怖である。

彼女たちは通常は帝殿の護衛に当たっているが、いざとなると各地で帝国の軍勢に援軍として馳せ参ずる。
彼女らの帯びるウンブラ型ボルトガンやフレイマー、エクスキューショナー・グレイトブレイドで皇帝の物言わぬ憤怒として敵を打ち倒す。

【主なシールドカンパニー】
・アクィランシールド
地球や帝殿、皇帝にとって安全保障上重要と思われる者の前に突然現れ警護を行うカストーデスの非公式組織。帝国や皇帝のためならば例え逆賊や異種族も助けてしまう。
警護する対象が、皇帝や地球の安全と関係無くなった途端、姿を消す。そのため、警護から離れた者はよく悲劇に見舞われてしまうのだ。
しかし、彼らはそんなことを気にも留めないで黙々と次の警護対象を護衛へと向かう。

・シャドウキーパー
皇帝が座する帝殿奥深くに封印された危険物を守護する組織。「ダークセル」と呼ばれる国家機密の遺物を守っており、その中には一度露見すれば帝国が瓦解しかねない真実、遺物等々が封印されているという。
彼らは一万年にも渡り国家機密である「ダークセル」を守護している。帝殿の下に隠された入口のルーンロックの鍵を持っているのは彼らだけだ。
銀河を引き裂く歪みの亀裂「グレート・リフト」が発生した際に、幾つかの秘匿室の「ダークセル」が空になっていることが判明。
彼らは封印された国家機密を取り戻すために銀河を転戦している。
カストーディアン版ダークエンジェルとか言ってはいけない。

・ドレッドホスト
皇帝の激怒を体現せし攻撃特化組織。テラへの脅威と見做される敵に向けて解き放たれ、その目標を完全に抹殺するまで攻撃を続ける。
帝殿にある本拠地には超巨大な鷲の像が500体設置され、内蔵された各種観測装置を使用し、広域からの情報を元に次なるターゲットを選別している。
正に帝国の鷹の目ともいうべき組織である。

・ソーラーウォッチ
太陽系全域を守護する警護組織。太陽系周辺を地球の防衛最前線と定め、地球を飛び出して警護に当たっている。
大量のランドレイダーを保有し、脅威とあれば機械化された編成を組み対処を行う。
彼らが行動を起こすのは問題が表面化する以前、および防衛線を突破された時のみで、外部へ侵攻する戦いには参加しない。

・エミッサリーズインペラタス
瞑想の最中に皇帝の声を聴いた者達で構成される組織。宗教的な要素を持っており、皇帝陛下の望みは何かと常に議論や瞑想を行っている。
「プライマリススペースマリーン」導入時にカストーディアン内では、マリーンの反乱が起きるのではと反対意見が多い中、「これは皇帝の意思である」と仲裁して「プライマリススペースマリーン」導入を円滑にさせた。

  • アデプトゥス・メカニクス(帝国技術局)
皇帝陛下の顕現たる〈万機神〉を讃えよ。機械にこそ精霊は宿り、我らを痛覚と悲嘆の絶望から解き放つ。
皇帝陛下の御意を体現せる〈万機神〉を讃えよ。陛下の御領を…銀河の百万世界を守護せし万能なる知識を讃えよ。


技術局長:ベリサリウス・カウル

【概要】
帝国のテクノロジーに関する聖務を請け負う組織。〈帝国〉の諸機関とは大きく異なっており、〈聖なる地球〉を本拠点と定めずに、工業惑星の起源であり現在最も偉大な工業惑星である火星を本拠点としている。
帝国内の武器、弾薬、装甲、主要宇宙船舶、戦争兵器などを製造、保守、管理を行う工業惑星(フォージワールド)群の制御を行うのもまた、彼らの務めである。
また、皇帝陛下が座す〈黄金の玉座〉の保守も行っている。〈技術の暗黒時代〉を経た帝国は、機械技術の全てを帝国技術局に依存。彼ら無くして今の帝国の技術力は成り立たないのだ。
帝国技術局は「機械崇拝」と呼ばれる宗教に属しており、「オムニシア」(万機神)を〈皇帝〉の側面として崇拝している。
技術局を構成するのは、賢人・技術司祭と呼ばれる者達である。この組織に所属するものは機械崇拝の教理に基づき、体の一部、または全てを機械に置き換えている。
機械の体に置き換えた信徒であるテックプリースト(技術司祭)が主に各フォージワールド(工業惑星)の工場寺院で自らに課せられた聖務を全うする。
彼らは大なり小なり肉体の機械化を行っており、貪欲なまでの知識欲をも持ち合わせている。彼らは人間ではあるが、極度の機械崇拝の結果、人間性を残している者は多くない。
〈火星神官団〉(プリーストフッド・オヴ・マーズ)は、機械神崇拝(カルト・メカニクス)に関する謎めいた典礼や、万機神の礼拝に関する祈祷などを、貴重な機械軍の製造作業や保守作業などと組み合わせ、それらの行為を難解極まりない儀式めいたものにする。
また、彼らは失われた太古の技術の収集を重要な聖務として位置付けている。もし、失われた古き機械技術があれば、彼らはいかなる犠牲を払ってでもそれらを回収しようとするだろう。
【ゲーム上の特徴】
射撃戦が強く、防御力が低め。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:カルト・メカニクス第7版」(codex:CULT MECHANICUS) P6より

【信徒の聖務】
普段は古代技術の発掘、調査と工業惑星での兵器、弾薬の製造を行っているが、
敵が襲撃してきた場合や、古代技術の収集が困難な際は「スキタリ」(機械兵団)と呼ばれる独自の軍隊による武力行使を行う。
失われた技術取得の為なら殺戮も辞さない。
【古代技術の探索】
多くの技術が失われている帝国内において発明は禁じられており、あらゆる「新技術」はすべて「帝国技術局探索官」が古代人類の遺跡から発掘している。
回収された「STC(標準テンプレート生産)パターン」と呼ばれるデータを元にして新たな技術を得るのだ。
古代人類文明の遺跡を探索し、これらの古代技術を見つけ出すことで帝国にさらなる繁栄をもたらし、ひいては万機神の領域に少しでも近づけることこそが「帝国技術局探索官」の使命である。
【戦闘教条】
アデプトゥス・メカニクスの軍事組織である「スキタリ」は、基本「工業惑星」を防衛する組織として配備されている。
時には、下記のインペリアルナイトと共に戦場に馳せ参ずることも珍しくはない。
体を機械に置き換えた機械崇拝団の信徒や、ロボトマイズされた犯罪者「サービター」(奉仕者)の生体兵器、自立行動するカステランロボットやエレクトロプリーストを率いて戦う。

【主要キャラクター】
  • 「ベリサリウス・カウル」

帝国技術局の技術局長を務める大賢人。身体は殆どが機械化されており、大征戦以前から生きている。そのため年齢は1万歳以上の長寿。
技術に対する探究心は一般の技術司祭以上で、失われた技術を求めて銀河中を旅する。
その探求への熱心さは渾沌の軍勢の本拠地である〈恐怖の目〉に飛び込むほどの無茶をやってのけるぐらい。
そして彼には何十体のコピーが存在し、彼のコピーが技術研究にいそしんでいる。

彼は帝国や機械崇拝で禁止されている「技術革新」を志しており、「プライマリススペースマリーン」や「マークXアーマー」等の数々の新型兵器は彼の1万年にわたる研究の成果である。
しかし、保守的な帝国技術局にとっては彼の偉業を異端と見るものも多く、合理性と教理に板挟みになりながらも帝国に技術革新をもたらせるために動いている。

  • 「テックプリースト・ドミナス」

〈万機神〉が為の聖戦を指導する〈帝国技術局〉上級司祭。本名は「マゴス・ドミナス」。
ほぼ全身を機械置換し、戦場で飛び交う膨大なデータ…部隊位置、弾薬残数、予測弾道など…を解析判断し、最適化された指揮を行う。
最前線に赴いたドミナスが行うのは、野戦指揮のみに留まらない。ほぼ100%機械置換された彼は、いわば全身が武器。それが最適と判断すれば、彼は躊躇いなく自ら戦闘に参加するだろう。
更に、古代の戦闘ロボット「バトルオートマタ」関する多くの技術を持っている。

  • インペリアルナイト(帝国騎士)


【概要】
アデプトゥス・メカニクスの工場寺院で鍛造され、「貴人」と呼ばれるパイロットによって操縦される戦闘用ロボ。「ナイト級タイタン」、「クエスター・インペリアリス」とも呼ばれる。
元々は惑星開拓用の汎用作業機械として運用されていたロボットが、後に異種族や原生生物との戦闘のために武装化されて今の形になった。
【ゲーム上の特徴】
タイタン1騎辺りの能力もコストも高く、ゲームの流れを大きく変える性能を持つ。
白兵戦が強く、その他の能力も高め。ただし、兵数をそろえることはできず、大抵1体のみしか編成できない。
強すぎるためにルールによっては制限がかかることもある。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:インペリアルナイト第7版」(codex:IMPERIAL KNIGHTS) 表紙イラストより

【機体の特徴】
全長約10メートルほどの大きさを誇るインペリアルナイトは、数々の装備が施されている。
機体には巨大な「ガトリング砲」や「キャノン砲」、高威力の「リーパーチェーンソード」、防御装置「イオンシールド」を装備しており、戦場においては正に動く要塞として高い火力で敵を圧倒する。
またインペリアルナイトには武装の換装はもちろんのこと、用途に応じた多彩な派生機体も製造されている。
派生機体は高機動のダウンサイジングしたモデルである「アーミジャー級」、砲撃仕様に特化したモデル「ドミヌス級」等が存在する。
パイロットは「スローン・メカニカム」(機械の玉座)と呼ばれる操縦席に座ってナイトを操作する。
騎士宗家の貴人は18 歳を迎えると「リチュアル・オヴ・ビカミング」(生成の儀式)と呼ばれる儀式へと赴く。
その儀式によって貴人の精神はナイトアーマー(騎士甲冑)の機械精霊と同調し、スローン・メカニカムに座ることで機体を自由に操ることができる。
【貴人の特徴】
パイロットである貴人は「騎士宗家」(ナイトリーハウス)と呼ばれる貴族に所属しており、ナイトの機体表面には貴人が所属する騎士宗家に合わせた装飾が施されている。
独自の宗家色と宗家紋章を持ち、宗家の騎士らは宗家色と個人紋章によって機体を彩る。
主な宗家はテリン宗家、カドムス宗家、グリフィス宗家、ホークシュラウド宗家、モルタン宗家の6家。
貴人や騎士の種類も数たくさん存在し、騎士宗家に所属するものや、宗家壊滅などの理由で単身銀河を渡り歩く「フリーブレイド」(流浪の騎士)まで様々。
一方〈流浪の剣士〉は個人の判断で機体を塗り、不吉な個人紋章を好む。
【機体のバリエーション】
インペリアルナイトは大まかに5つの機体バリエーションが存在する。

  • クエストリス級
インペリアルナイトの中でも最も普及しているタイプのバリエーション。バランスが取れた性能を持つ。

  • アーミガー級
高機動戦闘を可能としたダウンサイジングバリエーション。クエストリス級で使える兵器は一部装備できないが、対人兵器を装備でき、対兵士に対する戦闘で威力を発揮する。
通常のナイトとは異なり、「ヘルム・メカニカム」と呼ばれる兜をかぶって機体を操作する。

  • ドミヌス級
重量級のバリエーション。通常のナイトに比べてプラズマリアクターを2つ装備し、より火力の高い武器を装備できるようになった。
武器がマウントできる部分も増え、更に「サンダーコイル・ハープーン」と呼ばれるワイヤーランス発射装置も装備可能。

  • セラスタス級
クエストリス級よりも背が高めのバリエーション。大征戦時代、〈ホルスの大逆〉時代に製造され、今では現存数が少ない。
機動力が高く、アーミジャー級と異なってクエストリス級の武器を装備できる。ただし、武器がマウントできる部分は減っている。

  • アカスタス級
重装甲の砲撃支援特化バリエーション。通常のナイトよりの中でも最大でかつ、重装甲を誇る。
近接武器を装備できないが、強力な射撃武器を装備でき、火力支援を行う。

“この銀河には、かの者らの剣戟の音と、かの者らの強大なる銃声が轟き渡る。”

その他の帝国の組織

帝国には数多くの組織が存在する。帝国の政治を支える者や治安を守る者、自由開拓者など多種多彩。
これらの組織は設定上では存在するがコデックス化されていない場合もあるので、ミニチュアゲームに参戦出来ない組織もある。

  • ローグトレーダー(自由開拓者)

【概要】
まだ見ぬ銀河にある未知の領域を冒険するフリーランスの冒険者。皇帝陛下の貿易認可状を掲げて、新世界へ定住地や技術などを求めて旅している。
彼らの旅路は人類を呑み込まんとするケイオスの脅威から遠く離れた地を目指す。
探索した未開星域を自分の領土にして貴族みたいになってたり、古代の遺跡を漁って財宝や技術を探索したりと他の帝国組織に比べて比較的自由。

巨大な宇宙船を所有し、構成員は戦士、探索者、技術司祭、商人、など様々。中にはインペリアルガードやスペースマリーンといった百戦錬磨の強者も仲間に加わることもある。
更にはクルーに普通にゼノ(異種族)やら無認可サイカーやらがいる。もはや公認海賊といっても過言ではない。
時折「異端審問官」からの任務を依頼されるときがあり、その自由な行動権限を活かして難事件を解決することもあるという。
今日も未知の領域を開拓するために危険な旅路を行く。

余談だが、彼らを「ローグトレーダー」を主役としたTRPGが数多く出ている。
画像出典:ウォーハンマー40K RPG「ローグトレーダー コアルールブック」(Rogue Trader Core Rulebook) 表紙イラストより

  • インペリアルネイビー(帝国宇宙軍)

【概要】
帝国の軍事組織の一つで宇宙艦隊を率いる。インペリアルガードが陸軍ならばインぺリアルネイビーは宇宙軍、海軍と言ったところ。
5つの大きな組織に分けられ、様々なタイプの軍艦を所持している。帝国宇宙軍(インペリアル・ネイビー)の艦艇には、各惑星の統治者に帝国の力を知らしめる絶大な効果がある。
どれほど反抗的な惑星でも、帝国宇宙軍の艦艇がたった一隻間近の領域に現れただけで、たいていは聞きわけがよくなるものだ。
画像出典:ゲーム「BATTLEFLEET GOTHIC ARMADA 2」カットシーンより

【帝国が所有する艦の特徴】
まるでキリスト教の聖堂や中世ヨーロッパの城が船になったような、ゴシックデザインの宇宙戦艦で戦う。
船の種類も巡洋艦、空母、戦艦など様々なカテゴリーが用意され、全長サイズも最小で750mのものから最大30㎞の物まで種類も幅広く取り揃えている。
宇宙軍が有する艦艇のほとんどは、ひとつの都市にも匹敵する、とてつもない巨大戦艦だ。いずれも数千年前に建造されたもので、古めかしくも異様なその姿は、まさに宇宙の怪物と呼ぶにふさわしい。
強力無比な兵器を無数に搭載し、多数の戦闘機や爆撃機を収容するこれらの巨艦群は、艦隊を組んで虚空を押し渡り、皇帝に仇なす敵に裁きの鉄鎚を打ちおろす。
その破壊力たるや凄まじく、敵艦隊を撃滅することはおろか、その拠点となっている惑星までをも宇宙の塵に変えるほどだ。
帝国の艦艇は様々な方法で確保される。、工業惑星で生産される物、惑星総督より税金として徴収した物、更に戦場跡や<歪み>の空間からサルベージされたリサイクル艦まで幅広い入手ルートが存在する。
特に巨大で複雑な構造をした戦艦になると生産は困難を極める。

【フリートゾーン】
帝国海軍は天の川銀河の東西南北、中央の5つのフリートゾーンに分けられており、それぞれの領域を護っている。
帝国海軍は前述の宙域ごとに分けられている。各宙域にはそれぞれの宙域艦隊のための基地として、宙域要塞が設けられている。
  • セグメントゥム・ソーラー(太陽の宙域) マーズ(火星)
  • セグメントゥム・ウルティマ(極限の宙域) 惑星「カル・ドゥニアシュ」
  • セグメントゥム・テンペストゥス(嵐の宙域) 惑星「バッカ」
  • セグメントゥム・パシフィクス(凪の宙域) 惑星「ハイドラファー」
  • セグメントゥム・オブスキュルス(薄明の宙域) 惑星「サイプラ・ムンディ」

【軍の組織編制】
宙域艦隊を指揮する地位にある首席上位提督の権力は極めて強く、時には帝国を支配する12人のハイローズ・オヴ・テラ(帝国至高卿)の一人として選出されることもある。
実際の運用上では、各星域の戦闘艦隊が最大の組織となり、これは各星域の首席提督の指揮の元、戦闘船隊に分けられて行動を行う。戦闘船隊は基本的には恒常的な組織ではなく、任務と状況に応じて編成が行われる。
戦闘船隊を指揮する地位は規模と任務に応じて変化し、経験ある艦長や提督、あるいは艦隊提督、場合によっては首席提督自身によって率いられる場合もある。
戦闘艦隊の規模は、軍船(戦艦、大小の巡洋艦、駆逐艦etc)だけで50隻から75隻、これに加えて無数のシャトル、輸送管、伝令艦、偵察艦が存在する。
セクターを守るのはこれだけでは無く、ワープのできない巡視船や監視艦も存在する。これらはさらに、宇宙ステーション、防御衛星、地表の防御レーザー、ミサイルなどの様々な防御施設によってサポートされている。
ここまで見ると極めて堅い守りの組織と思えるが、各セクターの戦闘艦隊が受け持つ地域はあまりに広大であり、各艦隊の任務は日々困難なものとなっている。
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  • アデプトゥス・タイタニカス(帝国巨兵団)

【概要】
巨大ロボ「タイタン」(巨人機)を操る帝国の軍事組織の一つ。神聖なる戦闘兵器を奉り、帝国に何千年もの間仕えてきている。
「アデプトゥス・メカニクス」(帝国技術局)の管理下の元、各工業惑星に兵団が配備されている。
組織自身は帝国が建国される前である〈不和の時代〉から存在し、工業惑星を守ってきた。もし巨兵団が存在しなければ、工業惑星の大半は〈不和の時代〉に滅んでいたであろう。
これはけして誇張ではない。異端が横行し、腐敗がはびこり、異種族の攻撃が止まなかったあの時代、巨人機(タイタン)は工業惑星の守護者として偉大なる活躍を見せた。
どれほど過酷な環境であろうと作戦を遂行し、市街を瓦礫の山に変えるだけの圧倒的な火力を持つ巨人機(タイタン)は、文字どおりの歩行戦艦である。機械崇拝団(カルト・メカニクス)の徒は、戦場を闊歩(かっぽ)するこの巨獣を、神機として崇めてきた。彼らにとって巨人機(タイタン)は、いわば機械神に仕える熾天使(セラフィム)なのである。
【巨兵学団】
この巨兵団(タイタニカス)の恐るべき戦力を保守するのは巨兵学団(コレジア・タイタニカ)であり、戦場での補給と修理、そして短い戦闘の合間をぬっての礼拝と整備は、もっぱら彼らによってとりおこなわれている。
学団のもっとも重要な使命のひとつは、猛り狂う巨人機の魂と精神を疎通(リンク)させる素質を持った人間を見つけだし、訓練をほどこすことである。
アダマンチウム鋼の肉体を持つ巨人に宿る魂は、きわめて荒々しく、御(ぎよ)しがたいものであり、巨人機の魂と心を一体化させてなお正気を保てるのは、きわめて強靭な精神力を持つ者に限られる。
このため、わずかでも資質ありと認められた者は、否応なく徴発されることとなるだろう。その者が機械崇拝の徒であるか否かは問われない。戦闘巨兵(バトルタイタン)に搭乗して共に戦場へとおもむける人材は、それほどまでに稀なのだ。
画像出典:コアブック「The Horus Heresy: Book Five - Tempest」表紙イラストより

【タイタンのバリエーション】
  • ナイト級(インペリアルナイト)
全長約10mの一人乗り用のタイタン。パイロットである騎士宗家の「貴人」によって動かされる。小型でカスタマイズ性に優れているが、強力な「ヴォイド・シールド」は非搭載。
詳しくはインペリアルナイトの項を参照。
  • ウォーハウンド級
全長15mの偵察用タイタン。帝国の最小クラスに属し、逆接合脚と肩の武器マウントと狩猟犬のようなシャーシが特徴で、機動性に優れる。
その中でもスカウトタイタンは部隊の主戦力に先んじて戦闘領域のはるか先端まで移動し、敵への牽制や広範囲の偵察などを実行。
インペリアルタイタンの中でも最小サイズでありながら、搭載兵器の火力、破壊力は侮れない。
  • リーヴァー級
全長22.3mの後方支援用タイタン。前面の耐久性に優れ、今では製造方法が失われた貴重なタイタンとなっている。
巨大で動きの遅いウォーロード・バトルタイタンよりも敏速で、圧倒的な破壊兵器をもって足元の敵を薙ぎ倒す。
  • ウォーブリンガーネメシス級
全長約40mの後方支援用タイタン。背中に巨大なキャノンを装備しており、その破壊力は絶大。大艦巨砲主義が形になったタイタンといっても過言ではない。
  • ウォーロード級マーズ型
全長33mの汎用型タイタン。最も普及しているタイタンで、耐久性、火力共にリーバー級を超える。
機体のデザインはナイト級を大きくしたような構造になっているが、型部分に巨大なキャノンを装備できる。
  • ウォーロード級プロキシマス型
マーズ型の派生機種。マーズ型に比べて四角いデザインになっている。
  • エンペラー級
全長55.5mの汎用型タイタン。帝国の地上兵器やタイタンの中でも最大級の火力と性能を誇る。
デカァァァァァいッ説明不要!!ってほどに巨大で、タイタンの胴体の上半分全体を占める要塞化された大聖堂のような構造、華やかな装飾、尖塔やステンドグラスの観覧口のようなゴシック様式デザインが施されている。
その姿はまさに戦う大聖堂と言ったところ。乗組員である「テックプリースト」等の機械崇拝信徒にとっても寺院として扱われる。
  • ウォーモンガー級
全長55.5mのエンペラー級の派生型タイタン。火力支援や後方支援を行う武装で構成されている。
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  • アデプトゥス・アーバイツ(法務院)

【概要】
アデプトゥス・テラ(地球院)に属する帝国警察。別名「高等裁定局」。アーバイツは無慈悲なる法の番人として知られ、帝国法(別名レクス・インペリアリス)に基づいて容疑者に対し、捜査・逮捕・裁判・処刑を行う権限を持っている。
現在でいう「警察、検察、裁判官、処刑人を一つにまとめた組織」と言ってもいいだろう。
アーバイツは帝国領内ほぼすべてに存在し、要塞化された裁判所に駐在している。アーバイツとして活躍する資格を持つ者は、帝国高等学究院(スコラ・プロジェニウム)の生徒の中でも特に冷酷な才を見せた者だけに限られる。彼らはしかるべきトレーニングを積んだうえで、故郷から遠く離れた惑星に配属される。
これは、情などに左右されることなく存分に腕をふるえるように、との配慮からだ。いかめしくそびえるアーバイツの要塞を見て、〈帝国〉に対する反乱を思いとどまった総督は数知れない。

アーバイツのメンバーは大きく分けて2つの役職に分けられる。
一つは、「ジャッジ」(裁判官)である。ジャッジは過去の判例などを参考に法に関する事体を主に取り扱う。
二つ目は、「アビトレイター」(仲裁者)である。アビトレイターは主に帝国法に違反したものを取り締まり、処罰を行う。二つの役職に分かれているものの、アーバイツの高官は両方の役職を担うこともある。

厳格な帝国法のもとにおいては、「失敗」や「無能」は死をもって償われるべき重罪であり、これを臣民に知らしめることが彼らの役割なのだ。
ウォーハンマー40000版「ジャ〇ジ・ド〇ッド」とか「デカ〇ン〇ャー」とか「ロボ〇ップ」とは言ってはいけない。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:アデプトゥス・アーバイツス第7版」(codex:Adeptus Arbites) P9より

  • プラネタリー・ディフェンス・フォース(惑星防衛軍)
【概要】
文字通りの惑星を自衛するための軍隊である。「PDF」とも呼ばれ、軍隊は惑星の出身者で構成されている。
出身惑星を守る惑星防衛軍には、「大隊」(バタリオン)、「師団」(ディヴィジョン)、「歩兵隊」(コホート)、「市民軍団」(ミリティアグループ)、「大兵団」(ジェノコーア)などさまざまな規模と呼称を持つ軍隊が乱立しており、惑星ごとに自由な組織編成となっている。
「アストラ・ミリタルム」(帝国防衛軍)よりも地位は低く、ガーズメンの中には「惑星防衛軍の連中は、ほとんど実戦経験を持たない」と思いこんでいる者すらいる。
しかし、これは明らかな見当違いで、ひっきりなしに起こる宇宙海賊の襲撃や、異種族の侵入などに対して自前の軍のみで防衛しなくてはいけない。

プラネタリー・ディフェンスの兵士たちは、同郷のアストラ・ミリタルムらとまったく同じように、猛悪鬼畜なる暴威の数々に立ち向かい、そして、散ってゆくのだ。

帝国の領土


大宇宙の本質は酷薄にして不寛容。我ら人類の生存を許容しておらぬ。

「第42千年紀における帝国の版図」
画像出典:ウォーハンマー40K「コアブック9版」 P18,P19見開きページ イラストの図表を元に解説を追加

【概要】
帝国は天の川銀河(銀河系)ほぼ全体にわたって領土が存在し、更にその版図を拡大ようとしている。直径約10万光年の銀河系には、〈光輪の星々〉(ヘイロースターズ)からはるか東部辺境宙域まで及び、銀河系最大の版図を誇る。
皇帝陛下が座す聖なる首都が置かれている地球(テラ)を中心とした領土惑星はおよそ100万以上存在し、それぞれが違った特徴を持っている。しかし、〈帝国〉によって入植が行われた全惑星の正確な個数は不明だ。
棍棒を振り回す野蛮な人類が住まう炎暑の密林…。氷河を削って市街が築かれる、極寒のツンドラ…。どこまでも広がる灼熱の砂漠…。深刻な環境汚染にあえぐ工業惑星…。何十億という群衆が巨大都市にひしめく過密惑星…。すべての建造物が神なりし皇帝陛下を讃えるためだけに存在する礼拝惑星……。これらは帝国領惑星の一例にすぎない。
帝国の版図とは、まさに無限の多様性に彩られているのだ。惑星によって、そこで育まれる文化も人種もまったく異なると思っておけばよかろう。
言葉や習慣、まして外見などは、それこそ千差万別である。

【帝国の行政区画】
広大な版図を有する国家の運営時に付きまとう様々な問題を解決するため、〈帝国〉は銀河系を大きく分けて、五つの宙域に分けられている。

  • 「セグメントゥム・ソーラー」(日輪の宙域) 帝国の中央に当たる宙域。聖なる地球(テラ)や火星(マーズ)が置かれている。
  • 「ウルティマ・セグメントゥム」(極限の宙域) 帝国の東側に当たる領域で、銀河系中心を含む。東部辺境宙域があり、タウエンパイアがある。未だに争いが絶えない不安定な星域が多い。
  • 「セグメントゥム・テンペストゥス」(嵐の宙域) 帝国の南側に当たる宙域。
  • 「セグメントゥム・パシフィカス」(凪の宙域) 帝国の西側に当たる宙域。銀河系の西側にある〈光輪の星々〉(ヘイロースターズ)もそこに含まれている。
  • 「セグメントゥム・オブスキュラス」(薄明の宙域) 帝国の北側に当たる宙域。渾沌の軍勢の本拠地である〈恐怖の目〉(アイズ・オヴ・テラー)があり、激戦が絶えない。

各宙域はさらに 「星域」(セクター) に分けられており、星域は一辺が約200光年の立方体状の空間と定められている。
星域はさらに 「星区」(サブセクター) に分けられ、これらの区分は人口の集中している過密惑星や政治上、戦略上重要な惑星、あるいは通商ルートの分岐点などを中心に10~20光年の範囲で設けられている。
いくつかの惑星同士は〈帝国〉領の中でも特に密接な繋がりを保ち、ごく少数ながら、ウルトラマール領や〈聖なる地球〉の周囲の星系などは、星系連合体という形を取っている。多くの〈帝国〉領惑星は、〈歪み〉航法によって到達しやすい領域の周囲に密集しており、それらの惑星は星間航行や通信の中継地点を果たすことが多く、周囲にはさらに多くの惑星群が枝のように広がっている。
これらの惑星やそこに築かれた入植地は、貿易や防衛上の目的で、互いに緊密な連合体を形成している。しかしながら、人類の居住する大部分の惑星群と偉大なる〈帝国〉中心部との間には、様々な点において大きな隔てりがある・・。
それは両者の間に横たわる広大な宇宙空間の虚空、孤立や隔絶によって断片化された不完全な歴史、および極端な方向への文化の発達(または退行)などである。こういった人類の統治が進んだ宇宙空間の間には未だ前人未踏の地域や異種族の住む宙域などが存在する。
こういった未開拓宙域のトータルとしての広さは、人類の住まう部分より未だずっと大きいと言われている。

【〈帝国〉の居住惑星】
何世代にも及ぶ長い旅路の果てに、人類はありとあらゆる種類の惑星に植民を果たしてきた。極寒の惑星や、大気のない岩の塊のような惑星や、無数の生物が住まう高温多湿の惑星など、銀河に散らばる各惑星を自らの領土として宣言してきたのである。
〈技術の時代〉が訪れると、いままで居住不可能だと思われた惑星、例えばガス状の巨大惑星のような天体に、その果て無い霞の海に錨を沈め、何マイルにも渡る嵐が吹きすさぶ中に都市を丸ごと固定するといった方法を取ることで、入植を可能としていったのだ。そのような過酷な環境でさえも人類の居住を可能にした古の技術の大半は、戦争や天変地異、あるいは長きにわたる年月による変質や損傷によって失われてしまった。
しかし、一部の惑星では今日でもそれら古代の技術による機能が維持されており、その恩恵によって辛うじて人類が生存できている入植地も少なくない。そのような古の科学技術は、残念ながら もはや完全に理解ができず、神聖視されて崇拝の対象となり果てている事例がほとんどだ。
炎に引き裂かれた惑星「サルトゥール」に残る、生命維持機能持つ連結ドームや、「アスピアン」の月の毒性大気を呼吸可能な空気に浄化する巨大な大気組成変化装置などは、現存する事例の中で最も典型的な古代の技術と言えよう。
惑星はその自然環境のみで種別を判断されるわけではなく、臣民が入植した時期、技術の発達水準、原住異種生命体との遭遇率などの要素で、各惑星の特徴を判断している。例えば、未踏領域に浮かぶ緑滴る惑星「ピザーロ」は、近年になって〈帝国〉の前哨基地が設置され、入植の試みが始まった惑星だ。
一方で、宇宙航行の黎明期から植民地が建設されていた惑星「ヘラクリア」は、ピザーロとはほとんど似通った特徴を持っていない。ヘラクリアは資源のほぼすべてを枯渇させ、疲弊し、またその長い歴史の中で幾度となく文明再建を果たしてきた惑星であり、その完全な記録は現存していないという。
両惑星の臣民が共有するものといえば、神なりし皇帝陛下への信仰と、〈帝国租税〉の納税という共通事項ぐらいである。無法の開拓前線に浮かぶ荒々しく野蛮な未開の惑星から、言葉の端々に置かれた微妙なニュアンスが翻訳不可能なまでに深い意味を持つほどまでに洗練された高度な文化を持つ惑星に至るまで、全ての惑星は〈帝国〉の一部であり、その構成要素として成り立っている。
〈帝国行政局〉から多岐に渡って枝分かれした無数の下位組織には、臣民が入植した惑星を区分し、等級を付与する任務が課されいる。一部の組織は数値的なシステムを用いて惑星を評価し、別の組織では環境的な特徴から惑星をいずれかの種別に単純化するが、この他にも惑星の来歴、技術水準、〈歪み〉を経由した渡航の利便性、サイカ―の出現頻度など、惑星種別の項目は果てしなく細分化されている。
それらの複数のデータを参照すれば、各惑星の特徴を把握することは可能であろう。だが〈中央執務院〉の機構は極めて巨大であり、各組織は全く連携しないことが多く、互いに組織の存在すら知らずにいることも珍しくない。
この迷宮のごとく絡み合った組織の中を迷わずに辿れるものは皆無に近いため、あまりにも不十分な惑星情報に基づいて意思決定が下されることもあるのだ。しばしば帝国防衛軍は、目的地の惑星気候に関する情報を与えられずに派遣されることがあり、大気が呼吸可能か否かすらの情報もないまま、一個軍団が送り込まれることさえある。
それ以外の情報、例えば行政上の来歴、信仰上の派閥、ミュータントの発生率などは、事細かに「データスクロール」に記されているにも関わらず、である。

【自給自足体制】
〈帝国〉の惑星の大部分は自給自足体制を整えている。しばしば〈歪み〉航法が不可能となり、惑星間の往来が途絶えて孤立してしまうことがあるからだ。
それらの自給自足体制を彩る惑星の中には、幅広い惑星等級分類のどれにも当てはまらないものが多く存在する。〈聖なる地球〉の百倍もの大きさを誇る「サイクロピアン・プライム」がまさにそれだ。
この巨大惑星が一回の自転を行うのには、地球の12年に相当する時間を要し、氷結した平原が灼熱の砂漠地帯へと変貌するほどの、広大な海に散らばった百を超える大陸は、全てがハイヴシティーなのだ。あるいは、極めて純度の高い鉱石を豊富に産出する採掘惑星「フェロクシア」は、その特徴である厳しい気候のため、懲罰惑星(ペナルプラネット)としても利用されている。
かの惑星へと流刑に処されて労働に従事することは、死よりも過酷な拷問であるという。

【文明の退行と発展】
ある種の惑星はその環境ではなく、保有する工業技術によって等級区分を受けている。ひとたび〈歪み〉の嵐に呑み込まれて周囲と隔絶し、その間に内戦や孤立そのものに起因する退行、あるいは気候の大変動によって、〈帝国〉の封土が「辺境惑星」(フェーラルワールド)と呼ばれる野蛮で原始的な惑星に退化してしまうことは珍しくない。
そのような惑星の住人たちは、ほとんどが〈帝国〉の存在を忘れ去るか、不確かな伝承や伝説として辛うじて記憶する程度の認識にまで衰えてしまうか、あるいは天空から降り立った戦士たちの伝説だけを語り継ぐのみというありさまだ。概ねそのような惑星の臣民たちが保持していた文明の水準は、地球でいうところの中世時代にまで退行しているが、文明退行の著しい惑星の中には、その住人である人類の文明を石器時代水準にまで貶めてしまったものもあるという。
〈帝国〉の領内の惑星について、こうした退行現象はありふれたものではあるが、逆にいくつかの輝かしい発展の事例も存在する。電子技術が高度に発達した「ザクシス」や、豊富な化学知識を備えた「プラシウム」などがそれに当たる。
どれほど文明の水準が低下しようとも、その統治は「惑星総督府」に委ねられている。実際、文明の凋落が起こると、統治者たちの中にはしばしば〈帝国〉の技術や軍事力を後ろ盾にして迷信深い原住種族を恐怖で従属させ、あたかも生ける神の如き支配者として君臨する者たちが現れることは事実だが、大抵の惑星総督は隠遁生活を送ることを選ぶだろう。
いずれにせよ、 納税の義務さえ怠らなければ、〈帝国〉が支配する惑星に内政干渉を行うことはないのだ。

【〈呪わしき傷跡〉(シカトリックス・マレディクトゥム)】
第41千年紀末、突如として銀河の中心部に歪みの裂け目である〈呪わしき傷跡〉(シカトリックス・マレディクトゥム)またの名を〈大亀裂〉と呼ばれる領域が銀河を二つの領域へと分割した。第41千年紀が、その血まみれた末期に向けて疾走を続ける中、惑星「ケイディア」とその地に立っていた古の塔門の壊滅、〈方舟〉「ビエル=タン」の崩壊、アメタルのディーモンの檻の破壊、惑星「フェンリス」に対する総魔長「マグヌス」の報復、その他、何十もの重大事件が、物質界の瓦解をうながした。
これらの事件のどれか一つ、あるいは総体としての全てが、断層を崩壊させる最後の一撃となり、銀河に〈大亀裂〉を出現させたのである。〈帝国〉では〈呪わしき傷跡〉、オルクには〈ゴルクのニヤケ面〉、アエルダリには「ダセディアン」、その他、畏怖と神話的象徴に満ちた、無数の異名で呼ばれる〈大亀裂〉は、銀河における戦争の形相を一変させた。
この亀裂の出現と共に、〈帝国〉の民が〈永劫なる闇〉と呼ぶ、荒れ狂う異空間のエネルギーの大波と超自然の暗黒を放出し、それ自体にも、無数の惑星や艦隊、軍勢が呑み込まれた。その影は退いたものの、亀裂は依然としてうねり、拡大を続け、この世ならざる憤怒で種族全体をも呑み込まんとしている。

【〈帝国聖別領域〉】
銀河の南側、〈呪わしき傷跡〉が発生した後も比較的安全な一帯のことは〈帝国聖別領域〉と呼ばれている。この領域は地球から発せられる〈星辰波〉(アストロノミカン)の光が今まで通り届いており、宇宙船は迷うことなくその光を道しるべにして〈歪み〉航法で星間移動が行えるのだ。
北側の〈帝国途絶領域〉に比べて確かに安全だが、以前として異種族や異端者、更には人類を脅かす〈渾沌〉の驚異は完全に去ってはいない。

【〈帝国途絶領域〉】
銀河の北側、〈呪わしき傷跡〉によって〈帝国〉の中心部と分断された一帯のことを指す。〈呪わしき傷跡〉によって地球から発せられる〈星辰波〉の光が遮られてしまい、更に〈帝国途絶領域〉へと行くには、二つの航路を使用しないとたどり着かない状況となってしまった。
〈大亀裂〉は〈歪みの嵐〉が吹き荒れており、直接通り抜けることは困難を極め、そこに飛び込むことはすなわち死を意味する。それを避けるために、二か所の安全な航路を使用すれば〈帝国聖別領域〉と〈帝国途絶領域〉を行き来することができる。
しかし、その航路は必ずしも安全ではなく、異空間の幻や海賊行為を行う輩が付きまとう。嵐の合間に時折口を開ける、細い通路よりかは安全ではあるが、絶対に安全が保障されるわけではないのだ。
〈帝国途絶領域〉内の惑星は以前よりも危険に満ち溢れている。惑星の多数は孤立無援となり、異種族の襲撃や異端者の反乱、更には〈渾沌〉のディーモンによる侵攻によって各惑星は地獄の形相を見せた。
そんな中、各惑星では惑星防衛軍や義勇防衛軍が〈帝国〉の敵に対して抵抗を続けており、襲いかかる敵と内部の敵に対して抵抗を続けている。

【帝国における惑星の種類】
  • 「拠点惑星」(ホームワールド)
スペースマリーン各戦団の拠点となる場所。惑星内には荘厳な要塞院や整備施設、訓練施設、人口過密なハイブシティ(多層都市)等、戦団を支えるための施設が数多く建築されている。
また、戦団の惑星内から新人のマリーンを募集したりもする。戦団によっては拠点惑星が無く、代わりに宇宙ステーションや旗艦等を代わりの拠点にしていることもある。
  • 「過密惑星」(ハイブワールド)
惑星そのものが巨大都市になっている惑星で、帝国惑星の中で最も人口の多い惑星のタイプである。大地は巨大なハイブシティに覆われており、産業労働力、工業製品およびその他の商品を提供し、帝国内の尽きぬ需要を満たしている。
ごく一部の<帝国>貴族や権力者を除いて、ハイブワールドの住人は薄暗い建物の中で一生を過ごし、太陽の光、清浄な空気や水のことを知らず一生を終えることも珍しくない。
これらの惑星は臣民たちが入植してから途方もない年月が経過しており、更に何層もの都市が築かれて「ハイヴシティー」(多層都市)を成し、その頂上部は天を貫くほどの高さまでに達している。
ほとんどのハイブワールドは元々自然豊かな惑星だったが、過剰な乱開発や環境汚染によって惑星が汚染されている。建設工事の記録は長い時の中で失われ、都市の下層部分がどのような状態になっているのか把握する術はない。
建設当時の技術も建築物そのものも、理解できる者はもはや皆無となっており、時には都市内部に異種族の建築物が残されたままとなっていることさえあるという。この事実が意味するのは、ハイヴシティーの住人たちの祖先が、もはや記録にも残されていないほど過去の時代に、既に存在した異種族都市の廃墟の上に最初の都市を建設したということであろう。
全ての過密惑星のハイヴシティーが上方向に発達してゆくわけではなく、地底に向かって何十キロにも渡って伸びてゆくハイヴシティーもあり、そのような惑星では地表世界そのものが伝説となっている場合もあるという。惑星「アルマゲドン」のような過密惑星では、それぞれのハイヴシティー同士が汚染焦土帯によって隔てられているが、一方では「メグヘイム」のように、地表全域が一つの巨大な建造物に覆われている過密惑星も存在するのだ。
過密惑星は膨大な人口を抱えるため、時おり制御不能となることがあり、絶え間ない圧政に対して臣民の反発が一気に吹き上がる場合も珍しくない。また過密惑星に建つ超巨大都市群の内部には常に、弱肉強食の裏社会が存在し、無秩序で破壊的な組織や勢力が満ち溢れている。
だが一方でこれらの人材は、帝国防衛軍で戦う良き兵士の宝庫でもあり、その惑星の〈帝国租税〉の一部として役立っているという側面もあるのだ。
  • 「インダストリアルワールド」
鉱物の採掘や精錬を行っている惑星。ハイブワールドやフォージワールドに比べたら人口は少ない。
  • 「工業惑星」(フォージワールド)
工業製品や兵器などを製造する惑星で、〈帝国技術局〉の直接管轄下に置かれる工業惑星群は、その惑星全土が重工業と科学技術に対する迷信じみた信仰のために捧げられている。〈火星の神官団〉として知られている〈帝国技術局〉は、その起源を火星上に有し、火星に築かれた工場群の中心部には、「製造総司令」(ファブリケイター・ジェネラル)らが今なお駐在している。
何千年以上にもわたる拡大拡張によって、彼らは火星以外にも「ゲーテ・マジョリス」や「ルシウス」などの多くの工業惑星を設立し、それらはいずれも「銀河の驚異」と称されるようになった。惑星規模の重工業がもたらす汚染の悪影響にさらされてはいるものの、これらの工業惑星群には、〈聖なる地球〉が過去に有しそして失った高度な科学技術の秘密が、未だに貯蔵されているからである。
何千年以上もの間、繰り返し発達と拡張を続ける工業施設に覆われた工業惑星の地表には、大陸にも匹敵する規模へと巨大化した機械工場や、活火山の如き規模で炎を上げる大溶鉱炉、巨兵団の工場要塞群などが威容と共に立ち並んでいるのだ。〈帝国技術局〉は「STC」(標準テンプレート生産)、あるいは「標準テンプレート生産システム」とも呼ばれる、様々な機械や建造物設計システムのプリントアウトを供給しており、これらを用いれば小規模な「工場惑星」(ファクトリーワールド)であっても、〈帝国〉のために様々な標準装備を大量生産できる。
ただし、そのような工場惑星で製造される製品の品質は、工場惑星のものとは比べ物にならないほど低品質だ。工業惑星には今なお、〈技術の時代〉に作られた崇高なる設計図や装置群の数々が生き残っており、禁断の秘儀や起動の祝詞など共に用いられ、驚異的兵器群や〈帝国〉で最も高度な技術標準の装備品を生産しているのだ。
工業惑星は、各種の戦闘車両や宇宙艦隊のみならず、巨兵(タイタン)の名で呼ばれる超巨大ロボット戦闘兵器群の製造責任も負っている。工業惑星の機械群は、ハンマーの一打、レンチの一回転ごとに、機械の神である「万機神」(オムニシア)の祝福を詠唱する「技術司祭」(テックプリースト)たちによって検査され、修繕されている。
〈帝国技術局〉はその秘密主義のために悪名高く、部外者が工業惑星を訪れることを容易に許さないが、技術司祭を通じて〈帝国〉の機械技術全般に対する専門的なバックアップを行っている。また彼らは、〈不和の時代〉に生み出され忘れ去られた古の技術群を求めて、危険な探索を続けている。
  • 「死の惑星」(デスワールド)
死の惑星とは、〈帝国行政局〉によって 「あまりにも危険な環境であるため、一般的な入植惑星として支援することが著しく困難である」 と認定された惑星群のことを指す。この認定がなされるにはいくつもの根拠が必要だが、最も一般的なのはその大気組成、地形、生態系などの問題である。
死の惑星としてもっとも有名なものの一つに、惑星「プラゼティ」が挙げられる。そこでは捕食動物が存在しない環境だが、惑星に電離圏から降り注ぐ強烈な電磁波が引き起こしたプラズマの嵐によって、岩だらけの地表は打ち砕かれ、荒涼たる風景が延々と続いており、例えいかなる金属であろうとも容赦なく破壊されてしまう。
更に一例を挙げるならば、生ける惑星「クロアトア」、惑星「サイコラックス」に吹き荒れる「サイキックストーム」、惑星「ケスティウム」における吸血鬼的な血液凝固現象など、死の惑星に待ち受ける脅威はほかにも様々な形を取りうる。死の惑星の多くは、戦略上ないし鉱物資源上の価値を有しているため、前哨基地や調査基地などの設置を行う必要がある。
それゆえ、死の惑星という呼称に反して、多くの惑星にはある程度の人口が存在するのだ。しかしながら、死の惑星の過酷な環境で生き抜くことは、極めて危険な試練でもあり、人口増加率が高まることは期待できない。
死の惑星でどうにか生き残ることができた住人たちは、生まれながらのサバイバーであると言えるだろう。年端も行かぬ頃から人類に対して牙を剥く宇宙の残酷さに対して直面してきた彼らは、その経験を買われ、理想的な兵士として〈帝国〉の軍勢の様々な部門に徴用されるのである。
  • 「採掘惑星」(マイニングワールド)
鉱物資源やガスなどのエネルギー資源を採掘する鉱山惑星。
  • 「農業惑星」(アグリワールド)
帝国臣民の食料を支える為の農業惑星。
惑星自体が巨大な農場になっており、惑星の人口は1億人以下と他の惑星に比べて少なめ。
現在すべてのアグリワールドで生産された食料は、数兆を超える帝国臣民を全て養うことができておらず、一部の惑星は食糧難に陥っている。
またアグリワールドの中には、漁業が盛んな惑星なども存在する。
  • 「騎士惑星」(ナイトワールド)
武装した巨大な工作機械「インペリアルナイト」を駆って戦う「貴人」が治める封建社会的な惑星。かつて人類との連絡が長く途絶えたために、文明レベルが中世ヨーロッパ並みに後退してしまった。
今ではそこを治める貴族「騎士宗家」は帝国に忠誠を誓い、帝国の名の下に惑星の領主となっている。
  • 「礼拝惑星」(カーディナルワールド)
帝国宗務局による直接支配が行われている教会惑星。「アデプタ・ソロリタス」の拠点となっており、惑星そのものが巨大な教会に覆われた惑星になっている。
街には巨大な大聖堂や鐘塔がいくつも聳え立ち、〈帝国〉史に名を残す偉大な聖人たちの彫刻が街路に何千体も立ち並ぶ。
荘厳なる建造物が立ち並ぶ地上部とは対照的に、地底には広大な地下牢があり、惑星の最深部まで続いている。
ここでは大勢の背教者たちが、その魂を浄化するため、様々な方法で罪を悔い改めさせられるという・・。(いわば拷問、処刑)

【帝国の重要惑星】
帝国には100万を超す領土となる惑星が存在するが、その中でも重要な惑星を紹介する。

  • テラ(地球)
帝国の首都が置かれている人類発祥の母星にして帝国の本拠地である。度重なる核戦争によって海の水は殆ど干上がっており、ほとんど海水は残っていない。。
殆どの天然資源は採取しつくされ、土壌も汚染されており、多数のハイブシティー(多層都市)に人々が住んでいる。かつてヒマラヤ山脈と呼ばれていた場所に皇帝が座す「帝殿」があり、荘厳で巨大な宮殿がいくつも建築されている。
そして、巨大な「永遠の門」から帝殿の中に入り、そのさらに奥には皇帝が座す「黄金の玉座」が神々しく鎮座する。その他にも、南極の氷冠の下には異端審問局の本部があったり、帝国の各省庁の本部や、帝国最大の巨大刑務所なども完備されているのだ。

  • マーズ(火星)
機械崇拝の総本山でもある工業惑星。人類によってテラフォーミングされた最初の惑星でもある。
皇帝がかつて大征戦前に火星の首脳と会談を行い、「火星条約」を結んだのもここである。
巨大なオービタルリングがあり、宇宙船のドッグや工場が建設され、数多くの船が軌道上に停泊している。
火星は星自体が巨大な工場として機能しており、多数の工場寺院が建造されている。
様々な軍需品が火星で製造されており、特に巨大なロボット兵器「タイタン」(巨人機)の製造が盛んに行われている。

  • マクラーグ
ウルトラマリーン戦団の拠点惑星(ホームワールド)であり、グィリマンの故郷でもある惑星。
惑星環境は過酷で、惑星地表はほぼ全域が荒野となっっており、しかも山岳地帯だらけで人の住むのに適さない。
しかし、数ある帝国の惑星の中でも珍しく大きな戦争や反乱は殆どなく、豊かな生活レベルと平和、平穏が今でも保たれている。
そしてウルトラマリーンの拠点となる要塞院にはグィリマンがかつて眠っていた「総主長霊廟」があり、巡礼者(ピルグリム)が立ち寄る聖地のひとつとなっている。
マクラーグ及びその周辺惑星や星系には自治権が与えられており、それらは「ウルトラマール星域」と呼ばれている。
総主長「グィリマン」の働きによって各惑星の自給自足体制ができており、しかも化学汚染も少ないという。

  • ロック(岩牢)
ダークエンジェル戦団の拠点となっている小惑星。拠点惑星「キャリバン」を失った彼らは、代わりに超巨大母艦である〈岩牢〉(ザ・ロック)を建造し、そこをダークエンジェル戦団の拠点とした。
〈岩牢〉は唯一残されたキャリバンの残骸となった小惑星で出来ている。一見小惑星に見えるが中には様々な施設があり、拠点としての機能が完備されている。
数々の広間や礼拝堂、玄室などが掘りぬかれ、地下道が網の目の如く広がっている。更に巨大なワープエンジンから航行用の推進装置まで完備されており、宇宙船としての機能も持つ。
〈岩牢〉には大きく開いた穴があり、そこには数多くの数百の小型戦闘艦が収容できる係留港(ドッキングベイ)が備わっている。
そして〈岩牢〉は防衛設備も備わっており、表面を針のように突き出ている砲台(ガンターレット)や高濃度粒子砲座(ランスバッテリー)、魚雷管(トルピードチューブ)が複数建造され、暗き秘密を守るための役割を果たしている。
それらの防衛設備は、索敵塔(オブザーブリスター)によって統合管理されているのだ。

  • オフィーリアVII
最古の礼拝惑星(カーディナル・ワールド)であるオフィーリアVII は、聖なる地球(テラ)に次ぐ神聖さを持つ。また、〈修道聖女会〉(アデプタ・ソロリタス)の拠点となる惑星の一つでもある。
第二聖庁が置かれるこの惑星には、高さ1500 メートルにも及ぶ巨大な大聖堂や鐘塔がいくつも聳え立ち、〈帝国〉史に名を残す偉大な聖人たちの彫刻が街路に何千体も立ち並ぶ。
荘厳なる建造物が立ち並ぶ地上部とは対照的に、オフィーリアVII の地底には広大な地下牢があり、惑星の最深部まで続いている。
ここでは大勢の背教者たちが、その魂を浄化するため、様々な方法で罪を悔い改めさせられる。一例を挙げると、アルコ・フラジェレイション、死の仮面装着、魂の精錬、贖罪戦闘兵器「ペニテントエンジン」への埋込手術などである。

  • カタチアン
死の惑星の代表として挙げられる危険な惑星。帝国防衛軍の「カタチアン連隊」、通称 「ジャングルファイター」の故郷でもあり、住人は危険な動植物と戦いながらその日その日を懸命に生きている。
大陸全体に広がった熱帯雨林と、そこに生息する無数の凶暴な肉食動物ゆえ、カタチアンに生息する多くの肉食動物の間で、銀河中にその名を轟かせるほどの驚異となっているのは、「カタチアンデヴィル」と呼ばれる、巨大昆虫めいた肉食怪物である。その凶暴性はまさしく、生ける悪夢そのものだという。
あるいは、「ブレインリーフ」が活動する光景を見た者や、「ヴィーナス・マントラップ」の姿を目にすれば、だれもがカタチアンの動植物相の恐ろしさを理解できるであろう。そこでは、花や草木までもが、こぞって生きた獲物を求めて襲いかかってくるのだ。
あまりにも危険な生態系が発達しているため、カタチアンでは他の惑星で用いられている惑星防衛軍を必要としておらず、凶暴な動植物が愚かな侵入者を間引く役割を果たしている。

皇帝陛下の御導火すら届かぬ彼方に広がるは、暗黒と絶望のみ。



「皇帝陛下の導きにより、勝利は約束されている。」


傾注せよ、アニヲタWiki臣民諸君!!ただいま帝国は臣民による追記・修正に参加するように呼びかけている。
皇帝陛下とアニヲタWikiの名においてまたとない栄誉ある機会に参加せよ。また、大逆者、異端者による荒らし編集行為は、異端審問官 「知恵の管理者 メイデン(冥殿)」による処罰(制限,BAN)が待っている。

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最終更新:2024年04月23日 21:56