新世界(仮面ライダービルド)

登録日:2019/05/10 Fri 22:41:54
更新日:2024/01/15 Mon 21:34:51
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世界の扉よ、



新世界とは、特撮作品『仮面ライダービルド』にて描かれた世界の名称。
※『ビルド』終盤~本編終了後スピンオフのネタバレを含みます。



【概要】

『ビルド』本編にて、主人公・桐生戦兎の働きによって創造された世界。劇中の戦兎の表現を使う形で「C世界」と呼ばれる事も多い。

劇中でこのワードが登場した当初はエボルトがあらゆる星を吸収して自分だけの宇宙を創る=新世界」とされていた。
しかし、エボルトの協力者を演じていた葛城忍には真の目的があり、それはエボルトの語る新世界とは違う「世界融合による新世界の創造」だった。
この忍の構想は第46話にて戦兎から口にされ、本編では最終回でのみその世界観が描かれた。

『ビルド』本編終盤の物語では、この葛城忍の計画した新世界創造の達成こそが作品のラスボス・エボルトを倒す鍵とされた。
最終的に戦兎が新世界創造の理論を実行してエボルトを撃破し、物語の目的は果たされた。

『ビルド』のVシネクストシリーズである『ビルド NEW WORLD』は、最終回の後日談である事から新世界が作品の舞台となる。
また、『仮面ライダービルド ファイナルステージ』は、最終回における新世界創造最中の出来事となっている。
更に映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』に登場する『ビルド』側の登場人物達は、新世界創造後の設定。フータロスすげぇ。


【創造手法】

創造に必要な主な「材料」は、10本のブラックロストフルボトルに加えて、ラストパンドラパネルブラックとラストパンドラパネルホワイトの2枚、そしてエボルトの存在。

万丈龍我ハザードトリガーをパンドラボックスに入れた状態で起動すると現れるラストパンドラパネルホワイトは、『ビルド』本編の世界とは別に平行して存在する無数の世界「パラレルワールド」とこの世界を繋ぐ力を持つ。
その平行世界にラストパンドラパネルブラックの力を使って移動し、スカイウォールの存在しない平行世界と融合する事が出来る。
劇中では『ビルド』本編の世界を「A世界」、統合用の平行世界を「B世界」として説明していた。以下、それぞれの世界観の説明。

  • A世界
『ビルド』本編の世界。ブラッド族の生き残り・エボルトによる地球侵略の影響で日本列島が分断されている。
後にエボルトがを消滅させたことで、いずれ地球環境が崩壊する事が決定的(潮汐力が全く働かなくなる等)になってしまい、滅亡が確定した。
なお、以前にも「仮面ライダーオーズから仮面ライダーエグゼイドがいる世界」と融合(という名の対消滅)しかけた経験がある。

  • B世界
A世界の平行世界で、新世界創造の統合先として選ばれた。
こちらでは「スカイウォールの惨劇」が起きていないとされるが、一部ファンからは「A世界と同様の出来事が起きたもう一つの時間軸」とする異説もある。
映画『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』での描写から「歴代平成ライダーが全て存在する世界」の可能性もあるが、現在では詳細不明。

これらの平行世界をそのまま融合させるのではなく、パンドラボックスとエボルトの強大なエネルギーを使う事で時空の歪みを発生させて特異点を生じさせると、特異点で融合した世界同士で新たな世界(新世界)が創造される。
エボルト自体は世界を融合する際にエネルギーが全て使用されるため、パンドラボックスと一緒に消滅する。
第48話では、ジーニアスフルボトルのエネルギーも使われた(この結果ジーニアスフォームへの変身が不可能になるが、後に変身可能になっている)。

平行世界の同一人物は統合されるのだが、後のVシネクスト『クローズ』での説明によると記憶がリセットされるようだ。
しかし、ロストフルボトル10本の内の4本の不備*1によって、この4本の実験の被害者は本編世界の記憶が残ったままになった。

なお、『ビルド』の世界で平行世界を始めて確認した人間は映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』に登場した最上魁星である。
そして、忍の計画は平行世界の存在に確信がないと行えない計画な事から、平行世界の存在を確実に見せつけた最上がいたからこそ実行に踏み切れたであろうという点は想像に難くない。
最上の身勝手で悪魔のような思想と行動が、『ビルド』の物語を詰んだ状態から回避させる事になったとも取れるのは何という皮肉か……。


【『ビルド』本編から変化した点】

1.パンドラボックスから始まった歴史が存在しない

スカイウォールが存在しない世界であるB世界に上書きされる形で、スカイウォールの惨劇関連の事柄が消え去っており、パンドラボックスやスカイウォールといった存在は最初から存在しない歴史に改変された。
その影響で日本も分裂国家状態にならず、『ビルド』本編で起きた各都市同士の戦争も起きていない。怪人のスマッシュも生まれることはないはずだったが、こちらは後に残ってしまっていたラストパンドラパネルホワイトから現れたキルバスによって生み出された。
スカイウォールの惨劇によって設定された年号である「ASW(After Sky Wall)」も、新世界ではないと見て良さそうだ。

パンドラボックスに関しては、後のVシネクスト『仮面ライダークローズ』にてキルバスが万丈龍我の中のエボルトの遺伝子を利用した事で新しいパンドラボックスが生成された。

2.存在する人物の状況の変化

新世界ではA世界にいた人々は本編における記憶がなく、本編で死亡した人間も蘇っている。
しかし、上述したように一部のロストフルボトルの不備による影響を受けた人間は、記憶や肉体はリセットされなかった。
更にキルバスのパンドラボックス創造の際に発生した波動により、A世界でネビュラガスの人体実験を受けた人物だけに限って記憶が戻ることになる。

本編でエボルトの起こした陰謀に巻き込まれて死亡した人々も新世界では生存している。
A世界とは立ち位置が変わった人物もおり、例えば氷室泰山は分裂しなかった日本国の首相となっていた。また、Vシネクスト『グリス』では本来の姿の葛城巧も存在していることが判明している。
新世界の葛城の存在によってか、戦兎の中にいた葛城巧は新世界創造後間もなくして消滅している。

本来は存在しないイレギュラーな存在である戦兎は記憶を保ったまま新世界に移行した*2
龍我は「恋人と平穏な生活を過ごす黒髪の格闘家の万丈龍我」と「A世界から移行した万丈龍我」が両立する事態になった。
これは龍我がエボルトの遺伝子を持っていたことで、戦兎と同様にイレギュラーな存在と判定されたため。

エボルトは存在しなくなった…はずだったのだが、後日談の『クローズ』にて復活。龍我の体内にあるエボルトの遺伝子と地球外エネルギーを用いれば再生可能。
ラストパンドラパネルホワイトから出現したキルバスは、詳細は不明だが恐らくA世界から新世界にパンドラパネルを利用して移行したと考えられるが……。

3.難波重工が難波機械製作所という会社に変わっている

本編世界で暗躍していた一大重工企業メーカーだった難波重工の存在が変化。『難波機械製作所』という名称の会社に変化しており、企業規模も大企業だった難波重工から町工場程度の規模になってしまっている。
難波チルドレンだった内海成彰は、新世界でも難波機械製作所に普通の工場員として勤めていた。
また作り直しダァ〜〜〜!


難波が本編とは違って町工場に成り下がっているのは、スカイウォールの惨劇が発生しなかったことが大きいと考えられる。
日本での軍需が起きなかったことにより、大企業として利益を伸ばして成長する機会を失ったと推測できる。

しかし、本編でも散々描写されたように難波重三郎の邪悪な人間性はパンドラボックスの光とは関係ない。
孤児院の設立とその孤児である難波チルドレンの育成計画もスカイウォールの惨劇とは関係ないため、新世界ではこの辺りの難波の闇がどう処理されたのかは不明。

4.ライドウォッチが存在する

新世界に到達した戦兎がいつの間にかクローズライドウォッチを所持していたことから、この世界にはライドウォッチが存在する(或いは形成された)事が分かる。
ただし、以前のシリーズでもあった「『仮面ライダーW』での財団Xのコアメダル研究描写」のように、次回作の宣伝を兼ねたメタ的な先行お披露目としての要素が強い。
そのため、深く考えてはいけない物だと思われるが、後述する『仮面ライダージオウ』との連携計画の頓挫が影響している可能性は否定できない。

ライドウォッチこそ存在するが、『ビルド NEW WORLD』の物語が発生している事から、仮面ライダージオウとその物語が新世界で出現した可能性は低いと見られる。
後に明かされた『ジオウ』の世界構造を考えると、アナザービルドに引っ張られる事のなかった世界で展開されるのが『ビルド NEW WORLD』の物語なのだろう。

5.テロ組織のダウンフォールが発足

上述した人体実験の影響で旧世界の記憶を保持していた人物の一人である浦賀啓示により、旧世界の技術を悪用して日本の支配を企むテロ組織が誕生した。
しかし、仮面ライダーグリスなどの活躍によってこの組織は壊滅に追い込まれたと思われる。

6.新たな物質「ファントムリキッド」の誕生

ネビュラガスの噴出地帯が異なる世界同士の融合によって圧縮された事で誕生した物質としてファントムリキッドが形成された。
ネビュラガスより高性能な物質であるとされており、テロ組織であるダウンフォールがこれを用いてファントムクラッシャーや仮面ライダーメタルビルドなどの新たな兵器を開発している。
Vシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』冒頭で傷心旅行で遭難した猿渡一海と北都三羽ガラスが流れ着いた無人島で入浴していた露天風呂こそ、ファントムリキッドが湧き出す地点だった。


【備考】

  • スカイウォールの惨劇の影響で生まれた人間について
新世界の疑問として挙げられる点として、「A世界でしか生まれないような人間はどうなった?」という部分が指摘される。

これはどういうことかと言うと、A世界は日本が国家分裂状態にある特殊な世界観が築かれている。
つまり、A世界とB世界に同じ人間が存在していても、国家分裂状態では人間関係が大きく変化している可能性は否定できない。
その結果、A世界とB世界では婚姻関係が異なる人間がいる可能性まで生まれてくる。
そうなると、スカイウォールの惨劇からビルド本編の間の10年間で生まれた子供には「『ビルド』本編状況下だから生まれた(=普通の日本なら生まれない)者」がいてもおかしくない。

新世界創造の際に、このような人間に関してはどのように処理されたのかは現在の所は不明。
戦兎や万丈もある意味で「A世界でしか生まれない人間」であり、彼らが残っている以上そういった人物もC世界に存在している、と推測はできるが…

  • 『ジオウ』における世界融合と歴史改変との関連
『ジオウ』終盤において、『ジオウの世界』に歴代平成ライダーの世界が融合され、かつライダーの物語が歴史から消えた状態で『ジオウの世界』の過去として組み込まれていたことが判明した。
これを踏まえると、『ジオウ』EP01ではA世界が2017年の段階で既に融合されており、したがってB世界と融合される前に歴史改変がなされ、(仮面ライダーオーマジオウによって世界が分離されるまでの間)C世界ができたという事実が消失していると考えられるが、『平成ジェネレーションズFOREVER』ではC世界の戦兎や万丈が「ライダーのいない世界」に召喚されている。
一方、この時現れた一海、幻徳、美空は言動からして新世界創造以前の彼ら(=他のレジェンドライダーと同じく『ビルド』本編から召喚された存在)の可能性が高く、なぜ戦兎と万丈だけがC世界(=本編終了後)から現れたのかがはっきりしていない。
考えられる可能性としては、歴史改変の影響を受けない「特異点」である野上良太郎仮面ライダー電王が同じく本編後の存在と思われることから類推して、
アナザービルド誕生によって「『仮面ライダービルド』という物語」が消失しているので、ライダーでなくなった戦兎(巧)と万丈が『ジオウの世界』に組み込まれたが、C世界の戦兎や万丈は世界創造によって特異点となっていたため存在できたということだろう。

一方で『ジオウ』EP01にてスカイウォールが存在する2017年11月30日に時空転移していたが、これはアナザービルド誕生前だが、既にアナザービルドウォッチが「ジオウの世界」に持ち込まれていた影響かもしれない。

  • ちょっとした裏話
チーフプロデューサーの大森敬仁Pを初めとする『ビルド』スタッフが、新世界という世界観を用いて『ジオウ』との連動を試みたというメタな事情があるのだが、その構想は頓挫した。
その詳細は『東映ヒーローMAX Vol.58』におけるインタビュー記事に掲載されている。
映画『Be The One』のエピローグでの平成ライダーの集結はその構想の元作られたシーンと言えるだろう。


追記・修正は平行世界を呼び出すと同時にエボルトを撃破して新世界を作ってからお願いします。

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最終更新:2024年01月15日 21:34

*1 バット、コブラ、ハサミ、キャッスルはA世界における実験の最中で作られた偶然の産物であり、新世界創造の専用アイテムとして作られたボトルではなかった事で不備が発生した。

*2 新世界の創造者は戦兎なので、新世界の神様と言っても過言ではない状態である。仮面ライダーの力を所持して世界を融合させた戦兎は確かに神話の神のような存在かもしれない。