アナザーキカイ(仮面ライダージオウ)

登録日:2019/05/01 Wed 14:48:10
更新日:2024/04/21 Sun 18:38:24
所要時間:約 3 分で読めます






誰があの力を奪うか、競ってみるか?

何で…何で僕が…?


アナザーキカイとは、『仮面ライダージオウ』に登場する怪人「アナザーライダー」の1体。

身長:210.5cm
体重:1.8t
特色/力:有機物への寄生
変身者:存在しないウール
契約したタイムジャッカー:なし
モチーフ:仮面ライダーキカイ
デザイン:篠原保
登場話:第23話、第24話
※身長・体重は、仮面ライダーキカイと全く同じ。


概要

第23話、第24話に登場したアナザーライダー。
2121年の仮面ライダーである仮面ライダーキカイの力を宿した怪人。
これまでのアナザーライダー同様、「アナザーキカイウォッチ」を契約者に埋め込んで誕生した……と、ソウゴ達(および視聴者)は思っていたが、
実はアナザーウォッチも変身している契約者も存在しないという、かなり異質極まりないアナザーライダー。
それまで登場した他のアナザーライダーとは一線を画する異端の存在であり、際立つ特徴としては主に以下の通り。

  • 変身者がいない。
アナザーライダーは一応「仮面ライダー」の範疇であるため変身する人物が存在するのだが、アナザーキカイには変身者が存在しない。
顔面部の鼻から口にかけての部分(後述)が本体であり、これが植物などの有機物に寄生することで怪人としての体を形成している。

  • 出現の経緯が不明。
ソウゴがジオウⅡの力を手に入れてからほどなく、突然2019年の世界に出現して暴れまわっていた。*1
だが、このアナザーライダーについてはタイムジャッカーは全く関わっておらず、タイムジャッカーの面々もアナザーキカイの正体や誕生した経緯などを全く把握できていない。

変身者がいないのもそうだが、アナザーライダーの存在の根幹であるアナザーウォッチも存在していない。

  • 仮面ライダーキカイとの接点が存在しない。
アナザーライダーは多かれ少なかれ、オリジナルにあたる本物の仮面ライダーとの接点をある程度持っている(少なくとも「オリジナルから奪った力を移植された」という点では共通する)が、アナザーキカイについては本物のキカイとの接点が全く描写されていない。

これら、既存のアナザーライダーとは全く異なる部分が多い一方、「本体が無事なら何度でも再生する」「本物のライダーの力がなければ倒せない」といった共通項も残しているが、アナザーライダー特有の異形の姿も合わさってかなり不気味で不明瞭な存在。
キカイのアナザーライダーである影響からか、機械の駆動音や電子音のような鳴き声(?)を発しており、動きもぎこちないロボットの様である。

容姿

仮面ライダーキカイの姿を模している筈だが、その姿には元のキカイの機械要素は全く含まれておらず、「シルエットが何となくキカイに似ている」程度にしか面影がない。
その姿は様々な木の枝を人型に組み合わせたような異形で、「機械」の怪人と言うより、「木怪」「木塊」の怪人とでも言える「奇怪」な容姿である。
一応元のライダーの面影を残す他のアナザーライダーに比べるとアナザークイズに輪をかけて化け物染みた外見であり、理性の類がまるで存在しないこともあってか、もはや仮面ライダーでもなんでもないただの怪物と化している。
木の怪人という点は、原作者・石ノ森章太郎による『人造人間キカイダー』の漫画版の基になっている「ピノキオ」の要素と予想されている。
身長・体重がキカイと同じためか、巨大怪人であるアナザークウガを除けば、等身大のアナザーライダーで最も重い重量を誇る。

頭部は円筒状で、赤い糸で縛り上げた薪束のような見た目。顔面には、高い天狗鼻と木の割れ目のようなギザギザした歯を持つ口がある。
額の辺りからは、キカイの「スパニーホーン」を思わせるV字の枝のようなツノが生えており、先端もスパナのように二又に分かれた形状となっている。
複眼に当たる部分は縦に割れたような空洞となっており、アナザーライダー特有の眼は確認できない。
他のアナザーライダーのような「笑い顔」「怒り顔」「泣き顔」といった表情もないので、その無機質さが際立っている。

左腕は右腕に比べて大型化しており、頭部同様に薪を巻き付けたような見た目となっている。まるで長い鍵爪のような枝が生えているのが特徴的。
腰回りにはスカート状に広がっているパーツが確認でき、キカイドライバーを模したベルトがある。
ベルトの中心部分は、元のキカイドライバーのようにスパナとドライバーを思わせる形の枝が重なり合ったような見た目と化している。

胸部にはKIKAI(キカイ)、左肩には「2121」の文字が、それぞれ彫刻刀で掘り込んだような金釘流で書かれている。
また、この胸部の部分はオリジナルのキカイ同様、ヒューマノイズとしての機能の制御を司る電子パネルが内蔵されており、
ここにある特定のパスワードを入力することで機能が停止する。

無機物であるキカイが人間らしい心を持つのに対して、有機物であるアナザーキカイは機械的、と在り方そのものも見事に正反対である。


篠原氏によるデザインコンセプトは「樹怪」。また目を完全に失くすことで人格を感じさせないようにデザインしたという


能力

固有の能力は、有機物への寄生。実はアナザーキカイの口と鼻に当たる部分は、クモにもクワガタにも似た姿の寄生虫を思わせる怪生物
これが謂わばアナザーキカイの本体であり、同時に従来のアナザーライダーにおけるアナザーウォッチに当たる存在でもある。本体だけの状態では虫のように地面をカサカサと動き回る。
本体が無事な限り、他の有機物に寄生することで復活することが可能。映画『エイリアン』に登場するフェイスハガーの如く寄生対象に飛びつき、張り付くと無数の触手を伸ばして一体化を図る。
由来はおそらく「バグ」と思われる(プログラミング用語のバグの語源は「虫」を意味する英単語)。

変身者が存在しないものの戦闘能力はそこそこ高く、キカイの使う「キカイデハカイダー」「フルメタル・ジ・エンド」に似た攻撃が使用できるなど、キカイ同様に格闘戦に優れている。また、両手の蔓を伸ばして鞭にできる等、木の怪人ならではの攻撃も可能。
背中からミサイルを放つという、元のキカイにはない攻撃も行う。
また、仮面ライダーウォズのフューチャーリングキカイには「スパナ型のナノツールを散布し、人間をヒューマノイズにする」という能力があることが語られているが、それがこの寄生能力の基だと思われる。

歴史改変の影響

劇中で描かれた「キカイのいる2121年」の実体は、ソウゴの見ているから生み出された架空の未来である。
その為2121年の時代に改変は起きておらず、レントもキカイの力と記憶を維持したままになっていた。夢ではない「オーマジオウの消えた未来」における2121年ではどのような変化が起きているか不明だが、そもそも「キカイのいる2121」がソウゴの夢である以上、最初から何も異変が起きていない可能性もある。


劇中での活躍

第23話「キカイだー!2121」

追試の勉強中に寝落ちたソウゴが「2121年で戦う仮面ライダーキカイ」の夢を見た直後、いきなり現代に出現して暴れ始めた。迎撃に出たゲイツを苦戦させるも、駆け付けたジオウⅡに襲いかかったところでライダー斬りを食わされ爆発四散した。
この時ソウゴは、夢の中で見たキカイの戦い方とよく似た技を使ってきたことから、現れたのが仮面ライダーキカイのアナザーライダーだと看破している(ゲイツには夢の話だと一笑に付された)。

前述の理由から変身者もウォッチも現れなかったため二人は立ち去ったが、健在だった本体はその場を逃げ出した後、街路樹に取りついて復活
その後、今度は白ウォズやゲイツの前に現れ再び激突。途中でまた現れたジオウⅡの攻撃を受けて粉砕されるも本体はまたもや健在であった。

直後、現れたスウォルツによってタイムジャッカーとも無関係に現れたことが語られる。
だが、「人間を媒介にすればライダーとしての力が安定し、ウォッチが生成できる」と踏んだスウォルツはアナザーキカイの本体を何とウールに寄生させ、結果ウールは無理矢理アナザーキカイに変身させられてしまう。
「誰があの力を奪うか、競ってみるか?」とスウォルツが宣言したことで、結果的に誰が先にキカイの力を手に入れるかの争奪戦が始まった。

第24話「ベスト・フレンド2121」

「ウールを助けたい」と持ちかけてきたオーラの相談により、ソウゴとゲイツ、ツクヨミ、白ウォズはアナザーキカイ撃破のため一時共闘することになる。

ソウゴはその中でまた2121年の夢を見、暴走する仮面ライダーキカイを機能停止に追い込んでいた。
彼はその際、レントの仲間の一人である少年・マルコから、レントがいつも「WILL BE THE BFF」=「俺たちはずっと友達だ」と言う合言葉で皆を励ましていたことを聞かされる。
「この言葉こそ、キカイの力を持つアナザーキカイを止めるパスワードに違いない」と直感したソウゴはそれをゲイツ達に明かした。

その後、白ウォズのノートにより人気の少ない採石場に誘引されたウールはそのままアナザーキカイに変身して暴れ始める。
が、いかにアナザーライダーと言えど仮面ライダー3人が相手では分が悪く、オーラによって時間が止められた間にゲイツがソウゴから聞いたパスワードを入力した。

……が、結果は認証エラー。実はこのワードはキカイの停止用ではなく再起動用のパスワードだったのだ。
再び暴れ出したアナザーキカイに三人が翻弄される中、駆け付けたツクヨミが、ゲイツに別のパスワードを明かす。
WILL BE THE KING」=「俺は王様になる」。それは、ソウゴが幼少期から大切にしているロボットのおもちゃ、その背中に幼き日のソウゴが書いた落書きだった。

それを入力すればアナザーキカイから、仮面ライダーキカイの力を奪い取れる。
だが、それまでの経緯から、自分はキカイの力を手に入れるべきなのかとゲイツが迷い、その隙をついてオーラが再び時間を停止。
自らパスワードを入力してアナザーキカイウォッチを生成、再びウールに埋め込んだ。

ウールを助けるというのは偽りであり、オーラの目的はアナザーキカイと化したウールを傀儡の王として祭り上げることだった。
オーラに言われるがまま攻撃を再開したアナザーキカイはミサイルの弾幕を放ち、停止した時間の中でツクヨミはその爆炎の中に消えた。

だが直後、ジオウⅡが時間を逆転させ、パスワードが判明した直後に戻す。
「今ゲイツがためらったら、あの未来にたどり着いてしまう!!」と叫んだジオウⅡはそのままジカンギレードを連射してオーラを妨害。
意を決したゲイツはアナザーキカイに詰め寄るとパスワードを入力し、後ろから抑え込んでいた仮面ライダーウォズのブランクウォッチにキカイの力が宿る。

そして、フューチャーリングキカイとなった白ウォズによりアナザーキカイは撃破された。
解放されたウールは、全てはスウォルツとオーラの共謀だったことを知るが、憎々しげな顔を向けつつもオーラと共に撤退していった。

全てが終わった後、ツクヨミはソウゴの能力の本質を考えていた。
誕生経緯が全く不明のアナザーキカイだったが、何故かソウゴだけは、その元になった仮面ライダーキカイの存在を夢という形で知っていた。
そして、アナザーキカイを止める為のパスワードは、ソウゴがおもちゃのロボットに残した落書きそのものだった。

つまり、「ソウゴが仮面ライダーキカイの夢を見たことによって、アナザーキカイがこの時代に出現したに違いない」と考え、
そこからソウゴの力とは単なる未来予知ではなく、思い描いた未来の創造という能力であることに行き着く。
夢という形で未来のビジョンを見ることで、それが現実となって歴史に組み込まれ、その夢に登場した仮面ライダーも実際の存在として歴史に現れる。
仮面ライダーキカイの夢を見たからこそ、本来いるはずのないキカイが歴史の中に現れ、その存在を実証するためにアナザーキカイが生まれた。
ソウゴの落書きが停止パスワードだったのも、元々彼の夢から生まれた存在だったからであった。

アナザーキカイが現れ、白ウォズがその力を手に入れたことよって、逆説的に「2121年の未来には仮面ライダーキカイがいる」ことが裏付けられたのだと、そう結論したツクヨミは、未来をも作り出すソウゴの力にただ恐怖していた……。


余談

  • 公式サイトによれば、「ソウゴがアナザーキカイの正体を看破できたのはアーマータイムで独特な解釈をするソウゴの感性ゆえ」だと説明されており、アナザーキカイがキカイと同じ技を使っていることに気付いた訳ではない模様。

  • 23話を視聴したファンからは、「アナザーウォッチと変身者が存在しない」「2019年に突然現れた経緯が不明」などの特徴から、「こいつは本当にアナザーライダーなのか?」という意見も多かったようである。因みに(無理矢理寄生させられたとはいえ)タイムジャッカー自らが変身するアナザーライダーとしては『ジオウ』TV本編では初、映画に登場するアナザークウガを含めれば2体目である。

  • アナザーライダーは大まかなパターンの一つとして「オリジナルのライダーが戦っていた敵の要素を含んでいる」ことが挙げられる。*2アナザーキカイの場合、元のキカイの敵はヒューマノイズだが、フューチャーリングキカイの能力を踏まえるとその正体は「人間の体を乗っ取って機械化・支配するナノマシン」であると思われる。そうであれば、アナザーキカイは「本体が生物を乗っ取って体を得る怪人」という点でヒューマノイズの要素を含んでいることになる。



追記・修正はアナザーキカイに寄生されてからお願いします。

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最終更新:2024年04月21日 18:38

*1 タイミング的にはソウゴが仮面ライダーキカイの夢を見た直後。

*2 そもそも敵がライダーだったアナザーリュウガ、オリジナルの敵が不明なアナザークイズは例外。アナザーフォーゼの場合は宇宙鉄人の要素が強い。