機動部隊(SCP Foundation)

登録日:2019/04/08 (月) 1:02:21
更新日:2023/11/08 Wed 03:24:36
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「パンドラの箱を再び開ける、ね。」ヒールは言った。
「確かあの神話って、箱は二度と閉じられなかったんだよね?」

「いや、パンドラの箱は違う。」スーツは言った。
「あれは、こう呼んでやろう。」

「なんて呼ぶの?」

「パンドラの箱が開けられた時残されたモノだ。」

「残された希望」


●目次


【概要】

機動部隊(MTFs = Mobile Task Forces)とは、SCP Foundationに登場する財団に所属する、選抜されたメンバーからなる精鋭部隊である。
名前からは軍の特殊部隊のようなビジュアルを想像するかもしれないが、機動部隊はそれぞれの専門分野のスペシャリストたちであり、必ずしも軍人のように武装しているとは限らない。
(とはいえ、並のエージェントでは太刀打ちできないような危険な場所に送り込まれることが多いため、多くの機動部隊は戦闘部隊でもある)
規模も様々で、大規模なものは数百名の戦闘員を抱えてちょっとした軍隊並の装備だが、いっぽう数名から十数名といった少人数の部隊も存在する。

機動部隊はそれぞれ
  • ギリシャ文字(日本支部はひらがな)1文字
  • 数字1~2桁
  • 部隊の通称名
を持っているが、翻訳記事では表記に揺れがあることも多い。

以下に、本部および日本支部から、いくつかの機動部隊を抜粋して紹介する。


【本部の機動部隊】


  • 機動部隊アルファ-1("赤い右手")
エンブレムは矢印を握る腕。
ギリシャ語の最初の文字であるαにして1。O5直属の機動部隊である。「レッド・ライト・ハンド」とカタカナ表記になることが多い。
逆に言うと、こいつらが出てくるということは財団の核心に迫る機密が関わっているということでもある。

……という事情もあって気軽には使えないため、登場する記事はあまり多くない。
登場するオブジェクトはSCP-3434など。

同じように財団に危機が迫るような状況に活動する機動部隊として、財団内部の統制を担当する直轄の機動部隊イプシロン-11("九尾狐")というのも存在する。
こちらも詳細は機密であり、活動するのはサイト自体がまるごと機能不全に陥ったなどの危機的状況だけである。

また、SCP-001/タンホニーの提言ではこいつに対応する財団外の機動部隊として、倫理委員会直轄の機動部隊オメガ-1("法の左手")、管理者直属の機動部隊レッシュ-1("意識の座")が登場しており、前者は他の記事でも見かけることがある。
ちなみにレッシュ-1のみギリシャ文字ではなくヘブライ文字(ר、Rēsh)となっている。

  • 機動部隊アルファ-9("残された希望")
エンブレムは開いた箱とその中から現れた翼と光。
冒頭のやり取りで出てきた機動部隊。
一言で言えば、人型オブジェクトを活用するための機動部隊、第二弾。
リーダーはソフィア・ライト博士で、SCP-105なども参加している。

第一弾は後述。


  • 機動部隊ベータ-7("マズ帽子店")
エンブレムはバイオハザードマークの刻まれたシルクハット。
生物的、化学的、放射線学的災害への対処を専門とする部隊。
部隊の通称名Maz Hattersは、不思議の国のアリスに出てくる気違い帽子屋(Mad Hatter)と、彼らの装着する防護服(Hazmat suit)をかけたもの。

危険なウィルスや寄生虫、謎の有害化学物質などには事欠かない財団世界では忙しい部隊の一つ。

同様に生物的災害を専門とする部隊として、機動部隊ラムダ-12("媒介害獣除染隊")があるが、こちらはもっと大きい小動物が担当である。
Pest Controlは病気を媒介するネズミなどの害獣・害虫を駆除すること。
……なのだが、フロリダ州に出現する某社キャラクターのきぐるみに似た捕食生物を担当させられて「ネズミはネズミでも専門外」と愚痴ったりしている。ハハッ


  • 機動部隊ガンマ-5("燻製ニシンの虚偽")
エンブレムは半分が骨になった魚。
過労死候補機動部隊その1。カバーストーリーの適用や記憶の捏造、情報操作や噂の遮断といった後始末を専門とする部隊。
通称名のRed Haringは日本語訳の通り燻製にしたニシンのことで、強い臭いで猟犬の鼻を利かなくすることから、関係のない話で重要な事柄から聞き手の注意をそらすことを指す。

逆に、事前の根回しを専門とし、各地の法執行機関に諜報員として潜り込み、財団に異常事件の情報を流したり、権限を移管させるのが専門の機動部隊イオタ-10("ポリ公")という部隊もある。


  • 機動部隊イプシロン-6("村のアホ")
エンブレムは掲げられた松明とピッチホーク。
農村や郊外といった人口の少ない集落での活動を専門とする機動部隊。
恐らく小規模なコミュニティに入り込んだり、地域の慣習や地域関係を察知したり、方言を覚えたりすることに長けているのだろう。
あんまりな通称だが、村のアホ(Village idiot)というのは欧米圏の民話などのステレオタイプで、愚かな行動をしたり的はずれな発言をしたりして周囲から馬鹿にされるキャラクターのこと。「田舎っぺ」のようなニュアンスだろうか。

反対に都市部(主にニューヨーク)での活動を専門とする機動部隊パイ-1("シティ・スリッカーズ")というのも存在する。


  • 機動部隊エータ-10("シー・ノー・イーヴル")
エンブレムは瞳。
過労死候補機動部隊その2。視覚的な認識災害や視覚的なミーム物体の収容を専門とする機動部隊。
See no evilとは「See no evil, hear no evil, speak no evil.」ということわざの一部、。
聞き覚えがある人もいるかもしれないが、これは日光東照宮の三猿で有名な「見ざる、聞かざる、言わざる」を英訳したものだったりする。

エージェントに被害が及んで大惨事になったあと、さらっと出てきて収容に成功していることも多いが、送り込んだ部隊があっさり全滅していることもある。

同様の機動部隊としては、聴覚的な異常を専門とする機動部隊エータ-11("獰猛な獣たち")などがある。


  • 機動部隊シータ-4("庭師")
エンブレムは牙を持つ花。
名前の通り、植物的な異常存在や、異常な植物が繁茂した環境を専門とする機動部隊。
異常存在の種類ごとの専門を持つ機動部隊は多く、谷は魚類などの水棲生物が専門の機動部隊ガンマ-6("大食らい")、鳥類などの飛行生物が専門の機動部隊ラムダ-4("野鳥観察")、実体のない霊的存在が専門の機動部隊ミュー-13("ゴーストバスターズ")、異常な建造物が専門の機動部隊プサイ-7("リフォーム屋")など、多岐にわたって存在している。


  • 機動部隊シグマ-3("書誌学者")
エンブレムは3つの手。それぞれ蛇、星、矢印が手の甲に刻まれている。
放浪者の図書館、および蛇の手の探索、調査、収容を専門とする機動部隊。
他にも要注意団体ごとに機動部隊が存在しているが、必ずしも要注意団体が絡んでいるときには必ず担当の機動部隊が出動する、というわけではない。
他にはMC&Dが専門の機動部隊ミュー-3("最高額入札者")、Alexylva大学が専門の機動部隊ロー-1("プロフェッサー")など。


  • 機動部隊ニュー-7("下される鉄槌")
エンブレムはハンマー。
財団の軍事力。特殊歩兵部隊が3個中隊、軽装甲車両が1個中隊、戦車が1個小隊、その他ヘリ部隊、CBRN小隊、工兵小隊、核兵器専門部隊など…規模は完全に軍隊のそれである。
主に強力な火力が必要な場面や、単純に精鋭の兵士が必要な場面に投入される。
収容のため…というよりは、他の要注意団体と交戦する可能性がある場面での出番のほうが多い。
SCP-939やSCP-4290等々、対SCiPにおいても登場機会は結構多い。


  • 機動部隊オメガ-7("パンドラの箱")
エンブレムは箱から伸びる手。先述の機動部隊アルファ-9の前進でもあるため、エンブレムが似ている。
人型オブジェクトを活用するための機動部隊、第一弾。
目玉はアベルことSCP-076で、収容のためにアベルを使うことで、殺人欲求も満たせて収容もできて超強力な戦力も得られて一石三鳥!
……というわけにはやはりいかなかった。
機動部隊は専門性の高い精鋭部隊である。機動部隊がいつでも出動し、いつでも殺せるなどということは、危険な現場であってもありえないことなのだ。

結局はアベルが暴走して隊員を殺しまくり、機動部隊は解散、オメガ-7は財団の黒歴史となったのだった。


  • 機動部隊オメガ-9("スクラブ")
エンブレムはQuakeのロゴと3つの矢印。
人型オブジェクトを活用する機動部隊、第三弾。
世界各地のどこかに即参上、何度死んでも復活する超人と化した3名がドンパチしてくれる。
SCP-2639となってしまった少年少女3名は意図しないまま世界各地で殺戮を繰り返していたが、財団職員が接触し交流を行った末に協力関係となったことで発足した部隊。
ただし彼らとの取り決めの関係で人型オブジェクトには一切使えず、また中の人がサーバーとなったPCに取り込まれてしまった罪に苛まれるごく一般的な少年少女であることから将来的な運用には不安が付き纏う。
「スクラブ」とは英語のスラングで「下手くそ」「初心者」といった意味だが、彼らは10年以上対人戦闘を行ってきたスーパープレイヤーである。


  • 機動部隊オメガ-0("アラ・オルン")
エンブレムはΩの紋章が描かれた盾を持つ骸骨。
人型オブジェクトを活用する機動部隊、第四弾。
財団内においても最高機密…というかそもそもO5すら存在を知らない特殊部隊。
SCP-2111の事件に巻き込まれ、死亡したエージェントや研究員や機動部隊員の記憶がコンピュータネットワーク上に入り込んでしまい、そうなった彼らによって自主的に結成された死者の部隊。
ネットワークを移動しつつ、非実体・ミーム的・反ミーム的オブジェクトの秘密裏な収容・無力化に尽力している。

Ará Orúnというのは、ナイジェリア南西部に住む民族であるヨルバ族の言葉で、Orun Rareという善の魂が集まるところから来るとされる先祖の魂のこと。


  • 機動部隊オメガ-12("アキレウスの踵")
エンブレムは矢の刺さった踵。
SCP-3480から出現した、別世界の財団職員のコピー達による対現実改変部隊。人型オブジェクトを活用する機動部隊、第五弾
彼ら自身がThaumielクラスのSCiPでもあり、現実改変実体への対処が主な任務。ただし、安全面の都合からクラスIV以上の現実改変者がいないため、度が過ぎるバケモノが相手だと手も足も出ないことも。

アキレウスの踵は、ご存知の通り全身が無敵で不死身なアキレウスの唯一の弱点、アキレス腱の由来である。
財団としても、同じオブジェクトから出現した現実改変実体に危険な現実改変実体対策をしてもらう、というのが、一歩間違えば大惨事につながる脆弱なものであることは理解の上だということだろうか。
また、彼らの最大の仕事を以前請け負っていた機動部隊の名称も関係しているかもしれない。


  • 機動部隊タウ-5("サムサラ")
エンブレムはウロボロス。
「死した神の肉」から生み出されたサイボーグクローン部隊。
メンバーそれぞれの肉体は単なる端末であり、死亡しても別の端末に記憶と意識を転送して蘇生する。
財団の開発した兵器の実験部隊という側面もあり、特性も相まって苛酷な任務に駆り出されることが多い。
SCP-1730などが主な職場。

Samsaraは、インドにおける輪廻のこと。日本ではインド風の発音である「サンサーラ」のほうが有名だろう。
死んでも別の肉体で再び戦いに赴くのを輪廻になぞらえていると思われる。


【日本支部の機動部隊】

日本支部の機動部隊は、本部ほど設定が固まっていないものが多いため、種類は多いのだが、ほとんどの機動部隊はひとつのオブジェクトの収容にしか登場しない。
SCP-452-JP-1の確保が専門の機動部隊は-2("ヘンゼルとグレーテル")、SCP-1149-JPの監視が専門の機動部隊へ-7("夢追い人")など。

比較的汎用的な専門を持つ部隊としては、切手や古書などの蒐集品を専門とする機動部隊ろ-12("魔窟住まい")、宝石や貴金属を専門とする機動部隊は-4("宝石泥棒")、昆虫などの小型生物を専門とする機動部隊む-4("虫とり少年")など。

日本支部の部隊はコードネームが非常に凝っているのも特徴。

【中国支部の機動部隊】

日本支部に比べると複数のオブジェクトの収容に登場し、名称が「機動部隊-干支-数字」となっているのが特徴である。

代表的な機動部隊は中国支部(SCP Foundation)を参照。


追記・修正は機動部隊ω-4("冥殿の尻")に行わせるようにお願いします。

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