フェイズシフト装甲(ガンダムSEED)

登録日:2011/02/19(土) 03:40:12
更新日:2024/03/02 Sat 13:01:27
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ミゲル「コイツ!どうなってる!?コイツの装甲は!」

アスラン「そいつらはフェイズシフトの装甲を持つんだ。展開されたらジンのサーベルなど通用しない!」



フェイズシフト装甲(Phase Shift Armor)とは、『ガンダムSEEDシリーズ』に出てくる装甲技術。

監督の「ガンダムを無敵の存在にしたい」という要望から生まれた設定である

基本的に本編ではそのまま「フェイズシフト」と呼ばれるが、雑誌などの誌面やゲームでは略して「PS装甲」という表記が多い





【概要】

《SEED・序盤》

地球連合軍の新型MS『GAT-Xシリーズ』に搭載された装甲システム。
前半の主役機であるストライクやその兄弟機である『G』、合わせて5機に採用された新装甲である。

外伝作品である『ASTRAY』等でPS装甲に関する部分は連合軍側によってブラックボックス化されていると語られており、
ストライク以外の4機を強奪したZ.A.F.T.もすぐにPS装甲を自軍の兵器に転用することは出来なかった他、
秘密裏に『G』を連合軍と共同開発し、そのノウハウを活かして『アストレイシリーズ』を製造したオーブ連合首長国も、
もう一つの連合特有の技術であるビーム兵器の小型化は盗用に成功した一方、PS装甲のブラックボックスは解析できず、
結果、各アストレイの装甲は発泡金属製となっている。

平時は装甲は灰色に近い色合いだが、戦闘時などに通電するとシステムが起動し、鮮やかな色合いに変化する。
カラーリングは機体によって様々で、ストライクは白が多いトリコロールカラーだが、イージスはほぼ全身が赤く染まる。
一度起動すればその名の如く装甲表面が「相転移」を始め、物理的な攻撃に対して非常に高い耐性を発揮する。

「相転移」とは簡単に言えば「熱」と言うエネルギーを与えたり奪ってやると、水は液体になったり気体になったり固体になったり状態を変える。
この液体とか気体という状態の事を「相」と言い、これが変わる事を「相転移」と言う。炭素の塊に10万気圧の圧力をかけるとダイヤモンドになるのも相転移の一種である。
これらは全て外力によって原子・分子の配列が変わるために起こる事で、これらを特に「構造相転移」などと呼ぶ。
温度が変化する事で、物質自体は変化しないが、帯びている磁気の性質が変わるものもあり、こちらは「磁気相転移」と呼ぶ。

話を装甲に戻すと、フェイズシフト装甲は「電圧をかける」という外力を与える事で装甲の硬度が飛躍的に上がる。
これが原子の配列が変わって別の物質になるために硬くなるのか、もしくは同じ物質のままで硬度が変わるような金属なのかは不明だが、とにかく装甲材の性質が変化して硬くなる。

ちなみに、被弾した時にエネルギーの消費が大きくなる件については、
「被弾時の衝撃や熱を『相転移を一時的に崩す』ことで吸収(チョバムアーマーのように)して防御し、その相転移を組み直すのにエネルギーを消費するのではないか」という説がある。


これにより実体剣での斬撃やライフルの弾だけでなくレールガンやミサイルの攻撃にも耐える事が可能になり、物理攻撃に対しては無敵と言っても過言では無い。
耐熱性も向上し、ある程度のビーム兵器への耐性や、耐熱コーティング無しでの大気圏突入能力も獲得している*1

ただし、突入時のコクピット内の温度上昇までは防げないため、機体が無事でもパイロットまで無事とは限らない。
事実、ストライクで降下した時のキラはコクピットが超高温になっていた事で、地上に降りた直後に体調不良を起こした。
後述のTP装甲を採用したレイダー制式仕様で大気圏への突入降下を行ったエドワード・ハレルソンも、デブリを即席の盾代わりにしてある程度軽減していたとは言えかなりへたばっていた。

またPS装甲が耐えられるビーム兵器は、ビームマシンガンのペレットの様な低火力のビーム兵器、それも数発程度に限られる。
ビームライフルを始めとしたガンダムの持つ高威力のビーム兵器には敵わず破壊されてしまう。

ちなみに初期のガンプラの説明書などでははっきりと「ビーム兵器には全く無力」と書かれている。
設定が後になって変わる事はガンダムではSEEDシリーズに限らずよくある事なのでこの際気にしない事にしよう。

このため、PS装甲を持つ機体もバスターを除いて対ビームコーティングを施したシールド、ないしそれに類するものを装備している。
尤もSEEDシリーズはビーム兵器の攻撃力がケタ違いに高いのでPS装甲じゃなかろうが、予防策はどっちみち必須なのだが……。

しかし、基本的にザフト機は携帯ビーム兵器を持たず、実弾武装がメインであるため大きなアドバンテージを取る事が可能なのは事実である。


なお、被弾のダメージを防げてもその衝撃までは吸収できないのは通常装甲と同様で、これを利用した装備や戦術もある。
レイダーガンダムの装備していたハンマーは通常装甲のMSなら一撃で粉砕できる威力があるが、
PS装甲を持つMSに対しても直撃時の衝撃でパイロットや電装品にダメージを喰らわせるという意図を持つ。
またDESTINY終盤ではキラはPS装甲を持つ相手にレールガンを撃ち込み、その衝撃でパイロットを気絶させる事を図った事がある。
かつて巨大ロボットものの始祖『鉄人28号』で金田正太郎が放った「ロボットより、操縦者を倒す方がはやい」という身もふたもない迷言は、SEEDシリーズでも存在感を失っていないと言える。

通電していない時の灰色の状態は「ディアクティブモード」、エネルギー切れなどでシステムを維持できなくなる事は「フェイズシフト・ダウン」と呼ばれ、
この時即座に装甲はディアクティブモードの灰色に戻ってしまう。

フェイズシフト・ダウン時の「エネルギー切れ」とは、厳密には装甲を展開するパワーがないくらいにバッテリー残量が少なくなった状態で、
歩行や飛行は辛うじて出来るがMS本体バッテリーが動力源の武器を使用出来なくなるため*2、PS装甲の無効化に伴う耐久性の低下もあいまって、無防備に等しい状態である。
また、ダウンに伴って装甲の色も鮮やかな色合いから瞬時に灰色になってしまうため、敵側にもこちら側の著しい戦力低下が一目でわかってしまうという弱点もある。
カガリを捜索しにストライカーパック無しで出撃したストライクがフェイズシフト・ダウンせずに帰ってきて
「2時間で戻ってくると言ったのにオーバーした」と言われる場面があるため、被弾しなければ2時間以上は展開を続けられると思われる。


《SEED・中盤~終盤》


「通常弾頭でも、76発でフェイズシフトはその効力を失う!」

砂漠の虎の言動によって『バクゥのミサイルなら76発で効果を失う』事が判明。
実体攻撃を無効化するだけでもエネルギーを少しずつ消費するようだ。
これまでの戦闘結果と味方の兵装から考えたシミュレーションの結果から、また必ずしも無敵ではないことを強調するための発言だろう。

しかしストライクガンダムの場合、戦闘中のストライカーパック換装によって帰投することなく稼働時間を延ばすという運用も行われた。
ストライカーパックにはバッテリーが積まれているため、エネルギーが不足した場合はストライカーパックを換装することで不足したエネルギーを補給しつつ戦闘を継続することができる。
オーブから離脱する際の戦闘では、ランチャー⇒エール⇒ソードと換装し続けてエネルギー切れを防ぎ、逆にイージスのエネルギー切れを誘発させるほどの継戦能力を見せつけた。

終盤には発展型のトランスフェイズ装甲(通称、TP装甲)が登場。
全身を常時通電するのではなく、『バイタルエリアを中心的に』、かつ『被弾時のみフェイズシフトする』事で電力消費を最低限に抑えるというものである。
これにより従来よりも重武装かつ継戦能力に優れた機体の生産が可能となったが、量産には相変わらず不向きなのか極少数の機体にしか採用されていない。
また、続編では技術の進歩によりエネルギーに余裕ができたためか過去の技術となっている。

核エンジンを使用するタイプのMSも同時期に登場。
こちらは別のベクトルからフェイズシフトダウンの問題解決を図ったもので、核エンジンによる半永久的な電力供給によりフェイズシフト装甲をいつまでも展開することができる。
理論上、供給量を上回る過大な電力を消費すれば電力供給が追いつくまでの間はフェイズシフトダウンが起こるが、通常の対MS戦ではまず起こり得ないため、攻守ともに隙のない状態を作り出せた。


そしてクライマックス。
『フェイズシフト装甲は超広大な装甲面積を持つとエネルギー許容量が増し、強力なビーム兵器に対しても耐性を持つ』という設定が判明。
現実の兵器でも機体が大型化すればするほど必然的に装甲の強度を上げることになるため、フェイズシフト装甲も超大型化すれば強度が大幅に向上するのは当然とも言えるだろう。
劇中ではザフトの決戦兵器ジェネシスが、クサナギの陽電子砲*34基の一斉射を弾いて見せた。



《SEED DESTINY》

ザフトが発展型のヴァリアブルフェイズシフト装甲(通称、VPS装甲)を開発。

連合・ザフト両軍にビーム兵器が普及し実弾兵器の需要が下がったので「ぶっちゃけフェイズシフト要らないだろ」というファンの意見が多発したが、
一応、戦艦やMSの補助兵装にミサイルやバルカン、レールガンが多く攻撃以外でも大気圏突入時にパイロットを保護するので装備するメリットは十分にある。
相変わらずPS装甲に対ビーム処理は出来ないのだが、アビスガンダムのように対ビームコーティングと両立できているような部位も散見される。

また、エネルギー切れへの対策として、禁止された核エンジンに代わりデュートリオンビーム送電システムが登場。
母艦から無線通信によって電力を補給することで、母艦が無事である限りフェイズシフトを展開し続けて戦闘を継続できる。
武器弾薬類や推進剤は帰投しなければ補給出来ないが、逆に言えばエネルギー切れをあまり気にせず武器弾薬が尽きるまで戦えるということである。
但しビームの送受信を行う際は足を止める必要があるため、おいそれとは出来ない欠点がある。




【PS装甲の扱い】

SEED序盤では最強の装甲のように見えたものではあったものの、
連合のGATシリーズの奪取によってこのPS装甲及びPS装甲の弱点でもあるビーム兵器の小型化技術が流出。
結果的に量産型MSですらビーム兵器を主武装に持つビーム主流の戦場へと変わっていき、PS装甲の絶対的な優位性というものは失われていくこととなる。
特にこのPS装甲は前述の通り、エネルギー消費を行っているためほとんどのMSがバッテリーが動力源であるC.E.では相性が悪いこともあり、
装甲そのものも高コストという欠点も加わり、核動力のMSを除けばごく一部のMSにしか採用されなくなっていってしまった。
結果的にコスト度外視なことが多いガンダムタイプに採用されている装甲という印象となる*4

一方で、PS装甲を単純に実弾攻撃に強い装甲としてではなく、剛性を活かす運用も見られ、
ストライクフリーダム∞ジャスティスガンダムデスティニーガンダムではフレームに採用することで運動性を高めている。
ガンダムアストレイ ゴールドフレーム天ガンダムアストレイ ミラージュフレームにおいては、
それぞれPS装甲とVPS装甲を実体兵器として使用している。

ちなみに、PS装甲材の強度はフェイズシフトしなくても「ジン等に採用された通常の装甲に比べて強い」とされている。
もっとも、その通常の装甲が紙みたいに貫通する世界なので心許ない点は否めない。
逆にこの装甲材、「通常装甲よりは重い」という重量の問題がある。同じ装備を搭載してても重量の関係で個体差が生じたりもする。

弱点や欠点が存在するものの上記のように強力な機体や兵器に採用されるケースもあったためか、両軍ともに試作機レベルではあるものの、
グフクラッシャーのインパクトバイスやネロブリッツの可変アームユニットのように、
ビーム兵器に頼ることなく力づくでPS装甲をもぶっ壊すという手段も模索されていたようである。
また、ライゴウガンダムのVPS装甲はブルーフレーム サードの実体剣によって破壊されている。
ストライクルージュのオオトリ装備に搭載されたレールガンもPS装甲を破壊すると設定上では記載されているが、劇中ではザクのシールドに防がれているため矛盾が発生している。

当然な話だが実体剣が効かないのは装甲表面なので、装甲の影響を受けない関節部などを狙う事は理論上可能。
"理論上"と言うのは高速で飛び交うMSの中のごく一部である関節部をピンポイントで切りつけろと言う理屈なので実際には至難である為。
エース級がひしめくSEED世界を見渡しても、PS装甲の隙間にあるフレーム等を狙えたのはキラ、エド、カイト等のごく一握りである。

高コストであるものの傭兵や一部組織など金銭面での問題を無視して採用するケースも見られる。
通常の装甲に混ぜて配置することが可能だったりと通電が可能なら比較的柔軟に組み込めるようである。
中にはVPS装甲の利点を生かしてペイント代わりに使うものまでいる。

コスト面や生産面での難しさから軍事技術としての使用が専らだが、
ジャンク屋組合がジェネシスのプロトタイプであるジェネシスαを接収、
しばらく本部兼本来の目的である艦船の加速装置として使用していたものの自主解体を行う羽目になり、なんとその際に片っ端から剥がしたPS装甲を車のフレームに転用し民間に販売したところ、時勢もあってかバカ売れするという事態が発生した。
機構としてはPS装甲よりTP装甲に近く、電源さえ無事なら事故の瞬間にフレームのPS装甲に通電されて運転手や同乗者を守るものとなっている。
衝突等による衝撃までは防げないので乗る側がきちんとシートベルトやエアバッグなどの安全対策を講じる必要があり、材料はジェネシスαのPS装甲なので生産性も低い。
生産性に関しては「数量限定販売」等の名目を付ければ整合性は取れる可能性はあるが、アフターサービスの有無については不明。
特に条約違反はしておらず、むしろ軍事技術の平和的利用であるため喜ばしい事ではあるが、色々といいのかそれで。

プラモデルPGストライクルージュの組み立て説明書によると、PS装甲は宇宙空間でなければ生産出来ないとの事らしい。そのため、地球上の国家機関の機体がPS装甲を採用すると、敵に制宙権を押さえられた際に生産・保守部品供給に支障が生じるという初代ルナチタニウム合金と同じ問題を抱えている。


他のガンダムシリーズの装甲材には、ガンダリウム合金を始めとして素で物理攻撃に対して無敵に近い防御力の物が多い*5
また鉄血のオルフェンズにて登場したナノラミネート装甲とは、その性質*6から相互互換に近い。
電力が必要な分、歴代ガンダムの装甲としては微妙に使い勝手が悪いが、
「猛烈に硬い為に実弾は受け付けない素材」という単純な強力さよりもSF的説得力を優先したものだろう。

なお、核動力機であれば電力の問題はほぼ解決されており、上述の電力が無くとも堅牢な素材の装甲も、
劇中に於いてビーム兵器で損傷したり衝撃を吸収できないといったPS装甲の弱点と同様の描写がなされている。

総じて、最終的な性能は歴代ガンダム装甲と遜色ないと言える。



【派生技術】

《トランスフェイズ装甲》

連合軍が開発した発展型。略称はTP装甲。
フェイズシフトを通常装甲の内部に組み込み、センサーによって攻撃を受けた際に起動し防御効果を発揮する。

被弾時以外はディアクティブモードのままであるため通常PS装甲に比べ消費エネルギーを最小限に抑えることができ、攻撃兵装へのエネルギーを確保できるようになる。
また副次効果としてフェイズシフトダウンによるエネルギー切れを敵機に悟られ難いというメリットがある。
一方、省エネルギー化や装甲の二重化に伴う重量増加を緩和するため、実装箇所はコクピットや動力部など機体の重要箇所のみに限定される形となり、
対実弾防御の高さという点のみで云えば全身装備のPS装甲に劣っているためか、VPS装甲の完成後はTP装甲機の派生機種以外では基本的に採用されていない。


《ヴァリアブルフェイズシフト装甲》

ザフトが開発した発展型。略称はVPS装甲。
武装の消費エネルギーや戦闘状況に応じて防御力と消費エネルギー、装甲の色を変更する次世代型のフェイズシフト装甲である。
パワーエクステンダーも搭載することで消費電力の問題も緩和され、通常PS装甲同様の全身装備と高出力兵装の実戦レベルでの両立が可能になった。

本格投入はザフトがインパルス等のセカンドシリーズで行っているが、
パワーエクステンダー搭載による装甲への任意の電圧調整機能を持つPS装甲はストライクルージュに搭載されたものが最初であり、
これがVPS装甲の雛型となっていることから、事実上、真っ先に実用化したのはオーブであると言える。
後に連合側などでも一部のエース機に採用されている。

理論上は、エネルギーを装甲に割けば通常のPS装甲よりもビームの耐性があり、
更に核搭載の機体に関しては通常の機体を遥かに上回る出力を誇るのでビームライフル等の高出力の武装にも耐える事が可能。
実際にプロトセイバーはコックピットにビームライフルが被弾しても衝撃はあったが耐えて見せた。
またストライクフリーダムなどのハイパーデュートリオン搭載の機体は、通常の核搭載の機体よりも高出力のエネルギーを持つので更に防御力の向上を可能としている。

装甲の変色に関しては専用の調整を施す事で任意のパターンに変化させることも可能らしく、
劇中ではキラがストライクルージュを貸与された際、自身が搭乗していたストライクと同じトリコロールカラーに変更している他、
外伝『DESTINY ASTRAY』にて、カイト・マディガンがこれを利用してテスタメントガンダムに自身のシンボルである「白い十字」のマーキングを施している。
また、シルエットシステムでバックパックを換装するインパルスは、装備するシルエットの武器特性に応じて装甲に回す電力が変更され、カラーリングも変わる特徴を持つ。


【関連技術】

《対ビームコーティング》

特殊な共鳴振動を起こす複合鋼材にビームを拡散吸収する特殊塗料でコーティングすることでビーム兵器を防ぐ技術で、
PS装甲と欠点を補う形で主に初期GATシリーズを始めとした機体のシールドに使用された。
実体剣に用いることでビームを刀身で防ぐばかりか切り裂くことすら可能とする。
ムウのストライクはシールドより口径の大きいローエングリンの陽電子砲をシールドで切り裂くことでアークエンジェルを守り切った
(代償に余波だけでストライクが爆散し「不可能を可能にした」としか言えない事例のため代表例と考えるのも問題あると思われるが)。
しかし、装甲材に使用することは向かず、PS装甲が採用され始めた当初は一まとめの装甲にすることはできなかったようである。
アビスガンダムの両肩部シールドではVPS装甲と対ビームコーティングが初めて両立されているのだが、
MS本体には採用されておらず、あくまでシールドのみだったことや後に搭載された機体も見当たらないためうまく効果を発揮できなかったと考えられる。


《ラミネート装甲》

ビームを受けるとそれを熱エネルギーに変換し、受けた個所の周辺に拡散、表面から放熱することでビームにようダメージを軽減する効果があり、
排熱が間に合えば無効化することすら可能である。
こちらもPS装甲との共存は不可能だったものの、PS装甲の弱点を補う形でフリーダムガンダムなどのシールドに採用されている。
大気圏突入に使用したり、カラミティのスキュラをシールドそのものは損傷したが防ぐことに成功するなどこちらの方が対ビームコーティングよりも優秀だと思われる。
装甲材なので当然、105ダガーで一部装甲に採用するなども行われたが、受けた熱を拡散するための面積が必要な面積依存の防御性であり、
アークエンジェルのような戦艦クラスによって本領が発揮される技術で、どこまで効果があったかは不明。
小面積での対ビーム性能はPS装甲と比べてどちらが優れているかも分かっていない。


《ゲシュマイディッヒ・パンツァー》

みんな大好きビームを曲げる偏向装甲。詳細はフォビドゥンガンダムで。
実弾に強いTP装甲とビームに強いこの装甲を組み合わせることで、敵の射撃武器に対して絶対の防御力を得られる。

しかし、水中での運用に使用されたフォビドゥンシリーズくらいでしかこの組み合わせを見ることはできない。
オーブ侵攻から先行投入されたカラミティ、フォビドゥン、レイダーの三機が一部エース以外にはかなりの強さを誇ったことや、
上述のフォビドゥンシリーズも水中戦で猛威を振るうなど、性能に関してはかなり実用的な組み合わせだったと思われるが、
あまりこの組み合わせが採用されなかった原因は、電力消費が激しいことにあると思われる。
実際、劇中で真っ先にこの組み合わせの恐ろしさを視聴者に見せたフォビドゥンは、
オーブ侵攻でエネルギー効率などクソくらえとばかりにビーム砲を連射していたカラミティとほぼ同じタイミングでエネルギー切れを起こしており、
バッテリー駆動のMSがPS(TP)装甲とこの装甲を両立させた場合、エネルギーの消耗が激しく、継戦能力が低くなることが窺える。


陽電子リフレクター アルミューレ・リュミエール ビームシールド》

みんな大好き絶対防御。
ビーム兵器をも無効化できるほどの高い防御力を誇る……のだがこの兵装は実弾の防御も容易に行えている。
射撃戦が主流なこともあり、前者二つではPS装甲の採用の意味が薄い。格闘戦の防御に向かない事がネックだが、格闘戦自体がそうそう進んで行われないので当然といえば当然であろうか。
手持ちのシールドの代わりとして使用されているビームシールドとは今までのシールド同様に共存が可能である。
なお、天敵は対ビームコーティングを施した武装、レーザー対艦刀を始めとする大出力のビーム刀身などであり、こちらも無敵とは言い難い面もある。




【搭載機体】

◇フェイズシフト(PS)



◇トランスフェイズ(TP)



◇ヴァリアブルフェイズシフト(VPS)



【ゲームでの扱い】

如何せんゲームに落とし込むとなると難しい設定というのもあってか、ジャンルやその時々によって採用するかしないかはかなり分かれてしまう。

設定を反映させたゲーム

Gジェネスパロボなどシミュレーションゲーム

シミュレーションゲームでSEEDが参戦するとほぼ必ずフェイズシフト装甲は防御アビリティとして採用される。
大抵は『ビーム攻撃には無力』『実弾攻撃に対する耐性を持つ』というのが共通。後者は個々のゲームに応じて軽減される数値がバラバラだが、全く無力化するというのは無くせいぜいが半減程度。
また発動中は毎ターンや効果発生時に自機エネルギーを消費するというのも定番。これを賄えなくなるとフェイズシフトダウン状態になり、アビリティとして機能しなくなる。ゲームによってはディアクティブモード状態を描写しているかは異なり、見た目はフェイズシフト展開状態でも被弾は罷り通るものもある。
トランスフェイズシフト装甲は被弾時にエネルギー消費、ヴァリアブルフェイズシフト装甲はエネルギー消費量低下など差別化されやすい。
なお、SEEDが初めて参戦したスパロボである「第三次α」ではビーム属性以外の攻撃は全て軽減するという扱いとなり、ビーム属性でさえなければフィン・ファンネルだろうがブレストファイヤーだろうがストナーサンシャインだろうが問答無用で軽減されるという事になった。

◇ガンダムSEED

PS2で発売された横スクロール型アクションゲーム。
ストライクやイージスといった機体には耐久値ゲージの下に別個でエネルギーゲージがあり、被弾をすると徐々に減少し最後には強制的にディアクティブモードに移行する。
……のだが、何故かビーム攻撃を被弾してもゲージが減少する事やフェイズシフトが切れない事がウリの一つであったはずのフリーダムですらディアクティブモードに移行するなど、現在の設定からかけ離れている部分がちらほらある。

◇SDガンダム ガシャポンウォーズ

SEE系のガンダムタイプは悉くPS・VPS装甲を持っており、開始時に白黒状態からアクティブモードになり、20秒程度の間は実弾系攻撃のダメージを半減する。
時間が過ぎると頭頂部にアイコンが表示されディアクティブモードになる。
SEED優遇のゲームということもあってか、三馬鹿のTP装甲はちゃんと色落ちしない拘りよう。

核動力機は原作通りダウンしないが、デスティニーだけPSダウンを起こす*9

設定を反映させなかったゲーム

連ザEXVSなど対戦型アクションゲーム

シミュレーションゲームと異なり、対戦型アクションゲームではほぼ採用されない。
理由に『フェイズシフト装甲持ちとそうでない機体とで明確な差が出てしまう』『核エンジン機体ゲーになる』などが挙げられる。特に連ザでは当時の製作者インタビューで、フェイズシフト装甲を採用すると防御性の有無でゲームの全体的な魅力が落ちるのと、グラフィックを二種類用意しないといけない煩雑さから不採用に至ったと説明している。
なのでマシンガンやバズーカでボコボコにされるし、なんなら打撃岩石で撃墜されるフリーダムを見る事もできる。




ミゲル「コイツ!どうなってる!? コイツの項目は!」

アスラン「そいつらはフェイズシフトの項目を持つんだ。 追記・修正されたらジンの荒らしなど通用しない!」

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最終更新:2024年03月02日 13:01

*1 ストライクがバクゥの攻撃で張り付けにされた事があり、PS装甲が防いでいた物は「熱」であるならば防御力を上げればビーム兵器に耐性が出来る事の理屈にも繋っている

*2 本体を動力源としない武器なら使用可能。キラはバルトフェルドのラゴゥとの戦闘でフェイズシフトダウン後に、武器自体に動力源があるアーマーシュナイダーでトドメを刺した

*3 戦略兵器などを除けば作中最高級の破壊力を持つ

*4 もちろん試作機や一部量産機などで採用されているケースもある

*5 AWのルナチタニウム合金やACガンダニュウム合金に至ってはビームに対しても凄まじいまでの耐性を持つ

*6 『物理攻撃は完全には防げず、攻撃される内に塗装が剥がされる』『ビームはほぼ完璧に防ぐ』『エイハブ・リアクターが無いと使えない』など

*7 前述の通り「VPS装甲」の名称がない時代に実装されたために名称は「PS装甲」だが、性能的にはVPS装甲である。

*8 ガンダムですらなく、「ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU」のロボット。原作でもあった、「間に合わせの模造ゾルマニウム製の手足で炎を燃やしたら塗装が燃えて剥げてしまった」というシーンがスパロボLで再現されたが、この時他作品勢からフェイズシフトダウンと間違えられた。もちろんフェイズシフト装甲でも何でもない、ただの塗装ハゲである

*9 恐らく原作再現。もっとも本編でもエネルギー切れ寸前にはなってはいたが、装甲まではダウンしていない。