SCP-3480

登録日:2019/02/16 Sat 23:36:03
更新日:2024/04/21 Sun 00:31:38
所要時間:約 9 分で読めます





何よりも悪しきは、
神にあらざるものを神と認めることなり。




SCP-3480は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト
オブジェクトクラスはKeter。
ちなみにコイツはフランス支部のシステムである「脅威レベル」が設定されている記事なのだが、割り当ては黒。
世界終焉シナリオを起こし得る最悪のオブジェクトの一つである。

項目名は「Olympus Mons(オリンポス山)」。


特別収容プロトコル

まず、コイツの収容手順だが、長い。文章にすると冗長になるので、箇条書きにする。

  • オリンポス山への一般人の立ち入りはギリシア政府によって、カバーストーリーを適用した上で阻止せよ
  • ギリシア内務省に財団職員が潜入し、そのサポートをせよ
  • SCP-3480-2を収容するために、SCP-3480から400メートル下方のオリンポス山に、エリア-13を建設した
  • エリア-13には、その設備の周囲に18基のSRA(スクラントン現実錨)の大型のものが配置される
  • 全てのSRAは常に起動させよ。一つでも機能不全ならば、可能な限り速やかに修理・復旧せよ
  • プロトコル・クロノス実行のため、エリア内にはXACTS(シャンク/アナスタサコス恒常時間溝)を一つ以上常備せよ
  • 機動部隊オメガ-12“アキレウスの踵”は、プロトコル・クロノス発動中はSCP-3480-2収容のため、SCP-3480に恒久的に駐屯せよ
  • ホワイト・イベント発生時には、プロトコル・クロノスを発動せよ
  • プロトコル完遂後、クラスIII以下の現実改変存在に指定されるSCP-3480-2は、エリア-13内部の標準人型収容室に収容せよ
  • クラスIV以上の現実改変存在に指定されるSCP-3480-2は、パーマー・プロトコルにより、昏睡状態でサイトに留置せよ

この時点で、現実改変能力を持った実体が現れるということはわかる。
しかし、そのためにSRAはともかく、XACTSまで持ち出す念の入れようである。

ちなみにプロトコル・クロノスの内容はこんな感じ。

  • ホワイト・イベント発生に際し、XACTSを起動し、オリンポス山を周囲の現実性から時間的に隔離する
  • オメガ-12のメンバーのうち1/3がエリア-13から出動し、SCP-3480-1から周囲100メートルの円形の範囲を確保する
  • オメガ-12はホワイト・イベントが終了するまで、4時間交代で常に監視にあたる
  • ホワイト・イベントが終了したならば、オメガ-12は長距離鎮静弾を用いて、発生したSCP-3480-2実体を無力化する。非番のメンバーも駆けつけてサポートに当たる
  • 実体を確保したら、エリア-13に連行・収容する
  • 以上の手順が終わったら、XACTSを停止する


概要

で、そんな厳戒態勢の中にあるSCP-3480が何かというと、ギリシアにあるオリンポス山の山頂。場所系のオブジェクトである。
この山頂部分のエリアは、現実強度を現すヒューム値が著しいというレベルを通り越して低い。

その数値たるやズバリ、1.2×10のマイナス二桁乗。凄まじいとか恐ろしいとかではなくもはや意味が分からない。
伏せられている部分が仮に最小の10だとしても、1.2×1E-10。数字で表すと0.00000000012。まさにヒュームの絶対零度である。
無論こんなことは通常起こりえない事態であり、財団の実験ですら0.15が最小である。

一応理論上はできないことはないのだが、実現するにはとんでもない数のSRAが必要となる。財団といえども、そんな数は一か所にしか存在しない。

ンボボボさんの事例を知っているならわかるかもしれないが、ここまで現実性が低い空間だと、空間も視覚的に異常が発生し、普通の人間ですら現実改変が可能となる。しかし、現在のところそんな兆候はない。
ついでに言えばこの一帯、どうも最低1000年以上前からあるらしく、財団が発見するよりも前から、数々の団体によって収容あるいは利用されてきた、と思われている。

ちなみに現状、SRAはエリア-13のヒューム値を基準値に維持することはできるが、SCP-3480のヒューム値に干渉することはできない。これは、運用能率を度外視したオーバードライブを行っても同じである。

このことから、SCP-3480のヒューム値は単に低下しているのではなく、現実性が流出する穴が開いているような状態であるとされる。そのためかどうなのか、周囲の環境や生物に直接影響するものではないらしい。


続いて、先ほどちらっと出てきたSCP-3480-1について。
これは、SCP-3480に大体9か月ごとのサイクルで起きる兆候のことである。
出現に先立って5分から22分間、ここのヒューム値が基準値に戻る。こうなると、上空3メートルくらいのところに、無意識状態の人型実体一つが現れる。
この実体はその後、白い光で完全に覆われ、SCP-3480のヒューム値は元の限りなきゼロに戻る。この一連の流れが「ホワイト・イベント」である。

実体はその後、短くとも57分間、最長で480時間の間滞留し、自身の周囲50センチ以内のヒューム値を極端に低下させる。
これにより、接近した物体は現実性を失い瞬時に分子分解される。
そして最終的に白い光は衰え、実体は地面に落ちて目を覚ます。この時点で、実体はSCP-3480-2と指定される。

SCP-3480-2はホワイト・イベントによって出現した人型実体であり、総じて強力な現実改変能力を保持している。
この、ホワイト・イベントに要する時間が長ければ長いほど、実体の持つ現実改変は強力になる。
面倒なのはこのSCP-3480-2実体、総じてソシオパシー、ナルシシズム、暴力的傾向……要は典型的反社会的性質を持っており、おまけに全体の68%は肉体的・精神的障害を有している。
中身としては、
  • 追加された心室
  • 完全な多指の手足
  • 頭蓋内の体積と頭蓋高の増大
  • 2.4から3.6ギガヘルツ帯域のラジオ波を放射・受信する不明な目的のための臓器の存在
など。

いくつかの人型オブジェクトは、SCP-3480を財団が収容する以前に出現したSCP-3480-2実体であると考えられている。


収容履歴

レベル3クリアランスを要求する資料として、現在のプロトコルが制定されるまでの収容記録が残されている。
本来はどんな身体的特徴があったかも記されているが、割愛する。

  • SCP-3480-2-1
クラスI実体、ホワイト・イベント継続時間は94分。
財団が収容してからは初のイベントで、出現直後の実体は混乱し、機動部隊オメガ-11“パリスの弓矢”によって迅速に鎮圧・収容されている。
また、この後に初期の収容プロトコルが策定されている。

  • SCP-3480-2-4
クラスIII実体、ホワイト・イベント継続時間は74時間31分。
オメガ-11のメンバーを見て恐怖を示し、現実改変で反撃。これにより11名の殉職者が出た。
また、この実体は鎮静剤に強く、49秒の間意識を保っていた。

  • SCP-3480-2-8
クラスIV実体、ホワイト・イベント継続時間は192時間8分。
オメガ-11を確認するやブチキレて攻撃を開始、鎮静剤も弾薬も効かず大暴れを続けた。
最終的にオメガ-11は全滅。この実体はそのままギリシアのとある都市に侵入し、データは削除されているが、大規模な現実改変攻撃をブチかましたようだ。
この結果CK-クラス:再構築シナリオが発生し、ギリシアのとある都市ととある島は歴史から消滅した。

  • SCP-3480-2-9
クラスII実体、ホワイト・イベント継続時間は20時間17分。
オメガ-11は再編成されていたが、ノウハウが受け継がれなかったため初期収容に手こずり、結果実体は逃亡。
確保・収容されるまでに複数名の民間人が犠牲となっている。

  • SCP-3480-2-19
クラスV実体、ホワイト・イベント継続時間は480時間3分。記録されている中で最強の実体の登場である。
何が起きたのか……は、データが丸ごと消されている。このインシデントの後、手順ラザルス-01が実行され成功した。
この収容違反によって起きたCK-クラスシナリオの影響は激甚であり、財団は特別収容プロトコルの抜本的改正を余儀なくされた。
さらにこの後オメガ-11は解散、新設されたオメガ-12が収容任務にあたることとなった。







さて、ここでもう一度、最後のインシデントを見てみよう。元記事から引っ張ってくる。
[データ削除済] その後の手順ラザルス-01は成功裏に実行された。

手順ラザルス-01。これを行うオブジェクトは一つしかない。



SCP-2000「機械仕掛けの神」。
ラザルス-01とは、コイツを起動して人類をリセットする手順のことである。

つまりどういうことかって?



財 団 は 負 け た の で あ る 。



しかも、完膚なきまでに、それまでの社会が跡形もなくなるレベルで。
この報告書はリセット&リスタートが行われた世界で、リブートされた歴史において、手順の最後の記憶処理を受けなかった「かつての財団職員」が書いたものである。
一応、どうやらSCP-2000の修復は間に合ったようだが、良かったのか悪かったのか……不幸中の幸いというには幸いの割合が低い気もするが。

ちなみに、カンのいい人ならSCP-3480-2実体の特徴を聞いた時点でわかっただろう。
2000が出力した異常な人型実体の特徴は、

補遺2000-1: ██/██/████.2のSCP-████収容違反中、SCP-2000はサイトにおけるBZHRユニットの起動と同時に複数のSRAおよびXACTSコンポーネントの機能不全に見舞われました。この事案から25日の間、BZHRユニットは内部の生物学的構造が現人類とは異なる人間的存在を1000万体以上生産しました。相違点には追加された心室、完全な多指の手足、頭蓋内体積と頭蓋高の増大、および2.4-3.6GHz帯域のラジオ波を放射および受信する不明な目的のための腹腔内臓器の存在が含まれます。

である。


しかし、SCP-2000が生産した「デキソコナイ」と、SCP-3480から現れる現実改変存在が、なぜ同じ姿をしているのか?

実は、5番目に確認されたSCP-3480-2へのインタビューが成功している。
その実体は何と、財団職員であるアーサー・シュウ博士の人格と記憶を保持していた。
この「シュウ博士」の言動を見てみよう。

まず私が思い出せるのは、我がサイトがガニメデ・プロトコルに関する警報を受信したことです。それからは…。

地獄でした。そうとしか言い表せません。ある時には天地がひっくり返り、ある時私は壁の一部となっていて、またある時私の身体は幾何学を無視した形に捻じ曲げられ。そんな時間の中を、私はずっとずっと、消えては現れを繰り返していました。意味なんて何もなかった。ですが、一層酷かったのは、あの人々でした。

膨大な人数でした。私が出会ってきた人々の数よりも多かった。大多数は死体でした。多くが殆ど人間だと呼ぶことのできないモノでした。彼らはただ…いや、私たちは皆ただただ、叫んでいました。死体ですら。そうしているうちに私たちは何処か他の場所に飛び、また再び同じことが始まっていくのです。

殆どは見知らぬ人でしたが、毎回毎回、私のサイトで見かけたことのある同僚やDクラスを視認しました。場所については、全域が地下だったように思われました。非常に高度な技術力でした。私には何ら調査はできませんでしたが、あそこにあったモノの1つに近づくほど、異様さは深まるのです。この場所にこうして出てくる直前、私はそのモノの付近に居りました。2度、地上に出たこともありました。言わずもがな、周囲の地形は異なっていました。見渡す限り動植物は見当たらず、空は血のような赤色でした。…いや、あの山々はどこかで見たことが…。

どうやら、博士は最後にいた場所で現実改変の嵐に巻き込まれてしまったようだ。
それで自我を保っているのはさすがと言うか、何というか。

で、シュウ博士が最後にいた場所というのが、

失礼。娘を…、休暇中に私の娘をあそこへ連れて行ったな…。 …イエローストーン。そうだ、イエローストーンだ。



今更言うまでもないことだが、SCP-2000の存在はごくごくごく一部の職員しか知らない。
どころかそもそも、SCP-1422「イエローストーンの怪」がある以上、レベル3職員であったシュウ博士がイエローストーンを知っているだけならまだしも「娘を連れて行く」などあり得ない。
だが、博士のこの話は別の実体へのインタビューで裏付けられている。

そしてシュウ博士は、無数の死体で埋め尽くされた地下らしき空間で法則なきループに巻き込まれていた。
その中で彼は同僚やDクラスの姿を見つけ、地下にあった「モノ」の近くでリスポーンした結果、SCP-3480に出てしまったらしい。
現れた博士の姿は、SCP-2000が生産した「デキソコナイ」と同じになっていた。


ちなみに、博士はSCP-3480-2-5、結構初期に収容されている。
SCP-2000が起動されたのは-19の収容失敗後である。


博士の姿、そしてイエローストーンへ「遊びに行った」と思しき発言、SCP-2000の起動と思しき事象。
これらをつなぎ合わせ、財団は一つの結論を出した。





何が起こったか?

SCP-3480-2の正体とは、「外宇宙ALEPH」と分類されたパラレルワールドにおいて、SCP-2000の誤作動によって生産された、財団職員の出来そこないのクローンである、と。

2000の存在と起動は、シュウ博士がガニメデ・プロトコルの発令を聞いたことで裏付けられている。
ガニメデ・プロトコルは、SCP-2000の起動命令でもあるからだ。
そして起きたK-クラスシナリオは、ディスカッションに曰くXK-クラス:世界終焉シナリオ。

あちらの世界では、恐らくSCP-2000の修理が間に合わないままK-クラスシナリオが発生し、手順ラザルス-01を強行した結果、SRAとXACTSの機能不全により大量の「デキソコナイ」と、少数の現実改変実体が生産された。
そして、XACTSによる時間隔離が不完全だったため、無数の死体と共に時空間の異常に巻き込まれてぐるぐると渦を巻き続けたが、その中でたまたまSRAの近くに出た。

機能不全のSRAは、SCP-3001SCP-1280-JPの事例にもあるように、ワームホールを発生させる可能性がある。
シュウ博士をはじめとするSCP-3480-2実体たちは、この時たまたま生じた現実性の穴を通ってSCP-3480に転送されてきた、という話である。

「イエローストーンの地下で」「財団職員の死体と共にあった」時点でこれが裏付けられる。
SCP-2000の機能の一つは、財団職員の複製だからである。
だが、XKイベントの影響で大半の実体は人間性が破壊され、狂える「神々」と成り果ててしまったのだ。

オメガ-11に対して怯えていたり、怒っていたりした実体は元Dクラス、インタビューに応じてくれたのはエージェントや研究員だったと思われる。




そんな中で、再起動した財団が編成した機動部隊オメガ-12“アキレウスの踵”。
それは、SCP-3480-2実体のうち、協力的な個体で編成された、対現実改変者用の機動部隊である。

オメガ-12はそれ自体がSCP-3480-Ωのアイテムナンバーを持つSCPオブジェクトであり、オブジェクトクラスはThaumiel、脅威レベルは白となっている。

その特別収容プロトコルは、このようになっている。

現実改変能力者の能力を抑制できる能力無しに当該実体たちを捕獲することの困難さ、ないしは収容違反の帰結として発生しうるK-クラスシナリオの蓋然性の高さを理由として、O5評議会は機動部隊オメガ-12(“アキレウスの踵”)の創設を可決しました。当機動部隊は外宇宙ALEPH出身の財団職員のクローン6である、無害なSCP-3480-2実体から構成されます。
隊員たちはクラス-Ⅲ以下に格付けされる現実改変能力を発揮します。新兵候補者は、彼らが捕獲されてから最低1年間、良好な振る舞いを見せるとともに財団の主義や理念に対する忠誠心を確認するための精神鑑定試験を通過しなければなりません。この後、新兵候補者は機動部隊オメガ-12への入隊を命じられます。

機動部隊オメガ-12は、プロトコル・クロノス発令中はSCP-3480-2実体を収容するためにエリア-13に恒久的に駐屯しなければなりません。加えて、オメガ-12は平時のプロトコル下において、SCP-3480との関連性を持たないにしろ収容するには危険すぎるとみなされた強力な現実改変能力者の捕獲あるいは終了のために運用されます。
機動部隊オメガ-12の隊員は、エリア管理者の許可なしにエリア-13を退出することが禁止されています。そのような試みがなされた場合、終了措置が執られます。
機動部隊オメガ-12の全隊員には頭蓋内部に遠隔式終了スイッチが外科的な手法で埋め込まれなければなりません。
相互協力の意志を確たるものとするために、オメガ-12への入隊はいかなる状況下であろうと強制されてはなりません。
プロトコル・クロノスおよびその他の正式な許可による作戦外での、現実改変能力の無許可行使は終了事由です。

SCP-3480-2実体は総じて現実改変ができる。それに対する対策なしで確保・収容に当たるのは、どう考えても無謀。SCP-3480-2-19における失敗は、まさにそれが原因で起きたのだ。

ならば、眼には眼を、歯には歯を、現実改変には現実改変を。
そして、プロトコル・クロノスの本当の内容はこうなっている。

  • ホワイト・イベント発生に際し、XACTSを起動し、オリンポス山を周囲の現実性から時間的に隔離する
  • オメガ-12のメンバーのうち1/3がエリア-13から出動し、SCP-3480-1から周囲100メートルの円形の範囲を確保する
  • オメガ-12はホワイト・イベントが終了するまで、4時間交代で常に監視にあたる
  • ホワイト・イベントが終了したならば、オメガ-12は長距離鎮静弾を用いて、発生したSCP-3480-2実体を無力化する。非番のメンバーも空間転移によって駆けつけてサポートに当たる
  • 鎮静弾による無力化が失敗した場合、クラスI、クラスIIの能力者は現実改変を用いて対抗する
  • 同時に、オメガ-12は現実改変によってターゲットの現実改変を阻止する
  • 抵抗が続き、現実改変を阻止しきれない場合、クラスIIIの隊員が能力を解禁される。これと同時にターゲットの終了が許可され、それはオメガ-12の判断に託される
  • 実体を確保または終了したら、エリア-13に連行・収容する
  • 以上の手順が終わったら、XACTSを停止する

だが、かつてSCP-3480-2-19が出現した際、財団はSCP-2000を使わねばならないレベルの大敗を喫した。
その時のホワイト・イベント継続時間は480時間。
よって、イベント継続時間が500時間を超えるようならば、それはクラスVIの出現を意味する。

そうなった場合、オメガ-12の隊員は現実改変を駆使してターゲットを無力化し、実弾によって確実に終了せねばならない。
クラスVIの出現は、HK-クラス:神的侵略シナリオの可能性を意味するからだ。
もしもそれが失敗して、クラスVI実体が逃げ延びた場合、ただちに全財団サイトに「Code NIGHTMARE JESTER GREEN」が通知される。

このシナリオは、SK-クラス:支配シフトシナリオに似ているが、違うのは「個による支配体制にシフトすること」。
絶対的存在たる個人に世界が隷属する、そんなシナリオである。規模は小さいがSCP-343が似たような状況を引き起こしており、あれが世界全土に広がったと考えればよい。

この時通達されるコードだが、類例としてはSCP-2317の反復6にある特別アクセス指定「CODE NIGHTMARE REGENT RED」がある。まあそのくらいトンデモな何かをせねばならん、という話だろう。


しかし、毒を以て毒を制す、このやり方で本当にいいのか? 
かつて財団は、SCP-076「アベル」を組み込んだ機動部隊オメガ-7“パンドラの箱”を設立し、当のアベルによって壊滅に追い込まれている。
これは、同じことの繰り返しではないのか?

これについて、リアム・ディーツ博士の宣言がある。

アノマリーの収容目的でのアノマリーの使用は常に困難が付き纏い、危険な賭けとなる。使用するアノマリーが、収容対象のアノマリーそのものから発生した人間であるならば、特にそうだ。
アベルの幻影が我々皆に取り憑いているからこそ、オメガ-7が無くともアルファ-9なる部隊があるのだ。
要するにだ。我々は現実錨が無ければ、通常の手段では強力なタイプ・グリーンを止められないのだ。
次に復讐に燃える1人のDクラスがホメロスの叙事詩から飛び出してきたその時、オメガ-12が解散していた場合、我々が前回ほど幸運であるとはいえないだろう。

SCP-3480の収容手順は、要するにSCP-3480そのものを用いたクロステストに近い。
SRAを超える現実改変対策が未だになく、そしてそれでは「前回」の敗北を止められなかった。ならば、苦肉の策だろうが何だろうが、使えるものを使うしかない。
現実改変能力を持った異形となってなお、財団職員として闇の中で死んでいく覚悟を決めた者達、という鬼札を。



余談

ちなみにこのオメガ-12だが、SCP-3480以外にSCP-3155「我々は決して眠らない」、SCP-3221「不壊王 プレスター・ジョン」、SCP-4455「要するに...」、SCP-3797-ARCの収容にも携わっている。
が、SCP-3797-ARCについては、こいつ自体が全能の現実改変者であり、オメガ-9“スクラブ”との共同作戦で終了にかかったところ見事に敗北。オメガ-12のメンバーは最大でもクラスIIIであるため、限界があったようだ。
結局この実体は、未来から発砲されたSCP-3797「たった一度の未来の銃」によって終了されている。





我々はなぜこれを造らねばならなかったのか?

いつやったのか?

どれほど続けているのか?

そもそも我々は知っているのか?!



知ったことではない。だが我々はそうするしかなかった。



追記・修正は財団に忠誠を誓ってからお願いします。


SCP-3480 - Olympus Mons
by Modern_Erasmus
http://www.scp-wiki.net/scp-3480
http://ja.scp-wiki.net/scp-3480

この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • Thaumiel
  • SCP財団
  • SCP
  • SCP-2000
  • SCP-3480
  • SCP Foundation
  • Keter
  • オリンポス山
  • 現実改変
  • K-クラスシナリオ
  • 機動部隊オメガ-12
  • ギリシャ
  • プロトコル・クロノス

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月21日 00:31