三勇教

登録日:2019/02/14 (木) 22:47:21
更新日:2023/10/21 Sat 06:48:38
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まずは盾の悪魔からです。神の裁きを受けるが良い。



概要

『三勇教』とは『盾の勇者の成り上がり』に出てくる宗教。
および外伝作品『槍の勇者の槍直し』でも出て来て各周回で敵対する、序盤にかけての障害。



本編の主な舞台となる国『メルロマルク』の国教。
四聖勇者のうち剣・弓・槍の勇者を神と崇めており、教会には剣・弓・槍を象ったシンボルがある。
逆に盾の勇者は崇めておらず、盾の悪魔と呼び、蔑むを通り越して、
なんと教義では「波の黒幕であり、殺害すれば世界は救われる」というとんでもない認定がされている。

元々この世界には四聖勇者伝説発祥の地『フォーブレイ』という大国があり、その地には四聖勇者を平等に崇める『四聖教』という宗教が誕生した。
しかし、その中で亜人・獣人を嫌悪する過激派が、彼らに縁深い盾の勇者を信仰することを拒絶するようになり分裂、剣・槍・弓のみを信仰する三勇教が発足する。

これだけならばあくまで3つの神を信仰するだけだったろうが、
ここに盾の勇者が改造・強化した亜人・獣人によって国を滅ぼされ、盾の勇者を悪魔とみなしている団体が合流。
その結果が上のようなカルト教義の集団の誕生である。

とはいえ四聖教が主流の世界、支持団体もなければ脆いもので消えるかドマイナー化するのも時間の問題かと思われたが、
そこにちょうどあったのが元々剣と槍の双聖を崇めていたが、当時活躍した弓の勇者の功績を称えて三つの勇者を信仰していたメルロマルクの原型となった国。

どのように原始三勇教が彼の国に取り入ったかは定かではないが、結果として後に『三勇教』が建国以来の伝統の国教であるメルロマルクが誕生した。

このためメルロマルク人の多くは三勇教の信者であり、幼い頃から三勇者の美談を聞く一方で、盾の勇者の悪行を教わって育つ。
本編で盾の勇者である岩谷尚文がメルロマルク中で白い目で見られるのはレイプ魔の汚名のせいだけではなく、宗教的に敵と認識されているからである。
というよりも冤罪をかけられたから迫害されているというよりは、盾の勇者を迫害するための理由を作るために冤罪をかけたという方が正確かもしれない。
もし特に理由もなく尚文を差別したり迫害すれば、他の勇者の不信を招く恐れがあっただろう。

とはいえ宗教としては表向きは保守的で大人しく*1
少なくともメルロマルクの女王は三勇教が自分の留守中に事件を起こすとは考えていない程度には問題は起こさない……はずだった。
しかし実際には教会中枢は危険思想に染まった教信者が牛耳り、
大昔から四聖教会から四聖武器の複製品を盗み出し密かに管理していたり、伝承にある魔王を研究していたりと裏では色々ヤバい事をしている。

『龍刻の砂時計』も三勇教の教会の中にあり、その受付は三勇教のシスターが受け持っている。
この『龍刻の砂時計』はクラスアップ*2が出来る場所なのだが、
王の命令と宗教的都合で盾の勇者一行だけクラスアップさせないように根回しされている*3
また砂時計の砂を聖武器に入れるとポータルスキルを覚える事が出来るのだが、当然これも盾以外の勇者にしか渡していない。

本編では勇者の邪魔しかしていない三勇教だが、一応役に立っている部分は勿論ある。
実は本作の世界には敵によって転生させられた日本人がウヨウヨいるのだが、転生者はフォーブレイが一番多くメルロマルクには少数しかいない。この原因が三勇教である。
三勇教は勇者や冒険者の監視が厳しく宗教的圧力で息苦しい。さらに転生者は基本目立ちたくないので三勇教は避けているのだ。
つまり四聖勇者が序盤に転生者に襲われなかったのは、皮肉ではあるが三勇教のおかげであり、
四聖武器の精霊たちも四聖勇者が全員生き残れる可能性が他の国に比べて高いと判断して召喚に応じたらしい。
アウェイに召喚された尚文にとってはたまったものではないが。



盾の勇者の成り上がり

本編開始の一月前、予言に書かれていた『災厄の波』が起き、メルロマルクを始めとした世界全体が大被害を被った。
そこで世界各国は四聖勇者を召喚するために世界会議を行い、召喚する順番を決める。
決まった順番はフォーブレイが最初でメルロマルクは4番目。
しかしこれを聞いた三勇教は自分の国に神である三勇を召喚して力を強めようと画策。勇者召喚の媒体となる聖遺物を偽物にすり替える。

当然フォーブレイが勇者を召喚出来ず、盗んできた聖遺物をメルロマルクの王と共に使って四聖勇者の独占召喚を試みる。
本当は剣・弓・槍を召喚したかったのだが、盾まで召喚されたのが事の始まり。
三勇教としてはすぐさま盾を殺したかったのだが、そうすれば他の勇者が不振がるに決まっているし、
そうでなくとも聖遺物を盗んでいるのに勇者まで死んでしまったら他国との戦争は避けられない。
三勇教としても戦争は避けたかったので盾の暗殺は中止し、王と王女の冤罪事件を支援するという形で盾を追い出した。

その後は暗部を使って盾の動向を監視し、他国へ行くようなら殺そうと考えていた。
尚文は幸い他国に亡命しなかったが、それまでの行動で低レベルなことは三勇教に筒抜けだった。

そして三回目の波を終えた頃に三勇教はついに表舞台で行動し始める。

というのも

  • 剣の勇者:①レベリング目的で魔物を狩りまくった為、周辺の生態系のバランスが崩れてしまう(これは他の勇者も同様)。
    この件に関して本人は尚文に対し「後でリポップ(再出現)すると思っていた」と釈明している。
    ②ドラゴンを討伐後、仲間の提案で遺体を素材として活用できるように村や冒険者に任せる。
    →村が金儲けに使った遺体の適切な処理を怠った為に腐敗し、周辺に疫病をまき散らしたのを全て錬の責任にされる。
  • 弓の勇者:①悪徳貴族を成敗していたのだが、それに三勇教徒が多く含まれていたため逆恨みを買う(神に罰せられたのは自分たちが間違っているからという殊勝な考えは一切ない)。
    さらに後釜に付いた革命軍の統治が下手で逆に治安が悪化。
    そもそも樹はギルドからの依頼で問題のある貴族の調査と退治を行っていたため、ギルドと三勇教間での情報の共有がされていなかったために起きた。
    ②正体を隠して行動していたことで、民衆から波の時以外何もしてないと思われてしまう。
  • 槍の勇者:①村の飢饉を救うため封印されていた植物を解放して飢餓を解消する→元康が去って2週間ほど後に危険な変異を起こしだして村が滅びかける。
    ②フィーロが尚文の指示「元康を見かけたら蹴り飛ばす」に従って元康に不意打ちで暴力を振るい続けていたことを嘲笑った飼い主の尚文に激怒。
    更には幼女状態のフィーロを奴隸だと誤解したことで頭に血が登り街中で私闘騒ぎになる。

という事件が起きて、盾の勇者は成り行きでその尻拭いをしたことがじわじわと世論に広がっていたので。

するとどうなったか?
国内の盾の評判は上がる一方で、剣・弓・槍は下がってしまう。

しかも裏で行っていた盾の勇者犯罪を捏造し、国やギルドを通して三勇者に悪評を送り込み彼らに尚文を殺させようとする工作も、
三人ともそんな不確かな情報で尚文に殺意を抱くような性格では無かったことで失敗。

これに怒った三勇教は尚文にメルティ暗殺の容疑をふっかけ、剣・弓・槍の勇者に盾の勇者を殺させようとするが、
メルティを巡る攻防の中で錬と樹が三勇教と国を疑い出したことで、遂には自分達の神まで殺すという、頭を疑うような行動を取り始めることとなる。
そして尚文と元康の戦いが激化する中、教皇がついに姿を現しその本性を見せる。
尚文と元康の二人を相手に優位に立つものの、影に助けられていた樹と錬、そして女王が加勢に加わり、
最後には尚文のブラッドサクリファイス(原作はプルートオブファー)によって倒された。
この一件により、三勇教は邪教認定されることとなった。

槍の勇者のやり直し

だいたいの周回で元康たちの前に立ちはだかるので、いかに三勇教を処分するか毎回頭を悩ませる。

  • チュートリアル編
元康と別れシルトヴェルトの使者と共にシルトヴェルトに亡命しようとする尚文を国境で待ち伏せしており、
高等集団合成魔法『裁き』にて尚文を殺してしまった。

  • シルトヴェルト編
上記と同じく元康と尚文を待ち構えていたが、元康に返り討ちに会う。
その後は元康たちを追跡しながら暗殺を試みるもことごとく失敗。
シルトヴェルトとシルトフリーデンの争いに便乗して両方を始末しようと現れる。
が、やはり元康には敵わず教皇はブリューナグで消し炭に。

  • メルロマルク編
尚文達を監視していたが、元康たちがポータルと隠蔽スキルを駆使してシルトヴェルトでレベル上げしている事に気付かず、弱いままだと勘違いしてしまう。
その後本編以上に尚文が善行をしてしまいクーデターが発生し、国民と三勇教が敵対する事に。
そして、フィロリアルの卵を人質に元康を誘き出し、レベルリセットを施したうえで始末しようとするが、元康に完全に対策されており返り討ちに。
ちなみにこの作戦、実はクズ(オルトクレイ)が会食時に適当に零しただけの策を教皇が独断で採用、実行したものである。

  • フォーブレイ編
教皇と教会が召喚早々に殺されてしまったので、新教皇が就任する。
そして同時期にオルトクレイも死んでいたので影武者をオルトクレイのように見せかけ、
同時にオルトクレイに女王の親戚で三勇教の息のかかった新たな妻を娶らせることで国の実権を握ろうとする。
さらに同時に新たな勇者を召喚するための力を得ようと悪魔を召喚する儀式をし、さらに儀式を通して国中からエネルギーを集め、結果的に国民の三分の一が死に果てた。


関連人物

  • 教皇
CV:菅生隆之
三勇教の現教皇。城下町の目立つところにある教会に住んでいる。
外面は良く、尚文も初見では平等に扱ったためいい人だと騙されてしまうほど。
しかし実際は三勇教の教義に頭が凝り固まった人物であり、思い通りに動かない勇者たちを処分しようと考えた人物でもある。
教えを破れば助かるような状況でも、破らず守り抜いたため死んでしまった。ある意味信者の鑑。
教皇になれた点や尚文達四聖勇者を追い詰めているので、決して無能ではないが、
上記でも書かれているが、ギルドと協力関係にありながら情報の共有がされてなかったため樹に三勇教信者である貴族を討伐されてしまったり、
槍の勇者のやり直し「メルロマルク編」で会食時にクズが適当に言った作戦をそのまま採用してしまうなど、有能とも言えない人物である。
名前が設定されていなかったが設定集やアニメなどではビスカ=T=バルマスとされている。

  • シスター
代表的なのは二人おり、一人は呪いの傷を受けたラフタリアの治療の為に聖水を購入しようと訪れた尚文に粗悪品を出して教皇に怒られた中年女。
もう一人は龍刻の砂時計でクラスアップの受付を務める、見るからに性格の悪そうな形の眼鏡(全国のフォックスフレーム愛好者に対する熱い風評被害)をかけた若い女。

  • 新教皇
槍の勇者のやり直しで登場。上記の教皇が教会ごと元康に消滅させられたので大司教が繰り上がり就任した。
オルトクレイの影武者と手を組みメルロマルクを死の都に変えてしまう。

  • 女王の血縁者
本編では教皇の話に出てくるだけだったが、槍の勇者のやり直しでその姿を現している。
女王の親戚で三勇教の息のかかった、いわば傀儡の女王。
実は赤豚(マルティ)の亡霊に憑りつかれており、新教皇たちを利用していた真の黒幕。


関連武器


  • 伝説の武器の複製品
大昔、聖武器を量産しようといまはない技術を駆使して作った複製品。
1つで剣・弓・槍・盾に姿を変える事ができ、三勇教が対峙した時点での四聖勇者が束になっても敵わない超威力のスキルを使える。
尚文はこんなの作れるなら勇者召喚しなくてもいいだろと突っ込んでいたが、欠点もある。
まず1回スキルを使うのに数百人の一月分の魔力が必要という燃費の悪さ。これは信者が数百年かけて貯めたおかげで連発が可能。
そして超威力を誇るものの、実は本物の四分の一しかない。
これを聞いた尚文は伝説に尾ひれがついただけで、聖武器はあそこまでの威力にはならないと思っていたが、
聖武器の全部の強化方法を実践した限界まで成長した勇者は確かにこれの4倍の威力のスキルを放てるようになる。
逆に言えば昔召喚された4人の四聖勇者は今代の勇者たちとは違いちゃんとお互いの強化方法を聞き合って実践していたという事でもある。


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最終更新:2023年10月21日 06:48

*1 実際、悪質な信者もそれなりに多いが、後に国の方針の変化に従って改宗に応じたり、そもそもあまり信仰心を持っていなかった者も多かった

*2 勇者以外の仲間の成長限界を伸ばす事

*3 もっとも、王の勅命状に関してはシスター曰く「こんなモノあってもなくても関係ないんですけどね」だそうだが。