炊き込みご飯

登録日:2012/03/23(金) 14:34:59
更新日:2024/02/23 Fri 03:48:16
所要時間:約 5 分で読めます





炊き込みご飯とは、米を炊く段階で具材、薬味、調味料を入れた飯である。


関西では「かやくご飯」とも呼ばれるが、この場合は「薬味を加える」と言う意味のかやく(加薬)なので、爆発はしないので安心しよう。
その他に沖縄料理ではじゅーしーと呼ばれる。

また、混ぜご飯共々「味ご飯」と呼ばれる事もある。
米そのもののほのかな甘味と旨味に様々な具材の旨味が加わるこの料理にふさわしい呼び名と言えよう。

元々は米が貴重だった時代、少ない米をかさましする目的で様々な具材を混ぜて作っていたのが起源とされ、混ぜご飯などと共に自然発生的に生まれた。
戦国時代においては主食と副菜を手早く同時に摂れる事から陣中食として振舞われた。
飯と言えば基本的に雑炊、炊き上がったご飯は贅沢品であった庶民にとってたらふく食えるチャンスであったため飯が美味い軍=勢力の大きさにも直結した。

今はほぼ味わいのための調理だが、具材を加える事で白飯よりも栄養価が高くなり、
また、玄米などでも味わいを気にせずに食べられ、ミネラル分などを効率的に摂取出来る調理法でもある。
具材によっては白ご飯と比べて傷みやすくなるので、とっとと食べてしまおう。

炊飯器で炊いても良いが、小さな釜飯で炊き熱々のまま食べるのもまたオツ。その際、こびりついたお焦げも見逃さないように。
冷めても美味しいのでおにぎりにしても良い。
いなり寿司の中のご飯を炊き込みご飯にする五目いなり寿司、というものもある。



主な炊き込みご飯

秋の食材が多い傾向にある。これは、米や作物との収穫時期が重なるため。

◆鶏飯
とりめし。鶏肉を主な具材とし、野菜やキノコなどを加えたご飯。
比較的手軽に出来る上、ご飯が白飯でなくこれだった場合軽くテンションアップ出来るのが嬉しい一品。

◆キノコご飯
椎茸やしめじ、エノキなど複数のキノコ、もしくは単品で。キノコは旨味成分が多いので美味。秋の訪れを感じる一品。

◆タケノコご飯
タケノコを主としたご飯。歯応えと瑞々しさが嬉しい。

◆イモご飯
サツマイモを炊き込み軽く塩味をつけたご飯。ほどよい塩気がイモの甘味を引き立てホクホク美味しい!

◆栗ご飯
剥いた栗を炊き込み塩味で。甘味の強い栗に塩味はよく合う。

◆豆ご飯
グリンピースを炊き込んだ塩味ご飯。グリンピースはやわらかに炊いてほしいところ。

◆松茸ご飯
最高級のキノコ炊き込みご飯。あの香りはもちろん、瑞々しく歯応えある松茸は美味しさダイナマイト。さらに松茸のエキスをたっぷり吸ったお米はそれだけで白飯が食えるぐらいの旨みの塊と化す。
もちろんかなり高価ではあるがそれに見合った極上の味。

◆ギンナンの炊き込みご飯
こちらもなかなか高価だが、独特のクセと歯応えが良い。塩味が一般的。

◆五目御飯
広義には五目御飯≒炊き込みご飯なのだが、根菜類(にんじんやごぼう)・油揚げ・こんにゃく・椎茸といった滋味に富む具材を用いた炊き込みご飯を五目御飯、あるいは五目飯と呼ぶ。
鶏肉を混ぜることもあるので、前述の鶏飯は五目御飯の一種ともいえる。
ちなみに、「五目」は彩の良さという意味であるため、別に具材が五種類でないと五目御飯ではない、というわけではない。

◆塩昆布と桜えびの炊き込みごはん
塩昆布と桜えびをいれ、日本酒で風味をつけた炊き込みごはん。
あっさりとした春らしい味に仕上がるので桜のシーズンにお勧め。

◆貝類の炊き込みご飯
アサリ、ハマグリ、カキ等々……旬の海の味覚を味わいたい一品。
そのまま炊き込んでも良いが、あらかじめ貝類を酒蒸しし、
その蒸し汁を加えて炊いたご飯に後から混ぜ込むと臭みも無く、身も固くならない。

◆さつまご飯(薩摩ご飯)
魚の混ぜご飯で、お祝い事に食べる料理。さつまいもが入っているわけではない。
「さつま」とは白身魚を焼いてその身をほぐして味噌や胡麻と混ぜたものをその魚の骨でとっただし汁で伸ばしたもの。つまり魚の旨味が凝縮されたペースト。それをご飯に混ぜ込んで炊き込んで食べるのだ。

◆中華風炊き込みごはん
鶏肉やチャーシューをメインに、ナッツやタケノコやキクラゲ、桜えびなんかを加えてウェイパーで味付けした炊き込みごはん。
ネギで炒めて炒飯にしても美味しい。
炊き込みご飯の定義からは離れるが、もち米を使う中華おこわの場合、豚バラの角煮や銀杏なんかも入る。
これを竹の皮やホイルで巻いて蒸すと、デパ地下の定番の「中華ちまき」。

◆ツナマヨの炊き込みご飯
ツナカンとめんつゆとネギなどの薬味を入れて、炊飯器で炊くだけの簡単なお仕事です。
ニンジンなどを入れてもおいしい。一人暮らしのちょっと贅沢なごはんに。
おにぎりにしてもおいしいよ。炊き終わった後にマヨネーズで味付けしてもおいしいです。

◆大根飯
朝の連続テレビ小説・おしんで有名。細切りした大根を炊き込んだご飯。
多分おしんが食べていたのは味付けも何もされていないものだったと思われるが、
薄く醤油で煮て味をつけた大根を炊き込むとヘルシーで美味。おしんにも食べさせてあげたい…。
貧乏な学生の味方でもある。

◆サンマ飯
こんがりとグリルしたサンマをぶち込んで炊いた秋の炊き込みご飯。米を炊く際の醤油やだし汁の加減はお好みで。
炊きあがってからサンマをバラして背骨や目立つ骨を取り除き、混ぜていただく。サンマの魚油味がご飯に染み渡ってこの上ない味わい。
サンマは絶対にしっかり焼くこと。血の臭いが米に移ると最悪。

◆釜飯
炊き込みご飯の中でも、一人前の小さな釜などで調理し、茶碗に盛らずそのまま食卓に出される調理法を釜飯という。
いわば「うどん」と「鍋焼きうどん」のようなもの。

◆いかめし
北海道の郷土料理。
ゲソとワタを除いて空っぽになったイカの中に出汁と米(うるち米ともち米の混合)を入れて炊いたもの。駅弁などでお馴染み。
非常に変則的だが「炊くのに使う容器」は炊き込みご飯の定義に関わらないので、これも調理法でいえば炊き込みご飯といえる。

◆ピラフ
バター炒めにした生米をコンソメスープなどで炊き込む洋風ご飯。分類でいえばこれも立派な炊き込みご飯の一種。
本場はトルコ。そこから各国に放散し、今では地域ごとにレシピが違う。
日本で「ピラフ」というと洋風味付けの焼き飯(チャーハン)な調理のものが多く、基本から違っているのに注意。これはこれで旨いから問題はない。

◆パエリア
スペイン料理のひとつ。米を様々な具材と一緒にスープで炊き込む。サフランが味の決め手。こちらも炊き込みご飯といえる。
「パエリアを食うならここ」とも謳われる港湾都市バレンシアでは、魚介を豊富に使う海鮮パエリアの文化が発達している。魚介の旨味は日本人の口にも馴染みやすい。
原初のレシピはウサギや猟鳥などのジビエ、キノコにエスカルゴなど山の幸が主な具材だったとか。

ジャンバラヤ
上のパエリアを起源にもつ、北アメリカの炊き込みご飯。
トマトと唐辛子、香味野菜でよりスパイシーな味付け。詳しくは項目参照。

◆プラオ/ビリヤニ
こちらはパキスタン料理の炊き込みご飯。
比較的淡白な印象がある日本の炊き込みご飯とは異なり、ホールスパイスをドカドカぶち込む刺激的な料理。
「カレー炊き込みご飯」とでもイメージして頂ければ分かりやすいだろう。
プラオの語源は上述したピラフだったりする。とはいえ、今では異なる文化といえるほど独自の進化をしているので、いわばピラフの弟ともいえる料理。
プラオとビリヤニは製法に違いがあり、厳密にはビリヤニは炊き込みご飯ではない。が、現地では違いが曖昧で、普通に生米を炊き込んだビリヤニもあるためここに記載。

◆カーオ・オプ・サパロッ/カオマンガイ/カーオ・マン
タイの炊き込みご飯料理。それぞれ
カーオ・オプ・サパロッ…くりぬいたパイナップルを器にして、パイナップルやエビなどをスパイシーに炊き込んだご飯
カオマンガイ(海南鶏飯)…茹で鶏のスープで炊いたご飯
カーオ・マン…ココナッツミルクで炊いたご飯

タイの米食文化は日本以上に多様化しており、他にも名もなきタイ産炊き込みご飯は数多い。トムヤムクンの汁で炊き込んだりすることもあるようだ。

◆チェブジェン/チェブヤップ
西アフリカ、セネガルの炊き込みご飯。
チェブジェンは魚、チェブヤップは肉、ほかに大きく切った野菜を炒めて煮込んでスープを取り、
これでコメを炊き後から具材を戻し入れていただく。
セネガルは占領していたフランスから人と技術が流入した事で、アフリカでも特に料理文化が発達した国。
稲作が盛んで、コメを主食にしている地域もある。

◆火薬ご飯
NHKの伝説的アニメ「忍たま乱太郎」より。
文字通り火薬が入ったご飯、これで相手を倒した場面があったしかも流暢に本物のかやくご飯の作り方も教えてくれました。
\私はかやくご飯が大好きダス!/



◆松茸のお吸い物ご飯

その名の通りのお吸い物ご飯。作り方は簡単で、茸ご飯の水に松茸のお吸い物の粉を溶かすだけ。
あっとゆう間に松茸ご飯(偽)の出来上がりでござる。実に良い香りでござるー

セコいって思った奴今から松茸買って来い


炊き込みご飯と似た料理

炊き込みご飯の定義は「具材と一緒に炊き込んだご飯」であり、これと似て非なる調理法は日本の各地に伝わっている。
尤も、炊き込みご飯と一緒くたに扱われることが多い用語もあるため、あまり目くじらを立てる必要はないのだが、それを踏まえていくつか「炊き込みご飯と似ている調理法」を紹介していく。

◆混ぜご飯
炊き込みご飯との最大の違いは「炊いた米に具材を混ぜ合わせる」点。
米は白米でなくとも、醤油や出汁、塩などで味付けしたご飯を用いる場合もある。
チキンライスやタコライスも混ぜご飯の一種。

◆おこわ
よく炊き込みご飯と一緒にされがちだが、おこわはもち米で蒸す調理法である点が明確な違いである。
ちなみに、赤飯は炊き込みご飯ではなくおこわの一種。

◆チャーハン
一度炊いた米を炒めるというダブル加熱処理をした米。
主に西洋では「東洋風パエリア」などと言われて混合されがちなようだが、紐解けば全く別の調理法である。
ただ、一昔前の冷凍チャーハンなどは実質「チャーハンみたいな味がついた炊き込みご飯を冷凍したモノ」だったりもした。

◆雑炊
米を煮たり、ゆるゆるに炊き上げたもの。別名おじや。
味をつけて炊き上げれば定義上は炊き込みご飯みたいなものともいえるのだが、雑炊は味や具材の有無に関わらない。
よって、基本的にはどう調理しても雑炊は雑炊で、炊き込みご飯に足を突っ込んでいても別物として扱われるのが一般的。

◆白飯
かつて釜飯チェーン店の『釜寅』では、実際に白飯&おかずセットが「炊きたて銀しゃり」という商品として存在していた。
現在は提供を終了し茶漬けに移行している。

追記、修正は、「ご飯」がゲシュタルト崩壊を起こさぬよう気を付けながらお願いします。

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最終更新:2024年02月23日 03:48